大滝山 スキー登山


スキーを使って冬の大滝山へ日帰り登山


未明の林道をランプ頼りに歩きます

 山域  北アルプス 大滝山
 山行日時  2015年3月3日(火)
 登山形態  スキー登山
 天気  晴れのち高曇り
 メンバー  Y里さん
 温泉・メシ  なし
 コースタイム 須砂渡(3:05)⇒東峠(4:45〜55)⇒展望台(5:40)⇒冷峠(7:00〜15)⇒鍋冠山(8:35〜51)⇒八丁ダルミ(9:27)⇒大滝山(11:00〜30)⇒八丁ダルミ(12:00)⇒鍋冠山(12:40)⇒冷峠(13:13〜18)⇒展望台(13:32)⇒東峠(13:43〜55)⇒須砂渡(14:45)

スキーを使って積雪期の大滝山に登ってきました。蝶ヶ岳の隣の大滝山です。スタートは須砂渡から。東峠〜展望台〜冷峠と長い長い林道を辿り、鍋冠山を経由して大滝山へ。標高差は約2000m、距離は約37キロ、所要時間は11時間40分という長丁場。体力は尽き果てる寸前までいきましたが、Y里さんに置いていかれまいと気力で乗り切りました。まあ、アホみたいな山行でしたけど、積雪期の大滝山に登ることができてうれしかったです。

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近場の北アルプスの渋いルート好きなY里さんに『大滝山って登ったことある?』と声を掛けたとこから大滝山スキー登山企画が持ち上がりました。鍋冠山から大滝山のタラ〜ッとした感じは冬にスキー使って登れるんじゃないかと…。先月の鍋冠山までの下見(Y里さんは2回も)を経て、今回の実現となりました。

冬の大滝山の一番の問題はアプローチ。冬はどこも同じなんですが、夏の登山口までの林道が長い…。長いけど林道を使うのが一番効率的です。はじめは三郷スカイラインで考えていたんですが、実は須砂渡からの方が近いことが判明し、下見もそこから。Y里さんは最短ルートっぽい、ほりでーゆ〜からの尾根通しでも鍋冠山に登ってみたけど、やっぱり林道の方が早いんじゃないかと…。で、本番も須砂渡からの林道を使うことに。

林道なのでナイターOK!3時に須砂渡を出発です。2月の下旬に入ってから急速に春めき、下見の時にあれだけあった林道の雪が融けちゃいました。よって雪が出てくるまで板は担ぎ。最初に橋を渡る少し手前でスキー装着。時々際どいとこもあったけど、あとは何とかスキーで歩けました。昨日の新雪がありがたかったな。天気は曇り気味。今日は下り坂で夕方から降り始めるような予報も…。
枝付き倒木をかいくぐる

林道が大きく迂回するところ、下見の時はショートカットしました。今回もできれば…とヤブに突っ込むも、雪は少ないし、暗いしで断念。余計に時間食ってはいけないと無難に林道を歩くことに。距離が余分に1キロ増えてしまいました…。この間は枝付き倒木が何ヶ所かあって、鬱陶しいのであります。板を履いたまま掻い潜るのは大変!東峠まで、下見の時のタイムを大きくオーバーです。

東峠で軽く休憩。この先、林道のヘアピンはショートカットしていくんですが、下見済みなので迷うことなくサクサク進みます。空がほんのりと明るくなってきました。今までランプ灯して暗い中歩いた経験はほとんどナシ。景色のない中歩くなんてつまらんと思ってたけど、結構気持ちよく歩けました。周りに雪があって、冷えて空気がピリッとしてるのが気持ち良かったのかも…?


展望台より

展望台ではまだ日が昇らず。ちょうど朝焼けの良い景色を拝めました。曇りがちだったのは麓の方だけで、ここまで登ってくると空には雲はありません。いつまで持ってくれるかが問題だ…。今日は火曜日。日曜から月曜にかけて、山ではそこそこ雪が降りました。おかげで樹林に雪が着いていてキレイです。おかげ様で林道にも雪が積もっています…。

 
ランプの灯りがほのかです 鉄塔のところが展望台

展望台から冷峠までの3.2キロは山腹トラバース区間。ここが長いんだわ〜。で、疲れるんだわ〜。ずっと冷峠が見えてるけど、入り江が多くてなかなか近付かない…。下見の時も新雪がありました。ラッセルというには大げさだけど、20センチとかは沈むもんで、やっぱり体力使うし時間も食ってしまいます。下見の時はここで疲れたけど、今日はこの3.2キロの間、全部Y里さんが前を歩いてくれました。途中で変わろうかとも思ったけど、今回の企画は自分がコケたらオシマイなので、出しゃばらずに体力温存で…。

 
東峠に向かう林道 鍋冠山へは浅くて広い谷を辿ります

やっとこさ冷峠。飯場のようなとこで少し休憩です。ここからは下見の時と同じく、登山道のある稜線は辿らずに、緩くて広い谷通しに進みます。里に近いところは雪融けが進んでますが、この高さ(1700m位)の雪はまだまだ豊富。減った印象はないですね〜。沢もほとんど埋まってます。下見の時は行き詰って巻いたところも、今日は最初から巻いてクリア。効率よく進みます。林道の前半でロスした時間も取り戻しましたね。

  林道は何も考えず、ただボーっと歩くだけ。それも悪くはなかったけど、道がなくなると多少は頭も使います。地形に合わせて流れを右へ左へと渡りながら登って行くのは楽しいです。窪地が出てくると、谷は大きく左にUターンするように曲がります。そして、谷は浅くなり、斜面のようになり、稜線に吸収されました。稜線に乗ってからの針葉樹は若干うるさい感じ。
この冬二度目の鍋冠山(Y里さんは三度目)

ひと登りで鍋冠山。この冬2度目の鍋冠山。Y里さんはナント3度目。一冬に鍋冠山に3度も登るアホ(ごめん)はそうそういないでしょうね…。鍋冠山は山がなだらかで針葉樹がしっかり生えているので、展望は全くといって言いほどナシ。それでも大きな区切りなので休んでおきます。食糧も補給しておきます。

  さてさて、いよいよここから先はぶっつけ本番の旅。気持ちが新鮮。鍋冠山から大滝山の往復に4時間見積もりました。ちなみに今日全体では12時間で見積もっています。見積もってるといっても大した根拠はなく、積雪期なので何で手間を食うかわかりません。スキーで登れるのかもわかりません…。果たして大滝山に登れるんかいな…。
八丁ダルミあたりからの常念岳

すぐ隣のポコからは100m以上も下ることになります。ほぼ円錐形のピークなので、磁石当てて方向を定めます。シールを着けたままシャーっと滑ってると、右に尾根らしい地形が見えてきたので、そっちへ。無事に大滝山に続く尾根に乗っかれました。下り切ってからは、小さなアップダウンを繰り返すダラダラの稜線。船窪地形が多く見られました。

  ダラダラ区間が終わると、急にグイっと斜度が増します。いよいよ大滝山への最後の登りですね〜。標高差は約500m。針葉樹の尾根なんですが、適度な斜度で樹間が開いてて効率よく登れます。滑るのも楽チンぽい。登りの中間あたりで最後の休憩。最後のひと登りに備えます。ここまで来たら、例え力尽きても四つん這いになってでも登りたい!
稜線の雪庇が見えてきました

針葉樹林帯を抜けてダケカンバ林に。雪庇のある稜線はもう間近です。振り返ると松本平と安曇野の眺めが素晴らしいです。稜線直下は風の影響を受けるのか、雪面が一部カチカチです。スキーで叩いて堅い雪面に刻みを入れます。雪庇を越えて稜線なんですけども、その雪庇も結構堅い…。えぐれてるのは50センチほどだけど、堅くてスキーでは崩れません…。ストックを何度も差して、雪をほぐして足場をこしらえます。最後は上半身を稜線上に投げ出すようにしてクリア!

 
稜線直下より  鍋冠山がデカい! 大滝山の稜線に登り上げました!

着いたー!大滝山の稜線に立ちました!天気は下り坂なんですが、山にかかる雲はなく、高曇りで経過しています。空気に水分が多くあるせいか、遠くの山がやたら大きく近く見えました。富士山や頸城の山々がとくに近くに見えたなあ…。で、肝心の槍&穂高…。全部見えるけど、もう白黒の世界。空を見ると、このへんが一番雲が厚くて黒い感じ。

せっかくなので大滝山最高点であります北峰(2616m)に登っておきます。噴煙を上げる御嶽山が見えます。焼岳や乗鞍も。槍&穂高に、常念山脈。白黒の世界だけど、何も見えないのに比べると大違い。微妙だった予報の日に、これだけ見えたら十分かな。なによりも登頂できて満足なのであります。下りもこれといった難所はなさそうで、木にぶつかったり、穴に落ちたり…に気を付けましょう!

 
穂高と槍 長塀尾根が邪魔 御嶽山

雪庇から堅い斜面に降りるとこだけ緊張するけど、2〜3ターン降りると雪が緩みます。なんと軽くて滑りやすい雪!ただ降りるだけ…と思っていたこの斜面、テレマークで降りれるなんて思ってもなかったなあ…。無理矢理ではなく、気持ちよく滑れました。カンバのとこが一番良かったけど、針葉樹になってからも楽しんで滑れました。ウレシイ誤算!


常念山脈  右奥は頸城の山々


下界 真ん中は塩尻あたりか 手前の山は黒沢山

降り切って大ダルミ。気もタルミます。降り切ったとこでシール装着。緩いアップダウンを繰り返し、最後に鍋冠山本体の登り。もう登る筋肉が残ってない…。ゆっくり登ります。登り切ったポコ、鍋冠山を通過し、下りが始まるとこまで行ってシールをはずしました。この帰りのシール区間、ここはきつかった…。

あとは滑るだけなんだが、滑る筋肉ももう残ってない…。針葉樹の濃いとこはボーゲンする太ももが熱くなってました。ここで登ってきたルートより一つ早く谷に突っ込みます。Y里さんが下見に来た時に発見した素晴らしい斜面へ!斜度といい雪質といい申し分ナシでした。標高差は200m弱。足が疲れて一気に下まで滑れなかったのが残念。でも良い思いをしました。あとは谷底を冷峠まで気持ちよく(足は悲鳴)流します。

冷峠からは林道。下見の時は一人分の登りトレースでは滑らず、展望台まで半分以上は歩きました。今日は2人分のトレース。おおおーっ、滑る!2人分も大きいけど、雪自体が滑る雪みたいな感じ。ほとんど歩くことなく滑って展望台へ。ただ、林道滑りは空気イス状態になるので、太ももの悲鳴はさらに増幅。展望台からは林道の斜度が増します。空気イスはキツイので無理矢理ターンします。ヘアピンのショートカットではまたまたテレマーク。東峠に降り着くとこでもテレマーク。大滝山でこんなに滑れるとは思ってもみなかったなあ…。ホント得した気分!

最後のとこ、ツボ足で林道をショートカットし、林道から直でほりでーゆ〜の駐車場に登り上げ、長かった大滝山が終了です。15時前に降りてこれて早かったなあと思ったけど、出たのが3時なので、12時間弱かかったことになります。かなり条件に恵まれての12時間です。これがラッセル深かったり、下りの雪が悪かったり、体調が良くなかったりしたら、途端に何時間かプラスになることでしょうね〜。今日はホントにラッキーでした。

12時間行動することはタマ〜にはあるけど、今日の12時間のハードさは別格。ペースは速いし、休憩は少ないし…。一緒に行ってるのが化け物みたいな人だからなあ…。普段は自分が弱い方の立場になることは少なく、体力的には余裕があることが多いです。今日は逆。コケるとしたらボクの方で、ボクがコケたら大滝山は幻となります。そんなプレッシャーの中、力を入れつつ、余力も残しつつ…がとても大変でした。ハードな山行ではありましたが、登りも下りもとても楽しかったです。





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