仙丈ヶ岳



1999年の正月は仙丈ヶ岳へ!


■1999年1月1日(金)〜2日(土) ■南アルプス 仙丈ヶ岳 ■メンバー:単独
 コースタイム  ■1日目 戸台(9:05)⇒丹渓山荘(11時前)⇒北沢峠(13:08)
■2日目 北沢峠(6:35)⇒小仙丈(8:54〜9:05)⇒仙丈ヶ岳(9:53〜10:20)⇒北沢峠(11:30〜12:05)⇒丹渓山荘(13:07〜20)⇒戸台(14:51)

今回の山行は本当は12月30,31の予定だった。が、前日の忘年会で朝帰りとなり、また天気も荒れそうだったので延期にした。M国さんたちは1,2,3日で来るというので、4,5日あたりで考えていた。31日の夜、急にM国さんが2,3,4,5日で一人で来ることになった。これだと山に行けないことになる。そこで、M国さんには2日の夕方に来てもらうことにして、ボクは1日、2日で行くことにした。そう決めたのが、31日の夜10時ごろ。慌てて準備をした。

■主な装備

テント、シュラフ#3、シュラフカバー、ピッケル、アイゼン、スパッツ、ストック、サブザック、テントマット、個人マット、コッヘル、ランタン、カップ、ストーブ×2、カートリッジ×2、マンパ、オーバーパンツ、フリース×2、アンダーシャツ、タイツ、ラテラズボン、スウェット、長袖シャツ、手袋、オーバー手袋、帽子、ネックウォーマー、タオル、雑巾、カイロ×3、米、レトルトカレー、ラーメン、ガーリックリゾット、スープ、みそ汁、コーヒー×3、酒(約300ml)、テルモス、 重量=約22kg

初の冬季テント山行ということで、装備は慎重に選んだ。基本的には甲斐駒の時と同じだが、その時と比べると格段に寒くなっていそうなので、そのへんに念を入れた。とくに、テント内での保温。ダウンジャケットとか冬用のシュラフがないので、フリース2枚重ねとか、ラテラの上にスウェットとか、カイロとか・・・。果たしてこの程度のもので寒さに耐えられるのかどうかわからないが、一度行ってみないことには反省点も出てこない。とにかく今回は失敗しても、次に生かせることができればいいだろう。

■1月1日(金) 戸台⇒北沢峠 快晴!

余裕をかまして6時に起床。きのうの雪から、打って変わって快晴。出る時、白い常念に朝日が当たり、紅く染まった、燕より北の山は雲をかぶっていた。初日の出は松本の農道で見ることができた。高遠あたりで道をまちがえて少しロスタイム。まあ、今日の行程はコースタイムで6時間弱なので、どうってことはないだろう。

■戸台出発(9:05)

快晴は続いている。服装は上はアンダー+長袖シャツ+フリース。下はタイツ+ラテラ、そして手袋をしていた。ちなみに河原の駐車場は満車だった。登山道の入り口では警察とかが出ていて補導していた。登山者カードに行程などを記入。単独行だったので一言いわれるかなと思ったが、たくさん人は入っているのでルートには問題ないと言われただけだった。広い戸台川の右岸の車道を延々と歩く。常に正面には甲斐駒が見えていた。パラパラと下山の人とすれ違った。この人たちはいったいどこから来たのだろう。北沢峠にしては早いように思うし、まさか丹渓山荘・・・という気もするし。このあたりは雪はほとんどなく。たまにまぶしたような程度だ。砂防ダムをいくつか越えた。越える時、坂が急になるのでしんどい。

■小休止(10:08)

「カミニゴリサワ入口」と赤ペンキで岩に書いてあるとこで1回目の休憩。只今の気温はマイナス7℃。河原の奥には甲斐駒と駒津峰が見えている。地図を見ていると、この河原歩きはまだまだ続きそうだ。

■出発(10:18)

鋸へ向かう道の分岐があった。このルートから鋸へ向かうルートは何本かあるが、どれが一番一般的なんだろう。一度は行っておかないといけない山だ。景色は全く違うが、このルートはなんだか上高地から涸沢に向かう感じだ。丹渓山荘に近づくにつれて徐々に傾斜が増してきた。この河原歩きで標高差を約500mかせぐ。この点が上高地と違うところだ。山荘付近には、たくさんのテントがあってビックリ。北沢峠のテン場はどうなのだろう。

■八丁坂取り付き(11:08〜22)

丹渓山荘はどこにあるかわからなかった。初めて登りの人をとらえて、少し差を広げてから休憩。ここで−3℃。朝飯の残りのスティックパンを2本食べた。

八丁坂はジグザグ登り。斜度も緩めでそれほど標高差もなく、たいしてしんどくはなかった。それが終わるとなだらかな道が続いた。この間、4〜5パーティーは抜いた。思いがけず林道に出る。樹林の途切れたところには、やっと道に雪がつきだしてきた。しかし、木のあるところにはまだ雪はない。

■小休止(11:23〜32)

2つ目の林道を渡って、ちょっと登ったところで小休止とした。−7℃。このぶんだと、わりと早く着きそうだ。地図を見てみると、さっきの林道は南アルプス林道ではなく、地図にも載ってないただの林道だった。今度はちゃんと南アルプス林道に出て、そこには大平山荘があった。このあたりから急に雪が多くなってきて、北沢峠付近は20〜30センチくらいの積雪だった。

■テン場(13:08)

テン場に着くと、テントの花。30張りくらいはあったのではないか。さっそくスペース探し。テントが張ってあったと思われる部分は、デコボコになっていて凍っている。ひと回りしてみたが、ここというところはみつからなかったので、わりと便所に近いところに決め、ザックを降ろした。テン場は地面は堅くて、新雪の上に張れるところは、全く残っていなかった。新雪パフパフの上に張れることを少しは期待していたのだが・・・・。

■テント設営(13:30頃)

周りはどうやって地面と固定しているのかとキョロキョロ。木の枝を地面にぶっ刺して、それに綱を付けている人、石に付けている人、あとはよく見えなかったが普通のペグでやってる人・・・と様々。石があれば一番良かったが、もうない。下が堅くて用意してきた十字のアンカーは使えそうもない。結局、夏用のペグでとりあえずは建てた。テントの本体を建てているところ、少し強めの風が吹いてちょっとイヤだった。

■テント受付

テントを張った後、小屋に受付に行く。ついでに水用の雪を用意するためにビニール袋を持って行ったが、水は出ているとのこと。行ってみると湧水が出ていた。ついでに、ペグに使える物として、鉄筋棒と細長い石を拾ってきて、風上側に使った。

■テント内へ

プラブーツのアウターだけ脱ぎ、インナーは履いたままで中に入った。日が当たっているとテントの中は暖かく、10度くらいにはなっていた。ラジオで天皇杯のサッカーを聞きながらくつろいでいた。早く着きすぎてヒマである。テルモスのホットコーヒーを飲み、残りのパンとおにぎりを食べた。ラジオを聞きながら少しウトウトしてしまった。2時40分くらいには日は山に落ち、急に寒くなった。ランタンを点けた。ランタンは調子が悪いのか、弱火にしかならなかった。甲斐駒の時は大丈夫だったのだが・・・。

■トイレへ

今大会限りでマリノスに吸収されてしまうフリューゲルスは、有終の美を飾り見事優勝。それを聞き届けた後トイレに行く。本日のトイレはあと1回にしたいもんだ。夏も億劫だが、冬はさらに輪をかけて億劫だ。夜中にしたくなって目を覚ましたくはない。

■夕食

メニューはカレーとみそ汁。寒かったので、持って来ていた服を着込む。上…フリース2枚、長袖シャツ、アンダー、下…スウェット、ラテラ、タイツ。今回はカイロを4つ持って来ている。ちょうど4時だったので気象通報を聞く。天気図がないとなんの参考にもならない・・・。

■夕食後(16:30頃〜)

夕食後は日本酒を沸かして飲む。つまみは柿の種。夕焼けアタックルを聞いていた。5時半頃、最後のトイレにしようと行く。外の気温はすでに−10℃。明日の朝はいったい何度まで下がっていることか。足のつま先が異常に冷たい。そこで、2枚履いている靴下の間にカイロを入れた。温まってくるとすごく快適だった。次回からもこれは使えそうだ。日本酒の第二弾をわかし、柿の種も2袋目に。

フライシートの内側は霜でパリパリになっていた。テントの中はランタンで+5℃くらいにはなった。さっきのトイレから1時間くらいで、またしたくなって行く。靴下にインナーは履かず、アウターだけ履いて行った。そのあと寝に就こうとする。

■1月2日(土) 戸台⇒北沢峠 晴れのち曇り時々雪

夕べは寝付けなかった、2時頃は眠かったのに、寝る時間になると寝れない最悪のパターン。甲斐駒の時と同じだ。夜中の12時半ごろにもよおす。しばらく我慢していたが、1時ごろにトイレへ。外は月と雪明かりですごく明るかった。ヘッドランプなしで歩けそうなほどだった。テントに戻り水を飲もうとしたら、ポリタンの水はだいぶ凍っていた。着込んでいたので#3のシュラフでもそこそこいけそうだった。ただ、朝方になるにつれてかなり寒くなっていった。ダウンのシュラフかジャケットが欲しいものだ。

■起床(4:40)

目覚ましの5時よりは早く起きた。というよりも、何度も目を覚ましていて、早く朝にならないかと思っていた。テント内は−7℃だった。外の気温を測ってみると−15℃だった。そしてまたトイレに行く。本当に億劫だ。夕方ごろにコーヒーやみそ汁、そして日本酒と、水分をとり過ぎたのがまずかったのかもしれない。今後は気を付けよう。天気の方は、夜中は少し曇っていたが、今はだいたい晴れている。

■朝メシ

火をたくとテントの中は暖まる。ラーメンとコーヒーが朝食。朝食を作り終わったあとも、湯を沸かして暖をとっていた。そして、途中腹が減らないようにと、チョコのクッキーを食べておいた。

■出発準備

仙丈へはサブザックで行くのだが、残りの荷物をどうするかでずっと悩んでいた。テントを張ったまま山頂に行き、降りてからたたむか、朝のうちにテントをたたみ、どこかに荷物をデポして山頂に向かうか…。結局は前者にした。格好は上…アンダー、長袖、フリース、下…タイツ、ラテラ、オーバーパンツ。荷物はサブザックに水(500ml)、テルモス、マンパ、オーバー手袋、帽子、首巻、電話、財布、ピッケル、ストック、メモ、ペン、地図、コンパス、温度計、灰皿、行動食、カメラ。

■北沢峠テン場出発(6:35)

二合目に合流する道を登る。一応道には雪がついており、下りはグリセードが楽しめそうだ。ジグザグの道に、一直線に尻セードした跡があった。足は快調で、どこまででも歩けそうだった。でも、適当なところでやめておかないと、甲斐駒の二の舞になってしまう。途中、振り返ってみると甲斐駒と栗沢山が見えた。そして、進行方向左手に鋭い高い山が見えた。なんだ・・・?と一瞬思ったが、すぐに北岳とわかった。だが、登るにつれてだんだんと北の空が暗くなってきた。なんとか山頂まで今の天気でいてくれてほしいものだ。何人かをごぼう抜き。

■4合目(7:37〜48)

天気はさらに悪くなってきて、小雪も降り出してきた。さっきまでハッキリ見えていた甲斐駒も薄くなってきた。気温は−10℃。藪沢への道はロープが張ってあった。冬は通行禁止なのだろう。小仙丈までは一気に行きたいが、アイゼンを着けての急登は足首が曲がらずにキツイ。途中テントが張ってあった。初日にここまで来ておいて、次の日の仙丈から下山までを楽にしたいのだろう。

■小休止(8:20〜28)

小仙丈まで行くつもりだったが、ここで止まる。体力的にはまだ大丈夫だったが、森林限界に出て、風もあって寒かったため、ここでパーカーを着た。止まりたくはなかったが、フリースのままで小仙丈まで行くのはちょっとつらい。テルモスのホットコーヒーを飲む。ここの気温は−12℃。

たまに日も差すようになってきた。一気に悪天になるような感じでもなさそうだ。どんな気圧配置になっているかが問題だ。きのうの晴天でいったん冬型は崩れていると思うので、この感じだと冬型の合間に小さな気圧の谷が来ているのではないか。あと考えられるのは、冬型の初期ということだ。森林限界後の小仙丈への急登はきつかった。

■小仙丈(8:54〜9:05)

小仙丈に着く。天気は小雪。気温は−14℃とかなり寒い。展望もイマイチで甲斐駒は見えたり隠れたりだ。北岳は厚い雲の無効になってしまっている。仙丈の山頂はとりあえず見えていた。何枚か写真を撮った。ホットコーヒーを飲むが、寒さでだいぶぬるくなってしまった。

ここからはオーバー手袋もする。これであと首巻きだけしたら完全装備だ。少しのアップダウンを繰り返しながら、純白の稜線を山頂に向けて歩く。雪はさほど多くなはないと思うが、春の少し汚れた白とちがい、雪は真っ白で真冬というのが実感できる。フリースのポケットにカメラを入れておき、写真を撮りながら歩いていた。天気は少しマシになってきて、晴れ間も出てきた。

■仙丈ヶ岳山頂(9:53〜10:20)

1人先客がいただけだった。北沢峠にはあれだけたくさんの人がいたのに・・・。みんな甲斐駒に登っているのか、それともみんなもう下山するのか、はたまた今ここに向かって登っているのか・・・。ひと通り写真撮影。大仙丈への稜線はいい感じだ。それをバックに写真を撮ってもらった。着いた時には伊那谷も見えていて、良くなるかと思っていたが、まがガスっぽくなってきた。もう1人の人はそこそこで下山。1人になり腹ごしらえをしようと思ってソーセージを出す。しかし、凍っていて皮がむきにくい。そして、噛んでみると凍っていて、歯ごたえはシャーベット。味は薄くて全然おいしくない。3分の2くらい無理して食べたが、まずくてあとはやめてしまった。寒い時の行動食は考える余地がある。M国さんはどこまで来ているか電話をかけてみるが、通じない。アンテナは立っているのに・・・・。充電したばかりの電池なのに、電池のレベルは2になっていた。カメラの方も電池交換マークが出ていた。そうこうしているうちに、また雪になってきて、視界も悪くなってきた。

■山頂出発

10時くらいに山頂を出て、12時くらいに北沢峠に着く、というのが構想だったが、登りのタイムが少しかかってしまった。でもまあ、下り2時間で降りれれば、12時20分に北沢峠、1時に出れば5時には戸台に着くだろう。小仙丈から山頂まで50分近くかかったところを25分で下る。パイペースで歩いていたが、アイゼンを引っ掛けることだけは注意していた。あとはどこでアイゼンをはずすかだ。

■小休止(10:58〜11:05)

小仙丈は通過し、森林限界上の急登のとこもアイゼンは着けたままで下った。そして樹林帯に入ったところでアイゼンをはずした。パーカーも脱ぎ、帽子、オーバー手袋もはずす。−8度。

ここからはグリセード天国。とにかく早かった。ただ、登りの時に感じたほどの傾斜はなく、後半はグリセードできるところが少なかった。緩いところは走っていた。2合目で北沢峠への道から分かれ、途中のジグザグのとこでは尻セードもした。時計をちょこちょこ見ながら、もしかしたら1時間を切れるかもと思ったが、ちょっと無理だった。結局は1時間10分かかった。でも、山頂からその気になっていたら、1時間を切ることができたのでは・・・。テン場に行く前に水を補給した。

■北沢峠テン場(11:30)

それにしても早く着いたもんだ。このころから本格的な雪になってきた。テントをたたんでいる間にも、荷物に雪が乗った。テント数は昨日に比べてだいぶ減っていた。大みそかと元日が入込みは一番多そうだ。山で年を越そうというのだろう。ペグの方が冷え込みで堅く締まっていて手では抜けず、ピッケルで抜いた。ペグを刺した直後は水の幕のためかスッと抜けるが、冷えてその水が凍ると抜けなくなるようだった。テントの壁は霜がたくさん付いていて、グランドシートは地面に貼り付いていた。乾かしたい気分もあったが、お構いなしで詰め込んだ。

■北沢峠出発(12:05)

上…アンダー、長シャツ、フリース、手袋、帽子、下…タイツ、ラテラ、オーバーパンツといった格好で出発。オーバーパンツは脱いでいきたかったが、とりあえずはいたまま。雪が降っていたので帽子をかぶった。ここからもハイペースで下っていく。雪が消え、八丁坂くらいまでくると暑くなってきた。丹渓山荘まで休みたくなかったので、ガマンして歩いた。八丁坂の下りでは、6分/100mで下った。

■丹渓山荘(13:07〜13:20)

ここでオーバーパンツ、中に着ていた長シャツ、そしてスパッツ、帽子を脱ぐ。ここでも小雪が降っていて、気温は0℃。登る時、ここにたくさんあったテントを見て不思議に思ったが、それは解決(多分)。ヘルメットを持った人を見て、鋸岳に登る人たちなんだとわかった(多分)。

ここから延々と続く河原歩き。だるい・・・。ただ、そこそこの傾斜のある下りの河原なので、登りの時よりも楽だろう。実際、いいリズムで快調に歩けた。ところが、プラブーツで河原を飛ばしたため、左足の内側のくるぶしにマメができてしまった。

■小休止(14:14〜21)

3つめの砂防ダムで小休止。本当は地図のコースタイムのポイントになっている2つ目のダムで休みたかったが、2人組がいたのでさらに歩いたのだった。チョコクッキーの残りを食べた。とにかく常に先の方まで見えているので、歩いても歩いても進んでいるような気がしなかった。あのコーナーを曲がって駐車場か見えなかったらどうしよう・・・と心配したが、思った通りそのコーナーを曲がったら駐車場はそこにあった。

■戸台駐車場(14:51)

北沢峠からここまで2:46。たいした手間ではないことがわかった。またここを利用して、今度は甲斐駒にチャレンジだ!





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