穴毛谷から笠ヶ岳 杓子平は少し紅葉![]() 穴毛谷名物の穴毛大滝
穴毛谷から笠ヶ岳に登ってきました。穴毛谷は山スキーの世界ではそこそこ有名で、ワタクシも2005年に行っております。ところが雪のない時期となると記録がマレで、かなりマニアックな領域に入るのかもしれません…。行ってみた感想としては、結構楽しめました。盛りだくさんな感じで。 穴毛谷はスキーで行った時は夏に登ることは考えなかったけど、2007年の体育の日3連休に笠新道を降りた時に登りたいと思いました。登山道は杓子平の縁を通るように付けられていて、紅葉が一番キレイな部分は穴毛谷から登らないと味わえないと思ったのでした。まあ、そのうち…なんて思いつつ6年が経過。昨年もこの時期候補に上がったけど却下。 ◆9月28日(土) 新穂高⇒穴毛谷⇒笠ヶ岳山荘 曇りのち晴れのち曇り今年は是非ということで一応リサーチしてみると、やっぱり夏の記録は少ないですね〜。その中に何度か山でお会いしたようさんの記録がありました。せっかくなので直接連絡を取らせてもらって、アドバイスを頂いた次第であります。沢の中のテン場の有無、沢靴が要るか要らないか…などなど。
週末の天気はかなりの確率で晴れてくれそうで、天気に関しては心配なさそう。心配なのは新穂高周辺の駐車場と笠ヶ岳山荘のテン場。とくに新穂高周辺の駐車場は数キロ離れたところに止める羽目になったりと、大変なことになっている様子です。今回は下山がクリヤ谷ということで、下山口近くの中尾温泉入口の駐車場に止めることができました。ひとまずホッ…。
とはいえ、新穂高のロープウェイ近くまで3キロ弱の車道歩き。さらに左俣の林道を歩きます。まあ行きで良かったです。帰りは無理です…。左俣林道のゲート付近は路駐だらけ。大きく開けた穴毛谷を見ながら歩き、通り過ぎてしばらくで林道が枝分かれします。メインの林道から分かれるとすぐに橋を渡り、草ボーボーの道を進んでいくと堰堤に出ます。2つくらいは右から越え、そこから先の左側は切り立ってくるので、ようさんの教えに従って早めに左側へ。左側は難なく堰堤を越えて行けます。
最終堰堤を越えるまでにも結構な時間がかかりました。何しろ堰堤だらけですんで…。ここからスタートみたいなもの。ひたすら巨岩で埋まった穴毛谷を遡ります。単調といえば単調なんですけど、巨岩を縫って歩くのは楽しいし、両岸切り立ったロケーションは見ごたえあります。日本離れした景色です。
ようやく穴毛谷下部の箱状も半分を過ぎたあたりで、左からほぼ1:1で四ノ沢が出合います。水量的にはほぼ二俣ですね。ドン付きの奥壁は笠ヶ岳本体になるのかな。ここらへんもスケールの大きな景色。もし沢の中で泊まるとすれば、この四ノ沢出合が最適かな。でも、歩きはじめてまだ3時間。ちょっと早いかな。でも、遅くに出てここで泊まっても、翌日笠ヶ岳くらいまでは余裕で届くでしょう。これもありかも。
岩が白くて緑が濃くて空が紺碧で言うことナシ。…なんですが、目指す本流の先に白い見たくない物体が…。雪渓現る!まだ遠いから何とも言えないが…。近付くにつれて険悪な雪渓。手前には崩壊した雪塊が転がっています。雪渓本体は高さが6〜7mはあるな。本流と五ノ沢が出合ったところがちょうどノドになっていて、そこに分厚く雪が残るようです。幸いなことに、左側から回り込むことができて、難なく雪渓は通過。良かったよかった。
雪渓を通過したら見えてくるのが穴毛大滝。立派ですね〜。何度も立ち止まって写真やら動画やら撮ってしまいました。本流はこの穴毛大滝なんですが、もちろん登ることなんてできません。一見本流に見えるザイテンタールと呼ばれるガレルンゼを詰めます。しばらく登ったところで、左の小尾根の弱点を付いて、その小尾根を乗越します。ここがこのルートの一番のポイントとなるでしょうね。スキーの季節よりはわかりにくいです。これ以上詳しく書くとつまらないのでこの程度で…。
小尾根を乗越す瞬間は失敗したかな…と思った。沢身とずいぶん高度差があったので。ひとヤブ漕いで尾根に立つと、なんと踏み跡があるじゃあありませんか!かなり明瞭で、これは紛れもなく登山道でしょう。早めに沢身に降りたい気持ちもあったけど、せっかくある踏み跡なので追いかけます。
この踏み跡を辿っている時の景色が良かったなあ〜。高度を上げるにつれて笠ヶ岳の稜線が見えてくるし、六ノ沢の連爆帯も絶景かな。周りの木々は紅葉が始まっていて、まだ緑が優勢だけど、明るさ倍増という感じ。しばらく踏み跡を辿ったけど、もしかしたら尾根通しに杓子平まで続いているかもと思い、適当なところで踏み跡とはオサラバして沢身へと降りる。
降り着いた沢がこれまたいいとこで、階段状の滝が天国へと続いているかのよう。しばらく小滝が連続するのですが、このあたりが今回の中で一番景色良くて楽しいところだったような。何度も書くけど、紺碧の青空に白くて明るい岩と紅葉始まった中に濃い緑が映えてます。山は天気が一番です。これが日が差さなかったとしたら、別に何も感じなかったかもしれません。
小滝連続区間が終わり、だんだんと沢形が細くなります。いよいよ杓子平かな…と思い始めてからが意外と長かったなあ。傾斜は緩んできたものの、なかなか杓子平にならない。沢形はさらに細くなり、ダケカンバが勢いを増してきました。想定外のヤブ漕ぎです。まあ、たいしたヤブではないけど、ヤブなんてないと思っていたので手強く感じてしまいますね〜。
カンバのヤブ漕ぎは少しで終わり、あとは草原の中の沢形を進めば自然と登山道と合流ということになります。穴毛谷から笠ヶ岳登山の道のない部分が終了です。あとは道に従って進めば笠ヶ岳に連れて行ってもらえます。しかしながら足がきつくなってきました。巨岩帯で消耗してしまったかも…。
北アルプスのメジャーどころは人人人…のイメージだけど、見えてる範囲ではたいした入込みではないような。稜線に近付くにつれて傾斜が増していきます。足が疲れた…。ピタッと止まってしまうとか、そんな感じではないので大丈夫。稜線に出たところで休憩。若い人たちが軒並み足がヨレッてて面白かった。いつの間にか雲が増えてきていて、笠ヶ岳に向かう稜線も雲に隠れている部分が多くなってきました。
稜線に出たとこから笠ヶ岳まで1時間くらいかかるんです。稜線に登り上げて、半分終わったと思ってからなので、なおさらこの1時間は堪えます。細かいアップダウンを繰り返しながら笠ヶ岳に近付いていきます。そして、最後の登りを登り切ったところがキャンプ指定地となっております。到着で〜す!スペースはたっぷりです。テン場の心配して損した。
テン場は小屋に近い方と遠い方の大きく2つに分かれています。全員が小屋に近い方に張ってますが、ボクらは遠いエリアに張りました。宴会に打ってつけの平たい大岩なんかもあったりで、なかなか快適なテン場です。結局は後から来た人たちも、小屋に近いスペースに行きました。距離なんて少ししか変わらないのに。おかげで周りに人がいないので騒いでも苦情は来ない…。ありがたいお話です。
下界もだいぶ寒くなって、もうビールって感じじゃないのかと思っていましたが、今日はとても喉が渇きました。一応350mlのビール2本持ってきてたけど、それでは足りずに小屋で調達。音なし目の宴会。Aチン持参のアスパラの生ハム巻きが美味しかった。あとは定番のウインナーとスルメ。すっかり雲に覆われていたけど、日が沈む頃には雲がとれ始めてきて、立山までクッキリと見えるようになってきました良い日没でした。 ◆9月29日(日) 笠ヶ岳⇒クリヤ谷⇒中尾温泉口 晴れ夕方日が沈んだら寒かったけど、朝起きたら暖かかったなあ。夜明けが遅くなってきて、起きるのも遅くなってきました。おかげで、よ〜く寝ることができました。5時過ぎに起きてもまだ暗い。朝日が出る前から槍・穂高のシルエットがキレイでした。今日も快晴だ!朝飯の雑炊を食って出発です。
笠ヶ岳山荘の出発は遅めの傾向?出発する時にはまだ結構なテントが残っていました。降りるだけの人が多いからかな?今日はクリヤ谷の道で下山します。まずは笠ヶ岳山荘まで10分ほどの登り。朝の行事など済ませて山頂に向かいます。山荘から山頂までも10分ほどだったかな。人は少なくて3人ほど。みんなもう降りたんでしょうね。
静かな山頂です。展望は良いです。ただ、槍や穂高は逆光気味だし、北の山々はちょっと遠いかな。白山が近いのと、これから辿るクリヤ谷への稜線が印象的でした。そっち方面に下っている人たちも見えました。先行者がいるってことは、蜘蛛の巣とかは大丈夫そうだ。とくに名残惜しくもなく笠ヶ岳の山頂を後にします。
最初の大下りはガラガラしてて下りにくい。景色はいいです。花の残骸も多く、最盛期は結構なお花畑と想像できます。いったん下ってからはいくつかピークがあり、ほとんどは西側を巻きます。巻いてくれて楽なんですけど、なかなか高度を下げないのでじれったいところ。雷鳥岩からは一気に急降下。
明るい笹の斜面を下っていきます。笹の斜面に黄葉しかけのダケカンバの大木が点在してて、その向こうには穂高連峰のギザギザが。なかなか雰囲気の良いところでしたが、とにかく暑かった。斜度が緩んでブナなどの広葉樹の森に入ると涼しくなりました。クリヤ谷の道も結構人が通るんですね。5〜6組は抜いたかな。
錫杖岳がチラチラと見えています。見る角度によって全く違う山みたい。そのうち川沿いとなり、湿気が多いのか岩がヌメヌメ。ボチボチ足がだるくなることにヌメヌメ岩は疲れます。穴滝の上で渡渉するところで最後の休憩。あとは槍見館にむけてまっしぐら。無事下山です。
温泉は2,3件回ってみたけどパッとせず、結局のところ「ひがくの湯」へ。700円取るなら相応の施設にしてほしいもんだ。新穂高周辺の温泉を開拓しなければ。あとはコンビニの一つでもできないかなあ…。新島々までないんだもんなあ。それだともう着いたようなもんだし。てなわけで、好条件のもとで穴毛谷終了です。
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