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白馬尻定着山スキー(金山沢・杓子沢)

2日連続大雪渓を登るという精神的にきつい登りの先には天国バーンと地獄バーンが・・・
 
 山域  北アルプス 白馬岳周辺
 山行日時  2002年4月27日(土)〜4月29日(月)
 登山形態  山スキー
 メンバー  T橋、N村、I永、T世
 行程  1日目  二股⇒猿倉⇒白馬尻
 2日目  白馬尻⇒白馬岳⇒小蓮華山⇒金山沢滑降⇒白馬尻
 3日目  白馬尻⇒杓子岳⇒杓子沢滑降⇒白馬尻⇒二股
 温泉  白馬村温泉&観光スポット白馬村観光局




計画は壮大だった。1日目:二股から白馬尻、2日目:大雪渓を登り、小蓮華山から金山沢滑降、3日目:大雪渓を登り、杓子沢滑降、4日目:大雪渓を登り、雪倉岳まで縦走し、蓮華温泉に滑り降り、5日目:蓮華温泉から朝日岳往復、6日目:蓮華温泉から栂池に下山、というものだった。これは、4日目以降の天候不良、車の中に忘れ物をしたこと、計画がきつすぎた・・・などにより、前半の白馬尻ベースだけで終わった。

天国バーンは金山沢、地獄バーンは杓子沢。金山沢は斜度、雪質、開放感とも申し分なく、とくに滑り出しからの1段は極楽であった。一方、地獄の杓子沢のほうは、何が地獄かというと、落石・・・稜線からの滑り出しは良いが、その先のノドの部分の落石がひどく、同行者はみんな板にお土産をもらって帰ってきた。そのあとの小日向のコルまでのトラバースもひどかったなあ・・・。これは、ルートの選択ミスというのもあったが・・・。


■4月27日(土)   晴れのちくもり   二股⇒白馬尻(杓子尾根を少々滑降)

二股(6:50)⇒猿倉(8:50)⇒白馬尻(10:25)

昨年の白馬岳主稜に引き続き、今年も二股から車道を歩くことに。5月1日になれば猿倉まで車で入れるのだが・・・。T世さんのを含め、6日分の荷物が入っていて、ザックの重さは32キロ。猿倉までにバテバテになってしまった。まあ、これも白馬尻までの辛抱だ。猿倉からスキーを履けたので、気分的にも少し楽になった。

10時半くらいに白馬尻に着き、テン場の選定に。だだっ広いのでどこでも良いが、他のテントから程よい距離があって、ブッシュのあるちょっとした高台に決めた。ここなら雪崩、落石の心配はないし、騒いでも他のテントに迷惑はかからないだろう。自分たちのテントを建てた後は、後から来る名古屋組のテントスペースを掘り出しておいた。

少しゆっくりした後、暇なので小日向のコル方面へ偵察がてら遊びに行った。テン場から右の緩やかな尾根(杓子尾根)に取り付く。適当に良さそうな斜面を登っていった。登ろうと思えばこのまま杓子岳まで登っていけそうな感じだった。尾根の南側にある沢が長走沢。そちらに滑り込んで戻ろうと思ったが、南側斜面は雪が切れていて滑り込めなかった。仕方なく、だいたい登ってきたところをそのまま滑って戻った。明日からが楽しみだ。

2時半くらいにはテン場に戻り、またヒマをこいていた。待つこと1時間半くらいで、ようやく名古屋組が到着。A山君は体調不良で1日送れて来るみたいだ。夕食&宴会のあと、明日に備えてゆっくり休む。


■4月28日(日)   晴れ   白馬尻⇒白馬岳⇒小蓮華山⇒金山沢滑降⇒白馬尻

白馬尻(6:00)⇒白馬岳頂上宿舎(10:00〜35)⇒小蓮華山(13:45)⇒金山沢出合(15:15)⇒白馬尻(15:35)
長大な白馬大雪渓

今日の予定は金山沢滑降。白馬あたりの国道148号を北に向かって走っていると、小蓮華山と白馬乗鞍の間にひときわ広くて真っ白な斜面が目に入るが、それが金山沢だ。2年位前からずっと行きたくて仕方なかった斜面だ。一度猿倉からトライを試みたが、二股でゲートが閉まっており断念した。単独でなければ栂池から入ったほうが効率が良い。

長大な大雪渓を登り始める。金山沢を滑るには、まずこの標高差1500mの大雪渓を登らなくてはならない。朝早いこともあって雪が硬く、たいして急には見えないところでもシールが効かず、ずり落ちそうになってしまう。気が遠くなりそうな大雪渓の登りも、右に回りこむあたりから先が見え始める。葱平と小雪渓のカール状のあたりだ。このへんにくると列がだいぶ縦長になってくる。最後の急斜面を登るとようやく稜線だ。

稜線直下

稜線の西側はほとんど雪のない景色だ。夏道を拾って白馬岳の山頂へ。主稜を登ってきた人で賑わっていた。昨年は同じこのGWの前半に白馬岳主稜を登ってここに来たんだ・・・。登りは終わったものの、これから小蓮華山への縦走が待っている。三国境あたりでは尻セードを楽しんだ。ようやく小蓮華山に登りつき、滑降モードとなる。長かった・・・。

小蓮華山の山頂で板をはき、最初は白乗方向にトラバースしながら、滑り込む地点を物色。ここだ!と決めて、一気に正面から谷に向かって滑り込む。斜度はかなりあるが、なにしろ幅の広さが半端ではないので、圧迫感がなく、恐怖感も全くなしだ。ひっくり返ったら下まで行くが、下がいったん平らになっているので、滑落しても安心だ。雪質はやや重めだったが、板に変な負荷はかからず、思うように板が回ってくれた。この極楽シーンはものの1分くらいで終わってしまったのではないか・・・。この1分のために、今日は8時間かけて登ってきたと思うとやるせない。・・・が、これが山スキーだ。

金山沢の上部

いったん平らになるところからも適度な斜面は続くものの、最初のバーンが良すぎたため見劣りする。雪質もやや荒れ気味になってきた。ノドの部分が核心と聞いていたが、難しいところは全くなし。あとは下へ下へと滑り降りる。もうすぐ出合いというところで、大規模な雪崩の上を通過。そして沢に降り立つ。これで金山沢は終了。金山沢はかなり満足であった。満足したぶん、出合いからテン場までの登りがやけにこたえた。

テン場に戻ってから1時間くらい経って、今日から合流のA山君が到着。なんかすごい荷物で来た。ザックの中身はテレマークブーツとカレーの食材がほとんどのようだ。テレマークブーツはアイゼンが着かないみたいで、登山靴を履いてきていた。ご苦労様!






■4月29日(月)   晴れ   白馬尻⇒杓子岳⇒金山沢滑降⇒小日向のコル⇒白馬尻

白馬尻(6:00)⇒稜線(10:30)⇒滑降地点(11:30)⇒小日向のコル(14:40)⇒白馬尻(16:00)⇒二股
杓子岳手前からの白馬岳

きのうと同様、大雪渓を登る。2日も続けて登るバカ・・・といったところか。A山君もはじめは一緒に登っていたが、テレマークは今年始めたばかりということで、急斜面は遠慮しとくようだ。大雪渓でチョロチョロ練習するとのこと。今日は大雪渓上部で右に曲がらずに、丸山と杓子岳の鞍部を目指す。直下のカール状のところには、雪庇が崩れた巨大なブロックが転がっていた。太陽がだいぶ昇ってきて、容赦なく照り付けてくる。フリース腕まくりで登っていたが、暑くてたまらない。気温の上昇とともに雪も緩んできて、最後の雪壁登りでえらい苦労してしまった。みんなはツボ足に切り替えていたが、ボクだけ意地になってスキーで登っていたのだが、足場ごと崩れてしまって登れない。一度、中間くらいまで登ったところで、一番下まで落ちてしまった。変なところで体力を消耗してしまった。稜線に出てからは、杓子岳をトラバースして、杓子・鑓の鞍部まで進む。

杓子沢の滑り出し

鞍部で大休止の後、いよいよ滑降開始!金山沢と違って滑り出しは緩かった。しかし、進むにつれて徐々に落ち込んでいき、また両岸も狭まってくる。斜度的にはたいしたことなくても、両岸が切り立っているので、金山沢に比べると格段に圧迫感があった。さらに進むとノドの部分になり、落石地獄地帯に突入。次々と敵は現れる。すべての敵をかわすことは不可能で、たまに「カシャン!」と石の上を滑ってしまう。ま、板が古いのでそれほど気にせず滑っていたのだが・・・。ノドを通過すると斜面はまた広くなり、トラバース気味に2284m下の台地に出た。

ほっと一息といった感じで、この台地で小休止。さっきの落石地獄のところで、みなさん板に甚大な被害を被っていた。N村君の板が一番落石によって蝕まれていた。板の中身が見えているほど深い傷を負っていた。他にもかなりの重傷者がいた。一番気にせず滑っていた僕の板は、以外にも軽傷で済んでいてビックリ。ポカポカと気持ちの良いところだった。

杓子沢の全景

ここからは小日向のコルを目指す。下ってしまうとコルへの登り返しがいやだったので、極力トラバースでコルを目指す。途中、T世さんがトラバース中に滑落したりした。トラバースも無理やりだとかえって体力を消耗してしまう。滑落の危険もあるので、素直に滑れるところまで滑って、地道に小日向のコルに登り返したほうが良かったかもしれない。時間的にももしかしたらそっちのほうが早いかもしれない。

小日向のコルに着くと、これがまた絶景。さっき滑ってきた杓子沢の全容が見えるではないか。ここから見るとほぼ正面なので、よくもまああんなところを滑ってきたと感心してしまう。ここからでも杓子沢は落石で色が変わっているのがわかった。初めに見ていれば、絶対に杓子沢は滑らなかったと思う。それに比べて、鑓温泉の斜面の素晴らしそうなことといったら・・・。純白の広い斜面に上手なシュプールが見えていた。今度はぜひ鑓温泉の斜面を滑らねば・・・。

コルからは最後の滑降を楽しみながらテン場へと戻る。長走沢までの斜面は、ちょっと雪が緩かったが楽しめた。出合いまで滑り降りた後は、3度目の白馬尻への登り返し。もう、うんざりだった。

本来ならもう1泊して、明日は雪倉へと移動するところだが、明日からの天気が悪そうだし、T世さんの体力からしても明日一気に蓮華温泉まで行くのはきついかなと思い、下山することにした。2日経ったとはいえ、まだまだザックは重い。この重いザックを背負って猿倉まで滑る。斜面のトラバースではバランスが取れずに転倒。一度転倒してしまうと、荷物が重いため起き上がれずに苦労してしまった。猿倉からの林道は放心状態で歩いていた。



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