「天気が悪くても行く!」の体調の言葉で、夜の9時に松本で集合。2台で飯山の関田峠に向かった。豊田飯山インターまでは降ってなかった雨、飯山市街地に近づくと降り始めた。雨はだんだんと勢いがついてきて、温井の集落あたりからは嵐の様相に。ヘッドライトは葉っぱが宙で渦巻いているのを映し出す。雨はワイパー大忙しモードで対応。峠直前からはフロントガラスにビチャ、ビチャ・・・と時折みぞれと思われるモノが・・・。こりゃ、星空ハイクどころじゃない。
◆関田峠〜鍋倉山(2.8km)
関田峠は暴風雨(暴は大げさかも)。ここでH口夫妻から断念の申し出が。まあ、普通なら行かない状況だ。ただ、コンセプトとして訓練の色が少しあるので、残りの4名は嵐の中突っ込むことに。歩き出せばあきらめもつくのだが、歩き始める前の雨風の中での準備が一番辛い。
ヘッドランプを点けて歩き始める。一番ヘッドランプが暗いA野体調が先頭だ。道は稜線についているみたいだが、両側木が生えているので、雨も風もそれほど当たってはこない。その点では苦痛は少ないが、なにしろカッパがお粗末。穴だらけだし、水ははじかない。まずは右の太ももあたりから水が伝ってきて、そのあと左の太ももへ。そして、上半身へと広がっていった。
黒倉山へと登るにつれて、ほとんど雨だったのがみぞれに変わり、しばらくでアラレのような硬い雪になった。黒倉山あたりで積もり始めた。その後も断続的に雪は降り続く。鍋倉山に到着。ルート間での最高点だ。鍋倉山は真冬に一度スキーで来ているが、その時の山頂は木が1本もない真っ白な山頂だった。しかし、雪のない今は潅木に覆われて視界はなさそう。冬の豪雪で全部これが埋まるんだなあ・・・。夏はむさ苦しそうだ。
◆鍋倉山から戸狩温泉スキー場の上部(5.4km)
鍋倉山を下ると、もう後にはもどれない。戻れるけど、気分的にはそんな感じだ。一人ならイヤだけど、みんないるので不安はない。今日のこの30キロという長丁場、雨になるのか雪になるのか微妙な天気・・・、チャチなトレッキングシューズでは不安だし、かといって冬靴では30キロは拷問だ。というわけで、今日は長靴で臨んだ。はじめは調子良くて、ぬかるみや水溜りでも躊躇なく歩けたが、鍋倉山の下りから右足がグチョグチョに。どうやらどこかに穴が開いたみたいだ。長靴を履いてきた意味が全くない。今のところは濡れていても冷たくはないので、先も大丈夫だろう。
鍋倉山からの下りが一段落すると、この先は細かいアップダウンの繰り返し。時々道が風上側を通る時は風が当たってきて、中の服がまで湿っていて体が冷えた。ずっとこんなんだったら先が思いやられる。仏ヶ峰を過ぎてしばらくで、ルートは直角に曲がる。戸狩温泉スキー場のてっぺんだ。ここで踏み跡はなくなる。みんなで探すがみつからない。ヘッドランプでは探し切れない。地図で方向だけ定めて進んでみると、「信越トレイル」の看板発見。どうやらゲレンデを下っているようだ。そのままゲレンデを下って、道が再び南に向きを変えるところで今日の行動終了。
◆ビバーク
寝場所を探す。時間は3時。幸い真上だけ雨雪をしのげる場所があり、そこでビバークすることにした。ただ、大丈夫なのは真上だけで、横は無防備。風に乗って雨やら雪やらが舞い込んでくる。寝具は夏用シュラフ+シュラフカバー。濡れた衣服で潜っても温まらない。もっと暖かい寝袋を持ってきていればよかった・・・と後悔。なかなか寝付けなかったが、気が付くと朝だった。まあ1,2時間は寝たのかな。
6時過ぎに起きると、周りは雪化粧。気温は0度だった。夏でも盆を過ぎると、北アルプスの稜線では0度くらいになることがある。でも、だいたいはテントの中で、乾いた服を着て寝る。夏用シュラフのみでも、少しは寒いけど寝れないほどではない。やっぱりテントの力は絶大だ。寝袋の中でも寒いのだが、外はもっと寒い。気合一発で寝袋から出て、濡れたカッパを着る。朝飯はインスタントラーメン。味は関係ない。熱いスープで身体の中が温まる。一滴も残さずに飲んだ。
◆ビバーク地から黒岩山(5.3km)
ここからは稜線の東側のだいぶ低いところ、だいたい標高800m前後のところに道が付いている。ただ、沢を横切る時などは下り登りがきつく、あとあとジャブとなって効いてきそうだ。しっかり寒気が入ってきたみたいで、800mあたりでも降るのは雪。ドサーッと降ってきたかと思えば、太陽が顔を出したりと、めまぐるしく空は変わった。まあ、太陽の出ている時間はわずかで、ほとんどは雪が舞っていたのだが。
信越トレイルは登山道や古道などをつなげて整備されたもの。道中は枝道が多く、標識がないと迷子になりそうだ。その標識はほぼ完備といってよいくらい。分岐には必ず標識が立っている。なんでスキー場のてっぺんだけなかったんだろう・・?もしかしたら、明るい時に歩いていたら、まったく問題なしのところだったのかもしれないな。
信越トレイルは分岐も多いが、池も多い。チェックポイントが池になっているところが多かった。稜線の紅葉は終わっている感じだが、中腹から下の紅葉は見頃。今いる800mあたりは盛りを過ぎたくらい。それでも雨や雪で濡れた葉っぱは鮮やかで、もみじ狩気分で歩くことができた。やっぱり歩くのは明るい時に限る!夜は夜で悪くはないが、せめて星空か月夜の時がいいなあ・・・。
◆黒岩山から涌井集落(7.4km)
黒岩山の手前で、つっちー希望(?)の藪漕ぎ体験。わずかの距離と薄めの藪だったが、もう結構・・・といった感じだった。黒岩山は標識がなくて、どこかな・・・?と思っているうちに通り過ぎた。通り過ぎてしばらくで、飯山方面を見下ろせるビューポイントがあった。そこにあずまやが立っており、初めて座っての休憩。ほとんど雪だが、時々でも見晴らしの利くところに出ると、やっぱり山歩きはいいなあと思える。
黒岩山からは谷を渡って、再び主稜線に上がる。主稜線に上がったとこからはずっと林道。アップダウンも少ないので距離は稼げるが、面白みには欠ける。ただ、横に列になって歩けて、おしゃべりできるのはありがたい。最後にグーッと下って涌井の集落へ。下りの途中からは、毛無山(1022m)が見えていた。涌井の標高は580m。この期に及んでこれを登るのか・・・。
◆涌井集落で・・・
涌井集落に到着。ここでずくなしさん断念の申し出が・・・。つっちーも「完全燃焼」のコメント。ボクも冷えた身体で歩いてきて、間接をはじめとして身体がガシガシだった。ここから斑尾高原までは約10キロ。しかも毛無山の登りが控えている。もう進む気力はなかった。それを察してか、隊長のあわあわ、ここで終止符を打つことを決定。こうして今日の信越トレイルは完歩できず、涌井の集落で終了となった。
さて、車は関田峠。とりあえず街に下りなくてはならない。近くにバス停はあるが、こんなところ上手い具合にバスが来るとは思えない。近くのバス停は戻る方向になるので、遠いが町のほうのバス停に向かって国道を歩き始めた。アスファルト道を歩くには長靴は辛い。底が薄いので、足が痛くなってきた。歩けど歩けどバス停はない。そのうち民家が出てきて、ちょうど外におばさんがいた。おばさんにタクシーのTELを聞き、ここから電話。今日の歩きはここで終了。・・・のはずだった。
◆最後の最後まで・・・
10分ほどでタクシー到着。関田峠は間違いなく雪が積もっている。タクシーはノーマルタイヤ。登れるか心配だったが、チェーンを積んだので大丈夫だろう。温井あたりで畑が雪化粧。田茂木池あたりから道路にも雪が・・・。勾配がきつくなるとノーマルタイヤでは登らなくなり、チェーンをつける。運転手さんご苦労さま。これで大丈夫と思ったが、さらに勾配が増したところで登らなくなってしまった。タクシーはFR。チェーンをつけても登らないんだ・・・。4駆ってのはすごいことなんだ。
スタックしたタクシーを4人がかりで復活させたあと、想定していなかった関田峠までの最後の歩き。幸か不幸か、関田峠までは推定2キロくらいだった。積雪は20センチくらいなのかなあ。一台だけ車の通った跡があった。そのわだちを最初は走るが、すぐに息が切れてしまって早歩きに変更。走っても早歩きでもさほどスピードは変わらなかった。
この雪道の下り、ちゃんと下れるか不安だったが、トランクからチェーン2セットが出てきた。これで安心だ!と思ったが、最後のオチが用意されていた。頑張ったがチェーンが着かない。どうみてもチェーンの方が小さい。なんと別の車のチェーンが積んであっただけだった。あきらめてゆっくりと降りるしかない。無難に下れて一件落着。
待ちに待った温泉!戸狩温泉の「暁の湯」。シャンプーはないが400円。シャンプーあって500円と同レベルか・・・。設備はさておき、今日の場合は湯が張ってあればOK!冷えた身体にジンジンしみて、今シーズン3本の指に入る気持ちの良い温泉だった。たとえ温泉でなかったとしても、大満足だったに違いない。乾いた服に着替えて、身も心もやっと不快から解放された。このあと松本までの運転、運転者さんご苦労さんでした。
◆信越トレイルは・・・
もともとのテーマは星空ハイクとビバークだったが、それに寒さと雪がオマケで付いてきた。替わりに星空は削除されたし。11月ってのが時期的に遅すぎたかな。もし第2弾か涌井からの続きがあるとすれば、もう少し暖かい時期にやりたいかな。真夏は虫の攻撃があるので、10月くらいが適期かも。そして、天気の良い日に。