火打山東面 濁俣川右俣 山スキー濁俣川右俣のゴルジュ入口
笹ヶ峰の林道が開通する4月のこのあたりは、笹ヶ峰から登るルートに行くのが恒例となってきています。今年は吉田さんからお誘いがあり、濁俣川の右俣を滑って岡沢へと通り抜けました。火打山東面には岡沢に抜けるルートが何本かありますが、やっと今回が初めて。通り抜けるには車を1台仕込んでおくとか、高いタクシー代を払うとか、不便な公共交通機関を使うとか敷居が高いのですが、ありがたいことに今回は地元民と一緒に行くので、簡単に敷居をまたぐことができました。 まあまあかと思っていた土曜日の天気ですが、近くなるにつれて微妙になってきて、当日は曇り予報になってしまいました。まあ降水確率が低いのが救いです。下山口の岡沢の除雪終点で待ち合わせて、笹ヶ峰に向かいます。妙高付近は低い雲に覆われていて、気分もどんより。それが笹ヶ峰に近付くにつれて晴れてきました。気分も盛り上がってきました。
この週の笹ヶ峰の駐車場は満杯のイメージですが、今日はガランガランでしたね〜。みんな予報が悪いから敬遠したかな…?前日の雪で山は若干化粧直ししてて、白さを取り戻しています。白くなったのはありがたいんですが、笹ヶ峰も例に漏れず雪の量が少ないですね〜。埋まっていた低い木が跳ね上がり始めています。歩くのにも結構邪魔な感じ。
黒沢を渡るところも、ほとんど川が出ていました。雪があれば黒沢を詰めれば楽で早いけど、黒沢はすでに割れ割れで危険みたい。仕方なく十二曲り経由。硬くて登りにくいけど新雪が少しあったのと、下地の雪も板で叩けば跡が付く程度に柔らかく、冷や汗かくほどではなかったです。それでも無駄力は使うし、時間も余分にかかってしまいます。
尾根はシートラで登ります。尾根の雪も少なくて、ところどころ雪が切れている状態。富士見平手前の斜度が緩んできたあたりで再びスキーを履きました。白っぽかった空ですが、いつの間にか青くなってきて、黒沢岳トラバースのビューポイントでは、火打山・焼山がスッキリと見えて観光気分。曇り予報だけど、結構晴れるやん!トラバースは雪が堅いので、早めに谷に滑って、平らな谷底を登って高谷池ヒュッテへ。
高谷池ヒュッテは今日から今期の営業開始。ヒュッテ周辺も雪が少ないようです。高い所も雪が少ないんですね〜。もうひと登りで濁俣川の滑り出しなのですが、晴れていた空が一転曇りに。高曇りならいいけど、焼山や高妻山なんかの頂上には不穏な雲がかかるように。嫌な予感…。なんとかロケーションの良いうちは晴れていてもらいたいんですけど。
高谷池や天狗の庭とかを横切って、濁俣川の滑り出しに立ちます。なんとまあ、高い雲だけでなく兎平先のゴルジュあたりの高さに雲の層が…。下界は雲海かな…?核心部が雲の中は嫌だなあ〜。…とか思っていたら、通りがかりの富山のおじさま2人が緊急参戦することに。迷惑かけないようにするから、後から付いて行かせてくれ…と。予定のルートでもないし、どんなルートかも知らないみたいだし、下山後の足もないのに、何て楽観的なんでしょう…。
さて、滑ります。今日は最初から最後まで吉田さんが先導してくれます。このルートは毎年通っている定番ルートのようです。直下はボソボソの新雪で微妙な雪質。左の小尾根を巻き気味に兎平へ。兎平はカンバの疎林で雰囲気の良いところです。曇ってるのが残念…。兎平はマッタリ極楽系なのですが、その先でドン!と落ち込みます。2年前にはこの落ち込む末端まで来ています。一応偵察がてら源頭部のマッタリ斜面を楽しみに来たのでした。
さて、核心部へと滑り込みます。立ち込めていた雲はいつの間にかなくなり、曇りですけど視界良好に。落ち込み自体は100mくらいなものですが、左の鬼ヶ城の側壁が威圧感抜群です。谷底はデブリに加えて、土砂の押し出しがあるように見えます。右に大きく迂回すると、斜度はそこそこあるけど広い斜面があり、そこを使って谷底に降りることができます。この先がノドで、濁俣川の最狭部。デブリと落石に覆われているように見えたけど、きれいな雪面が右の斜面を絡めるようにつながっていて助かりました。時々ガリガリはしてしまいましたが…。まあ、春の谷だから仕方ないですね。
徐々に側壁が低くなり、谷も広く明るくなってきます。二俣までは気持ちよく滑れる区間。なんだかチラチラしてきましたね〜。小雪が舞い始めました。振り返ると稜線はすっかり雪雲の中です。もう30分遅ければ、滑り出しの稜線がガスガスになっていたかも…。二俣の中間台地で休憩。左俣の奥壁が見えます。2年前に落ち口だけ見た大滝が見えていました。これをガイドブックに載っけちゃうんだから…。
二俣手前で左岸台地に上がります。タラ〜ッとしたブナの台地。雪が悪けりゃ滑らない斜度だけど、今日は割と滑ってくれました。この高さでは前日は雪ではなく雨だったんでしょうね。台地の形状は微妙に変わりながらも、ほぼ一定の斜度が延々と続きます。溶岩台地なのかな?晴れていればなあ…というところですね。
気持ちよく流していたら、いきなり台地がなくなって行き止まり。どうするんだろう…と思ったところには、一段上に上がる巡視路が付いています。なんてスキーヤー思いなんでしょう…。板を背負ってジグザグ1往復で上の台地へ。再びタラ〜ッ流すと見覚えのある景色。2010年に容雅山に来た時に通った尾根でした。送水管の尾根を下ると発電所です。この下りでT世さん送水管の溝にスポンとハマってビックリしたけど、大事には至らずよかった。
発電所からは登り返し。登り切ったところから車道を滑って戻るはずだったけど、なんと無情な…。ここまで除雪が来ているじゃありませんか!はじめは道の横っちょを滑れましたが、途中で雪不足に。観念して車道を歩きます。小雪は小雨に変わって、惨めさを増幅させます。結構歩かされたと思うけど、しゃべくりながら歩いていたのでかなり気は紛れたかな。
笹ヶ峰まで車を回収に行きます。関山の登りくらいで雨が雪に変わります。笹ヶ峰への道はなんとか積もる前で良かったなあ…。苗名の湯にハマりスッキリしたところで吉田さんたちとお別れです。お世話になりました。準定番となりつつあるたけうち食堂で夕飯を食って帰りました。安曇野に着いた時は雨でしたが、翌朝には雪になって積もっててビックリでした。寒暖の差が激しい4月中旬だこと。
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