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ブサノ裏沢
 

奈良沢川の本流であるブサノ裏沢。明るく開けていて、滝もきれいで、ツメも良くて、文句なしで今シーズン一番の沢でした。ただ、ブサノ裏沢の絶景にありつけるまでには苦労の連続。米子沢の増水、寒さ、冷たい雨、長い行動時間、腰痛(個人的に)・・・等々。まさに、地獄から天国の沢登りでした。



  日にち 1泊2日 10月11(日)日〜12日(祝)
  山行形態 沢登り   
山域 奥利根(巻機山)   
  メンバー Nねーさん、KOちゃん、Sじぃ、Kりー、Fちー、   
  天気 1日目:曇り時々冷たい雨 2日目:晴れのち曇り   
  温泉 清津峡 よーへり(300円) シャンプー、石けんなしだがまずまず  


体育の日3連休沢企画は奥利根のブサノ裏沢。日程は1泊2日だが、中高年登山者に仲間入りして早数年。体力低下が著しいので、はじめの2日で沢に行き、最終日は身体を休める目論見。・・・だったのだけど、3連休直前に台風が上陸し、そいつが寒気を引き込んでしまったため、日本海側は時雨模様に。晴れなきゃ意味がないので、やむなく日程をずらすことになってしまったのでした・・・。

■10月11日(日)  桜坂⇒米子沢遡行⇒上ゴトウジ沢下降⇒ブサノ裏沢出合  曇り時々冷たい雨

メンバーは6人。大所帯で行く沢ではないと思ったが、なんだかんだで増えてしまった。まあ、なんとかなるでしょう。3時半に豊科を出たのに、歩きだしが7時半を回ってしまう。出発からして誤算。天気は冷たい雨。予報では回復傾向なので、そのうち良くなってくるでしょう。こんな天気にもかかわらず、駐車場はほぼ満車。恐るべし百名山巻機山。

桜坂駐車場(7:40)⇒約1720m枝沢(12:55)⇒米子頭の稜線(13:40)⇒懸垂の5m滝(14:20)⇒ブサノ裏沢出合テン場(17:35)

作業道から米子沢に入る。いつもならほぼ伏流しているガレの広河原だが、今日は音を立てて水が流れている。そして、ガレが終わり岩盤が出てきて、いよいよ米子沢の始まりだ!ってとこだが、今日は様子が違う・・・。スゴイ勢いで白泡の水流がゴーゴーと流れている。夜中のうちにだいぶ降ったようだ。先が思いやられるが、全ては明日のブサノ裏沢のため。行けるとこまで行くべ!

水多い・・・
美渓もヘッタクリもない米子沢

スペシャルAランクの渓相を誇る米子沢だが、今日の空模様と水量では過酷なだけ。楽しむなんてレベルではありません。なので米子沢のレポートは過去の記事をご参考に。2007年9月 2004年10月 2002年9月
本来なら水際を登れるところも登れず、ナメの水流トラバースもおっかない、標高を上げるにつれて寒くなり、天気は一向に良くならない・・・。時間を食うし、疲労もたまる。一番楽しいところである、大ナメ下のミニゴルジュ帯。今日はゴーゴーと水が流れているため、入口から手が付けられない。仕方なく大巻きの踏み跡を追う。巻きはつらかったが、途中で大ナメから下流にかけての眺めが素晴らしく、本日唯一の収穫となったのでした。

高巻き中に今日初めての絶景ポイント
米子名物の大ナメも今日は・・・

1720m付近の支流に入り、少し笹ヤブを漕ぐと国境稜線に出る。すでに2時前。たまーに青空が見え期待させられるが、すぐに雲が蓋をする。稜線ではみぞれっぽいのも降ったりした。寒さで身体がガチガチで震えが止まらない。稜線を越えると利根川の流域だ。はじめは草原だが、すぐに沢形になる。きわどい10mくらいの滝を巻き下り(懸垂するべきだったかも・・・?)、次の5m滝は残置を利用し懸垂で降りる。Nねーさんは手が冷たくて、自力で懸垂をセットできなくなるほどだった。

本日初めて日が差した
上ゴトウジも渓相はまあまあ

左俣と出合い、だんだんと傾斜が緩む。かなり過酷な状況なので、早く今日の行動を打ち切りたいとう思いと、明日も短くはないのでブサノ裏沢出合まで駒を進めておきたいという思いが頭の中で錯綜していた。良いテン場があれば打ち切りたかったが、優良物件はみつからず、15mの大滝に。ここは懸垂になるのだが、ルートミスは許されない。ロープを持つこーちゃんと2人で懸垂ポイントへ先行。そして、こーちゃんとSじぃに先に降りてもらい、テン場探しをお願いした。最後に降りて、出合のテン場に着いた時にはヘッデン寸前だった。ギリギリセーフ。ランプ灯して沢下降なんてことだけは免れた・・・。計画に問題アリだったかな。せめてあと1時間早く出発していれば・・・。

なにはともあれホッと一息・・・する間はなく、マキ集めやらテント(4テン+2テン)立てたりやら。ブサノ裏沢出合のテン場はあまり快適ではありませんでした。テントは草むらの台地。これは仕方ないが、河原が狭くてくつろげません。まあ、今日はテン場にありつけただけでも感謝なのですが・・・。

雨続きだったのでマキは水分含みまくり。根性で着火し、濡れた服を乾かす。マキは少なかったが、なかなか燃えないので量的には十分。寒かったけどノドはガラガラだったので、しっかりとビールは消費できた。この焚火スペース6人では狭いので、夕食は屋内で。テントの中は暑いくらいだった。いつの間にか10時を回っており、明日に備えておやすみなさい!

■10月12日(祝)  テン場⇒ブサノ裏沢遡行⇒巻機山⇒桜坂   晴れのちくもり

昨夜のうちから星が出ていたので、今日の晴れは確信していた。5時に目覚ましが鳴る。昨日の疲れでか、まったくもって睡眠が足りない。必死でテントから這い出し、空を見るとスカッ晴れ!大きいテントに移動し、Nねーさんが作ってくれた雑炊をいただく。沢の増水はおさまったようだ。

ブサノ裏沢出合(7:35)⇒20m大滝下(9:10)⇒60m大滝下(11:15)⇒稜線(14:00)⇒桜坂駐車場(17:10)

土曜日の内職で腰に違和感を持ったまま今回の沢に来たのだが、ここにきて悪化模様。冷えてガチガチの身体で重荷を持って沢を下ったのが引き金になったか・・・。歩き出しはまだ谷に日が差し込んでなかったが、東面の沢だけにすぐに日が差す。とたんに明るくなる。心はウキウキだが、腰と背中は悲鳴を上げていた。足が上がらない、立ち込めない、飛べない・・・。

日が差してくるとガゼン明るくなる
思案中

ブサノ裏沢は期待に違わぬ渓相。上ゴトウジ沢出合からすでに上越らしい明るさ。昨日の苦労が報われる。下流にも魚止の滝とかあるようなので、機会があれば一度ダムからも登ってみたいところ。アプローチや車の回送などが極端に悪いので、多分行かないと思うが・・・。

渓相にうっとりしながら登っていくと、見えてきました大きな滝。ブサノ裏沢の核心と考える20m大滝だ。記録を読んでると、直登にしろ高巻きにしろ苦労しているようだった。ただ、滝の前に立つと絶望感は全く感じられない。考えられるルートは4つ。水流右、水流左、右岸高巻き、左岸草付き直上。6人という人数と所要時間を天秤にかけ、左岸草付き直上を選択した。果たしてこれが正解だったかはビミョウなところ。

核心である20m大滝
20m大滝上の8m

左岸の草付きとはいっても、露岩が点々とあり、それを伝いながらジリジリ高度を上げる。最後の岩から灌木までが少し距離のある泥と草の斜面。落ちたら大変なので、ここだけロープを使うことにした。ハーケン2枚で支点を作るが、ハンマーで左手の人差し指を打ってしまう。情けない・・・。帰宅後腫れてしまった。指を打ってまでして作った支点だったが、登ってみると意外と楽勝で損した気分だった。結果論だが・・・。灌木からは、笹と灌木を掴みながらトラバースして落ち口へ。

8m滝の上半分

右岸を高巻くと、8m滝(黒い滝)も一緒に巻いてしまうみたいだが、この8mがなかなかの美滝なので、ここはやっぱり登らにゃ損損。滝の飛沫と青空と緑や紅の灌木がマッチしてきれい。8mを越えると1401mの二俣。本流は右から滝となって出合う。ボケーっとしてたら通り過ぎそう。前科もあることだし。この滝を登ったところに、ネットの記事で読んだザックが落ちていた。

稜線がが近づいてきましたねぇ
きれいな小滝連続区間です

次の難所は8m滝。直登は無理。こーちゃんが左の草付きを試みるが、途中で行き詰って断念。仕方ないので少し戻り、草付きと笹のコンタクトライン沿いをトラバース気味に落ち口へ。するともう一つ直登できない滝があり、もう1段高巻く。今回は笹を掴んでのトラバースが多く、上半身の筋肉痛も必至だろう。

さあ、いよいよブサノ裏沢きっての観光名所、60m大滝のお出ましだ。例年だとこの滝の直前に雪渓があるようだが、雪が少なかった今シーズンはすでに融けてなくなっていた。おかげで遠目から大滝を望むことができラッキー!ただ、雪渓の名残で荒れていたのが残念。仕方ないけど。せっかくなので、この観光名所で休憩。天気もいいし、滝もいいし最高!

60m大滝が見えてきました!
近づいて。。。

この大滝は正面は無理だが、右からも左からも登れそう。右はトラバースが長いので不確定要素多し。左から登る。徐々に水流に近付きながら登り、最後は水流を回り込んで落ち口へ。高度感を楽しみながらの楽しい滝登りでした。遠くから見たら60m2段滝だが、実際は1段目と2段目の間はそこそこある。その間には小さなナメ滝もあるので、厳密にいえば、独立した2つの滝といえるかも。2段目は傾斜が緩いので、水流の左側をスタスタと登ることができる。

真下から。。。
右側登攀中に。。。
2段目を下から。。。
2段目を横から

60m大滝を登ると、とたんに源流の様相。振り返ると奥利根や日光、尾瀬の山々も見渡せるようになる。次の二俣を左に進み、牛ヶ岳と巻機山の鞍部を目指す。進んでも進んでもナメ滝や小滝が続き、ナルミズに劣らないツメの良さだ。あとは詰めるだけとなり、緊張の糸が切れたのか、一気にペースダウン。最後尾をトボトボとついていく。ヤブ漕ぎなしで鞍部の登山道に出た。

大滝を越えると源頭の雰囲気に
ツメも最高級です

残念なことにツメの段階に入ったあたりからガスがかかるようになる。巻機山からの大展望はオアズケになってしまった。まあ、ブサノ裏沢の良いところは澄んだ青空でいてくれたので満足なんですが。満足感に浸っていたいとこだが、今日もかなり時間が押しております。登山道なのでランプ灯しながらでもいいんですけど、できれば避けたいところ。明日は仕事、ウチまで帰らなくてはいけないし。

ブサノ裏沢の源頭部
井戸尾根の紅葉はこんな感じ

そんなわけで、とっとと巻機山の山頂をあとにする。ニセ巻機の登り返しにあえぎ、下りはずっとヌルヌルの道で2回派手にスッ転ぶ。このヌルヌル道は沢靴では厳しかった。井戸の壁を降り、平たんになり樹林が深くなるとうす暗くなったが、なんとか今日もナイター寸前で到着。やれやれ・・・。初日はどうなることかと思ったが、無事に戻れて良かった良かった。

温泉不毛の地である巻機山。今回はこーちゃんリサーチによる、清津峡の「よーへり」という日帰り施設へ。ネットで見ると怪しそうだったが、入ってみるとそんなことはない。湯加減も良いし、風呂上がりの座敷もある。シャンプー&石鹸はないけど、300円は格安だ。なによりも店員さんの感じが良かった。時々はお世話になりそうだ。


最後にブサノ裏沢の総括など・・・

本文にも書いてますけど、とにかく明るいです。滝は程よい間隔で現れ、どれもこれもきれいな滝。滝のグレード的には、「簡単ではないけど難しくはない」ものが多く、遡行感度はすこぶる良好でした。総合評価は文句なしのAランクを付けてやりたいと思います。なのにメジャーな沢になり切れないのは、やはりアプローチの悪さなんでしょうか・・・?1泊2日の行程で、米子沢とブサノ裏沢を2本遡行できるというのは、2度おいしいと思うのですが。


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