山登りのページTOP 山行記録 山スキーのページ 沢登りのページ 北アルプス全山縦走 南アルプス全山縦走 リンク PLOFILE


仙人池&下ノ廊下

室堂から剣沢を下り、仙人池、阿曽原へ、そして下ノ廊下を北上して黒部ダムまで歩きました
 
 山域  北アルプス  立山・剣、黒部川下ノ廊下
 山行日時  1997年10月10日(金)〜12日(日)
 行程  1日目  扇沢⇒アルペンルート⇒室堂⇒剣御前⇒真砂沢
 2日目  真砂沢⇒二股⇒仙人池⇒阿曽原温泉
 3日目  阿曽原温泉⇒下ノ廊下⇒黒部ダム⇒扇沢
 登山形態  無雪期 一般道
 メンバー  M国、M下



山登りのページ



■10月10日(金)   晴れ   扇沢⇒アルペンルート⇒室堂⇒剣御前⇒剣沢⇒真砂沢ロッジ


前々日に寒気が入り、北アルプスは雪となった。常念も少し雪化粧していた。立山方面となると、10月にしてはかなりの雪が降ったことだろう。当日は4時前に大阪から来るM国さんと合流。4時半には扇沢に着いた。駐車場はすでに満車寸前。様子を見にターミナルに行くと、軒下は寝袋にくるまった仮眠の人たちであふれかえっていた。蓑虫が異常発生したような光景だった。

扇沢(7:00)⇒室堂(9:10)⇒雷鳥沢(10:00〜15)⇒剣御前(12:10〜50)⇒剣沢小屋(13:20〜50)⇒真砂沢テン場(15:25)

5時半頃に切符売り場に行くと、すでに長蛇の列ができていた。始発である6時半のバスは早くも売り切れで、7時発のバスに乗ることになった。20分ほどで黒部ダムへ。快晴の空に立山、赤沢岳などが聳えていた。一番目を奪われたのが赤牛岳。来年計画している北アルプス全山縦走の際、ここから赤牛岳まで登るんだ・・・。山頂から少し下くらいまで雪化粧していた。

2便ほど待たされてケーブルカーで黒部平。20分ほどの待ち時間でロープウェイ。そのあとはバスで室堂。ここまでくるだけで一仕事だ。天気は非の打ち所のない快晴。室堂の積雪は数センチ程度だった。立山は真っ白にまではなっていないが、空の青、雪の白、ハイマツの緑、紅葉の赤がベストマッチ。室堂からは遊歩道を歩く。踏み固められて凍った雪のため滑る滑る!ウネウネと曲がりくねる遊歩道は、なかなか雷鳥沢に着かなかった。

黒部ダムから赤牛岳を望む
黒部平からの立山
室堂はこんなかんじ


雷鳥沢のテン場は今のところ20張くらいだが、今晩は混むんだろうなあ・・・。ここから本日唯一の登りである雷鳥坂。これを登りきったら、あとは下るのみ。ここからTシャツになって登り始める。2ヶ月ぶりの山だったが、予想に反して足は快調。登るにつれて薬師岳が見え始める。こんな天気なので急にガスが湧くとは考えにくかったが、早く剣御前に着いて、反対側の剣岳を見たくて仕方なかった。

剣御前に着くや否や、剣岳を拝みに走る。剣岳は岩岩の山なので、雪が付きにくいようだ。M国さんたちはまだだいぶ下のほうを歩いていたので、暇つぶしがてら西側のピークに登ってきた。稜線は風が強くてとても寒い。さっきまでTシャツで歩いていたのがウソのようだ。剣御前小屋の前は満杯だたので、便所の建物の影で風をしのいで休んだ。

剣御前から八ッ峰&後立山方面
剣御前からの剣岳
剣沢雪渓

剣沢側は風下に当たるのか、吹き溜まっていて30センチくらいは積もっていた。たまらずスパッツを着ける。剣沢小屋周辺の岩陰は太ももまで埋まるくらいの雪が溜まっていた。ここは風がないのでゆっくり休む。日本三大雪渓である剣沢をどんどん下って行く。古い雪渓の上にきのうの新雪が乗っかって、表面はかなり柔らかだ。歩くたびに剣岳の形が変わっていくのが楽しかった。尻セードやグリセードを試みるが、上に乗った新雪のおかげでうまくいかない。

雪渓が途切れ、石ころの道を歩くようになると真砂沢のテン場。着いた時点で18張の先客が。スペースはたくさん残っており、選ぶのに苦労するくらい。寝る前の気温は約4度。快晴だし明日は冷え込むだろうなあ・・・。


■10月11日(土)   雨    真砂沢ロッジ⇒二股⇒仙人池⇒阿曽原

4時に目を覚ます。夜中はすごい風で、テントの壁が体に当てってきて、何度か起こされてしまった。そして、外は雨降り模様だ。起きた時は稲光もあり、きのうの天気からは考えられない。テントを張っていたところは水の通り道だったようで、テントの床はプヨプヨしてた。雨のため気分が乗らず、撤収もはかどらず、予定よりずっと遅い出発となってしまった。

真砂沢テン場(6:40)⇒二股(7:48)⇒仙人池(10:15〜11:30)⇒仙人温泉(13:14〜20)⇒阿曽原温泉(15:40)

北股にかかる虹
仙人池

冷たい雨の中、カッパを着てのスタート。寒気が入ってきているようで、高いところは雪になっている様子。二股で剣沢とはお別れで、ここから仙人池に向けて尾根道を歩く。結構な急登を登っていると、雨があられに変わった。北股の谷に橋をかけるように虹がかかっていた。思わずカメラを出して写真を撮った。仙人池周辺はベタベタの雪道となり、たいへん歩きにくかった。

今回のメインディッシュである仙人池からの裏剣の眺め。剣は土台の部分だけしか見えず、絶景はまたの機会にということになってしまい残念・・・。とはいえ、絶景の予感を感じさせるような雰囲気はあった。ここでは阿曽原に3時に着くように逆算し、1時間半ほどの大休止とした。

仙人池ヒュッテの人の対応がとても気持ちよかった。着いた時に「ご苦労様!大変だったでしょ」。第一印象で良い小屋だと思ってしまう。次に来る時は泊まってみたいと思った。

ここから阿曽原まではコースタイムで3時間半の下り。雪とぬかるみの急な下りはとても疲れた。仙人小屋のベンチで一休み。ベンチのすぐ後は露天風呂になっていた。スッポンポンのおじさんたちがウロウロしていて、M下さんは目のやり場に困っている様子だ。

あとは阿曽原に向けて仙人谷を下るのみ。だが、この仙人谷の左岸に付けられた道は急な高巻きと下降の連続。雨で緩んで足場が悪く、本当に辛い下りとなった。阿曽原峠からは早かった。

阿曽原に着きホッとする前に見たものは、ごった返したテン場。ガイドブックには20張可とあったが、すでに20張はとっくにオーバーしている。1周するが、とてもまともに張れそうなスペースは残っていなかった。何とか1張分のスペースをキープ。もう1張ボクのところは、半分草むらにかかった無理矢理のスペースだった。小屋のほうはもっとひどい状態のようで、予約のない人は泊まれないようなことを言っていた。予約のない人はどうするのかなあ・・・?

温泉は300円で、時間帯で男と女に分かれていた。サンダルで行ったのだが、これが意外と遠く、濡れたサンダルでは足場が悪くて大変だった。やっとこさ風呂に着いたと思ったら、今度は脱衣所が芋洗い状態でなかなか入れない。やっと入ったと思ったら、今度は温泉が芋洗い状態。ゆっくり入っていられなかった。風呂から出ようにも脱衣所が混んでいて、なかなか出ることができなかった。帰り道ではせっかく風呂に入ったのに、水溜りの連続。サンダルで来るんじゃなかった。最後のトイレに行く時、また新しいパーティーが到着。もう張るところがないので、便所の前の大きな水溜りの上に張っていた。そこに張るしか仕方ないもんなあ・・・。



■10月12日(日)   雨    阿曽原⇒下ノ廊下⇒黒部ダム⇒扇沢

4時に目覚ましがなり、外に顔を出してみると満天の星空が広がっていた。きのうの空からは考えられない。うれしい誤算だ。こうなってくると自然に体が動く。今日はいよいよ下ノ廊下を歩く日なので、期待が膨らむ。トイレの帰りに水溜りにはまって、また靴下を濡らしてしまった。不快だ・・・。

阿曽原温泉(5:50)〜阿曽原峠(6:10)⇒仙人ダム(7:05)⇒十字峡(9:25)⇒白竜峡(10:18〜30)⇒黒部ダム(16:00前)

きのう下ってきた道を阿曽原峠まで登り返す。きついかと思っていたが、わりとすんなり登ることができた。登りのしんどさというのは、実物や地図とかで見て湧いたイメージよりもきつければしんどいし、楽だったら楽だという感じ。気持ちの面が占める割合が多いように思う。仙人ダムに向けて下っていると雲が広がってきた。かと思うと、もうみぞれ交じりの雨が降り出してきた。

いきなり人工物が出てきてビックリ!関電の寮らしきものだった。そこから要塞のような異様な雰囲気のところを通過し仙人ダムへ。対岸に渡り、車が通れるような道を歩く。トンネルを通ったりしてやがて吊橋。そこから送電線の基礎のようなところまで一気に登る。そのあとは岩壁をくりぬいた水平歩道。かなりの高度感だ。黒部峡谷もド迫力!依然として小雨が降り続いていたが、水平歩道の間は頭上が岩や木になっているのであまり濡れない。

高度間抜群!
白竜峡
新越の滝
S字峡は谷がただS字にカーブしているだけだが、高度感がすごい。上流に進むにつれて、だんだんと高度が下がる。というか、川が近づいてきている。十字峡はド迫力か思っていたが、景色的にはどうってことはない。ただ、黒部川の大きな支流である、剣沢と棒小屋沢が同じところに注ぎ込んでいるという点で趣がある。
観光放水中の黒部ダム

白竜峡は素晴らしかった。ここだけ岩の色が他と違った。ベージュの岩に灰色の斑点がついている。M国さんは「ゴマアザラシ」みたいだと言っていた。アプダウンは少ないものの、そろそろ単調な道に飽きてきて、足元に疲れを感じてきた。

単調な道に飽きる頃、一条に糸を引くように落ちる見事な新越の滝が目に入ってくる。何段かに分かれているが、一番落差のあるところで40mらしい。滝の正面で写真撮影&小休止とした。ここからが核心と言ってよいほど、黒部ダムまでの道のりが長かった。やっとこさダムかと思ったら、コンクリートで固められた山肌が見えただけだった。そこからしばらくでダムの本体は見えたが、なにしろ図体のでかいやつなので、歩けど歩けどなかなか近づいてこなかった。ダムの下からダムの上に登るのが、本当の核心だったかも・・・。バスの駅に着いた時には、へたり込んでしまった。


扇沢に着き、一目散で温泉へ。大町温泉郷の「薬師の湯」に行った。濡れねずみで冷え切った体には、天国と思えるほどだった。風呂から出ると、体がホゲホゲになってしまった。夕食は穂高町の「家族亭竜門」。チャーハン、肉味噌ラーメン、餃子をむさぼるように食った。このあとM国さんたちと別れて、仙人池&下ノ廊下の山旅は終了!



TOPページ