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鋸岳から甲斐駒ヶ岳
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山域 | 南アルプス 鋸岳、甲斐駒ヶ岳 |
山行日時 | 2011年9月10日〜11日 |
登山形態 | 縦走 |
天気 | 1日目: 晴れのち曇り 2日目: 晴れのち曇り |
メンバー | 単独 |
温泉 | 家 |
2004年11月の敗退のあと、いつも頭の片隅に鋸岳はあったけど、なかなか実行まではいかなかった。それほど行きたい山というわけではなかったのかもしれない。昨年、白峰南嶺に赤線を引くことができ、南アルプスの残る主な稜線は甲斐駒の六合石室から鋸岳の間だけとなった。ま、行くしかない状況ですわね・・・。 ◆9月10日(土) 戸台⇒角兵衛沢⇒鋸岳⇒中ノ川乗越 晴れのち曇り何の気なしに鋸岳から甲斐駒ヶ岳にしたけど、実際に行ってみて逆コースが随分と楽だったかな・・・と感じた。
戸台の登山口には先客の車が4台。全部山とは限らないけど・・・。歩き始めるとしばらくで老夫婦っぽい2人組が戻ってきた。作業道が崩壊していて、その先の渡渉ができないと思ったから引き返したとのこと。3度目の渡渉は対岸まで2歩必要。ここはアメンボのごとく走るように駆け抜けて濡れずに渡渉。ボクの前にいた単独の男の人は、ここから姿を見なかったので引き返した模様。最終堰堤の手前で、またもや戻ってくる単独の男の人。「堰堤の先の渡渉、オレには無理です」と引き返してきた。堰堤の先にどんな渡渉が待っているのか楽しみに行ってみると、さすがにここは靴を履いたままでは無理。サンダルに履き替えてジャブジャブと渡渉した。みんな戻ってくるがな・・・。しかも、みんな日帰りの荷物。日帰りで鋸岳の第1高点だけをピストンするつもりだったんでしょう。
角兵衛沢で対岸に渡る。ここで降りてきた高年4人組みが決死の渡渉を終えて、ホッと一息入れているところだった。長い流木を命綱代わりに渡して渡渉し、なんとか濡らしたのは太ももまですんだと力を込めて話していた。4人を横目に飛び石で難なく渡渉。角兵衛沢に入る前に水を5リットル汲んでおく。やれやれ・・・
しばらく深い針葉樹の中を歩く。ロケーションはつまらんが、暑くないので助かる。ひたすら登ると右に大岩壁。ここが岩小屋か。水場は岩壁の基部にありそうだが、面倒なので行かずに通過。樹林帯はここまでで、ここからは岩壁を回り込むようにガレガレ登りのはじまり。
ここからガレを延々と登ることになる。踏み跡っぽいところと大きめの岩は比較的安定している。できるだけそんな場所を狙うのだが、いつの間にかはずしてしまっていてアリ地獄に陥る。小石が積もっているところでは、足を踏み込むと斜面全体が崩れ落ちる感じ。
足元が不安定なので太ももの筋肉の負担が大きい。上半身も不安定になるので拾った木の枝を杖替わりに持つ。角兵衛沢の登りはストック二刀流が有効だと思った。今まで山を歩いていて足がつったことはなかったが、今日ここで初めてスネの外側の筋肉がつってしまった。年食ったか・・・
角兵衛沢のコルまでで疲れ切ってしまった・・・。稜線に出て安定した道になるが、傾斜が強いので太ももに堪える。ヨレヨレになりながら第1高点に着いた。登山口がほぼ標高1000mなので、すでに1700m近く登ったことになる。この先もアップダウンが一杯ありそうで、思いやられる。
山頂には若者4人組が。これで戸台の駐車場の車4台が全て判明。4パーテー中3パーティーが渡渉で敗退ってこと・・・?ゆっくりと太ももを休めるつもりだったけど、この4人とのスタンスを考えて早目に出ることにする。ほんの今まで晴れていたはずなのに、稜線には雲がかかり始めてきてしまった。
ここからが鋸岳の核心ということになる。まずは普通の道をスタスタを下る。下り切ったところが小ギャップと呼ばれる場所。対岸には長〜い鎖が垂れ下がっている。まずはここを下ることになるのだが、ここの斜度は気持ち的には垂直。思ったよりも難しい岩場で、足を置く場所を探すのが大変だった。
登りならそれほど難しくないなあ・・・と思いながら下っていた。ここが一番難しかったところかな。登りに取り付く。鎖のラインは岩場で凸凹が乏しいので、右の泥と草付きにステップが切ってあるところを登る。中間くらいで鎖の左側にトラバースしたんだったっけ・・・。
登り切るとナイフリッジの岩稜。4人組が小ギャップに向けて降りてきた。4人とも達者ならロープ不要だろうけど、どうだろう・・・?このナイフリッジはどう行くのか・・・?岩稜上を進みたいところだが、稜線の左側の樹林の中に踏み跡があったので、まずここから攻めてみる。すると穴が開いていた。鹿窓。なんのこっちゃ・・・という感じ。
鹿窓からは長い鎖が垂れ下がっている。20〜30mくらいあるんかいな・・・。小ギャップよりも斜度はあるが、やはり下り始めて少しのところに核心がある。こういうのが苦手な人は苦労するだろうなあ・・・。鎖に頼って下ることになるのだが、あまり鎖を動かすと落石を起こして、自分に降ってくるので注意が必要。
ガラガラのルンゼをガラガラと落しながら下る。途中で対岸をトラバースする踏み跡があったけど、これは違うっぽい。さらにさらに下る。こんなに下ってもええんかいな・・・ってくらい下った。後続の4人組が鹿窓に来る前にルンゼから脱出しておきたいと、頑張って下っていった。
鹿窓のルンゼをトラバース。対岸は険しいけど大丈夫なんかなあ・・・。巧みにトラバースしていき、大ギャップのルンゼもトラバースし、草と土と樹林の斜面をひたすら登る。勘弁して欲しいくらいの登り。下ったぶんだけは登ることになる。途中から鹿窓からの鎖が見えてくる。4人組はまだ来ないなあ・・・。
途中で一度力尽き、立ち止まり休憩。さらに登ると第2高点に着いた。ここからも鹿窓の下りルートが見えるけど、未だに4人組は来ない。小ギャップで苦労しているのかなあ・・・?第2高点は眺めが良さそうだけど、あいにく湧き上がる雲が多くなってしまった。甲斐駒は見えない。
第2高点を後にする。これでもかってほど下る。ガラガラルンゼを下り切ったところが中ノ川乗越。先客がいた。甲斐駒方面からだった。時間は2時半。時間的には六合石室まで可能。後からは4人組もいる。でも、もう疲れた。予定も中ノ川乗越までだし。ということで本日はこれにて終了。
ビールを飲みながらテントを立てる。テントにポールを差し込む時にポールがビールをヒット!転がるビールをすぐに拾い上げる。それほどこぼれなかったけど、泡だらけになり美味しくないビールになってしまった。ちびりちびりと1人宴会をしていると、4時半くらいになって4人組が到着。鎖のあるところは全てロープを出して時間を食い、昼飯の時間も取っていたから遅くなったとのこと。で、テントはなんと4人で4張りだそうな・・・。大規模造成で4張り完了。中ノ川乗越に6張りのテントが張られたのでした。 1日目で鋸岳の核心部を越えた。感想は・・・・・・少々ガッカリ。ギザギザの岩稜である鋸岳なのに、ルートに岩稜の部分が少な過ぎ。そんでもって鎖場だけ極端に難易度が高い。鹿窓から第2高点までは全て巻きだし・・・。それなりの準備をして、稜線通しにこだわったほうが充実するでしょうね。鋸岳の稜線が樹林帯を抜け切ってないないのも、スッキリ感に欠ける理由かもしれないなあ・・・。 |
◆9月11日(日) 中ノ川乗越⇒甲斐駒ヶ岳⇒北沢峠 晴れのち曇り9月の中旬になろうとしているのに、クソ暑い夜。半袖のまま寝て、寝袋には入らずに掛け布団のようにして朝まで寝た。石がゴロゴロでゴツゴツの地面とクソ暑さ、そして眩しいくらいの月明かりで熟睡できなかった。目覚ましの前に4人組が動き出して目が覚める。
眼は覚めたものの動くのが面倒で、5時までゴロゴロしていた。天気はスカッ晴れ!昨日みたいに早めに雲が上がってくるかもしれないので早めに動こう。スイッチが入ってテキパキと朝の準備をする。
4人組はとっくに出発し、これから鋸岳に向かう単独の人も出ていった。さてと、ボクも歩き出しますかね。いきなりの急登りはウォーミングアップを通り越してオーバーヒート寸前。しかし、登るにつれて鋸岳の第2高点が立派になっていく。
パッとしない稜線を歩くようになるけど、時々開けた場所があって、仙丈ヶ岳や鋸岳がキレイに見える。これから目指す甲斐駒は逆光でしら〜っとしてて残念。中ノ川乗越からの大登りのあとは、アップダウンはあるけど小さい。甲斐駒がどんどんと近付き、鋸岳があれよあれよと離れていく。
途中で4人組(?)の中高年グループとすれ違う。これ以降は誰ともすれ違わなかったので、きのうの六合石室は4人のみってこと・・・?疲れたのもあったけど、混むのを嫌って六合石室まで行くのを控えたのに・・・。六合石室手前の裸地で4人組に追い付く。2004年に泊まった場所だ。水を汲みに行っていたみたい。4人組は黒戸尾根を下るとのこと。
新しくなったらしい六合石室を覗きにいく。床が貼り直され、屋根も補修されていて十分泊まれるようになっている。以前は床は抜けてて屋根はガタガタで、そこらのお化け屋敷よりも恐いくらいだったのだが・・・。
さて、六合石室まで歩いたってことで、南アルプスの主稜線から鋸岳までつながった。これで南アルプスの主な稜線に線が引けたことになる。細かいことを言えば深南部や布引山から山伏などがあるけど、ボク的には南は光岳と笊ヶ岳まででいいかなと思っている。確かに南アルプスの続きではあるけど、アルプスって感じではないですから。あとは歩いたことのない枝に当たる道や積雪期、沢登りなどで訪れたいと思っている。
六合石室手前の裸地から雰囲気がガラリと変わる。鋸岳あたりは、なんていうんでしょうか普通の岩だけど、ここから甲斐駒ですと言わんばかりに明るい花崗岩になる。少し登ると森林限界となり、解放感満点の稜線に。消化不良気味だった鋸岳だったが、ここに来て挽回ムード。
森林限界上はウラシマツツジなどが赤くなってきていました。9月に入って冷え込む日もあったけど、それ以降は夏に戻ったような陽気が続いている。このままだと紅葉は遅れてしまうんかいな・・・。今朝は概ね晴れなのに、八ヶ岳との間にある雲だけは取れない。八ヶ岳は近いはずなのに、昨日から一度もお目にかかっていない。
六合石室から甲斐駒の間は踏み跡は薄いけど、困るほどのものではない。また、一ヶ所けっこうな岩場があるけど、鎖が垂れ下がっているのでなんとかなる。六合石室からは思ったよりも時間がかかって甲斐駒に着いた。これまでのマイナーな山域から、一気に超が付くほどのメジャーなエリアに突入だ。ここも例に漏れず、若い娘が多かった。最近では若いツガイも多いように感じるが、どうなんでしょ?
さて、北沢峠発のバスは午後1時。今は9時半。1時間は余るなあ・・・。甲斐駒山頂でゆっくりすることも考えたけど、なんだか騒々しい。もしかしたら臨時のバスが12時くらいに出るかも・・・・と勝手に想像し、甲斐駒は小休止程度にしといて下山開始。ジグザグの白砂斜面を下り、六方石を越えて駒津峰。ここで甲斐駒も見納め。地形的にも見納めだったが、このあと天気も悪くなり、高い山は雲に覆われてしまった。
双児山経由で下ることにした。仙水峠経由よりも人気ないのかなあ・・・。甲斐駒山頂の賑わいからすると人が少ない。双児山の登りで疲れたけど、12時15分前には北沢峠に到着。伊那市の車にいたおっさんに聞くと、12時に臨時便は出すけど、団体さんで一杯になってしまうみたい。そのあと人が集まれば臨時便を出すとのこと。
きのから行動食をほとんど食べていない。小屋でビールを買ってツマミを開けた。臨時便が出たのは12時半くらいだったかな。30分早く降りることができたからラッキーと思いましょう。バスは仙流荘まで行かずに戸台大橋で降りる。そこから10分チョイで車へ。車は川沿いの道は通れないけど、歩きなら通ることができるのでした。 一応、今回は六合石室から鋸岳をつなげるための山行で、もちろんメインは鋸岳。途中でも書いたけど、なんだか煮え切らない感じ。悪くはないけど、満足はできない・・・みたいな。そんな鋸岳に比べて、甲斐駒はすでに9回目になるけど、良い山は何べん行っても良い山と感じるんだなあ・・・と思った。
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