剱岳北方稜線 赤谷山〜池ノ平山〜剱岳2日目 白萩山先のコル〜大窓〜池ノ平山〜小窓池ノ平山前後は険しい岩稜が続きます
夜は月が明るくて、ランプなしで便所に行けるくらいでした。中秋の名月の翌々日だったっけか…?寝付きは良かったけど、日が変わる頃に一度目が覚めてからは朝まで寝れなんだ…。長い夜だったなあ〜。4時になって動き出します。今日も天気は良さそうです。後立山が赤くなってきました。朝飯は雑炊。
さて、今日のヤブはどんなもんか…?白萩山から見る限りは赤ハゲへの稜線はヤブが濃そうでした。気合を入れてスタートです!薄い踏み跡に導かれます。踏み跡なんてないと思っていたんですが、意外とハッキリしたのが続いてます。時々枝分かれしたり不明瞭にはなりますが、適当に進めばまた踏み跡は復活します。
斜面の左側が草地になっているのは赤ハゲの登りも同じ。結構左から回り込んだような。山頂近くになると灌木やらハイマツのヤブとなります。それでも踏み跡は薄っすらと付いていて、立ち往生してしまうことにはなりんせんでした。朝から快晴かと思いきや、空の高いところに薄雲が広がっています。視界には影響ないけど、ちょっと景色が暗いなあ〜。
赤ハゲから白ハゲの間はちょっとした岩稜帯で、間に小さなピークがいくつかあります。踏み跡はだいたい稜線上にあり、岩峰とかで息詰まるとどっちかを巻いてクリアするパターンが何度か。一ヶ所だけ右から巻く時に、際どいヘツリみないなのがあって、ちょっとドキドキしました。掴んだ岩が絶対に取れなければ、絶対に落ちることはないけど、万が一岩が取れてしまったら…と考えると、二の足を踏みますね〜。とりあえず無難に通過。
赤ハゲ。白ハゲ間はロケーションが良かったです。稜線は紅葉が始まりかけてていい感じだし、振り返ると毛勝三山と赤谷山からの歩いて来た尾根が見渡せます。ピークを越えるごとに近づく剱岳も迫力満点。左にはいつも後立山連峰。長い後立山ですが、だんだんと南に寄ってきたのが実感できます。
白ハゲ山頂です 霞んでいるのは後立山 白ハゲの山頂はなんてスバラシイとこなんでしょ!白ハゲの山頂は草原となっておりまして、とても穏やかな山頂なのです。もう谷を一つ隔てるだけで小窓です。すぐそこに見えるけど、その間には池ノ平山が控えているのです…。池ノ平山が一つあるだけではなく、大窓の頭、池ノ平山の北峰、南峰と3つ越えなければいけません。小窓への下りも厳しいって噂だし…。
唐松岳から朝日岳まで並んでいます 長居したくなる白ハゲ山頂でしたが、駒を進めます。草原を下るとすぐに痩せ尾根に。2つ岩峰を越えたあたりで、右の草の斜面に降りる踏み跡もありました。忠実に稜線を辿る踏み跡もありました。基本に忠実に稜線通しの踏み跡へ。ここは結構手強かったなあ。ハイマツが。岩峰も険しかったし。最後は黒部側を巻いて大窓へ。
帰ってから記録を読むと、みなさん草付きを降りてるんですね〜。リサーチ不足でした。今回の北方稜線の予習として、山岳会の先人の記録を主に見てきました。あとはネットで1つか2つくらい読んだ程度。この草付きを下ることは、山岳会の記録にもちゃんと書いてありました。ただちゃんと読んでないだけの話ですね〜。まあ、記録に頼って進むのもいいけど、現場で自分の目で見て進むのも悪くはないはずです。詳しく調べすぎるとデータにガンジガラメになってしまったり、調べてる途中で怖くなったりしますから。程々にってとこでしょうか。
大窓にはテント1張り分。これだけ下ると谷は両側とも緩いです。どちらも簡単に登り降りできそうです。小黒部谷側にはまだ結構な雪が残っています。大窓への下りのハイマツ漕ぎで服の中から靴の中からハイマツのカスだらけ。服を脱いで靴を脱いで取り除きます。軍手は松ヤニだらけになってしまいました。
大窓から大窓の頭へは大きく登り返します。300mはありそうです。まあ小1時間ってとこかな。大窓からの登りはこれまでにも増して踏み跡が明瞭になります。ハイマツも切った跡が目立ちます。大窓から北方稜線を目指す人も多いんだろうなあ…と想像できました。が、そうでもないようです。踏み跡が明瞭になったのは、大窓から大窓の頭までのわずかな区間だけでした…。なんでここだけなんだろう…? 大窓の頭への登り バックは白ハゲ
大窓の頭も気持ちの良い山頂です。ここも穏やかなんですが、進行方向の稜線は険悪です。痩せた脆そうな岩稜が池ノ平山に続いています。距離はすぐなんですけどね〜。記録でも時間がかかっているので、結構苦労するんだろうなあ。この間はまた踏み跡が薄くなり、時々見失いそうになる時もありました。偵察の踏み跡なんかも多かったですね〜。つられて偵察に行くので、ますます踏み跡が明瞭になります。
コルから5mほどの岩を登るところでロープを出しました。残置のロープが溝状のところにぶら下がってましたが、難しそうなので左から回り込んでみると、こっちの方が簡単に登れそうな雰囲気。でも、足場が外傾してて、手も微妙だったので重荷を背負って登るのは怖かった…。空身でロープを引いて登りました。その先もややこしそうな岩の急斜面とか出てきて少し苦労。稜線に復帰してやっと落ち着きましたね。
いよいよ池ノ平山の北峰までやってきました。南峰の方が山頂っぽいけど、山の高さは北峰の方が勝っています。南峰は近くに見えていますが、南峰への最後の登りはどこを登るんだろう…と思えるほど険悪。ま、みんな登ってるんだから、ちゃんと登れるようにはなってるんでしょうけど。
近くに行ってみると、上手いこと弱点を突きながら道が付けられていました。道というか踏み跡ですが…。大窓の頭から北峰、南峰と痩せた岩稜の登り降りを繰り返したので、どこがどこやらしっかり覚えてません。なにしろヒョッコリと池ノ平山の山頂に出たのでした。
池ノ平山の山頂にある大岩に山頂の看板あり。山頂に看板とか印とかがあるのは赤谷山以来です。大窓にお地蔵さんはありましたが。池ノ平山は10年近く前にスキーで来たことがあります。南東面にスバラシイ一枚バーンがあるんです。剣沢の方向から見ると真っ白な斜面です。北側の険しい岩稜からは想像が付きません。
稜線通しで小窓に向かうルートは難所のようです。対して池ノ平小屋に向かう道は、なんとものどかな感じで続いています。そっちに行きたい衝動に駆られます。そっちに行くとビールもありますし…。しかしまだ12時は。池ノ平に行く手はないな…。小窓は完全に射程距離内で、あわよくば三ノ窓も視野に入ってきました。
ここからは破線ながらエアリアに登山道として載っています。いくら難所とはいえ、登山道だから今までよりはマシでしょう…と期待して出発。するとお世辞にも登山道とは言えない道で、今までの踏み跡よりも逆に薄いくらい。ハイマツは手強いし、全く踏み跡がなくなってしまったところもありました。まあ、稜線通しに進めば問題はないのですが…。
急傾斜の岩場下りにはロープが設置されてますが、かなり古いものが多いですね〜。下りなので支点を確認できるので、頼れるところは頼って下ります。この岩峰を下ったところで、久しぶりに人に遭いました。このルートは悪いのは覚悟していたけど、想像以上だったとのこと。最後の小窓に降りる急下りが厳しいとのこと。ここは岩というより、灌木とザレっぽい急斜面。ここもロープや灌木に頼りながらのモンキー下りとなりました。険しかったので、標高差のわりに時間かかった気がする。
さて、小窓に到着です。稜線上に1張りと一段降りたところに1張り分のテントスペース。ここで泊まるか、三ノ窓まで進むか・・・。時間はまだ14時前なので三ノ窓まで行く時間は十分あったけど、T世さん相当きているみたい。小窓からなら明日の下山は十分可能だろうから、今日は小窓で泊まることに。小窓のロケーションも気に入ったし・・・。
なにはともあれ水を汲みに行きましょう!小窓は年中水が取れるとのウワサ。降りる途中にジャージャーと水の音が聞こえていた方向に小窓雪渓を下ります。音の正体は滝。流れと雪渓の間には隙間があって、覗き込んでみると10mは軽くありそうな分厚い雪渓。こんなとこ落ちたら助からない・・・。ここで水を取るのは不可能でした…。右岸に沿って雪渓を下りますが、水の取れそうなところは出てくる気配さえありません。左岸側に流れを発見!しかし、ここも雪渓と岩に隙間があって取り付けない・・・。さらに下ります。30分くらい下ったところに、岩から滴り落ちる水を発見!ここもきわどかったけど、なんとか岩場に取り付くことができました。ただ流れが細くて2L汲むのに10分。5L汲むのに30分近くかかってしまいました。そして小窓まで登り返します。
2時前に着いてヒマだなあ〜と思っていたけど、水汲みに1時間半もかかって3時半になってしまいました。いったいぜんたい水場はどこだったんだろう…?もしかして白萩川側?下ってる途中でそうも考えたけど、水を得ないうちに登り返すのもなあ・・・ってことで下り続けたのでした。こんなことなら雪渓の雪を融かした方が楽で早かったな。
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