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穂高 涸沢山スキー(不完全燃焼・・・)



− 今年のゴールデンウィークは異常? −


涸沢のテン場より  束の間の晴れ間


 山域  北アルプス 穂高連峰  
 行程  1日目 上高地⇒横尾⇒涸沢
 2日目 涸沢〜五・六のコル
 3日目 涸沢⇒横尾⇒上高地
 山行日時  2006年4月29日(土)〜5月1日(月)
 天気  1日目 晴れ  2日目 ガスのち晴れのち雪 3日目 雪(雨)のち曇り  
 登山形態  山スキー(テレマーク)
 メンバー  A山、T世、(N村)
 温泉  





涸沢定着で涸沢、横尾谷、槍沢を滑るつもりで出掛けたこのゴールデンウィーク前半戦。終わってみれば散々なもの。五・六のコルから一本滑ったのみ。しかも、雪質は最悪・・・。天候も不順で両晩とも雪や雨で、昼間に一瞬晴れてくれたのが救いだった。今年のGWの穂高はまだ4月頭くらいの様相で、雪質も快適ザラメなんて夢のまた夢。例年ならザラメの爽快ルンゼ滑降が期待できるけど、今年はかなりのリスクを伴いそう・・・・・・・。


■4月29日(土)   晴れ  上高地⇒涸沢

沢渡でA山君と待ち合わせ。登山者も観光客もほとんどいない、6時過ぎのバスに乗った。上高地も閑散としていた。ゴールデンウィークの前半初日なんて、こんなもんなのかなあ・・・。通常のゴールデンウィークなら上高地周辺にはもう雪は残ってないみたいだが、今年はまだしっかりと残っている。

上高地(6:55)⇒明神(7:45〜8:05)⇒徳沢(9:00〜9:40)⇒横尾(10:50〜11:10)⇒横尾本谷出合(13:30〜14:50)⇒涸沢(16:50)

天気は最高だ!今日早めに涸沢にたどり着いて、なんとか1本滑っておきたいところ。しかし、重荷にみんなのペースが上がらない。久しぶりの重荷に肩が痛い・・・。ザックについているスキーの重さが余分だ。とくにT世さんのペースが上がらず、徳沢〜横尾は板を2セットザックにつけて歩いたが、さすがに重心が悪くてとってもこたえた。

河童橋からの定番のショット
小梨平を過ぎると雪壁の歩道に
徳沢もまだ雪に覆われている

横尾大橋を渡ってやっとスキーを履ける。谷が狭まり、スキーで進むのが窮屈になったところで、右岸に渡って屏風岩の裾に広がる台地に乗り上げる。ここは楽に進めたが、降りるタイミングが早くて、谷はまだ狭かった。この台地は自然に谷に吸収されるまで進むのが正解だったようだ。

屏風岩と横尾尾根
屏風岩を回り込んで
正面に北穂が見えてきた

横尾からもツボ足で歩いていたA山君は谷通しで進む。てっきり先に行っていると思い、追いかけるように一人で先を急いだ。横尾本谷出合まで行くが見当たらないので、ここでザックを降ろして待つ。待つこと1時間でやっとA山君が到着。さらに20分でようやくT世さんが到着。時間はすでに3時前。涸沢を1本・・・なんてとんでもなし。涸沢にたどり着けるかどうかの世界となった。横尾に戻ろうかとも思ったが、ここは頑張って涸沢に向かうことに。T世さんの荷物を少し持ってあげると、これまでに比べてかなりスピードアップ。なんとか涸沢までは大丈夫そう。かわりにボクが苦しくなる。4テンと全食料の4分の3は入っているザックは、背負っているだけで苦痛。元気だった足も、最後の最後でダウン寸前となった。

谷が開けてくると正面に前穂が見えてくる
行きたかった横尾本谷右俣
これを曲がったら涸沢ヒュッテが見えてくる

かろうじて5時前には涸沢に着いた。腰を下ろすともうダメになりそうなので、そのままテン場の整地に取り掛かる。雪がカチンコチンだったので、斜めの地面をだいたい平らにするのに30分くらいもかかってしまった。整地が終わってやっと全員到着。テントを建てて荷物を取り込んで、やっとゆっくりできた。

テン場に着いた時にはすでに日は沈んでいた。涸沢の斜面にはシュプールは見当たらないし、テン場にもスキーヤーっぽい人はいない。小屋泊まり1名は見かけたが、涸沢のゴールデンウィークはこんなもんなのか・・・?もっとスキーヤーがわんさかいると思っていた。夕飯の鍋を突っつき、酒を少々飲んで、今日はあっさり睡眠に。

■4月30日(日)   雪⇒ガス⇒晴れ⇒雪   五・六のコル&台地滑降


夜は雪少々に風少々。積雪はたいしたことはないが、また斜面は真っ白になっていた。朝には雪はやんでいたが、ガスに巻かれている。モチベーションは上がらない・・・。というか、こんな状態で出かけても楽しくない。ウダウダするしかなかった。それでもヒマを持て余したので、見えている斜面を滑ろうということに。涸沢槍のコルに向かう途中の台地にでも・・・と思っていたが、もしかして午後から晴れたらそこに行くので、とりあえず五・六のコル方面に向かった。途中までのつもりが、途中まで行ったらガスが少し上がってコルが見えたので、せっかくなのでコルまで登ることにした。

五・六のコルより奥又方面
五・六のコルより奥穂の根元
五・六のコル直下の斜面

穴を掘ってみると、カチカチのモナカの皮の上には昨日の新雪が薄っすら。その下にはスカスカの雪が30センチ。その下にまた皮があって、さらにスカスカが50センチほど。4月に降った積雪がそのまま層になって残っている。通常なら3月から4月上旬にかけての雪質だ。快適ザラメなんで程遠い。今年の4月は寒くて、高い山にはたくさん雪が降ったからなあ・・・・。

そんな雪なので、滑りも最悪・・・。短い山スキー人生の中で、ワースト3に入ろうかというコンディションだった。なにしろモナカの皮の下の雪が深いので、皮が割れたらハイそれまで!無抵抗でこけるしかない。よりによってザラメ用にエネミーを履いている。こんなんなら、深雪用の板の方がずっとよかった。でもまあ、どっちにしても散々だったには変わりはないと思うが・・・。

涸沢槍と白出コルに向かうトレース
前穂と吊尾根

テン場に戻るとYヤがいた。きのう白出沢を登って涸沢に入る予定だったが、白出沢がとんでもなく、登れる状況ではなかったらしい。本日仕切りなおしで上高地から入山したとのこと。降りたと同時くらいに、稜線にまとわり着いていたガスが急速に取れ始めてきた。う〜ん、涸沢の景色だ!さあ、今のうちにもう1本!しかし、なんじゃかんじゃしているうちに、あっという間にまたガスが増えてきて、元通りの景色になってしまった。ホント、束の間の涸沢劇場であった。それでも台地の少し上まで登って1本滑る。ちょうど直登ルンゼから降りてくる人がいた。ルンゼ内よりも、あずき沢に入ってからのほうが苦労しているみたいだった。ルンゼはモナカではなかったのかもしれない。

テン場に戻ると雪が降り出す。はじめは雪だったが、次第に雨混じり、氷混じりに。そとでブロックを作っていたA山君はビッショになってしまっていた。テントに4人集まって今日はしっかりと酒を飲む。ちょっと飲みすぎたか、寝袋に入って目をつむると、少々目が回る感じだった。ウゥ〜気持ち悪い・・・。



■5月1日(月)   みぞれのち曇り時々晴れ   涸沢⇒横尾⇒上高地


ゆうべは強風が吹き荒れ、雨だか雪だかがテントにたたきつけてきてうるさかった。天気が良ければ横尾谷だったけど、これでもうダメだなあ・・・。起きてみると涸沢のテン場あたりでは雨中心だったようで、新雪は少しだった。涸沢から見える斜面はデブリに覆われている。滑って滑れないことはなさそうだが、ここは涸沢。大勢の目の前でザラザラ雪崩を引き起こすのはヒンシュクもんだ。小屋へ天気予報を見に行くと、今晩と明日の朝は雨マーク。ハイ!下山決定。


涸沢(9:55)⇒横尾(11:55)⇒上高地(15:50)

結局、ほとんど滑らないまま涸沢を後にすることに。下山は決まったものの、撤収がかったるい。風も吹いてるし・・・。Yヤは下山するか残るか決めかねているようだ。そうこうしているうちに、だんだんと雲が取れ始めて、稜線が見え隠れするようになった。ま、今更天気が良くなったところで、滑る斜面はないことだし・・・。

涸沢の絶景も見納めだ
重荷を背負っての下山。涸沢から下は比較的雪は悪くなかった。が、2日分の荷物が減ったとはいえ荷物は重い。2ターンくらいしただけで太ももパンパン。休み休みゆっくり下る。

涸沢の谷が狭くなるあたりでは、日当たりの良い斜面からザラザラと雪崩が起きていた。屏風岩では雪崩が滝のように落ちていた。下りは谷が狭くなる前に、屏風岩の裾の台地に這い上がる。適当に検討をつけて谷に戻ると、ピンポイントで最後の徒渉チャンスの場所に出た。ラッキー!谷が開けてからはクロカン気分で横尾まで。横尾に着く頃にはまた山のほうは真っ暗になってきていた。


横尾大橋だけ板を手に持って歩き、雪に覆われた梓川の河原を新村橋までスキーで歩くことができた。そのあとザックに板が貼り付いてからはまた苦痛の歩き。雪のない上を歩くと靴擦れが痛い。早く歩いて重荷から解放されたいのだが、早く歩くと靴擦れが痛い・・・。悩ましい上高地までの帰り道であった。

沢渡の駐車場には足湯コーナーができており、せっかくなので利用する。足湯で温まるというよりも、強烈な足臭を除去したような感じだった。帰りの車のラジオからは、また雪崩の遭難を報じていた。今度は針ノ木雪渓。針ノ木はGWが解禁というイメージがあるが、今年はまだ早かったようだ。夜には雷を伴った雨になった。涸沢にいたらひどい目に遭ってただろうなあ・・・。下山して正解だった。





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