16日目 双六⇒黒部五郎小舎

  きのうの夕方から午前中にかけて、ものすごい大雨&強風!午後はウソのように晴れた。

北アルプス全山縦走 目次  概念図   16日目  ⇒ 黒部五郎小舎〜薬師峠
8月7日(金) 天気: 大雨のち晴れ
双六(11:35発)⇒双六岳(12:28〜43)⇒三俣蓮華岳(13:33〜50)⇒黒部五郎小舎(14:50着)

夜中はものすごい風と雨。ここは風の通り道になっているのだろう。4時に起きたがこんな天気、今日は黒部五郎小舎までは4時間半の行程なのでまた寝た。5時に起きた時も、依然として暴風雨。テントの中にいても稲光がわかった。ラジオを聞いていると、大雨のニュースをやっている。前線が日本海中部から東北地方にかけて停滞していて、福井、石川、富山に大雨洪水警報が出ているようだ。ただ、雨は午前中が中心で、午後からは晴れてくるという。山はどうか・・・。

今になって思うと、良い位置にテントを張ったものだ。斜めで落ち着かないものの、全く水が入ってこない。雨が小降りになった時には、少し横に水の通り道があり、そこをジャージャーと水が流れているのが聞こえる。雨の止み間をついてトイレに行く。このスキに新穂高へ下山すると思われる人が、続々と出発していった。トイレからでようとした時に、またザーッと降り出し、トイレから出るに出られなくなってしまった。

8時頃は大雨のピークだった。近くのテントが一張りつぶされた。ボクのテントも風にあおられてしなっている。寝転んだ状態で、手と足を突っ張ってテントを支えていた。ラジオでは大雨のニュースばかり。神岡町では1時間に38ミリ降ったようだ。ここも神岡町か・・・。そして8時45分、大雨洪水警報が解除された。しかし、ここは依然として暴風雨だ。9時過ぎに近くで騒ぎ声がしているので見ると、大雨の中カッパも着ずにテントに出てきて、なにやら大騒ぎしていた。焼け石に水かもしれないが、相変わらず手と足でテントを支える。

10時頃になって、外はだいぶ明るくなってきた。外を見てみると、空はだいぶ雲が途切れ途切れになってきている。このあと一気にテントが減っていった。停滞組もかなりありそうだ。ボクも出発の準備に取りかかる。

11時半過ぎに出発。天気はみるみる回復してきて、振り返ると槍も姿を見せていた。裏銀方面の山々も全部見えている。黒部五郎方面からの人とすれ違った。三俣への登りはまるで沢登りのようだった、と言っていた。双六岳に着くと、槍の穂先にガスが・・・。

三俣蓮華岳から硫黄尾根 三俣蓮華岳から鷲羽岳

三俣蓮華岳には30人くらいの人でごった返していた。空身やサブザックで登ってきている人が目立つ。今日は停滞で、天気が良くなったから登ってきたのだろう。展望は今回の縦走の中でも随一ではないかと思われるほどの絶景。ホントに朝の天気からは考えられない。まさに天国から地獄だ。

三俣蓮華岳から黒部源流と水晶岳 三俣蓮華岳から槍ヶ岳
三俣蓮華岳から黒部五郎岳 三俣蓮華岳の伸びやかな尾根

眺めの良い尾根歩き。雲ノ平越しの赤牛岳が素晴らしい。なんだか赤牛岳を見るとゾクゾクとしてしまう。樹林帯に入ると、新しそうな倒木が2本。今朝の風で倒れたのかもしれない。

黒部五郎のテン場は少し緩め。でも、雨が上がったあと晴れてくれなかったら、もっとぬかるんでいたことだろう。朝の大雨の時はどうなることかと思ったが、結果的には予定通りに黒部五郎小舎まで来ることができた。

天気が良くなってきたので、サンダルのまま樅沢岳に行く。頂上からは双六岳、鷲羽岳はよく見えたが、槍や笠にはずっと雲がまとわりついていた。高台には2人いて、ずっとガスの方を眺めていた。あきらめて帰ろうとした時に、「出ましたよ!」と、その2人の声。見ると、ガスの中に槍の穂先だけが浮かんでいた。その上下左右ともガスなのに、穂先の部分だけが見えていて、すごい幻想的な光景だった。額縁に収まった絵のようだった。この2人は、双六小屋の食堂に飾ってある、ここからの写真に感動して、ここからシャッターを切るまでは粘るという。鷲羽とかは見えていたが、1発目のシャッターは槍と決めているようで、他の山には目もくれてなかった。一緒になって粘ったが、槍が出たのはあれっきりだった。


⇒ 黒部五郎小舎〜薬師峠
1、白沢登山口〜餓鬼岳
2、餓鬼岳〜唐沢岳〜餓鬼岳
3、餓鬼岳〜燕岳〜大天井岳
4、大天井岳〜殺生ヒュッテ
5、殺生ヒュッテ〜槍ヶ岳〜北穂高岳
6、停滞
7、北穂高岳〜奥穂高岳⇔前穂高岳
8、奥穂高岳〜前穂高岳〜上高地
9、上高地〜西穂高岳〜焼岳〜上高地
10、上高地〜徳本峠⇔霞沢岳
11、徳本峠〜大滝山〜蝶ヶ岳
12、蝶ヶ岳〜常念乗越
13、常念乗越〜大天井岳〜西岳
14、西岳〜槍ヶ岳〜双六岳
15、双六〜笠ヶ岳〜双六
16、双六〜黒部平
17、黒部平〜薬師峠
18、薬師峠〜スゴ乗越〜五色ヶ原
19、五色ヶ原〜雷鳥平
20、雷鳥平〜大日岳〜称名平
21、称名平〜上市駅〜立山駅
22、立山駅〜室堂〜剣沢
23、剣沢〜剣岳〜剣沢
24、剣沢〜立山〜タンボ平
25、タンボ平〜黒部ダム〜家
26、家で待機
27、家で待機
28、家〜扇沢〜針ノ木峠
29、針ノ木峠〜蓮華岳〜船窪
30、船窪〜烏帽子岳
31、烏帽子岳〜野口五郎岳〜雲ノ平
32、雲ノ平〜高天原〜三俣
33、三俣〜水晶岳〜赤牛岳〜平
34、平〜黒部ダム〜扇沢
35、扇沢〜針ノ木峠
36、針ノ木峠〜種池〜冷池
37、冷池〜鹿島槍〜五竜岳〜白岳
38、白岳〜唐松岳〜白馬岳
39、白馬岳〜雪倉岳〜朝日岳
40、朝日岳〜黒岩山〜栂海山荘
41、栂海山荘〜白鳥山〜親不知の海岸
42、親不知の海岸〜親不知駅