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庚申川〜皇海山

庚申川よりも鋸山のギザギザ尾根と庚申山の威容が印象的だった
 
 山域  足尾/鋸山 皇海山 庚申山
 山行日時  2003年8月2日(土)〜3日(日)
 登山形態  沢登り
 メンバー  Y井、S藤、I波、N村
 行程  1日目 銀山平⇒水ノ面沢出合⇒二俣上のテン場
 2日目 テン場⇒鋸山⇒皇海山⇒鋸山⇒庚申山⇒銀山平
 温泉  国民宿舎 かじか荘   足尾町公式HP 観光マップ  





■8月2日(土)   くもり時々晴れ   銀山平⇒二俣上

長引いている今年の梅雨明けも、天気予報を見ていると、この週末でやっと明けてくれそうな気配。土曜日がくもり時々晴れ、日曜日が晴れ時々くもりとなっていた。早朝4時に松本で集合し、東部インターから伊勢崎まで高速に乗って、登山口である銀山平を目指した。松本を発つ時は小雨。高崎の手前で上がったものの、本当に天気が良くなるのか不安だった。

銀山平(8:15発)⇒入渓点 水ノ面沢出合(9:15)⇒10m2段滝上(12:50)⇒二俣(13:10〜30)⇒テン場(14:20)



国民宿舎かじか荘からものの200mくらいで車止めが。車止めの100mくらい手前にある広場に車を止め、出発の準備をする。本来ならここからすぐにある堰堤から入渓するようだが、今回は庚申川遡行のほかに、皇海山登頂という目的もあった。したがって、時間を稼ぐために、水ノ面沢出合まで林道を歩く計画だ。林道の途中から、光風の滝や新しくできたという堰堤が確認できた。小1時間で一ノ鳥居がある水ノ面沢出合に。

一ノ鳥居には庚申七滝を見る遊歩道があるが、手入れがされてないのかズタズタだった。それを下って庚申川の河原に立った。いきなり大きな釜を持った滝がある。しょっぱなから泳ぎかよ・・・と思いながら沢支度をする。みなさんいきなり泳ぐ気はないようで、左側の支沢のようなところから越えた。

この滝を越えると、しばらくは平凡なゴーロ歩きが続く。滝があってもチョックストーンで、たまに釜付きもあったが、通して間延びのする区間だった。やがてゴルジュとなる。滝はたいしたことはないが、釜が発達しており、その通過がおもしろくもあり、難しくもあるといった感じだ。先行パーティー5名を抜く。

水温は温かいとは言えないが、泳いでも寒くは感じない。しかし、水はお世辞にもきれいとは言えない。岩が黒いためか、水自体が汚いのかはわからない。でも細かい砂や泥が堆積しているところがたくさんあり、その上を歩くと濁ってしまう。ところどころ臭いがすることもあった。どうも積極的に泳ぐ気がしなかった。

10mくらいのナメ滝の下にある釜の通過が難しかった。右側のやや高い部分をへつるのだが、最後の一歩が思い切れない。S藤さんにサポートしてもらい、やっと滝の落ち口へ。そしてザイルをセットして、みんなの見えるところに降りると、みんながいない。しばらくして上から「高巻いちゃった・・・」とY井さんの声が。S藤さんがもよおしたみたいで、仕方なく高巻いたらしい。しっかりした巻き道があったみたいだ。日当たりの良い10mナメ滝の上で休憩。

しばらくゴーロとなるが、またすぐに両岸が狭まり、釜が連続するゴルジュとなる。ここには泳がなければ突破できない釜がいくつかあった。でも、あまり泳ぐ気はしなかったので、極力へつった。このゴルジュを抜けると、庚申川の核心が終わってしまう。やがて二俣となる。しばらくは両岸が立っていたが、そのうち段丘の発達したところが多くなる。段丘はキャンプ適地となっていた。明日のこと、後続のことを考え、できるだけ上流まで歩くことにする。

もうこれ以上進むとヤバイかなというところで、今日のテン場にした。ツエルト設営班と薪集め班に別れて作業。やることをやったあとは宴会に突入。まだ3時半頃だ。これだけ時間があると、酒が足りなくなりそうだった。薄暗くなりかけた頃に、酔っ払って焚き火の近くで寝てしまう。8時半頃に目を覚ますと、すでにみんなはツエルトに入っていた。寝ているところ割り込むのは気が引けた。空を見ると見える範囲では全部星が出ている。これなら大丈夫と、そのへんにマットを敷いてそこで寝た。斜めで落ち着かなかったり、顔に虫が止まったりで、はじめは気になったが、そのうちに寝ていた。



■8月3日(日)   晴れ時々くもり   二俣上⇒鋸山⇔皇海山⇒庚申山⇒銀山平

4時半にY井さんの声で目を覚ます。何度か目を覚ましたような気がするが、だいたい朝までしっかり寝ることができた。焚き火に火をつけ、朝メシのラーメンを食う。きのうの酒が残っているのか、少しけだるさがあった。

二俣上(6:10発)⇒稜線(9時過ぎ)⇒鋸山(9:20〜50)⇒皇海山(10:40〜55)⇒鋸山(11:46〜12:10)⇒庚申山手前のコル(13:20)⇒庚申山(13:50)⇒林道(15:30)⇒銀山平(16:20着)


30分も歩けば六林班峠への道が横切るはずだが、なかなか出てこない。それが横切る標高をだいぶ越えても出てこなかったところをみると、だれも気付かないうちに通り過ぎたようだ。もう荒れてしまっているのだろうか。この先は二俣が多く、進路の選定が難しい。ルートはY井さんとS藤さんにおまかせ。

稜線まであとしばらくというところにあった二俣。渓相から見ると本流は左だったが、ガイドには右へ右へと書いてあったので右に進む。すると側壁の立ったナメ滝にぶち当たる。そのナメ滝は下のほうから見ると登れそうだったが、いざ取り付いてみると、ホールドは細かくてもろく、あと2mくらいがどうしても登れなかった。仕方なく2つ下の二俣までもどり、右に進むことに。

下降中に草付きに乗っかっていた10kgくらいの石を落としてしまった。向きを変えながら転がり落ちて、I波さんをかすめて落ちていった。幸いなことに、バウンドの頂点だったし、ザックのショルダーベルトに石が当たったので大事には至らなかった。右に進むと割と開けており、稜線までたどり着けそうだった。最後10分ほど笹ヤブを登ると登山道に出た。

登山道で少し腰を下ろしたが、どうせ鋸山に荷物を置いて皇海山をピストンするので、そこでゆっくりすることにしてすぐ出発。鋸山で大休止。あとは下山といきたいところだが、今日はそうはいかない。皇海山の往復に2時間、庚申山経由の下山に4時間半もかかるのだ。ここからがまさに核心だ。

鋸山からはスコーンと落ち込んだ先に皇海山がそびえていた。かなり下っているように見えたので、行くのがイヤになりそうだった。貴重品と水、おかしなどだけザックに入れて、その他のものは防水袋に入れてここにデポ。

急な足場の悪い下りをロープに頼って降りる。最低コルで栗原林道からの道と合流。皇海山に登る最短ルートになっていて、百名山ハンターと思われる人がウヨウヨしていた。マイナーなイメージのある皇海山にこれだけの人が登りに来ているとは思わなかった。恐るべし・・・百名山。

ここから皇海山へは250m登らなければいけない。空身なのにもうしんどい。振り返ると鋭い円錐形の鋸山が見えた。山頂は大繁盛していた。鋸山からはまたメインザック。ガチャが加わったぶん、沢を登っている時よりも重くなった。庚申山までの間には12個のピークがあるようだ。前半は鋸刃状の激しいアップダウン、後半は庚申山への多いな登り返しが待っている。

鋸刃状の稜線は思ったよりも険しかった。一般ルートとは思えないほどだ。鎖、ハシゴ、ロープはついているものの、どれも最近整備した様子はなく、支点はグラグラ、ロープは切れそうだったりとイヤらしい。鞍部は平均台のような痩せ尾根で、両側ともスパッと切れ落ちている。ロープはついているものの、3級程度の岩場もあった。よくもまあ、こんなところに道をつけたもんだ。間違って足元のおぼつかない人がきたら大変だ。

庚申山からの下りも激しかった。急峻な下りを終えて振り返ると、奇岩乱立の庚申山があった。ここを最初に登ろうとした人や、道をつけた人はすごいなと思った。その後も岩のかぶさっとところや、岩の門などなかなかお目にかかれない登山道だった。

小屋でビールを買って飲みたかったが、残念ながら売ってなかった。テラスから見る庚申山荘は、奇岩乱立の庚申山をバックに絵になる光景だった。今日はあまり登山客はいないようだが、ここの固有種である庚申草が咲く頃は、かなり人が入るのではとのこと。




■庚申山は登攀的な沢ではなく、泳ぎを交えたゴルジュ突破の沢だ。その意味では、前半のゴルジュをパスしてしまったことには未練が残る。皇海山というもう1つの目的があったから、仕方のないところだが・・・。かといって、もう一度下流のゴルジュ遡行するために来ようとは思わない。

■百名山ブームのため、皇海山は栗原林道から登る人がほとんどのようだ。そこからだと3時間で頂上まで登れるという手軽さだが、見どころはほとんどないように思う。皇海山は庚申山、鋸山とからめて登る方が趣があるのでは・・・。鋸山から堂々とした皇海山が望めるし、鋸刃状の尾根歩きがあるし、奇岩乱立の庚申山があるしと、盛りだくさんなのではないかと思う。



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