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奥只見 恋ノ岐川

奥只見の美渓を遡行してきました
 
 山域  奥只見 平ヶ岳 
 山行日時  2002年10月11日(金)〜13日(日)
 登山形態  積雪期 一般道
 メンバー  T世
 行程  1日目  恋ノ岐橋⇒オホコ沢手前
 2日目  テン場⇒池ノ岳⇒テン場
 3日目  テン場⇒平ヶ岳往復⇒台倉山⇒鷹巣
 温泉  奥只見郷ホームページ(温泉)  桧枝岐観光協会 桧枝岐情報




今年の懸案であった、癒し渓の恋ノ岐川。どのガイドブックを見ても悪いことは書いてなく、良いとこだらけの感じだ。ナメと釜と渕・・・、そして地塘の草原に詰め上がる。遡行終了後は日本百名山である平ヶ岳に登頂という、今年の沢シーズンの締めくくりにふさわしい2泊3日の山旅が期待された。

マイナス材料は下山が長いこと、登山口と下山口が離れていること。最後のヤブ漕ぎは未知数だ。下山が長いとはいっても、最終日に一日かけてゆっくり下山すればよし。登山口と下山口が違うというのは、下山口に自転車をデポしておき、下山後は自転車で車を回収しに行くことにした。約10キロくらいなので、そうたいした労力にはならないと踏んでいた。


■10月11日(金)   快晴!   恋ノ岐橋⇒オホコ沢出合の手前

前日の夜には下山口である、鷹巣登山口の駐車場に入っていた。ここに自転車をデポして、車で恋ノ岐橋に向かった。橋の近くに車を止める。どうやら先客はいないようだ。都合で3連休を1日前倒しで来たので、普通の人は明日からの入渓になるだろう。恋ノ岐川は長い流程にもかかわらず、川幅は細く、水量も多くない。地図を見ればよくわかるが、恋ノ岐川は支流が少なく、流域面積もごく狭い。そのかわり、上流に行っても水量はあまり変わらないということだ。


恋ノ岐橋(6:45発)⇒5m2段滝(7:55〜8:00)⇒清水沢手前(11:22〜45)⇒1240m付近(12:50〜13:08)⇒テン場(14:50着)



10月も中旬になって、朝はさすがに寒くなってきた。流れに足を入れると、キューッと冷たさが伝わってくる。天気予報は快晴ということなので、昼間は暖かくなってくれるだろう。水量が少ないので、渡渉には困らないが、滝には必ずといってよいほど大きな釜がついており、その通過に時間を取られることが多い。真夏ならば釜をジャブジャブと浸かりながら滝に取り付けるが、この気温ではなんとかヒザ上くらいで勘弁してもらいたいところ。となると、極力水際をへつることになり、おのずと時間を食ってしまう。

8時くらいになってもまだ日が当たってこない。相変わらず釜付きの滝が多い。深い釜はへつり、へつれないところは高巻きとなる。幸いなことに、入渓者が多いのか、高巻にはしっかりとした踏み跡がついていた。ただ、踏み跡はついていても、豪雪地帯特有の草付きで、足場の悪い所が多かった。いやらしい高巻きが予想される時は、無理してでもヘツリで越えていった。へつりなら、たとえ落ちてもドボンで済む。高巻きで落ちたら最悪だ。

清水沢出合は両岸とも開けており、やっと日が当たるようになってきた。恋ノ岐川のナメ床は水色かかった岩が多い。太陽が当たるととてもきれいそうだ。清水沢を越えると、次の目標物は三角沢だ。清水沢の先も、同じような渓相が続く。ところどころきれいな所はあるが、前評判ほどの美渓にはまだお目にかかれない。

三角沢を意識しながら歩くが、なかなかそれっぽい出合にはならない。右から何本か沢は入ったが、どれも貧相で名のある沢とは思えない。このあたりには目立った滝もなく、遡行図での特定もままならない。おまけに傾斜の緩い沢なので、高度計での特定も難しかった。結局、三角沢は特定できないまま。もう過ぎたのか、これからなのか、さっぱり分からない。

今日の予定はオホコ沢出合だが、今どこらへんを歩いているのか分からない状態。時間も押してきたので、良い泊まり場があれば、今日の行動を打ちきることにした。前方に二俣らしき地形が見えてきた。あそこがオホコ沢出合ではないか・・・。オホコ沢であって欲しいという、希望的観測もあったが、しばらくで左岸にキャンプ適地があったので、今日はここで泊まることにした。

ガイドの参考タイムにかなり遅れてしまった。体力不足という要因と除くと、あと考えられる要因として、釜をへつらなければならなかったからだろう。夏に来て、ジャブジャブと釜に入っていたら、もう少し早く進めたのではないか。


■10月12日(土)   快晴!   オホコ沢出合手前⇒池ノ岳キャンプ場

テン場(7:25発)⇒オホコ沢(8:45)⇒二俣(11:35〜52)奥の二俣(13:15〜32)⇒ヤブ漕ぎ開始(14:50)⇒登山道(15:50)⇒池ノ岳キャンプ場(16:40着)

朝はやはり寒い。なかなか寝袋から出ることができなかった。朝イチは寒くて身体が硬いため、動きがぎこちない。身体が温まるまでは辛抱が必要だ。きのうオホコ沢に違いないと思ったところは、オホコ沢ではなく、水流もないようなところだった。結局、オホコ沢までは、テン場から1時間20分もかかってしまった。

オホコ沢は恋ノ岐川唯一の、はっきりとした支流だった。これぞテン場適地!というような、サイトが一段高くなった、格好のテン場があった。オホコ沢から先はだいぶ水量が減った。しかし、滝は小さいくせに釜だけは発達しており、へつりで進むことを余儀なくされた。一度、T世さんがドボンしてしまったが、幸いお昼頃で暖かかったので助かった。

オホコ沢以降は流れが屈曲しており、地図さえ見ていれば現在地の特定は簡単。奥の二俣を左に進路を取り、ナメ滝を越えて少しで50m滝に出くわす。50mとはいっても階段状になっており、それほど困難さも威圧感もなく、快適に登れるうれしい滝だった。変なヘツリをしているよりもずっと良い。

源頭の雰囲気となり、そろそろ詰めのタイミングを計りながら歩く。地図だと1800mあたりが一番登山道と近かったので、そのあたりを狙いたかった。直登不能の滝が現われた。左のルンゼから巻こうとしたところ、そのまま登山道方面に薄い踏み跡があった。まだ1800mには早いけど、どこから登っても、登山道までは標高100mくらいのもの。踏み跡があるのならと、このルンゼを詰めて稜線に出ることにした。

ところが、踏み跡はすぐになくなってしまった。背丈を越える笹に行く手を阻まれる。ここの笹はかなり生長しており、おまけに硬かったので、身体のいろんなところに刺さってくる。登山道に対して直角に進まなければならなかったが、ちょっと右にずれてしまったようで、この密生した笹ヤブを1時間もヤブ漕ぎするハメになってしまった。

登山道に出たところにちょうど登山者がいて、「大丈夫ですか?」と声を掛けられた。こんなところから出てきたので、何事かと思ったに違いない。池ノ岳方面を見ると、山頂はまだだいぶ先のほうだった。途中、踏み跡らしきものが2ヶ所あった。ここに出ると楽だったのかもしれない。沢から開放され、登山道を歩き始めたとたんに疲れがどっと出てきて、足が進まなくなってしまった。

池ノ岳頂上の木道にテント2張りあった。聞くと、本当のキャンプ場は平ヶ岳方面にあるらしい。キャンプ場はかなり混雑していたが、なんとかまともなところが1つだけ残っていた。あたりはだいぶ暗くなりかけていた。となりの団体さんは、宴会グッズを木道一杯に広げるという、非常識極まりないことをやっていた。おまけにラジカセを大音量で鳴らしており耳障り。話し声もでかい。寝袋に入ってからも続いたので、うるさくてしょうがなかった。

空には半月。明るい月だったが、星もたくさん出ていてきれいだった。


■10月13日(日)   快晴!   池ノ岳⇒平ヶ岳往復⇒鷹巣登山口

テン場(8:15発)⇒鷹巣登山口(13:05着)

朝食を終え、貴重品だけ持って空身で平ヶ岳に登ってくる。気温は0度前後だったようで、霜柱があちこちに立っていた。山頂の地塘には薄氷も張っていた。山頂からの眺めは雄大で、尾瀬の山々、越後三山、そして富士山、浅間山まで見えていた。北のほうの山々はなじみがないので、特定するのが難しい。

テントを撤収して下山にかかる。太陽が出るととたんに暑くなり、さっきまで寒くて仕方がなかったのが信じられない。半袖になって歩き始める。台倉山までは緩いアップダウンを繰り返す、樹林帯のおもしろくない道。精神的に苦しい所だ。台倉山からは展望が開けてきて、ところどころ潅木が真っ赤に染まっていてきれいだった。ただ、ここもアップダウンが多くてウンザリだった。下台倉山からは痩せた尾根の一気下り。やっと高度を下げてくれる。痩せ尾根の中間くらいからT世さんがへばってきたので、先に下山して車の回収に向かうことにした。

下山すると駐車場は車であふれ返っており、道路の路肩も車だらけだった。荷物を降ろし、サンダルに履き替える。そして自転車に乗り、車の置いてある恋ノ岐橋を目指す。

はじめの4キロはダラダラ下りの快適なクルージング。次は3キロの登り。この登りは今回の山行の中で一番苦しい登りだった。30分くらいで車のところに着くと踏んでいたが、この登りの途中ですでに30分が経過してしまった。ノドをゼイゼイ言わせながらやっとてっぺんに。残り3キロの下りは車に追い付くくらいのスピードで下っていった。爽快だった。


■感想

恋ノ岐は極楽だったよ!という知り合いの話から、この沢に対する期待度は格段に高かった。延々とナルミズ沢のようなきれいな沢が続くのかと思っていた。実際は期待が大き過ぎたのか、期待していたものとは程遠い。ゴーロは長いし、ナメ自体も前半にきれいなのが少しあったくらい。つい前に増水したような形跡があって、少し荒れたのかもしれないが、それにしても想像していた恋ノ岐とは全く違っていた。まあ、思い込みが強すぎたのだろう。ただ、夏に来れば積極的に釜には入れるので、楽しい遡行ができそうだと思った。いつになるかわからないが、今度来ることがあれば、真夏の暑い時期に訪れたい。


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