大渚山から真那板山 山スキーツアー![]() 湯峠付近からの大渚山
今シーズンの本命の一つである大渚山から真那板山へのスキー縦走。大渚山には何度も登っているし、昨シーズンには真那板山にも登った。間をつなぎに歩くのは必然でしょう。この間の稜線はとくに目を引くわけでもなく、世間に知られているわけでもなし。ところが歩いてみるとロケーション良好!稜線自体も明るく開放的でしたが、周囲の展望がスバラシかったです。地味で低い目線から見るもんで、周りの山々が余計に立派に見えるのかもしれませんね。
この冬は土日になかなか晴れず、行きたいところになかなか行けない。4日(日)が晴れそうな雰囲気になってくると、今度は持病の腰痛。多分ダメだろうなあ・・・とは感じたが、当日登山口まで行ってみて、板を履いてみて、行くかやめるか決めることにした。普通のところならオトナシクしているとこだけど、今回は行きたい気持ちが強かったもんでね。この晴天を逃したくなかったし。
小谷温泉から大網集落に通り抜けなので、車を仕込んでおく必要があります。大網は前回と同様に「塩の道」の案内看板が立ってる広場へ。夜明けの頃はどんより曇り空だったのが、徐々に雲が薄くなって、歩き出す頃には快晴となりました。あとは腰の具合。靴を履く作業が大変でした。板を履くのも大変。このあたりテレマークの辛いところ。腰に悪い体勢が多いのです。鈍い痛みを伴いながらも、なんとか板を引きずって歩けそうなので行ってみましょう。ダメなら戻る。
きのう緩んで今朝冷えてカチカチになった雪を登って行く。大渚山に登るには大草連からの方が効率よく登れるけど、今日は真那板山までの縦走。せっかくの縦走なので湯峠から稜線伝いに大渚山を目指す。鎌池の台地から上は、直前に降った雪が控えめな樹氷になっていて、真っ青な空に映えていた。前に4人(?)いたけど湯峠に痕跡はないので、雨飾山にでも行ったかな。後ろの4人もどこかに消えたみたい。
真っ白な大渚山がよく見える林道で休憩。今日の目的は真那板山まで縦走することだけど、ここらへんを歩いているだけで満足感に浸れた。腰が痛いのに頑張って来た甲斐があった・・・と思えてしまうほどのロケーション。本番はこれからなんですけどねぇ〜。湯峠からは稜線歩き。段差があって面倒。シールで滑るのは前後に不安定で腰にきそうで怖い。絶対に転べないし。それにしても北面のブナはキレイですな。
大渚山本体の登り。東面三角斜面の稜線の縁を歩くことになる。ここはいつも嫌らしいイメージ。今日も嫌な感じで、バンバンっとしっかりスキーで踏んでやらないと足場が固まらない雪。踏むのに力を入れると腰がジンジン痛い。汗かきながら登っていた。尾根上が歩きやすいかも・・・と、雪庇を乗り上げて様子を見てみるけどダメ。あきらめて三角斜面の縁に戻って、嫌らしい急斜面をトラバースし切った。
東西に長い大渚山の頂稜へ。三角点のある西端には大勢の人がいます。ウチらが着くのと入れ替わりに戻って行った。多分大草連へ。夫婦っぽい2名は北斜面へ。大渚山の北斜面って昔から有名だったのかなあ・・・?北斜面は軽い雪が温存されてそうだし(表面だけ)、ブナの樹氷もキレイだし、今日もいい感じじゃないでしょうかね。
大渚山には何度も登っているけど、そのたんびに景色に酔わされます。主役は雨飾山。堂々としてますもんね。後立山も素晴らしいんですが、距離と向きが減点材料。あとは最近よく通っている糸魚川の里山に自然と目が向きます。以前は「その他の山々」だったのが、最近では名前を言い当てられるようになってきましたね。戸倉山と鎌倉山とか善光寺山とか・・・。
さて、西に目をやれば真那板山へと続く稜線。・・・といっても、稜線って感じでもないんですよね。大渚山から一気に落ち込むせいでしょうかね。左の1476mが目立ているためかも。地形図で狙ったラインを実物に落とし込みます。登り返し点はここからではよくわからないので、近くなってから適当に決めましょう。とりあえず目指す方角は電波塔。稜線から離れ過ぎないようにだけ気を付けて。腰にも気を付けて・・・。登りに不安は少なかったけど、滑るのは怖いなあ・・・。真那板山まで行く自信はなかったけど、行きたい気持ちが強かった。少し滑ってみて、どうにもならなければ戻ろう。
大渚山の西斜面。何度も来ている大渚山だけど、西面に足を踏み入れるのはお初。滑り出しは尾根っぽいかと思いきや、いきなりキレイな斜面が広がっていました。これはスバラシイです!堅い雪面に軽い雪がまぶされていてクッションに。腰に負担のない雪。大丈夫っぽいな。だましだましのボーゲンだけど爽快!テレマークならもっと爽快だったのでしょうが、仕方ない。
西面にこんなにキレイな斜面が隠されているとはね。隠していたわけではないだろうけど、新たな発見でした。意外と長く滑れるし。1本目は広葉樹の疎林だけど、すぐに杉の疎林に変わる。地形図では広葉樹マークなんですが。これって雪がなかったら全面杉の幼木が出てくるのかなあ・・・?雪が少ないとヒゲの剃り残し状態になるとか。いずれにしても、ほぼオープンで適度な起伏があって楽しい斜面です。腰さえ悪くなければもっと・・・。
結局は1258mポコを半分くらい巻いたところで滑るのをやめてシール。1258mの先のコルで稜線上に。登り返しはほとんどなく稜線に復帰できたけど、思い切って1100mくらいまで滑った方が楽しかったかも。そのぶん登りは多くなるけど、トラバースすることなく斜面なりに谷底まで滑ることができるので。ま、そのへんは好みかな。
次なる目標は沓形山。この間は距離はたいしたことないけど、複雑な地形と細かいアップダウンの連続で、想像していたよりも時間を食った。思い切って北側を巻き切る手もあったかな・・・?でも、安易に巻くと、良い時は良いけど、ハマる場合は大きくハマるからなあ・・・。ロケーションも良いことだし、基本は尾根伝いで。
厳密には沓形山は主稜線からはずれている。でも、名のある山なので寄らないわけにはいかないよな。沓形山は山頂の東側は大雪原。振り向くたびに大渚山が遠くなっていく。雨飾山は相変わらず存在感が大きいな。山頂から西はシットリとしたブナ林となっていて、東側とは対称的だ。沓形山でビールにした。
沓形山から稜線に復帰するには真北へ100m弱滑ることになる。シールの脱着が面倒なのでシールのまま滑ったけど、思いのほか雪がよかった。K&Tさんはシールをはずして滑っていた。正解かな。1264mは巻けるが登り、大峠へシール滑降。雪庇と段差のややこしい尾根を登ると、そこが跡杉山。
時間とともに空は青から白に移り変わる。天気は下り坂。進行方向は逆光気味にもなり、あんまり景色を楽しむ雰囲気でもなくなってきた。時間も予想していたより少しずつ余分にかかり、先を急ぐ雰囲気になってきた。跡杉山から真那板山の間も良いところだけど、午前中のうちに来るのがよさそう。横長の真那板山の西端まで行ってシールをはずす。
さあ、普通ならば待ちになった滑りってとこですが、今は不安オンリー。まともに滑れないのは確実で、転がってでも降りなくてはならない。北面は既に日陰でモナカを心配したが、まだできる前で助かった。滑り出しでボテゴケしたら、一人では起き上がれなかった。核心の沢形の急斜面は良くはないけど悪くない雪で、ここも助かった。
標高を下がると徐々に斜度が緩み、敵は斜度から雪質へ。モサモサ雪に変わってきた。ストックは底なしに埋まる。滑る板も埋まるので曲がれない。腰が痛くて膝を突っ張るもんで余計に曲がれない。わかっていてもダメ。救いなのはブレーキ雪じゃなかったこと。これでブレーキかかりまくりだったら、もうお手上げだったでしょうね。この下りはボクのせいで大きくロスタイムしただろうな。でも、まあ何とか普通の時間に下山できたので許してもらいましょう。 大網集落の雪壁を降りて車道へ。5分も歩けば車を止めた場所。小谷温泉で車を回収したところで雨が降り出してきた。白馬では本降りになり、そのうち湿り気たっぷりの雪に変わった。みみずくの湯で温泉にはまって、ラーメン食って帰ったら夜9時でした。
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