金木戸川の支流は、2001年に打込谷を遡行、2003年には九郎右衛門谷を遡行し、黒部川へと下降、赤木沢遡行とつなげた。そして今回、最難関の小倉谷は、名古屋ASCの2人とタッグを組み(お世話になってばかりだったが)、挑戦することとなった。予報ではこの3連休、行楽日和、運動会日和、収穫日和・・・と言っていた。天気さえ良ければいただきだ!
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金木戸林道終点(7:50)⇒小倉谷出合(9:55〜10:25)⇒吊り橋跡(14:00) |
しょっぱなからミラターボが飛ばす。勘弁してくれよとばかりにボンゴがアクセルべた踏みで追うが、ダートでは差は縮まらない。空はよく晴れていて暑い。金木戸川は相変わらず青くてきれいだ。中ノ俣の出合の橋で休んでいたら、志水哲也さん御一行が追い抜いていった。次に見たのは小倉谷出合の山道。小倉谷に入るなら河原で準備するだろうし、打込谷にでも行くのだろう。華麗な突破を見てみたかったのだが、残念だった。
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小倉谷出合の河原に到着。そして金木戸川の水量を見て、「ウソだろ!」とランクルと顔を見合わせた。おととしの盆に来た時なんかはゴーゴーと流れていたのに・・・。その時は、山道終点の入渓点から打込谷出合までの約300mを、苦労して2時間もかかったのだが、今日の水量だったら普通に歩いて行けそうだ。こんなにも差があることにびっくりした。まあ、水は少ないにこしたことはない。
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さて、いよいよ小倉谷の遡行開始だ。どれだけの美渓か楽しみだ!はじめは平凡なゴーロをランクルが引っ張る。トイ状10mをはじめとする、ちょっとしたゴルジュを抜けると河原になる。ちょっとしか歩いてないが、先は長くないので一服。一服中に二人組みが来た。この二人組みは林道の最初のゲートに車を止めて、志水さんが乗った帰りのタクシーを拾って、奥のゲートまで進んだようだ。 ゴーロ主体だが、時々ナメ状の岩盤となり、美渓の片りんが垣間見れる。ただ、本流に比べると水の青さは薄く、周囲の花崗岩もやや暗い色だ。滝は低くても、深い釜に阻まれて高巻く場面も。このゴルジュの締めくくりは15mの横向きの滝。これも巻いて、降りたところは広河原になっていた。 |
ゴルジュの途中からだっただろうか、ランサーの足回りに異変が・・・。ランサーは朝から排気系(お腹の調子)が悪かったようだが、歩き始めてしばらくで足回りも不調に。ふくらはぎがつってしまうようだ。「敗退」の文字が頭をよぎった。しばらくは様子を見ながらだましだまし歩き、そのうちなんとか復調。よかったよかった!
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広河原はなかなか快適なテン場となっていた。でも、さすがにまだ12時台なので先に進む。核心のゴルジュの手前までの間でテン場を探そう。平凡な渓相が続き、退屈なところだ。ゴーロなのだが、なかなか良いテン場がない。そうこうしているうちに、核心のゴルジュが迫ってきている雰囲気。結局、ゴルジュの直前にある吊り橋の跡で泊まることになった。 ここはスペース的には悪くないが、目の前が大きなゴーロ滝になっていて、ロケーション的にはイマイチ。ちょっと暗い感じだった。いつものように薪を集め、タープを張り、自動的に宴会に突入していった。途中、抜き返した二人組みはどこまで進んだかなあ・・・。 |
本日の燃料補給は、ランクル持参の牛串焼きと、ボンゴ持参のホルモン焼きがメイン。あとは各自持ち寄りのつまみで宴は進む。ちなみに排気系不調のランサーは、ハイオク(脂っこいもの)はダメのようで、レギュラー(あっさり系)の給油となった。ボンゴはディーゼルだが、しっかりハイオクを補給した。それが悪かったか、酔っ払ってだいぶ戻してしまった。
さあ、今日が勝負の日だ!核心のゴルジュと大きな滝を3つ4つ越さなければならない。いきなり泳ぎとなるので、日が昇らないうちに出発するのは憂鬱だった。けど、そんなことは言っていられない。目の前の大きなゴーロ滝を越すと、もう先にゴルジュが見えるではないか・・・。
吊り橋跡(7:20)⇒ゴルジュ入口(7:30)⇒ゴルジュ出口(8:20)⇒40m大滝下(9:35)⇒二俣(10:10〜40)⇒30m大滝下(11:25〜55)⇒2080m付近河原(12:35) |
ゴルジュのしょっぱなから深くて長い釜を持った滝が。まだ暖気のすんでない冷えた体で泳ぐことになる。ランクルが積荷を降ろして泳いで左壁に取り付いた。そして、あとの3台も積荷を渡し舟に載せ替え、空身で水に入る。途中で流木の妨害にあったりもしたが、すんなりとここは通過。
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さらにゴルジュは続くが、巻いたりへつったりしながら進む。すると、左のはるか上から水流が50mの滝となって落ちてきていた。上部は日が当たっており、水がキラキラ光ってとってもきれいだった。早くここにも日が差してこないかなあ・・・。
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そしてゴルジュの最後の締めくくりは、これまた深い釜付きの5m滝。右岸にシュリンゲが垂れており、それを使ってへつりながら滝に近づく。そして、水流の左を残置ハーケンのお世話になりながら滝上へ。滝上に降りたはいいが、次の滝も登れないので、一緒に巻き上がれば効率的だったかな・・・? これで小倉谷の核心は抜けたことになる。2,3時間くらいかかるのかと覚悟していたが、1時間かからずに抜けることができた。車種は違うものの、一応足並みはそろっていたのがよかったな。いつもながら、ランクルの突破力も大きいなあ・・・。泳ぎもこのゴルジュの入口と初日に軽いのがあっただけ。もっと泳ぐ場面があると思っていたのだが・・・。 |
核心のゴルジュを過ぎるとパァーッと開けるかと思いきや、依然として側壁は高い。ただ、悪場はなくなる。スタスタと歩けるようになると、ランクルとミラターボが飛ばし始める。ボンゴには辛いスピードだ。そして、核心のゴルジュをクリアしたご褒美か、ベージュのナメ床とナメ滝が続くようになる。さっきまでとはえらい違い、癒し渓の沢へと変わった。
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気分よく歩いていると、ド〜ン!と出ました。ナメ床の突き当たりは40mの大滝となっていた。なんだ?この極端さは・・・。こんな滝の出方も珍しいなあ・・・。しばし滝の前でこの威容な雰囲気に浸る。
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これは登れない・・・。ガイドでは右の小沢などと書いてあるが、これはどう見ても左だ。バンドを拾って高度を稼ぐが、右にトラバースしてからが少々悪目だった。小倉谷は通常3日を必要とし、そんなにボコボコ人が入るとは思えないが、意外と高巻きの踏み跡はしっかりついていて、いやらしい高巻きはなかった。 40m滝の上に出ると、両岸が穏やかになる。周囲の樹林も針葉樹からダケカンバなどの潅木となり、明るい雰囲気に。またもやランクルとミラターボがトップギヤに入る。ランサーは黙々追っている。ボンゴはマイペースで写真を撮ったりなんかしながら歩く。 このペースでいくと、軽く笠の稜線まで達してしまう。泊まるのはせいぜい2100mくらいのところなのに・・・。タープとツエルトしかないし、小屋のテン場でうなぎ(今夜の晩飯)ってのも味気ない。もっとまったりと歩こーよー。左から二俣と間違えそうな支流を過ぎると、本物の二俣はもうすぐそこ。 |
二俣は右からも左からも大きな滝で出合う。その下は大きな岩がゴロゴロした広いところ。とても気持ちの良いところで、休憩にはもってこいの場所だ。ここで30分ほどゆっくりする。
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二俣は右の滝に進むのだが、右の滝は立っているので登れない。左の滝を左から巻いて、さらにいくつかの滝を越え、右の壁が水面に追いつくくらいのところからヤブに突っ込んだ。この左俣の連瀑は結構よかったので、機会があれば左俣を遡行してみてもいいかも・・・?
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二俣の間の尾根を、笹ヤブを漕いで右の本流に戻る。本流に戻るとすぐに3段40mの滝。ここは傾斜が緩いので、直登できる。小倉谷の大きな滝で、この滝が唯一直登できるのでは・・・? 3段40m滝を越えると、すぐに30mの大滝。これは地形図で滝マークのある滝だ。これは全くもって登れない。左から高巻く。高巻きから降りたところは、広く平らな岩盤となっていた。見晴らしも良いし、「ここで泊まろうか」などと話していた。 |
30mの大滝で沢は大きく右に曲がる。いくつかの滝で一気に高度を稼いだぶん、ここで穏やかな流れとなる。もうかなり高山の雰囲気で、平凡な河原を歩いているだけでも気持ちが良い。このあと左に90度まがると、正面に笠ヶ岳の稜線が・・・。ボチボチ泊まり場を探しながら歩こう。
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右から入る支沢とのインゼル状が気持ち良さそう!ここに決定しかけたが、せっかちなミラターボは、まだ進みたそう。おいおい、もうこの先は傾斜がきつくなるから、泊まれるところはないぞ!ここの1段上がさらに良いというので、しゃーない、そこまでまた上がることにする。う〜ん、ここもまあまあだ。マキも豊富!
まだ12時半だぞ・・・。焚き火に火を着けるが、マキが夜まで持たないのでいったん消して、タープの下で日を避けながらまったり。日向だと暑いくらいなのだ。ミラターボとランサーの山道具話に火がつき、ハミゴになったのでお昼寝。3時半過ぎに日がかげり、目を覚ます。そして、焚き火に着火と同時に宴会開始!今晩のメニューはうなぎ!シェフのランクルは「中国産のウナギを浜名湖産の味に変えてやる」と言いながら串に刺していた。 |
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今日は中秋の名月。月の出は8時過ぎだったか・・・。ちょうど笠ヶ岳の方から出てきた。なんと眩しいこと!月の光で木の葉の影までクッキリと写っていた。谷でこれだけ明るいんだから、稜線だったらランプなしで余裕で歩けるだろうなあ。明日も晴れて、最高の詰めが待っててくれるだろう。・・・と思っていた。
なんか頭が濡れてるなあ・・・と思いながら寝ていたが、まさか雨が降っていたとは・・・。タープに降った雨が集まって、ちょうどボクの頭の先に落ちてきていた。明るくなると、あたりには霧が立ち込め、小雨が降っていた。タープの下で朝食を済ませ、準備をしていると、東京の2人組が通り過ぎていった。少し下で泊まっていたとのこと。
2080m付近河原(7:30)⇒登山道(9:30)⇒笠ヶ岳山荘(9:45〜10:00)⇒笠新道入口(12:50〜13:00)⇒新穂高(13:40) |
まずはテン場から見えていた階段状10m滝から始まる。日が照っていて、バックが青空だったら、とてもきれいなんだろうなあ・・・。これを越えても連続して滝が出てくる。どれも段々になっているので、苦労する場面はほとんどない。「晴れてたらきれいだったろうに・・・」ばかり思いながら登っていた。
スタートからミラターボがターボ全開で飛ばす。やれやれ・・・まだ朝イチだぞ〜。のんびり登るってことを知らないのか!無理について行くことはしない。ものの15分も登ったところで、ガスの中に突入。視界は50〜100mくらいか。
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分岐は全て本流筋、水量の多い方にとった。途中、水が枯れる少し手前でクーラントを補給しておく。水が枯れてガレとなり、視界がないのでどこが稜線ともわからず登っていると、岩にペンキマーク発見!そこから山頂を巻く踏み跡を辿ると笠ヶ岳山荘につながっていた。テン場から道まで標高差約800mを休憩含めて2時間で詰めてしまった。ボンゴ的には3時間のつもりだったのに。スピード違反だぞ、ミラターボ!
山荘には東京2人組がいた。あまりビールという感じではなかったが、小屋で買って儀式的に飲んだ。さて、これから長〜い下山だ。霧雨でなにも展望のない稜線を1時間近く歩いて、笠新道を急降下。1時半すぎにゴールの新穂高に到着。あとは面倒な車の回収が残っている。荷物を置いてミラターボと車まで30分ほど歩き、再び金木戸林道へ。回収に2時間もかかってしまった。改装していてガラリと雰囲気の変わったひらゆの森で、臭くなった体をきれいにし、夕飯(?)を食って名古屋組と別れる。お疲れ様でした〜
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