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黄蓮谷右俣〜甲斐駒ヶ岳

 大変素晴らしい沢でした
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 山域  南アルプス 甲斐駒ヶ岳
 山行日時  2004年7月24日(土)〜26日(月)
 登山形態  沢登り
 メンバー  T世
 行程  1日目  尾白川林道⇒尾白川⇒黄蓮谷⇒坊主滝下
 2日目  坊主滝下⇒⇒甲斐駒ヶ岳⇒七丈小屋
 3日目  七丈小屋⇒竹宇駒ヶ岳神社
 温泉  道の駅 信州蔦木宿「つたの湯」 (塩沢温泉は残念ながら休館) 





海の日の3連休は、こともあろうに中日の日曜に地区の祭りの準備があり、山に行くことができなかった。そして今週は、今シーズンのメインイベント第1弾である甲斐駒ヶ岳の黄蓮谷右俣。結構な難易度の高さなので、やや不安な面もあったが、思い切って行くことに。

ツルツルに磨かれた白い花崗岩、そこを流れる淡い緑色の南アルプス天然水。詰めあ上がれば甲斐駒ヶ岳の山頂・・・。黄蓮谷は申し分のない素晴らしい沢でした。天気がイマイチだったのがたまに傷・・・



■7月24日(土)   くもり   日向山登山口⇒尾白川⇒坊主滝下

尾白川林道の終点から入渓したかったため、車の回収をどうするかが悩みどころ。タクシーを使うと約3000円。そう高くはないがもったいない。距離は6キロそこそこだが、標高差は約370mもある。悩んだ末、自転車を使うことにした。急坂になったら歩こう!

4時過ぎに自宅を出発し、6時頃に下山口である竹宇駒ヶ岳神社に到着。自転車を看板の柱にくくりつけて、尾白川林道へと向かった。日向山の登山口の少し先でゲートが閉まっていた。登山口の手前の広いところに車を止め、準備をしようと外に出たらアブの大群!仕方なく少し下ったところで準備を万端にしてから、アブの大群が待つ駐車スペースへ。せーの!で車から出て、そのまま林道を歩き始めた。

日向山登山口(6:50)⇒尾白川入渓点(8:20〜45)⇒鞍掛沢出合(9:30)⇒黄蓮谷出合(11:45〜12:05)⇒千丈ノ滝下(12:55)⇒坊主滝下テン場(13:45)

天気は曇りだが、やや蒸し暑い。2時間はかかるかと思っていた林道歩き、実際は1時間半で林道終点に着いてありがたかった。沢への下降は急坂下り。荷物が重いのでブレーキが効かない。木の枝をつかみながら、へっぴり腰で下っていった。10分ほどで尾白川の河原に降り立った。

沢支度をし、いよいよ歩き始める。水はバスクリンを入れたかのような、明るい緑色。3000mの頂から流れ始めるだけあって、さすがに水は冷たかった。いきなりナメと大きな釜が現れる。右側を登ろうとするが、これがまた良く滑る。傾斜はスキー場の初心者コース並みなのに、フリクションぎりぎりだ。白い岩に黒い斑点があるので一見滑らないように見えるが、実際はツルツルに磨かれている。しかもほとんどが逆層。


入渓してすぐの釜
このあたりの滝は巻くしかない
連瀑のあとの釜

渓相はとても開けており、太陽は隠れているものの大変明るい。白い花崗岩と明るい水のせいだろう。そして、深〜い釜付きのナメ滝が繰り返し現れる。どれもツルツルに磨かれているので、登れる滝はほとんどなかった。登れない滝には全てしっかりとした巻道が付いているので、通過には問題なかった。

登れない滝ばかりで遡行の面白みには欠けるが、それ以上に滝と釜の美しさが際立っていた。五合目から下降して入渓するパターンも多いようだが、この下流の渓相を見ずして黄蓮谷を終わらせるのはもったいなさ過ぎだ。問題は車の回収だけなのだから・・・。

釜はすごく深い
側壁がそそり立つ
多段のナメ滝
釜と滝の連続

鞍掛沢まではあっという間。鞍掛沢には林業用なのか、ワイヤーが横たわっていた。鞍掛沢上流にある滝の高巻き中、残置のトラロープを使ってトラバースをし、無事に通過。ふと見ると、トラロープが岩に擦れて切れかかっていた。細い繊維がわずか2本でつながっていたのだった。知らぬが仏で使ったが、知った後はドキドキものだった。切れるのは時間の問題なので、切って別の潅木に結び付けておいた。

きれいな立体的な滝もある
ナメ床と釜が連続して現れる
尾白川は意外と水量が少ない

尾白川はもっと水量が多いかと思っていたが、実際は少ないのではと思えるほど。後で聞いた話では、これが平水のようだった。黄蓮谷に入ると、ただでさえ少ない水量が、さらにガクンと減った。そして、ナメや滝はなくなり、逆に倒木が目立ち始め、荒れた感じの渓相となった。黄蓮谷出合には焚き火の跡があり、キャンプ適地もあった。

荒れた感じの沢の先に立派な滝が見え始めた。千丈の滝に違いない!傾斜はたいしたことなく、全体的にはナメ滝といった感じだ。しかし、相変わらずツルツルなので、登ることは不可能。

右岸に五合目からの道と合流する、ハッキリとした踏み跡があるとのことだったが、滝の下から見る限りはよくわからない。とりあえず右岸の草むらに突っ込むと、すぐに踏み跡が現れる。それをたどって登っていく。途中、千丈ノ滝の中段に出ることができた。せっかくなので、写真を撮っておいた。

滝上に出て左を見上げると、大岩が・・・。あれが岩小屋か・・・。どんな岩小屋か見てみたい気持ちもあったが、面倒なので先に進む。
千丈の滝は立派

千丈ノ滝の上に出ると、次の滝は左岸から巻く。その巻きの途中の小尾根に、これぞキャンプ適地という場所があった。ここは平らで草も生えてなく、乾燥している。河原からも遠くないので、快適な夜は間違いなさそうだった。しかし、これ以上良いテン場はないだろうとは思いながらも、時間的に少し早かったので、もう少し駒を進めることにした。

相変わらず荒れ気味の沢を進んでいくと、大迫力の坊主滝が出現!これはフリクションが効いたとしても登れないな・・・。その手前の左岸に焚き火の跡が数ヶ所あった。水面からは離れていないが、増水さえしなければ快適なので、今日はここで泊ることにした。

なんといってもマキが豊富。手の届く範囲で今晩のマキが集まりそうなくらいだ。しばらく雨が降っていないのか、マキは乾ききっていて、一瞬で安定した火となった。燃えすぎて困るので、わざわざ水の中の流木を火にくべたりもした。

今日は広い範囲で夕立がありそう・・・という予報が出ていたが、幸いにも一滴も降らずにすんだ。明日の天気に期待だ!
坊主滝40mも立派な滝だった


■7月25日(日)   くもりのち雷雨   坊主滝下⇒甲斐駒ヶ岳⇒七丈小屋

朝から快晴!このまま山頂まで快晴でいてくれたら一番良いが、そうもいかないだろうから、せめて奥千丈ノ滝まで晴れていて欲しいものだ。朝食はソバだったのだが、できた瞬間にコッヘルを落としてしまいパー・・・。仕方なく翌朝のラーメンを食べた。

テン場(7:05)⇒二俣(7:40)⇒奥千丈ノ滝上(11:15)⇒大岩で雨宿り(14:00〜40)⇒甲斐駒ヶ岳(16:20〜45)⇒七丈小屋(18:00)

坊主滝は右のルンゼから巻く。これまで荒れ気味だった沢も、坊主滝より上からはまたスッキリしてくる。幅の広いスラブ滝の連続だ。この頃にはもうガスが巻いてきてしまい、上のほうはガスで見えなくなってしまった。

二俣はスラブで出合う
尾白川ではツルツルだった岩も、だんだんとフリクションが効くようになってきた。水量が少ないから、磨かれ方も少ないのだろうか・・・?

いくつかスラブ滝を越えると、右俣と左俣がスラブ滝で出合う。このあたりはなかなかの見所だ。水量が少なく、迫力に欠けるのがたまに傷ってところか・・・。

右俣に入ってすぐの2段の滝は、下段はなんとか登れるが、上段は登れない。左岸を巻くことになるのだが、結構いやらしい。いやらしい斜面を登っていくと、上部で行き詰ってしまった。残置支点もあったが、このあとどう進めばよいのかわからなかった。

上は岩壁になっていて、それを越えるのは相当恐そう。一度懸垂で降りてから右岸に活路を見出そうと思ったところで、トラバースして落ち口に向かう薄い踏み跡を発見。なんでこれを見落としてしまったのだろう・・・。すんなりと落ち口へと行くことができた。しょーもないところで30分くらいもロスをこいてしまった。


奥千丈滝のはじまり?
このあといったん沢は荒れるが、いつの間にか立派な滝が出始める。そのうち滝が連続し始めた。どの滝からが奥千丈ノ滝だったのだろうか・・・。両岸はスラブで、水流はトイ状の流れの滝が連続。

クラックに手を入れて登ったり、細かいホールドを拾って登ったりと、大変楽しい滝登りが続く。シャワーになることも多いが、気温は高めなので苦にならない。残念なのは天気・・・。これが晴れていればきれいなのだろうが、如何せんガスが濃くて、次の滝くらいまでしか視界がない。

連続していた滝がいったんなくなり、幅広のきれいな滝が出てくると奥千丈の中間(だと思う)。これを越えると「逆くの字滝」が出てくる。ガイドによると、奥千丈の逆くの字滝が核心とあったので、心して滝に取り付く。・・・が、簡単。

逆くの字が終わると、また逆くの字。今度こそ核心かと思いきや、またまた楽勝で登れた。しつこく連続3度目の逆くの字。これまた苦労することなく登ることができた。どこが核心だったの・・・?と疑いたくなるような感じだった。

奥千丈は水流を登ることが多い
奥千丈(トイ状の滝)
奥千丈中間の立体的な滝

3つの逆くの字のあとに、左壁が大きなスラブとなったトイ状の滝(下の中央の写真)が出現。これは中間から上が苦労した。はじめは水流を登って行くのだが、途中で行き詰る。左のスラブのクラックを登ったのだが、フリクションぎりぎりで、ホールドも細かくてかなりいやらしい。落ちると痛そうなので、ドキドキしながらの登攀となった。T世さんを確保するためにいったんダケカンバの生えているところまで登り切り、ロープをセットしてゴボウで登ってきてもらった。手があれば楽勝で登れるのだ。どうみてもこの滝が核心であった。

後半1つ目の逆くの字滝
奥千丈最後の滝が核心だった
奥千丈の滝が終わると水が涸れる

核心の滝が終わると、水流は風前の灯となる。同時に奥千丈ノ滝が終了。大岩の積み重なるガレ沢となる。山頂までまだ700mくらいは残っているというのに、水を汲んでおくことに。また2キロ重くなってしまった。この頃から雷が鳴り出し、雨も降り始めてくる。この雷雨はしばらくでおさまった。

ツメのお花畑 10羽家族の雷鳥がいた
いったん明るくなった空だが、また暗くなってきた。今度はさっきにも増して暗く、半分ホワイトアウト状態に・・・。滝場は右岸を大きく巻く道を追ったが、沢芯は見ることができないし、周囲の地形はまったく見えない。

久しぶりに沢に降りたところで、とうとう激しい雷雨となる。奥の二俣っぽいところを左に進む。すると大岩に体が入れそうな隙間があり、そこで雨宿りし、この雷雨をやり過ごすことにした。

やり過ごすどころか、ますます雷雨は激しくなる。3秒に1度くらい雷がなっていた(大げさか・・・?)。時折、暗い空に稲妻が走り、地響きと共に轟音が押し寄せる。明日も休みにしていて良かった。今日下山しなければならなかったら、きっと焦っていただろうなあ・・・。

50分くらいの雨宿りの後、再び歩き始める。さっきまでガスで真っ白でわからなかったが、どうやら尾根に乗ってしまいそうな雰囲気だ。ということは、さっきのは奥の二俣ではなかったってことか・・・。このまま尾根を詰めようかとも思ったが、時間はあるので、また奥の二俣っぽいところまで戻ることにした。

やっとこさ稜線(山頂直下)に出た
奥の二俣っぽいところを今度は右へ進む。最初は狭いが、やがて広い沢状となり、そこを適当に登っていく。もう、どう登っても稜線には出れそうだ。お花畑らしきところには、10羽の子供を連れた雷鳥が、お花畑の花に食いついていた。

そこからひと登りで、甲斐駒の山頂直下に詰め上がった。南側はわりと展望があり、鳳凰三山と仙丈ヶ岳が少しだけ見えた。山頂を後にする直前には北岳も一瞬顔を出してくれた。

これなら十分明るいうちに七丈小屋に下れそうだ。結構疲れたが、1時間チョイで七丈小屋に到着。小屋で買ったビールを飲みながらテントを張った。


■7月26日(月)   雨   七丈小屋⇒竹宇駒ヶ岳神社

5時頃に起きた時は降っていなかった雨だが、朝食を食べる頃には本降りとなってしまった。天気予報は聞いてなかったが、まさか朝から雨とは思ってもいなかった。おかげで、テントの外に出していたものはずぶ濡れ。重量が加算されてしまった。

七丈小屋(6:20)⇒竹宇駒ヶ岳神社(9:50)

テントもザックもビショ濡れのため、最終日の荷物とは思えないほど重い。刃渡りを通過したところで、T世さんと別行動。ボクが先に下りて、車の回収をしておくことに。雨は強弱を繰り返しながら降り続く。足元が悪く、荷物も重いため、思うようなスピードで下山することができない。それでもコースタイムが甘いのか、コースタイムの半分くらいのタイムで登山口まで降りることができた。

キャンプ場の売店の店先にザックを置かせてもらい、自転車で日向山の登山口に向かう。距離は6キロだが、標高差が400m近くある山登り。登りの勾配がきつくなったら、自転車を置いて歩こうとも思っていたが、時々出てくる緩やかな傾斜の所では、自転車のほうが断然早い。なので、あまりに急な所だけ自転車を押して、あとは頑張ってこぎ続けた。あと1キロの看板のところで、もう歩いても10分そこそこあれば着くだろうと、自転車を置いて歩く。最低1時間はかかると予想していたが、40分ほどで片付けることができた。タクシー代3000円は意外とあっさり稼ぐことができた。

ザックを置かせてもらった売店で、温泉は塩沢温泉(白州町)を勧められた。行ってみると、月曜定休・・・・ガックシ。仕方なく蔦木の道の駅の温泉に入った。道の駅の温泉なので、さぞかしショボイと思っていたら、かなり設備の整った立派な温泉だった。そのあと、オープンしたばっかりの「かもしかスポーツ松本店」に立ち寄る。


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