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頚城(海谷)駒ヶ岳〜鬼ヶ面山〜海谷高地西穂高岳より 槍ヶ岳と黒部源流の山々
糸魚川から白馬方面へ車を走らせていると、左側に上のほうが平らで途中が絶壁になっている無骨な山が目に入る。それが頚城駒ヶ岳。前々から登ってみたいとは思っていたものの、なかなか実現しないでいた。2日前の山岳会の新人歓迎山行でも当初頚城駒ヶ岳の予定だったが、北ほど悪い天気だったので八ヶ岳に変更。そして今日、その気になっているうちに、頚城駒をやっつけておこう!
今日はわりと冷え込んで安曇野は霧。晴天が約束されたようなもの。安曇野から頚城駒ヶ岳の登山口である三峡パークまでは、2時間弱の道のり。T世さんはほとんど横で瀑睡。三峡パークは数年前に整備されたキャンプ場で、なかなか感じの良いところ。トイレットペーパー完備だし。ここに泊まって登山や海谷高地散策も楽しそうだ。
登山道は常に整備されているという感じではない。ヤブっぽいわけでもないが、朝露で靴はいきなりビショビショに。このルートは絶壁の駒ヶ岳の北面に当たるので、午前中はほとんど日が差さないのでは・・・。夏はいいかもしれないが。せっかくの紅葉も日陰では鮮やかさに欠けてしまうのが残念だ。岩壁の取り付きまでは緩い道だが、岩壁に取り付くと上を見上げながらの急登が続く。ハシゴあり、鎖場ありでグングン高度を稼ぐ。時々、心もとないハシゴやロープもあった。あんまり大人数での会山行向きではないかな。休憩場所も少ないし。一気に500m登ってやっと緩くなる。緩くなったところはでっかいブナの原生林地帯。雪が積もって下の藪が埋まると、とても気持ちが良さそうだ。あとは普通に登ると頚城駒ヶ岳の山頂に着く。
山頂には単独のおじさんがいた。鬼ヶ面山方面に向かって行ったが、じきに戻ってきた。なんだったんだろう・・・?頚城駒ヶ岳の山頂はビミョーに潅木が生えてて、360度の大展望というわけではない。それでも海谷対岸のゴツゴツした山は目を引く。雨飾山もでっかくて迫力があるが、如何せん逆光でシラーッとしている。北アルプスもシラーッとしているが、白馬岳から雪倉岳には雪があるのがわかった。シラーッとしているわりには、槍ヶ岳までしっかり見えていた。
この先、鬼ヶ面方面へは天気と時間と気分と体調で進むかどうかを決めることにしていた。時間とT世さんの体調にイマイチ不安はあったが、天気が良いので進むことにした。山頂からはいきなりの急下降。ドロの道に枯葉が覆い、ただでさえ滑る道がなお滑る。木につかまりながらのモンキー下り。下ったぶんより少余計に登ると、鬼ヶ面との間にあるピーク。この先の下りが今日の核心。“おおーっ!”と思わず声が出るほどの絶壁。高度感も満点!ただ、鎖やロープは完備されているので、なんとかはなる。・・・が、岩場が苦手な人は厳しいだろうなあ。コルに下って、さらに下ったぶんより多めに登ると鬼が面山頂・・・と思いきや、なんと鬼ヶ面山は巻いてしまった。山頂に登る踏み跡があったかどうかは不明。縦走路は鬼ヶ面の北にあるピークも巻くようになっていた。鬼ヶ面北ピークは山頂への踏み跡が明瞭だった。
鬼ヶ面の北ピークは尖がっていて、潅木もほとんどない。360度の大展望とはこのことを言うんだ!ってくらいの眺望抜群のピーク。今まで見えなかった鋸岳、ずっと見えていた阿弥陀山、鉢山、昼闇山、そしてその先の焼山が大きくなった。となりに火打山も見えている。天狗原山〜金山〜焼山〜昼闇山とスキーでつなぐのも面白そうだ。先は見えたのでここでビールを開けた。
川に近づくにつれて紅葉がきれいになってくる。そして特異な景観の海谷渓谷も見ごたえ十分。まあ、なんて素敵なところなんでしょ・・・。いい所だとはうわさで聞いていたが、ここまでとは思わなかった。周回コースをとってよかった。頚城駒ヶ岳往復だけでは味気ない。標高差のわりに時間を食ったが、なんとか1時間ちょっとで下り切った。河原でひと休み。
太陽が西に傾いてきたので、右岸の岩壁に太陽が当たってきれいだ。紅葉もちょうどこのあたりが見頃なので、岩壁に紅葉が映える。左岸は日が当たらないので黒々としている。右を見上げたり、左を見上げたり、後を振り返ったりしながら、河原を歩いて取水口を目指す。何ヶ所か徒渉する必要があるが、なんとか靴のまま渡れる水量だった。海谷高地の終点が取水口。ここから先は川幅が狭まって、両岸数百メートルの絶壁となる。本流は巨岩帯だ。取水口から三峡パークまでは歩道が付けられている。観光的な歩道だが、登山道といった方が無難かも。
1時間ほどで三峡パークに着くが、この間は垂直の登攀不能と思われる岩壁に目が釘付け。穂高連峰の半分の標高しかないのに、迫力は勝るとも劣らない。周回コースは難所もあって大変だが、三峡パークから海谷高地へは行く価値有り!。海谷高地から今日下降したルートを少し登ると、今日一番の絶景にありつける。
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