万太郎谷下流と井戸小屋沢下流は極楽系 上流は修行系でした

山域 |
谷川 万太郎山 井戸小屋沢 |
山行日時 |
2010年8月28日(土)〜29(日) |
登山形態 |
沢登り |
メンバー |
高P |
温泉 |
岩の湯(400円) |
井戸小屋沢はずっと気になっていた沢。キレイそうだけど、難しそうだったので、機会をうかがっていた。ここ最近は大人数で行くことが多かったけど、今回は高Pと2人になったことで決行!後半に手厳しい滝が連発して苦労したけど、なんとか高Pの力を借りつつ抜けることができた。ああ〜〜疲れた・・・。
■8月29日(土) 吾策新道登山口⇒井戸小屋沢⇒小障子沢出合 晴れのち雷雨のちくもり
通常日帰りで行く沢みたいだけど、行程を見たらかなり厳しそう。土曜日帰りでは前の日がキツイし、日曜日帰りだと翌日がキツイ。なので、土日をうまく配分する感じで、一泊二日で行ってきました。テン場は小障子沢以外にはないとか書いてある。そこまで3時間なので、土曜の朝はゆっくりスタート。
吾策新道登山口(11:00)⇒井戸小屋沢出合(12:55)⇒小障子沢出合テン場(14:10) |
7時に豊科出発。途中、栄村の道の駅の産直でジャガイモとシシトウを仕入れる。9時半頃湯沢に着き、「のぐち」というスーパーで買い出し。そして土樽へ。吾策新道登山口のチョイ手前でゲートがあった。先客は2台。行き先は不明。車から出たら、目が回る暑さだった。早く沢に入りたいの一心で、アスファルト道を歩く。
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万太郎谷のナメ |
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三角の山は谷川岳 |
作業道を進むと新しくてきれいな堰堤が・・・。前はなかったゾ。まあ、魚道があるタイプなので、高巻きの必要はナシ。腰まで浸かって間を抜ける。水に入って少しクールダウンできると思ったけど、水がヌルイ。ここらあたりの山、この暑さでは沢以外は無理だと思った。
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白い岩盤と樹の緑がいい感じです |
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4mナメ滝 |
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この岩盤が万太郎谷下部の特徴だ |
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滑り台できます! |
万太郎本谷の下流部はこれで3回目。1回目は本谷、2回目は大ベタテ。3回目だが、ここはやっぱり観光地系。”万太郎といえば下流部のナメ床”って感じですかね。ナメ床というよりも、岩盤が発達している。水もきれいだし、緑もいー感じ。時々出てくる快適な河原のたびに、今日はここで泊まるか・・・なんて思ってしまう。ここらで泊まったら2日で来る意味がなくなってしまいますわな。明日の後半がに核心があるらしいので、少しでもアドバンテージを・・・。
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オキドウキョ沢が入る |
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オキドウキョの瀞は土砂で埋まっていて歩いて突破 |
オキドウキョのトロ場に差しかかる。今日はクソ暑いので泳ぐ気満々で臨む。水に入ってグイグイ進むが、足は地面に届いたまんま。どん突きの滝までずっと足が届いていた。そのままどん突きの滝も直登。なんだか拍子抜けというか・・・。土砂で埋まってしまったんでしょうな。ここからすぐに井戸小屋沢出合。この出合も泊まれそうな感じだった。
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井戸小屋沢にはいる |
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万太郎の岩盤そのままだ |
井戸小屋沢に入るとすぐに滝。ひとつ目は左から巻くが、あとは登れる滝の連続で楽しい。巻いたとしても、限りなく低く小さく巻けるので、高巻きをしているという実感はない。どれがどの滝だか・・・。遡行図と照合するのもアホらしい。というか、まったく見る気もナシだったが・・・。万太郎の白い岩盤そのままで、滝になっているという感じ。ほとんど岩盤が途切れることなく続いてくれます。
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いいとこなのに雨降ってきた・・・ |
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まったく残念・・・ |
さっきまで晴れてたのに、なんだか暗くなってきた・・・と思ったらポツリポツリ。正面の万太郎山は見えなくなった。後の茂倉岳方面は見えている。いきなり大粒になり、木の下に避難。バシャバシャ降ってくるので、木の下に入っても意味ナシなので歩く。太陽が当っていたらキレイだろうに・・・。雨はしばらくで小降りに。万太郎山も見えてきた。
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こんな感じの滝が多い |
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水量が徐々に増えてきた |
雨はやんだものの、知らず知らずのうちに水が増えてきた。逃げ場さえあれば、増水時は行動中の方が安心だ。そうはいうものの、さらに水が増えてきて濁ってきた。渡渉が厳しくなってきた頃に、左岸に砂利が堆積したテン場あり。水面から2mくらいの快適そうなテン場。タープスペースと焚火スペースと調理スペースが完備されていた。わりと最近造成されたものと思われる。
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とうとう濁ってきた |
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渡渉も大変です・・・ |
ほぼ予定通りの14時にテン場着。本日は男2人しんみりと飲みますか。マキ集めが今日の核心だったかな・・・。近くにはほとんどなく、遠征を繰り返し、1時間近くかけて集め尽くした。岩に挟まった流木を鋸で切るのに体力を消耗した。暑いし。収穫物は極太がなくて中くらいのがほとんど。こりゃ足りんぞと思ったけど、さっきの雨のおかげ(?)でジワジワとしか燃えず、結果的に適量のマキであった。
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栄村の道の駅で仕入れたジャガイモ |
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恒例の串焼き大会 |
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ベーコンも食べごろです |
とりあえずビール!ぬるい・・・。ほとんど雨水の沢ではビールは冷えてくれない。2人だと宴会用食材の種類に限界がある。それでもご覧の通り。ジャガイモが多いかなとも思ったけど、案の定半分黒焦げになったので適量。ニンニクもホイル焼きしたが、どれもグチュグチュになってしまった。
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食材が次々と串に刺さります |
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焚火濡れてては概ね低調 |
9時ごろ寝た。タープは張ったけど、2人とも露天で寝てしまった。1時だか2時だか、直射月光がまぶしくて目を覚ます。深い谷なので空は狭く、しばらくで反対側の山に消えていった。防寒着ナシだったにもかかわらず、夜はまったく寒くならなかった。
■8月29日(日) テン場⇒井戸小屋沢左俣奥⇒万太郎山⇒駐車場 くもり
目を覚ますと曇り空。あのクッキリ月だったので、てっきり真っ青な空の朝だと思っていた。まあ、陽が昇れば晴れてくるでしょう・・・。残りのマキを燃やしながら朝食。朝から2人でうどん3玉で満腹に。飲み尽くし、食い尽し、軽くなったザックでスタート。
小障子沢テン場(7:05)⇒障子沢出合(7:30)⇒二俣(8:35)⇒3段30m滝の下(9:20〜40)⇒3段30m滝上(10:20)⇒奥の二俣11:45)⇒登山道(13:10)⇒万太郎山(13:20〜50)⇒駐車場(16:20) |
井戸小屋沢は朝から滝の連続です。いきなりきわどいヘツリから始まり、チョックストーンは登れないので左から巻き。2つ先の滝くらいまで、まとめて巻いたんだったかな。巻きは簡単。この一連のゴルジュが終わると、今度は開けたナメ滝のオンパレード。岩は白く、水はキレイで、周りは開けてて・・・。しかし何かが足りない・・・?太陽ですわ。足りないのは日当たりと青空です。うううー残念。
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朝一できわどいへつり |
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ここは右岸巻き |
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トイ状のナメ滝が多い |
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太陽が出てこない・・・ |
井戸小屋沢はこのあたりが遡行感度最高潮。見た目は滑りそうだけどフリクションは抜群で、ここに足を置いてもいいのかなあ・・・と感じるところも大丈夫。これが滑る岩だったら難易度1ランクアップしそう。とにかくゴーロになることもなく、滝と釜の連続で、延々と岩盤が続くのであります。写真の撮りすぎで進みません・・・。
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渓相は明るいのに曇りがち・・・ |
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ヌルヌルに見えるけどフリクションバツグン! |
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ポッカリ穴が開いてました |
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庭園風の滝でした |
さてさて・・・この井戸小屋沢ですが、ネットの記録を見てもわかる通り、右俣の記録の方が多いんです。ガイドブック(上信越の谷105ルート)では本流を詰めて山頂直下に出ますが、後半の3段30m以降が極端に難しくなります。ウチらもあと400mの標高差に3時間半を費やしました。もちろんパーティーの腕前&足前によって大きく変わりますが・・・。日帰りでこのルートに臨む場合、後半にある核心でのミスは致命的になる可能性大。大ミス1つすれば、ナイター確実と思われます。泊まりでいけば3時間のアドバンテージが生まれるので、1つくらいミスっても焦ることはありません。そのぶん重くて苦労する箇所はありますが・・・。
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花崗岩っぽい彫れ具合 |
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どれがどの滝だか全く不明 |
井戸小屋沢を日帰りで行く場合は、右俣に抜けることをお勧めします。詰め上がる地点は本流よりも300m低いところに出れますので。しかも、そんなに難所はなさそうだし。下山も早いし。井戸小屋沢のいいところは、万太郎本谷下流と二俣手前まで。右俣で十分満喫できると思われます。暗く荒々しい沢が好きという人は、本流へどーぞ!
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太陽はどこ? |
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楽しい滝登りが続きます |
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立派な滝も |
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稲妻形の水流です |
遡行感度絶好調になったところで現れるのが20mナメ滝。井戸小屋沢随一の観光地であります。せっかくなので滝の下で休憩。太陽が照ってたら最高だっただろうに・・・。次回、陽の当たった20mナメ滝は、右俣に来た時にとっておくことにしよう。この滝を登るのは難しくないけど、見た目よりは難しい。足だけで登れそうに見えるけど、手も使う。
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井戸小屋沢随一の20mナメ滝 |
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20mナメ滝を快適に登る |
20mナメ滝の上で高Pに先頭を任せるが、変わったトタンに渓相悪化。申し訳ない・・・。白い岩盤から黒茶系の巨岩帯になってしまった。しばらくで二俣。一瞬だが、楽して右俣に抜けてもいいかな・・・と思った。しかししかし、せっかく泊まりで来て時間があるんだから、本流に行かない手はない・・・と気を取り直す。次回はいいとこ取りで右俣へ行くべし!
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20m滝上からは岩盤が茶色っぽくなる |
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岩が変わってフリクションが低下 |
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遡行感度は下がってきた・・・ |
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岩が違うとこんなにも渓相が変わるもんか・・・ |
しかしまあ、こうも渓相が変わるもんなのか・・・?20mナメ滝上まで白くて明るい岩盤だったのに、一瞬にして黒くなってしまった。万太郎山は土台が花崗岩で、上はこの黒い岩でできてる?そういえば、湯檜曽川本谷なんかも下の方が明るかったなあ・・・。40m大滝あたりは黒い岩だったもんな。それはいいとしても、遡行感度は急降下。
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巨岩もゴロゴロしていた |
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ブロックが積んであるような滝 |
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思案中 |
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浴びるしかないか・・・ |
さて、いよいよやってきました「3段30m滝」。もちろん直登は不能で左からの高巻きになる。この高巻きで大ハマりしている記録をみるので、巻く前に水補給を兼ねた休憩。左のルンゼを少し登ってみて偵察。荒々しく圧迫感のある様子。ま、行ってみないことにはわかりませんな。
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出ました!3段30m |
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3段30mの上部をうかがう |
左のルンゼを少し登ったところから、ロープを引いて登りだす。大岩の上に生える灌木でランニングを取り、そこから草付きを進む。草付きの土はしっかりしているが、右が落ちているので慎重に。しっかりしてそうな灌木目指して登ると、ロープあと2mでギリギリセーフ。ちなみにロープは30m。2ピッチ目は大岩でルートの選択に悩む。大岩基部に残置ピトンあり。3通りのルートが考えられるが、大岩を右から抜けるルートを選んだ。そして、3段目の落ち口へトラバース。・・・しようと思ったが、「ロープいっぱい」のコール。落ち口には支点になりそうなものはなく、さっき中間をとった灌木まで戻ってピッチを切った。高Pはそのまま落ち口へと抜けてもらう。30mいっぱい2ピッチだったので、それなりに時間は食ったが、意外と早くこの3段30mをクリア。巻いている時間は40分。
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最難関の5m+4m滝 |
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難関はこれでもか・・・と続きます |
3段30mの高巻きを無難に終えたが、喜ぶのはまだ早い。・・・というか、核心はこれからだ。すぐ上に5mと4mの滝があある。一見登れそうに見えるけど、これがなかなか険悪。はじめ左壁に取り付くも、途中でセミになる。手が1つ、足が1つあれば抜けれたけど、エイヤーするにはリスクが高い。右手がパンプし始めヤバイ・・・。必死で降りた。高Pが巻きにかかるが、途中で断念。八方塞がりか・・・。とその時、水流の中にシュリンゲをみつける。錆びたハーケンに下がっていたシュリンゲだったが全体重をかけ、思いっきり水を浴びてやっと抜けた。この時点で右手は半分死亡。
次の4mは右壁から取り付き、小さく巻く感じで抜ける。ここも悪かった。抜けたらまた同じような滝。両サイドは垂壁でチムニーのような滝。ここも見た感じ登れそうだったが、かなり手強い。水流脇に取り付くが、右手がすぐにしびれてきて、あっけなく諦めた。高Pに登ってもらって、引っ張り上げてもらった。次の滝も同じパターン。
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最後の二俣 |
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やっと源頭の雰囲気 |
両サイドの壁がだんだんと緩くなり、やっと源頭の雰囲気に。最奥の二俣は滝で出合う。右壁を登ると涸れた右俣へ。左は水流があったので、滝上で左俣に移動。水涸れで水補給をし、最後のヤブ漕ぎに備える。はじめは沢形があってはかどったが、途中シャクナゲが出てきてからきついヤブ漕ぎとなる。右手がしびれてるし、体力も底を尽きかけていたので進みが悪かった。途中で右手の小尾根に出て、ジャングルと草付きのコンタクトラインを進み、やっと登山道に出ることができた。キツかった・・・。キツかったが山頂へ向かう。
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右俣を見下ろす |
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赤谷川の源頭 |
今年の春に滑った斜面の夏の姿を見たくて山頂へ行ったけど、西斜面はあいにくガスガスで見えず・・・。赤谷川の源頭部はよく見えた。赤谷川源頭部は先に滑ってしまったので、早めに沢登りで訪れたいところだ。赤谷川を遡行してきた3人組が山頂にいた。ここで会山行組にメールを入れたかったが圏外でダメ。下で会う手筈だったのですが・・・。会山行は大源太の北沢本谷に行っている。短い沢なのでもうとっくに山頂に着いて、下山中だろうなと思っていた。
さて、下山開始。携帯片手に下るが、道が悪い。滑る。だいぶ歩いた頃にやっと通じてメールを入れておいた。すると、だいぶしてから今山頂のメールが・・・。ありゃりゃ・・・こっちのほうが早いんか。吾策新道は終始滑る道で、ヨレヨレの体には酷であった。暑さも尋常ではなく、まだ汗が残っているのが不思議なくらい汗をかいた。泥んこになってやっとこさ下山。
とりあえず温泉温泉!土樽に降りた時の定番は岩の湯。前は300円だったが400円になっている。それでも安い。岩の湯に着いた時にちょうどシェルパ氏から今降りたの連絡が。そんなに待たなくても合流できそうだ。ちょうど風呂から上がった時にやって来た。畳でゴロンとなってひと休み。メシは津南の「かどまん」へ。今日は行動食をほとんど食べてなかったが、今になってもおなかは空かない。「豚バラ旨辛らーめん(だったっけ・・・?」を食べたが、胃が「欲しいのはこれじゃない・・・」と言っていた。胃がもたれただけだった。22時豊科着。疲れた・・・。