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ナルミズ沢 [途中撤退] 

激しい夕立(雹)であっという間に濁流となり高台に避難  翌朝撤退
 山域  奥利根 宝川 ナルミズ沢  
 行程  1日目  宝川温泉林道ゲート⇒徒渉点(入渓)⇒大石沢出合手前
 2日目  大石沢出合手前⇒登山道経由林道ゲート
 山行日時  2005年9月10日(土)〜11日(日)
 登山形態  沢登り
 メンバー  K野、コナさん、N畑、T世
 温泉  上牧温泉 風和の湯(500円)   その他の温泉・・・水上町観光協会




ナルミズ沢はこれから沢登りを楽しもうと志す初心者や、癒し渓愛好家にはうってつけの沢(アプローチと下山以外は・・・)。2001年に一度遡行しているが、今回は山岳会の例会山行ということで、このうってつけの沢に再び訪れることにした。当初は東黒沢からのアプローチを考えていたが、人数とメンバーの関係で時間が読めないため、宝川温泉からアプローチすることにした。前夜出発しなくてすむし・・・。


■9月10日(土)   晴れのち雷雨(雹)   宝川温泉⇒大石沢出合手前の河原

5時に豊科を出発。車1台で5人なので、コストパフォーマンスは高い。宝川温泉からの林道はあちこちに車が止められている。ほとんどが釣り師のようだ。ゲート付近で工事をしていて、少し手前の広場に車を止めた。いったい今日は何パーティー入っていることやら・・・。

宝川温泉 林道ゲート(9:40)⇒徒渉点 入渓(11:40)⇒大石沢出合手前(14時前)

天気は上々!はじめの林道&登山道歩きは暑くてかえって迷惑なくらいだ。登山道に入ると細かいアップダウンが多い。汗ダラダラかきながら、沢に入るのを心待ちにしていた。登山道が右岸に渡るところが入渓点。5人組(?)の先行パーティーが沢支度をしていた。また、なぜかこの時間に帰りと思われる人たちもいた。

ミニゴルジュは左岸の巻き道より
天然プール
快適なナメが続く

沢に入ると、今まで暑かったのがウソのよう。大岩を右から左から越え、気持ちの良い河原となる。遥か先には朝日岳から大烏帽子岳にかけての稜線が見えている。そのうちナメ滝が現れ始め、いよいよ癒し渓ナルミズ沢の始まりだ。上越の開けた渓相は平凡な河原を歩いていても気持ちがよい。深い釜を脇から、時には胸まで浸かって越え、ナメ滝の水流を登り、強い水流を石から石へとジャンプ。時間が経つのを忘れてしまう。ウツボキ沢出合には釣り師風のタープが一張り。

予定では大石沢出合が今日のテン場。最低1パーティーは入っていて、その前にどのくらいの人が入っているかは不明。下山時のことを考えると、大石沢よりも先に行くことはできない。大石沢の約300mくらい手前に広い河原があり、とっても気持ちの良いところだったので、今日はここで打ち切りとした。天気も曇りベースになってきたことだし。

気分は上々!
よい沢は下流もよい
河原でのんびりしていたのだが・・・

ここは泊まる人が少ないのか、マキは近場だけで十分集まった。小さいテントを2張り張って早速着火。みんな思い思いにまったりしていた。2パーティーがここを通過していった。着いた時はポツリポツリと雨が降ったが、すぐにやんでまた青空が出てきた。「午後は雷雨」の予報もあったが、このまま晴れてもらいたいもんだ。

・・・が、そううまくはいかず、怪しい雲が空を覆い始めてきた。ゴロゴロと雷鳴も・・・。小さいテントに5人は苦しいので、ツエルトでタープを張り、雨の宴会に備える。空はみるみる真っ黒に。雷も激しさを増してきた。空のわりになかなか降ってこないなあ・・・と思っていたら、一気に滝のような雨がドバーッときた。慌ててタープに潜り込む。

やっと水が引き始める 
最大右の大岩がかぶる位はあったと思われる

雨かと思ったら雹(ヒョウ)だ。地面に跳ね返った雹が、タープの中まで攻撃してくる。痛い痛い!そのうち対岸の細い枝沢が、茶色い濁流に変わる。少し荷物をまとめておこう。逃げ道も再確認。(だが、この時点で、まさかここまで水が来るとは思っていなかった)。雨の勢いはピークを過ぎ、荷物をまとめていたら、本流の水量がみるみる増えてきた。と思ったら、すでにタープの下も水流となる。

これは逃げないと!逃げ道の大岩に上がる。大岩の上に上げておいた荷物を回収する間に、グングン水かさが増え、最後逃げる時にはこの大岩も水に覆われてしまった。振り返ると、本流に近い方のテントが濁流に・・・。プカプカと流されていってしまった。

大岩から笹とダケカンバのヤブを少し上がると、ちょっとした台地があり、そこでしばらく待機。雨が小康状態になった時に、川の様子を見に行った。すると、逃げ道に使った大岩が出ていた。大岩まで行くと、テントとツエルト発見!ちょうど渦巻く水流になる部分で、流されずに助かったようだ。みるみる水が引き、ここぞとばかりにテントとツエルトを回収した。

水量は減ったとはいえ、渡渉はまだ無理。高台でのビバークを余儀なくされた。テントとツエルトを無理矢理張る。5人テントの中に入り、無事だったご飯を食べる(炊いている途中だった)。テントの中は暖かくて落ち着く。精神的にもテントが助かったのはとっても大きかった。雨は降ったりやんだりを繰り返す。夜のうちにまたたくさん降ると、明日徒渉ができなくなってしまう。明日の朝に不安を残しながらも、テントとツエルトに分かれて寝る。間違っても快適とは言えなかったが、朝までわりとグッスリ寝ることができた。

■9月11日(日)   雨   大石沢出合手前の河原⇒宝川温泉

どうやら夜中は雨は降らなかったようだ。予報は今度は秋雨前線が南下してきて、どんどん下り坂の様子。朝のうちに徒渉を終えて登山道に戻ってしまいたい。明るくなり、さっそく川を見に行く。ゴーゴー流れていたらどうしよう・・・と思いながら川を見ると、平水よりは多いものの、濁りはほぼ消えて、渡渉は楽勝な状態だった。

翌日朝にはここまで減水
朝飯をほおばり、そそくさと撤収。対岸にあるはずの登山道をめがけてヤブに突っ込む。ほんの5分ほどで登山道に当たる。ハァー、なんだか登山道に出たらホッとした。ぬかるみの登山道を徒渉点目指して歩く。ウツボキ沢出合にきのう大石沢で泊まった二人組みが釣りをしていた。きのうは大石沢の河原にテントを張っていて、増水したため高台に逃げたようだった。

徒渉点の水量も問題なし。今日遡行する人は、きのうの土砂降りなど知らず「ちょっと水量が多いなあ・・・」と感じるくらいだろう。あとは時々小雨の降る中、黙々と車を目指した。やれやれの会山行になってしまったもんだ・・・。


      ■今回の反省&教訓

  1. テン場は水が通った形跡のない高台に張るべし。この一言に尽きるが、それではこのコーナーは終わってしまう。実際はむさ苦しかったり、水が遠かったり、焚き火ができなかったりと、条件が悪い場合が多く、快適な河原にテン場を求めることが多い。
  2. 河原に張る場合は少しでも高いところに、水流が直撃しない地形を選ぶべし。また、広い方が水かさが上がらないので、緊急時以外は避けた方が賢明。
  3. 安全地帯までの逃げ道を確認しておくべし。
  4. 逃げ道のルート工作をしておくべし。悪場、暗闇の中の避難に備えて、安全地帯に向けてザイルを張っておく。できればザイルにコブを作っておくと良いかも。
  5. 怪しい雲が出たり、雷鳴がしたら、荷物をまとめて、いつでも逃げることのできる体勢だけはとっておくべし。いっつも広げっぱなしになりがち・・・。とくに靴、登攀具、カッパ、貴重品、その他緊急時に役立つものなどは最優先で。
  6. 川の状態を常に観察するべし。とくにテントに入っている場合。今回はタープだったので、なんとか増水の推移がわかったものの、もっとじっくり観察する必要があった。そしたらテントは無事だったかも・・・。
  7. 夜の豪雨には要注意!外の様子がわかりにくいし、寝ていると注意力が散漫になりそう。
  8. 流域が広い場合、今いるところに降っていなくても、上流で降っていれば増水するという観念を常に持っておくべし。
  9. あとは水が引くのを待つのみ。慌てず行動しよう!荒天が長く続く場合など、山越えで帰還せざるを得ない場合も考えられるので、地形図は充分な範囲のものを用意しておこう!
全てわかり切った当たり前のことかもしれない。が実際はなかなかねえ・・・。「3」までは基本中の基本で、通常意識していると思うが、4以降が軽視されがちだ。頭ではわかっていても、実際はまさか・・・と対岸の火事的な意識が勝ってしまう。今回はこの増水の早さ、濁流の凄まじさを体感でき、多少の代償はあったものの、今後に生かされる良い体験ができたと思う。




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