鳥越川から鳥海山 山スキー![]() 稲倉岳をバックに鳥海山を目指します
鳥越川からの鳥海山は3月下旬から4月上旬にかけての時期に登りたくて、ここ5年くらい毎年計画していました。ところが予報が悪くて、ことごとく流していたのであります。春っぽくなるGWの時期に行くのは不本意ではありましたが、直前の雪で景色が真冬にリセットされているのでは…と期待して行ってみました。初日は曇りでしたが、肝心の2日目はしっかり晴れてくれ、岩という岩にビッシリと雪氷が貼り着き、冬に近い景色を見ることができて感動しました。天気、景色、雪質ともに言うことナシの山スキーツアーとなりました。 GWは2泊3日で白馬に行く予定でした。ところがGW初日にかけて季節外れの大雪で大雪渓は無理。谷や急斜面はしばらく厳しいだろうなあ…。かといって近場でこの時期、谷や急斜面がないルートで行きたいところは思い付きません。そんなわけで急な計画変更ではるばる鳥海山へと向かったのでした。 ◆4月28日(日) 中島台⇒980m付近テン場 くもり鳥越川のルートは標高差が1800mもあります。最近では日帰りする人がほとんどですが、やはり素晴らしいロケーションの中で泊まりたい!登山口までの距離があるので、2日に分けた方が体力的なバランスもよくなるのです。荷は重いけど・・・。夜中の2時に車2台で出発し、鳥海の道の駅で合流して、入山口である中島台へと向かいます。安曇野から7時間弱というところでしょうか。 中島台の駐車場には先客が10台ほどでしょうか。ただ、全部は山とは限らないし、スキーとも限らないよな〜。雪は駐車場のすぐ先からつながっていました。ずっと発電所の方からのルートで考えていたので、中島台からのルートはkame-reserchのお世話になりました。とくに赤川を渡るとことか。低い雲が立ち込める暗い天気の中をスタート。午後にかけて回復傾向なので、期待するとしましょう。
赤川と鳥越川にはさまれた台地を進みます。なかなか標高が上がっていきません。まあ、このあたりは距離を稼ぐところなので…。「あがりこ」という根元がコブになって枝分かれしているブナがたくさん見られます。炭焼き用で伐採をする際に根株を残して伐採し、そこから出た芽が育つとまた伐採…。これを繰り返して「あがりこ」になったみたいです。
赤川と鳥越川の間が狭くなってくると、下流に向かって川が分かれる変な地形です。こんなのも「略奪点」と呼ぶのか?もともと中洲だったのが左右に分かれたんでしょうか…?この地形に興味があったので、見ることができてよかったです。なんてことはなかったですが…。「略奪点」の先で景色が広がります。樹林もなくなります。ただ、天気は回復してこない…。風が強いので、これ以上登ると辛くなるかな。徐々に斜度が増してくる標高1000m弱のところをテン場にしましょう。
4〜5時間を見込んでいましたが、3時間でテン場です。どうもボクの頭の中は3/下から4/上の情報が詰まっているようですね〜。鳥越川が割れているところがあって、そこから水を汲めたのでガス節約です。テントを張って真昼間から宴会。時々晴れかけるものの、しっかりとは回復してきません。明日に期待!ですが、ちょっと心配だなあ…。 ◆4月29日(祝) テン場⇒鳥海山(新山)⇒テン場⇒中島台 晴れのち薄曇り朝方は冷え込むかと思っていましたが、4人入りテントということを差し引いても暖かかったなあ…。4時半起床。起きた時は鳥海山の山頂あたりに雲がかかっていました。次にテントから出た時には快晴になってました。ヨシヨシ…なんとか山頂に着くまでは晴れのままでいてくれよ〜。朝からモチ入りラーメンで満腹です。
鳥越川の左岸に広がる台地を登っていきます。溶岩台地なんでしょうかね…木がほとんど生えていません。天気は良くなったけど、風は相変わらず強く、雪面はカチカチです。斜度は緩いのにシールが効かないので、スキーアイゼンを着ける人、板を背負ってアイゼン履いて登る人、頑張ってシールで登る人…とそれぞれに登っていきます。時間とともに雪は気持ち緩み、また登るにつれて新雪部分が増えていくので、だんだんと登りやすくなっていきました。
テン場からは遥か彼方に見えていた新山の山頂ですが、徐々に近くなってきました。とにかくロケーションが素晴らしいです。目指す鳥海山を見上げる景色もスゴイし、見下ろせば登ってきた雪原と稲倉岳の岩壁がスゴイです。標高差や溶岩台地ということなど、ルートのスペック的には焼山北面台地と重なるところがあります。どちらも日本離れした景観ですしね〜。
中央火口丘である新山と外輪山に囲まれた千蛇谷に入ります。景色は一変ですね。同じく日本離れした景観ですが、ちょっと味は変わってきます。外輪山の火口壁は全て雪氷が張り着いていて異様とも思える光景です。まさに青と白だけの世界。普通のGWだと岩や土が混じっていて、こうはいかないでしょうね。
千蛇谷に入ると風がなくなると思いきや、逆に強くなってきたような…。おかげでシュカブラができていました。滑りが思いやられるなあ〜。スケールが大きいので歩いても歩いても景色が変わらない感じ。8時開通のブルーラインから早い人が外輪山に見えるようになりました。
見えてる斜面に適当に取り付き新山に登ったのですが、本来はもっと千蛇谷を詰めてから取り付くようでした。斜度的には急ではないですが、エビの尻尾はスカスカなのでアイゼンが効きにくく、ちょっと嫌らしい感じはありましたね。まあ登山っぽくて楽しかったんですが…。板は直下にデポしときました。
新山の山頂は岩峰が乱立しています。ただ、その岩峰は全てエビの尻尾で覆い尽くされていて、まるで冷凍庫にビッシリ着いた霜のようです。芸術作品みたいです。この岩が山頂だよ…と居た人に言われましたが、一目散で鳥越川を見下ろせる岩峰へと向かいます。そして登ってきた大雪原を見て感慨にふけるのでした。
山頂を半周して新山を後にします。そして滑ります。千蛇谷は心配していた通りに小さなシュカブラがあって、板がバタバタして押さえるのが大変。太ももにきますね〜。でも、この日本離れしたロケーションの中を滑ることができて幸せです。前に千蛇谷に来た時には、もっとたくさんの人がいたような記憶があったけどなあ…。今日は少ないような気がする。こんなに良いお天気なのに。
千蛇谷の末端で少しもったいぶってから、鳥越川の源頭部へと滑り込みます。この最初の斜面がすごかったですね〜。この春ダントツで最高の雪!パウダーでもない、ザラメでもない、新しい雪が程よく緩んだ状態。ターンしても抵抗を感じないし、ブレーキがかかる気配もないので、何をしても転ぶ気がしません。止まるのが勿体ないくらいでした。
雪質にも増して感動したのがロケーションですね。広〜い雪原なのに、滑ってると稲倉岳がどんどん近づいてくる感覚がたまりません。国語が苦手だったので言葉では表現できませんが、この感覚というのは山スキーに求めている物の一つではないかと思います。雪も景色も良くないと、この感覚は得られませんので。
さすがにテン場近くなってくると雪はグサグサになってきました。でも、快感に満たされた後だったので、もう十分って感じでした。山頂直下からの標高差約1200mを1時間かからずに降りてきました。普段よりもずっと早いはず。滑るのが気持ちよく疲れなかったってことでしょうね。6人が6人とも。
山頂ではほぼ快晴でしたが、テン場に降りる頃にはすっかり曇り空で冴えない感じに。晴れている時にいい所にいれてよかったです。なかなかいいタイミングで登ってこれました。テントを撤収します。そして、酒とつまみは減ったものの、ザックの荷物がギューギュー詰めになります。そして苦痛の滑り…と思いきや、意外と雪は悪くなくて楽に滑って降りることができました。獅子ヶ鼻あたりで平坦になってからは少々疲れましたが…。中島台付近の残雪は少し後退していて、登りの時よりも板を持って歩く距離が少し増えていました。本日も無事下山です。
下山後は近くの鶴泉荘で温泉にはまります。風呂は広くはなかったけど、新しくてキレイで安い(300円)です。村上でラーメン食ったりして、家に着いたら23時半。なんとか日が変わる前には帰ることができました。明日は仕事だガンバロー!
|