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前常念岳 二ノ沢 沢登り


前常念東面に突き上げる二ノ沢を遡行してきました


二ノ沢は苔コケワールド


 山域  北アルプス 常念岳
 山行日時  2011年7月23日
 登山形態  沢登り
 天気  ガス
 メンバー  N川、H野、T山
 温泉  ほりでーゆー(500円)

前常念岳の東面は三角になっていて、そこに突き上げるのが烏川支流の二ノ沢。安曇野からよく見えます。下流部は釣り師の痕跡が多く見られますが、沢登りとして前常念岳まで詰め上げた記録はネットではない(と思う)。まあ、目立つ沢だけに遡行者はいるでしょうが・・・。

二ノ沢は標高差は約1400mあって、日帰りとしてはかなりのスペック。難しい場面がいくつも出てきたら、前常念岳到達は難しいでしょうな。フタを開けてみれば手を焼く場面は一つもなく、拍子抜けするほどに平凡な沢でした。おかげで最後は余裕をもって詰め上げることができました。

林道二ノ沢を渡る橋(6:40)⇒1445m(7:45〜8:00)⇒二俣(8:45〜9:00)⇒奥の二俣(9:55〜10:10)⇒涸れ滝(11:40)⇒登山道(13:30)⇒前常念岳(13:40〜14:10)⇒三股(16:45)⇒駐車場(16:55)

堀金の道の駅で集まって2台で三股に向かう。三股駐車場は6時で満杯でした。運よく1台を三股の駐車場に置くことができ、もう1台で二ノ沢林道の車止めへ。最初に二ノ沢を渡る橋にゲートがあるので、ここから遡行開始となります。釣り師と思われる先客の車が1台止まっていました。そういえば偵察に来た時にも車が止まってたなあ・・・。

 
二ノ沢を渡る橋  ここにゲート 左の橋から見る二ノ沢はむさ苦しい

橋から見る二ノ沢は遡行意欲がわきません・・・。ヤブっぽく、コケっぽく、むさ苦しく感じます。沢に降りて少し進むと倒木がなくなって、少し渓相が回復してきました。コケっぽく樹林が流れの際まで生えていて、北アルプスの沢のイメージではない。勝手にイメージしてるだけですが・・・。単調なゴーロ歩きに飽きた頃、巨大な取水堰堤が現れた。

 
でっかい取水堰堤 二ノ沢の代表的な渓相でしょうか・・・

取水堰堤に車の持ち主と思われる釣り師がいた。もう少し上流まで釣りを楽しみたいとのことで、左岸にある釣り師の踏み跡を歩くようお願いされた。なるほど左岸には顕著な踏み跡が続いている。余裕のある沢なら流れに戻るところだが、今日は先が長くて不確定要素が多いので、これ幸いと踏み跡を追って駒を進める。このあたり、釣りではかなりの人が入っているようだ。

 
2mの滝に勘定させてもらいました タル滝(?)10m

地形図上ではわりと穏やかな場所に10mの滝が出てきました。釣り師のおっさんが言っていた「タル滝」でしょう。右からの巻きが簡単そうでしたが、水際を登ることも可能なようでした。ま、今日は駒を進めることが優先だ。遊ばず右から巻く。巻きの踏み跡はハッキリしていた。これが魚止めかと思いきや、滝上にも魚影があったようです。

 
樹林が水際まで迫っているのも二ノ沢の特徴 2段10mの滝

滝を越えるとしばらくで二俣。地形図を見ると右俣には水線があるけど、左俣にはない。しかし、前常念に直で詰め上げているのは左俣だ。等高線がVの字に切れ込む右俣のほうが沢登りとしては魅力を感じますが、あくまでも前常念に直接詰め上げる沢ということになると左俣なのであります。 

 
2段10mの滝 5m滝

地形図で想像するに、もっともアトラクションが出てきそうな気配があるのが二俣先のS字になった部分。やっぱりありました!2段になった10m滝です。ここも水際に突破口がありそうでしたが、高巻きが簡単そうだったので巻く。先が読めないので手間暇かけていられません。そのあと屈曲点に横から落ちてきている5m滝が出てきます。N川さん左壁にチャレンジです。足を押さえてあげたりしてなんとか抜けるが、結局は左に逃げざるを得ない感じでした。あとの3人は最初から左巻き。

 
右俣はすぐに水が枯れた 5mの涸れ滝

再び沢は単調になり、西に向きを変えると奥の二俣。奥の二俣といっても水量比は3:1。普通なら左の3の方に進むんですが、前常念岳直下から落ちてきているのは右の1の方。あくまで目指すは前常念なので、あえて水量の右俣を選択。水量は少ないけど、ほとんど枝沢がないので水量は減らずに上の方まで行くのではと考えていました。ところがどっこい、右俣に入るや否や水枯れ。伏流しているだけですぐにまた水が出てくるだろうと思ってたけど、なんだか怪しい雰囲気。水流のある枝沢から水を汲んでおいた。結果的にここが最後の給水ポイントでした。上流で伏流した水が、100年後に安曇野の湧水となって出てくるのかも・・・?

 
岩盤が出てきて快適遡行 ヤブもなく楽です

前常念までまだ800mも残っているのに水枯れ・・・。しかも行く先はヤブっぽい。この先どうなるんでしょう・・・。左俣に乗り換える手もありましたが、今日は探検系なのであくまでも前常念を目指します。するとヤブっぽいのはしばらくで終わり、岩ゴロの沢形となります。とても登りやすく、登山道並みのペースで高度を稼ぐことができます。

2200mに5mくらいの涸れ滝が出てきました。遠目には楽勝そうに見えましたが、いざ取り付いてみると逆層とヌメリで意外と厄介。二ノ沢で最もスリルを味わえた場所だったような・・・。この前後からは岩盤が露出してきてます。涸れ滝登りを楽しめました。もし水が流れていたら小滝&ナメ滝連続となったことでしょうが、如何せん水は流れてません。

 
チングルマが咲き乱れていました ガスが残念

右俣は谷の切れ込みが浅いため、谷というよりも斜面と言ったほうがいい感じ。その斜面にお花畑が発達していました。花とは無縁の常念岳と勝手なイメージを持っていましたが、こんなところに結構大規模なお花畑があるとは・・・ビックリ!チングルマが盛りだったのが大きいかな。これで晴れていたら素晴らしいロケーションだったに違いない。詰めはかなりの傾斜で詰め上げていたので、晴れていたらかなりの高度感だったに違いない。せめて最後に前常念から二ノ沢を見おろしたかったけど、今日は一日中ガスで叶わず・・・。

 
水が流れていたら美滝かも 二ノ沢を覗きこむもガスガス・・・

最終的には前常念まであと10分くらいのところの登山道に詰め上げました。前常念に直で出ようと思うと、かなり無理矢理右に振る必要がありそうでした。辿ったライン的には予定通りで満足です。前常念岳まで登ってから沢装備を解く。霧で何も見えないけど、暑くなくて助かる。登山道を3時間弱下っておしまい。

二ノ沢は入渓点の林道からの標高差は1400m。普通の登山でも大きな標高差の部類に入る。沢登りでこれだけの標高差をかけ上がれたのは、単に何も出てこなかったから。

日帰りで前常念岳に詰め上げることのできる沢・・・ということで魅力的なのですが、沢の内容としては面白みに欠けます。というか、面白くないです。沢登りの対象とはなりにくい沢でしょう。前常念に登るバリエーションルートといった位置づけ。

右俣は左俣よりも沢の切れ込みが深く、何かアトラクションがたくさん出てきそうな気配です。水も流れているような気がします。ただ、日帰りで抜けるとなると根性が要りそう。登山道に逃げることができないのが難点です。まあ、一度偵察してみたい気はありますが・・・。




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