ナルミズ沢 沢登り![]() いかにもナルミズらいしいナメ滝と釜
ナルミズ沢に行ってきました!ナルミズ沢は「天国のツメ」とか「デート沢」などと形容されています。確かに沢だけみればそうなんですが、アプローチや下山の長さはかなりのウンザリ系。山を降りてからの印象は、沢の快適さや美しさよりも、下山のウザさの方が上回ってしまうという・・・。とはいえ、9人という大所帯で楽しい2日でございました。 ◆9月1日(土) 宝川温泉⇒大石沢出合 晴れ時々曇り一時雨アプローチが苦痛なので次にナルミズ沢に行くことがあれば、アプローチゼロの東黒沢・・・と考えていたけど、メンバーは総勢9名。しかも、今年から沢を始めた人やら、一緒に沢に行ったことのない人やらが大半。沢に入っている時間が長いと、時間とか計算が立たなくなってしまう。芸はないけど宝川温泉から往復というガチガチの計画で行くしかないかな。テン場を確保できるか心配だったし。
5時半に松本で集まって、9時過ぎに宝川温泉到着。温泉の先1キロくらいのところで、大規模な崩落が起きていて、林道が寸断されてしまっていた。少し戻った広いところに駐車し、9時半ごろに歩き始める。今日の歩きは4時間くらいの予定。しかも、ほとんどが登山道なので時間的には安心かな。面白くはないけど。心配なのはテン場だ。幸いなことに、競合しそうなのは今のところ宝川温泉の大きな駐車場に止まっていた1台のみ。あとは東黒沢からどれだけ入って来るかだ。
今日は宴会山行なので荷が重い。ビールに肉類につまみに・・・。天気が良くて標高が低くて荷が重くて・・・と、暑い条件が揃ってしまったような感じ。林道を1時間半歩いて、さらに登山道を1時間でやっと入渓点。最後頃は暑くて意識がもうろうとしていた。
登山道が右岸に移るところが入渓点。ここで沢装備に。今ビールを飲むのが一番美味しいんだろうけど、さすがにやめておく。H野隊長を先頭にゾロゾロト歩き始める。平凡なんだけどキレイですね、ナルミズ沢は。水や岩がキレイなのはもちろんだけど、何か独特の癒しの雰囲気を持っています。
学生風の団体が下降してきた。先客の有無を尋ねると、2パーティーで少人数とのこと。ウツボキ沢から入って来ないことを祈るのみ。小滝、ナメ、淵・・・と、だんだんナルミズ沢になってきた。25分ほどでウツボキ沢出合。左岸にテン場適地があったが、さすがに早いのでパス。右岸の一段上がったところにも人影が・・・。こっちにもテン場があるようですね。
ナメ滝、ナメ床、ミニゴルジュ、淵、釜・・・さらにナルミズ沢っぽくなってきた。水は生ぬるいくらいだったので泳ぎたいところだったが、ザックが濡れて重くなるのがイヤで自重しておく。じきにテン場なのでね。雲はやや多めだけど上々の天気。日が当ってこそのナルミズ沢。これが日陰では鮮やかさが半減してしまうってもんです。
前方に先行者。大人数いるぞ。すぐに追いついてしまった。学生風の6人組だった。老若男女、初心者から初級者まで品揃え豊富な弱小集団のウチらに追い付かれるとは、かなりの猛者集団に違いない。この人たちはどこから入ってきたのかなあ・・・。予定を聞くと大石沢出合泊らしい。同じやん・・・。
学生さんを抜いてすぐのところ、左岸の高台にテント3張り張れるスペースが2ヶ所。下側がより優良か・・・?周囲を見回すと大石沢はすぐそこにありそうな雰囲気。これ以上の物件が上流にある可能性は低いでしょう。ここを本日のテン場に決定!
出発前から懸念していたテン場を確保できてひと安心。しっかり1段上がっているので増水しても大丈夫。何はともあれビールを開ける。まだシャーベットだった・・・。みんなで回す。なんとか飲めて良かった。保冷バッグが濡れてるゾ!4本持ってきたビールのうち1本にピンホール。半分近くなくなっていた。仕方ないので開けて残った半分も飲んだ。意外と気が抜けてなくて美味しく飲めた。
喉が潤ったところで作業開始。男衆はマキ集め、女衆はテント設営。人気のナルミズ沢なのでマキがないのは覚悟していたが、結構な大木がたくさん残されていた。さすがに程よい大きさのマキは少なかったけどね。ガンガン燃やしても今晩中には燃やし尽くせないくらいの量が集まった。人数が多いとマキ集めが楽でいい。人数多くても焚火は一つなのでね。作業が終了したところで、ボチボチと宴会に突入していくのでした。宴会は意外と静かに、酒もつまみも控えめだったかな。
テン場にはテント2張りとツエルト1張り。夕立に備えて宴会場にタープを張った。張って間もなく夕立になってタープに避難。しばらくでやんでくれた。ナルミズ沢では過去に何度も増水による遭難が起きているが、我が家も難にあったことがある。激しい雷雨で一瞬にして濁流となり、テントとその他小物を流されてしまったのでした。同じ日、雷雨は谷川一帯で起きていて、当然沢登り中の人もいたわけで、ロープを出して沢を登攀中で、最後の人がギリギリセーフで助かった・・・とか。 ◆9月2日(日) 大石沢出合⇒朝日岳⇒宝川温泉 くもり時々晴れのち時々雨4時半に起床。明るくなり始める少し前。スカッ晴れではなさそうだ。夕べはタープの下で寝た。下の岩が斜めっていたので、3回くらいずり落ちてしまった。そのたんびに目が覚めたけど、朝はスッキリと一番に目が覚めて焚火に火を点けた。沢での起床は一番か一番最後が多いような気がする。今日は長い行程なので頑張ろう!
朝食を食って出発準備。大石沢出合はすぐそこなので、テン場の少し上の岩の上に不要な荷物はデポしておく。シートを被せて石で押さえておいた。さあ出発!・・・だけどまだ日が当らない。大石沢出合にはきれいな堰堤状の滝があるが、日が当らないので冴えないなあ・・・。いいところが続くのに日が当らないのはとても残念だ。かといって、日が昇ってから出発するほど余裕はないし。
大石沢出合から稜線まで、ガイドブックでは4時間くらい。下山が長いので、明らかにタイムオーバーするようなら、適当なところで打ち切ることも考えていた。そんな心配はよそに、順調に進んでいく。やはり、こういう簡単な沢だとロスが生まれにくいんでしょうね。仮にロープを出す場面があったとしたら、多分1ヶ所1時間はかかるだろうしね。難しい場面が出てくるわけでもなく、息が切れるような急傾斜になるわけでもなく、ホント足に優しい遡行で稜線まで詰めることができる。
魚止めの滝、二俣を通過し、だんだんと谷が細くなってくる。水流も細くなってくるけど、途絶えることなく続く。岩盤でできている山なので、伏流しないんでしょうね。そして、ナルミズ沢の代名詞ともいえる「天国のツメ」。水が涸れて草原を歩くのは気持ち良い。でも、個人的には「天国のツメ」よりも下流のナメ、ナメ滝、釜、淵・・・の方が好きだなあ・・・。
さて、期待の天気だが、芳しくないです。日が昇ってきたかと思うと、同時に湿っぽい雲が増殖。たま〜に日が差す程度になってしまった。せっかくのナルミズ沢なのに残念・・・。沢の終盤には朝日岳にも雲がかかるようになってしまった。
ナルミズ沢のテン場としては、ウツボキ沢出合と大石沢出合付近が大所帯に対応している。出発前からテン場を確保するまでは、真剣に心配していたが、運悪く集中しない限り何とかなりそうな印象。人気の沢なので必然的にテン場適地も多くなるってことか。少人数の場合は河原の砂地を含めると、魚止めの滝や二俣近くなどの散見された。小人数は上流へ、大人数は大石沢までで求めるとよさそう。
「天国のツメ」のあとは「地獄の下山」が控えている。車まで見込みで6時間+α。ナルミズ沢から稜線までは草原でヤブ漕ぎナシなんだが、稜線に出た途端に笹ヤブ密生となる。足元は通るので笹をかき分けるだけで済むから、そんなに体力は消耗しない。ただ、ジャンクションピークまでしっかり1時間ある。最後に200mくらい登らされるのでこれで疲れる。ジャンクションピークから朝日岳まではほぼ横歩き。山頂はガスガスで残念・・・。
朝日岳から大石沢出合までは概ね順調。ここでデポしていた荷物を回収。ザックがまた重くなる。ここからの宝川沿いの道が長いなあ・・・。細かいアップダウンが多いし。みんなの口数が減り、ウンザリモード。途中で本降りの雨が降り出す。カッパを着る人、着ない人。しばらくでやんだ。長い長い下山だったけど、なんとか4時過ぎという常識的な時間に降りることができてホッとした。
10年ぶりくらいにナルミズ沢に来たわけだけど、キレイはキレイだったけど最初に来た時はもっと感動した気がする。自分の目が肥えてしまったのか、景観が悪くなってしまったのか・・・。前は紅葉の時だったからなあ。キレイさが違うかも。今回は石橋叩いて宝川温泉からの往復にしたけど、下山の辛さが増幅しただけな気がするなあ・・・・。 温泉は宝川温泉。・・・そんなわけなくて、月夜野まで戻って、我が家の定番「風和の湯」。たまに混むこともあるけど、だいたい空いてて穴場的。温泉が終わったら腹ごしらえ。こちらも谷川方面の定番である「たむら」へ。メニューが多くて量も多く、人数がいる場合は都合いいですな。帰りは湯沢‐津南‐飯山経由で、松本に着いたのは22時過ぎだった。24時は覚悟していただけに、無難な時間に戻ってこれてよかったよかった。
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