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一ノ俣谷から東天井岳 沢登り


登山道の残骸を見ながらの沢登り  


一ノ俣谷の最後の詰め


 山域  北アルプス 常念岳
 山行日時  2011年8月6日〜7日
 登山形態  沢登り
 天気  1日目: くもり時々雨 2日目: 晴れのちくもりのち雷雨
 メンバー  K田、T山、I川、M木
 温泉  穂高ビューホテル(500円) 割引で400円

          

古い地図には登山道が載っている一ノ俣谷。今では残骸が残るのみで、一般的な登山道として使うのは不可能な状態。完全に沢登りのフィールドとなっています。実際に遡行してみて、深くて険しい谷によく登山道を付けたなあ・・・と関心します。一ノ俣谷は花崗岩でできた明るい谷で、水量も多く豪快な谷でした。

◆8月6日(土) 上高地⇒一ノ俣谷出合⇒テン場

上高地から入って一ノ沢を下るので、前夜にヒエ平に車1台を仕込む。沢渡からジャンボタクシーに相乗りで上高地へ。奥穂とか見えていたが、空は湿っぽくて不気味。ここんとこ天気は不安定で、毎日のように夕立が降っている。今日は午後から雨の予報。お手柔らかにお願いしたいところです。

上高地(6:15)⇒一ノ俣谷出合(9:35〜10:05)⇒二段ノ滝(10:40)⇒一ノ俣ノ滝(12:50)⇒常念ノ滝(13:55)⇒約2100mテン場(15:00頃)

お手柔らかでなかったのが上高地から一ノ俣谷出合までの横歩き。前を歩く女2人衆のペースが早く、男3人衆は後を付いて行くのが精一杯。距離にして12,3キロ、3時間20分にわたる長〜いアプローチでした。右岸に踏み跡があった。昔の登山道の名残なのか、現役の便所道なのか・・・。踏み跡が消えたところで入渓準備。

 
一ノ俣谷出合の橋より やっと沢を歩けます

一ノ俣谷出合は平凡な渓相ですが、明るい谷で気分よく歩けます。滝場が始まる手前に先行者が2名いました。その時は見たことあるような気が・・・だったんですが、あとで以前に昼闇山の山スキーで会ったようさんだとわかった。釣りをしていたので先に行かせてもらう。

 
谷は明るい 二段ノ滝は半分ガレに埋まってます

最初に現れるの名のある滝は2段ノ滝。右側を巨岩で埋められてしまていました。そのあとすぐに出てくるのが七段ノ滝。下の写真が七段ノ滝の初っ端なのですが、これ自体が七段あるとは思えません。この先に出てくる一連の連瀑帯をまとめて七段の滝と呼ぶのか・・・?


七段ノ滝のはじまり

直登は難しいので右壁に取り付きます。こーちゃん登りましたがスンナリではなかったですねぇ〜。ボクも登ってみるが、灌木を捕まえるまでの2歩くらいがいやらしい。本日沢デビューのM木がいるので、ここはロープを出しましょう。登る方もビレイするほうも問題アリでしたが、まあ場数を踏んで慣れていきましょう!


七段ノ滝の2つめ

次の滝も水際は無理で右壁に求めましたが、ツルツルで滑りそうなのであきらめます。ハーケン打ったりと時間をかけて損しました。はじめから手前のガレを登っていれば簡単に巻けたんですが・・・。この高巻きは廃道を利用することになります。途中のルンゼから谷に戻れそうだったので降りてみました。

 
高巻き中  S字のゴルジュだ いったん沢に戻ります

両岸切り立ったゴルジュを進むと右が絶壁で左がツルンツルンのスラブになった滝が・・・。スラブの上部(かぶった岩の下)には鉄の杭が打ってあった。この鉄杭と昔の登山道は関係あるんだろうか・・・?とりあえず、この鉄杭を頼りに突破を試みましょう。手も足もツルツルで高Pに手で押さえてもらいながら1本目の鉄杭に到達。鉄杭は3m間隔くらいで打たれているんだが、身動きとれません。ザックを背負ってると腕力に負担が大きいし、かぶった岩に当たってジャマ。なので空身でトライ!腕の力と腹や太もものフリクションでなんとか抜けた。


左がツルツルスラブの滝

灌木で支点をとって、鉄杭をマストで固定しながら戻る。そしてザックを背負ってトライしようとするが、やっぱり厳しいなあ・・・。そんなこんなしているうちに、さっきの2人は高巻いて先に行ってしまった。さっきの高巻きの続きで巻き切れるんだな。まあ、ここは無理せず巻くことにしよう。こういうトラバース気味にザックを荷揚げする方法、人間が通過するためのロープのセットの仕方・・・等、もっと勉強してから再チャレンジだな。

 
絶壁のバンドを高巻く 下ノ廊下のようだ

下降したルンゼを再び登り、下ノ廊下を思わせる絶壁バンドを伝って高巻きます。こちらが廃道となった登山道なのでしょうが、だったらさっきの鉄杭は何を意味してるんだろう・・・?鉄杭で登山道を拓こうとしたが難しく、絶壁をくり抜いて高巻き道を作ったんでしょうか・・・?ツルツルスラブ滝から始まる一連の滝群をまとめて巻いて沢底に降ります。

 
ツルツルスラブの上部 ツルツルスラブを上から

さっきセットしたロープはそのままにしてきたので、上から回収に向かいます。マスト結びを解きながら下り、これが手に堪える。登りはこーちゃんに確保してもらって登る。結局ここを2往復もしてしまった。山を降りた当日、翌日と翌々日は二の腕と腹筋と胸筋が筋肉痛となったのでした。

 
楽しいところ ここもまだ七段ノ滝?

ここからは問題になるような滝はなく(ここまでもはじめから巻いてりゃ問題になるところはなかったが)、楽しく進んで行けます。そして、右に曲がったところに一ノ俣の滝がありました。直瀑で両岸は立っていて直登の可能性はゼロ。しかしながら、右から簡単に巻くことができました。落ち口にはワイヤーが渡してあったんですが、何なんでしょ?


一ノ俣の滝

この先には難所はないはず。左カーブするところに良いテン場がありましたが、さすがにまだ早すぎです。雨は強弱を繰り返しながら降り続いているので、行動していた方がマシですし。左カーブの先で右から立派な滝が落ちてきてます。これが山田ノ滝。この支流の左俣を登ると常念岳山頂となっています。少し興味あり。

 
一ノ俣の滝の落ち口 山田ノ滝
 
二条4m 二条m

左カーブ後の沢は単調になっていますが、それでも飽きるころには5m前後の小滝が出てきます。簡単に巻けるのですが、男どもは遊んでしまってズブ濡れになってしまった。しばらくで右から水が降ってくるところがあります。これが常念ノ滝。絶壁から落ちてくるこの感じ、どっかで見たことのあるような滝。穴毛谷の滝?横尾谷の滝?忘れた。

 
常念ノ滝 常念ノ滝の下にある8m
 
常念ノ滝を真下から 常念ノ滝が左から落ちてきてます

テン場の目標は二俣だったが、先行の2人は二俣で泊まるようだし、いい場所があれば早めに落ち着くことにしよう。進むにつれて沢自体の傾斜も両側の傾斜も緩むが、あまり河原が発達していない。雨の心配もあるので、あまり安易な場所には泊まれないし。標高2100mくらいのところに平らな草地があり、そこを慣らしてテン場にした。河原は狭かったけど、なんとかかんとかスペース確保。

 
このあと谷は平凡になっていきます 本日も串焼き大会

着いた時は小雨だったが、しばらくでやんだ。雨に備えて先にテント&ツエルトを張る。そして、宴会中の雨に備えて焚火の横にタープを張った。焚火はこーちゃん付けてくれたが持久戦。とりあえず串焼きができるほどの火になってひと安心。最近流行りの串焼き大会が繰り広げられた。幸運だったのはテン場に着いたあと雨が降らなかったこと。雨に備えたつもりのタープが、ただの邪魔ものに。

 
豚バラに食い付く 肉食獣

ジワジワしか燃えないかな・・・と思っていた焚火も勢いがよくなり、濡れた服もほぼ乾いてくれた。居心地的にもイマイチだった宴会場も住めば都で、23時ころまで宴会は続いたのでした。


◆8月7日(日) テン場⇒東天井岳⇒常念乗越⇒ヒエ平  晴れのち雷

夜は何度か雨が当たる音がしたけど、起きたら晴れ!寝袋から出たのは5時頃だったかな。M木がすでに起きてて、その後1人ずつ起きてきました。○時起床、○時出発!と決めずに、ダラダラと流れていく沢の朝が好きだ。リゾットでお腹ポンポンになって出発。

テン場(7:35)⇒二俣(8:20〜40)⇒約2500m水枯れ(10:05)⇒東天井岳(11:10〜50)⇒常念乗越(12:50〜13:05)⇒ヒエ平(14:55)

ダラダラしてるので出発は7時半すぎ。谷が右に曲ると日が差してきた。やっぱり沢も天気がよくないとね。二俣までは意外と早く45分で着いた。きのうのうちに来れない時間でもなかったけど、M木はヨレヨレだったから厳しかっただろうな。

 
テン場 朝は良いお天気

二俣に常念小屋から降りてきたO沢さんがいた。ボクらが登ってきていることはようさんに聞いていたから、この時間まで待っててくれたんでしょう。古の登山道は二俣を右に進んで常念乗越ですが、今回は本流筋を詰めます。東天井岳南面のボウル状?カール状?の斜面が源頭となります。

 
川から湯気が立ち上ってます 常念から派生す尾根

二俣から上流はしばらく開けていて、テン場適地も散見。こっちのほうが開けてて気持ちいいでしょうな。沢の方は滝なんて出てきそうもない単調なゴーロが延々と続きます。緩かった傾斜もいつの間にか増してきて足に堪えます。難所が出てこないと、ひたすら登るのみになるのでね。

 
ここで水枯れ 花とKOちゃん

しっかり流れていた水ですが、2500mくらいのところにガレの押し出しがあって、そこで伏流していました。押し出してるところを過ぎたらまた水が出てくるんじゃないかと思ったのですが、念のためここで最後の水汲みにします。晴れてた天気ですが、稜線は雲がかかる時間が長くなってきました。

 
密度が濃かった このままガレを詰めます

1本だった沢形が劇場のように開けると、東天井南面の源頭。この源頭はハイマツの海のイメージがありましたが、沢形の周囲はなかなかのお花畑になってました。もちろんハイマツの海もありますが・・・。一番太い沢形を追うと、東天井から南に派生する二ノ俣尾根寄りに詰め上げることになります。最後はガレ&ザレ登りとなり、ヤブ漕ぎナシで登山道へ。


振り返ると・・・

東天井岳の山頂は登山道は巻いてしまってます。せっかくなので山頂へ。山頂は猿山になっていました。せっかくの山頂ですが眺めは冴えません。ベッタリとした気持ちの悪い雲に覆われています。時々その雲がなくなった時に、近くの展望があるといった具合。

 
登山道に出ました 東天井岳を後にします

登山道を歩き始めるやいなや、「ゴロゴロ・・・」。おいおい・・・。稜線歩きは長く続くというのに。濃い雲に巻かれて、夕方のように暗い。そのうちポツリポツリと雨も・・・。ハイペースで歩き、1時間ほどで常念乗越へ。小屋でビールを飲みたかったけど、そんな雰囲気ではなくなった。とっとと下山。ここからも前を歩く女子2人はタッタカと下って行く。1時間50分ほどで一ノ沢へ。着いた途端に土砂降りに。ギリチョンであった。

 
これが一ノ俣谷の源頭部 常念岳が一瞬見えた

ヒエ平の小屋でしばらく雨宿り。下の穂高ビューホテルで温泉にはまって、今朝の集合場所である波田の役場へ。いったんここで解散し、最後に沢渡まで車を取に行っておしまい。

中盤のゴーロはちょっと長くてウンザリ気味だけど、下流部の連瀑帯はなかなか見応えあるし、詰めはお花畑でヤブ漕ぎナシ。思っていたよりも充実の沢登りとなりました。





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