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黒部川 上ノ廊下

2007年 8月11日(土)〜16日(木)
黒部川源流まで遡行して、ついでに裏銀縦走して烏帽子まで






上ノ廊下・・・・・・。いつかはやっつけておかなければいけないタイトル戦のようなもの。“いつか・・・”が果たして今年で良いのやら?技術、経験、突破力・・・ちゃんと自分に備わっているのだろうか・・・?挑戦する資格があるのだろうか・・・? ・・・と、行く前には弱気になってしまうこてゃありがちなこと。実力のある人と行くなら簡単だが、今回は100%(限りなく)自分がトップ。事前の情報では、例年よりも水量はやや多目とのこと。幸いにして、天気はずっと晴れマークが並んでいるが、さて、どうなることやら・・・・。


※コースタイムはかなり遅いはずです(平水よりやや多目の水量の場合)
8月11日(土) 晴れのち曇り 黒部ダム(8:25)⇒平ノ渡し(12:05〜14:00)⇒奥黒部ヒュッテ(16:30)
8月12日(日) 晴れのち時々曇り 奥黒部ヒュッテ(7:10)⇒下ノ黒ビンガ(9:10)⇒口元ノタル沢(10:05)⇒中ノタル沢(15:05)
8月13日(月) 晴れのち時々曇り 中ノタル沢(7:00)⇒上ノ黒ビンガ(7:40)⇒金作谷出合(8:45〜9:15)⇒赤牛沢出合(14:45)
8月14日(火) 晴れのち時々曇り 赤牛沢出合(7:05)⇒岩苔小谷(7:15)⇒立石奇岩(8:35)⇒高天原新道(11:30)⇒薬師沢出合(13:15)⇒赤木沢出合(15:05)⇒五郎沢手前(15:45)
8月15日(水) 晴れのち曇り 五郎沢手前(6:15)⇒登山道横断(9:40〜10:25)⇒岩苔乗越(11:35〜12:05)⇒水晶小屋(12:55〜13:15)⇒野口五郎小屋(17:10)
8月16日(木) 晴れのち曇り 野口五郎小屋(7:20)⇒烏帽子小屋(9:30〜10:05)⇒高瀬ダム(12:35)
メンバー: N畑、T世    温泉: 大町温泉郷 薬師の湯


今年の盆は上ノ廊下!と一昨年扇沢で敗退した時から決まっていた。同行者を求めてポツポツと声を掛けたものの、そううまくは集まらない。結局はT世さんとN畑さんの女性2人と臨むことになった。男が一人欲しかったなあ・・・というのが正直な気持ちであった。でも、行くしかない!行って手に負えなければ敗退するだけだ・・・。

 ■1日目  8月11日(土)  晴れのち曇り 夕方雨  黒部ダム⇒奥黒部ヒュッテ

お盆休み初日の朝から、扇沢の駐車場は満車。なんとか隅っこに止めて、8時のトロリーバスに際どく乗り込む。そして、黒部ダムに降り立つ。いざ、出発!しかし暑い・・・。観光放水に“オオーッ!”とか言いながらダムを渡る。湖岸道は大きな沢ごとに深く切れ込み、長〜いハシゴでの高巻きの応酬。違う意味での上ノ廊下の核心がここアプローチにあり!荷は重いし・・・。おかげ(?)で12時の渡し舟を間近で見送る羽目になってしまった。ま、今日は何時になっても、奥黒部ヒュッテに着けばよいのだ。次の14時発まで平ノ小屋で2時間の大休止。

黒部湖と赤牛岳
っ平ノ渡し
黒部湖バックウォーター末端


湖岸道では男2人、女2人の4人組と前後しながら進む。この人たちもどうやら上ノ廊下のようだ。暑い!暑い!暑い!暑い!沢を横切るたびに、涼を求めて休憩。黒部湖のバックウォーターが終わり、黒部川となっていく。どこかで降りて、河原を歩いたほうが早くて涼しいに違いない!と思いながら、容赦なくアップダウンを繰り返す湖岸道を歩いていた。

奥黒部ヒュッテで聞くと、やはり水量は平年よりもやや多目とのこと。“行けない水量ではないみたいですよ”と言われた。今回は2人用のテントとツエルトを用意した。キャンプ場での泊まりがなければタープでよかったんだが・・・。川の中では、ツエルトをタープもどきに張って使った。テントを張り終え、メシの用意をしているところで夕立。明日からの上ノ廊下に備えて早く寝よう!

 ■2日目  8月12日(日)  晴れのち時々曇り  奥黒部ヒュッテ⇒中ノタル沢出合


5時起床の7時出発。朝っぱらから水に浸かるのはいやなので、せいぜい7時発かなと思っていたが、周りの人たちはみんな早くに出発していった。今日は5,6パーティーは入渓するみたいだ。天気はスカッ晴れ。まずは東沢を渡る橋まで戻り、東沢を下降して黒部川に。東沢の水量もかなり多かった。傾斜もあるので、勢いもあった。

黒部川に入って最初の渡渉点
最初は穏やかな河原が続く
最初の難所

黒部川に出合うといきなりの渡渉。穏やかに流れているように見えるのだが、川に入ると見た目よりずっと圧力がある。ボクたちよりも少し前に出て行った、ガイドの志水さんチームは、ロープを出して渡渉していた。ちなみに、志水さんチームは女4人。その前にはストックのおじさん3人組がいる。はじめのうちは河原が広いので、渡渉も楽なところを選びながら進むことができた。しかし、両岸が狭くなると、ピンポイントでの渡渉を余儀なくされ、渡渉の難易度も上がっていく。最初の難関は、岩からジャンプして流芯を越え、渡ってからロープで確保して2人に渡ってもらった。

下ノ黒ビンガ
下ノ黒ビンガ付近
きれいな滝が出合う


ワァ〜!あれが下ノ黒ビンガ!写真と同じだ。ここの通過は1ヶ所いやらしいところがあったものの、それほど苦労はない。志水さんチームは渡渉のたんびにロープを出して時間を食うが、女の人は4人ともお元気で、河原歩きとなると早い。渡渉の時に追い抜いても、河原歩きですぐに追いつかれ、抜きつ抜かれつで進んでいった。

下ノ黒ビンガを越え、上ノ廊下に少しずつ慣れてきたところで、口元ノタル沢のゴルジュに突入。おっと!ここはこれまでとは違うぞ!ちゃんとしたゴルジュだ。こりゃ〜泳ぎだなぁ。右岸沿いに泳ぎ、ジリジリと進んでいく。ゴルジュの先の日なたにはストックおじさん3人組と、きのう湖岸道で一緒だった4人組が日向ぼっこしていた。うう〜っ、早くあそこまで行きたい!

口元ノタル沢先のゴルジュ
右岸側を泳いで突破


最後の泳ぎに備えて岩の上にいたところ、4人組のうちの2人が流されてしまった。どうやら渡渉に失敗してしまったみたいだ。このあとのことは詳しく触れないことにします。なんとか口元ノタル沢のゴルジュを抜け、待ち望んだ日向ぼっこをすることができた。

とっても広い広河原
4人組が流された渡渉点。かなりの水圧で、流されたらゴルジュへと吸い込まれてしまう。さっきの事故もあり、T世さんの気は滅入ってしまっている。ここからは安全第一!少しでも不安のあるところは全てロープを使うようにした。広い河原が続くところ以外は、立石奇岩手前までは常にロープを首にぶら下げて歩いていた。

ゴルジュを抜けたら、黒五跡の広河原に出る。口元ノタル沢のゴルジュで時間を食い、いつの間にやらもうこんな時間!広河原にテン場を求めよう。良い場所良い場所・・・と探しているうちに、先行していた志水さんが泊まっている、中ノタル沢出合に着いてしまった。この先は谷が狭まるので、近くに張らせてもらうことにした。上ノ廊下を下降してきた3人組と合わせて、3パーティーがここでお泊りだ。

下降してきた3人組の話だと、この先はとくに難しいところはなかっととのこと。しかし、下降での話だからなあ・・・。しかも、濃いそうな男の3人組。クリアしてきた後の感想だし、話半分に聞いておくことにした。志水さん曰く“平水よりも多いかな・・・”。

テントを張ってメシを食う。メシを食ったところで、志水さんチームから“一緒にどうですか?”とお誘いが。すでにマキはないので、お言葉に甘えて焚き火に混ぜてもらうことに。メンバーには知り合いの知り合いがいたり、ご近所さん(松本在住)がいたりで、話が盛り上がる。志水さんはただの酔っ払いのおっさん(同い年)だった。もちろん昼間の仕事中は毅然としていますよ。

持ってきていた酒の9割がたをここで消費した。まあ、ここは呑み所だっただけに、もったいなさは全く感じない。志水さんの本音(かなあ・・・・・?)が聞けたりで、有意義な夜となった。10時半までは飲んでいたかな。今日は昨日のような夕立の気配は全くない。狭い谷の空にギッシリと星が詰め込まれている。“なんとか流星群”が見えるということだったが、それらしきものは見えず。
今夜のテン場にて

 ■3日目  8月13日(月)  晴れのち時々曇り  中ノタル沢出合⇒赤牛沢出合

さあ、今日も5時起きの7時出発の予定で動く。なんとかして今日のうちに核心を全てクリアし、立石奇岩あたりまでたどり着きたいものだ。またしても、志水さんチームに遅れること数分の出発だった。渡渉で抜いて、河原で抜かれるという、きのうと同じパターンだ。

上ノ黒ビンガにある花崗岩の美滝(日が当たらなくて残念)
上ノ黒ビンガあたりの渓相(ここは難しくない)


上ノ黒ビンガは壁はとてつもなく高いものの、谷幅は極端に狭くなることはなく、そこそこの渡渉とへつりで越えることができた。途中にあった写真に良く出てくる花崗岩の美滝、楽しみにしていたが、なにしろまだ日が上がらないので見栄えがしなくて残念・・・。

へつりは楽しい
金作谷手前の美滝


上ノ黒ビンガを抜けると谷が開け、両岸が赤みを帯びた花崗岩になる。そこに左岸からきれいな滝がかかっている。水も透明なので、とても絵になるところだ。しばらくで金作谷出合に到着。対岸の小高い岩の上に陣取って小休止。金作谷には雪渓が残っているが、恐らく少ないんだろうなあ・・・。多い年なら、まだ本流にスノーブリッジを掛けているというんだから。

余裕の渡渉(カメラ片手にビレイ)
金作谷と薬師岳


日向で十分身体を温めて、いざこの先のゴルジュに突入だ。恐らくこの先が一番の核心だろう。3冊のガイドのコピーを持ってきたが、どれも書いてあることが違う。年々谷相は変わるだろうし、その時の水量によっても突破の仕方が違うのは当然。難所に出くわしたところで自分の目で見て、自分の判断で進むしかなかろう。

金作谷を越えるとまたまたゴルジュ(入り口あたり)
水がきれいだ!


ゴルジュの入り口は日当たりがよく、赤い花崗岩ときれいな水が映えている。難所も出てこないので、観光気分で進んでいた。しかし、だんだんと両岸が迫り、水の勢いが増してくる。泳ぎや飛び込みを交えながら進む。今回の新兵器であるファイントラックのシャツは優れものだ。保温力はないんだろうけど、水から上がるとすぐに乾くので、いつまでも冷えていることはない。

きれいだがこの前後てこずる
このへん泳ぎまくり  カメラも曇りまくり


例によってジリジリと進んでいると、後ろから男2人組、さらに3人組が追いついてきた。すかさず道を譲る。一人がロープを引いて左岸沿いに進む。“ロープ使ってもいいですよ”とのことなので、お言葉に甘える。ところが、曲がった先は激流のへつり。強力そうな男連中が難儀している。荷を背負ってへつるのは、我が女性軍には不可能だろう。とりあえず、振り出しに戻ることにする。

カヌーが下ってきた
そうこうしているうちに、志水さんチームが追い付いてきた。強力男たちの奮闘をしばらく傍観のあと、別ルート(手前を泳いで対岸へ)で突破。残りの女4人衆はロープに引っ張られ、プカプカと泳いで突破。強力男たちは、とうとう激流をへつり切って突破した。まあ、女4人衆には激流へつりは無理でしょう。

さて、弱小の我がチーム。ボクが激流へつり手前の一段高い岩から、空身で対岸へジャンプ。なんとか激流の流芯を越えて渡渉に成功。あとは、女2人はロープにつかまって泳ぐのみ。しかし、ここは流れがきつくて、引っ張るのに力を使う。腕がパンプしそうになってしまった。結局ここは三者三様の突破方法であった。ひとまず、ホッ・・・・。


難所が一段落して、日向で休んでいると、カヌーが下ってきた。カヌーはやったことないのだが、こんなところ下れるんだなあ・・・。面白そうだ。穏やかだったのは束の間で、まだまだ出てくる泳ぎポイント。流れを見極めて、側壁伝いに泳いだり、思い切って流芯の向こうに飛び込んだり・・・。今となっては一番面白かったところだ。その時はもちろん必死!

いったん穏やかになるが・・・
赤牛沢手前で再びゴルジュで泳ぎに


上ノ廊下もここまで来ると、いろいろと慣れてくる。渡渉においては、ルートの選択、流れの強さ、ビレイの位置など、直感的にわかるようになり、みんなの手際も良くなってくる。トップは飛び石とジャンプを駆使して渡渉し、セカンド以降は流れは強くても、足場の安定したところを渡渉する。泳ぎもトップは飛び込み、へつり泳ぎを多用して突破し、セカンド以降は流れの強いところでも、ロープで引っ張って直線的に引き寄せる。上ノ廊下に突入し、多くのことを学習しながら先に進んでいるという感じだ。とくにN畑さん、もともと強さがあるだけに、どんどんたくましくなっていった。真ん中に弱いT世さんを挟み、ずっとラストをやってもらって、とても助かった。

ここも泳ぎ
ここも泳ぎ  右岸伝いに泳いで這い上がる

抜けたと思いきや、これを曲がるとまた泳ぎ
本日最後の泳ぎは右の岩より頭から飛び込み


核心続きで志水さんチームも見えなくなってしまった。さらに泳ぎポイントは続々と現れる。泳ぐのに抵抗はないが、いい加減寒くなってきた。最後のプールはジャンプ台から流芯が遠かったので、水泳の飛び込みのように頭から飛び込んだ。そんなことしなくても大丈夫そうだったが・・・。

赤牛沢出合のテン場
やっと抜けた。T世さんはもうヨレヨレだ。岩苔小谷出合先のプール群を越え、明日に難所を残したくなかったが、この調子だともう無理だ。赤牛沢出合を今日のテン場にした。志水さんたちは岩苔小谷で泊まっていると思われる。ここから目と鼻の先だけど、昨日のように広いテン場ではないかもしれない。窮屈なことになると申し訳ないので、赤牛沢に甘んじることにした。

赤牛沢出合はそれほど広くなく、快適なテン場とはいえない。マキも少なめ。もったいぶりながら燃やしていた。今日も夕立の心配はなさそうな空だ。ちょびっとだけ残ったアルコールは、一瞬でなくなってしまった。

 ■4日目  8月14日(火)  晴れのち時々曇り  赤牛沢出合⇒五郎沢出合手前


朝一番に泳ぎポイントを残してしまっての4日目。10分ほどで岩苔小谷が出合う。ここは下手な稜線のキャンプ場よりも快適そうなスペースがたくさんあった。気を遣う必要は全く無しだった。出合からはすぐに側壁が立ってきていて、大プールが見えている。かなり綺麗なところだが、如何せんまだ日が当たらない。まだビショビショの足跡があるところをみると、志水さんチームは確かに岩苔小谷出合に泊まったようだ。チラリと後姿も見ることができた。・・・が、このあと追いつくことはなかった。

岩苔小谷を過ぎると大プールが
このあたりは泳がなくても大丈夫

1つ目のプールは花崗岩の側壁を伝って巻く。2つ目も3つ目も側壁にバンドがあったり、テクテクと歩ける小さな高巻きで越えられる。そしてそして・・・全部泳ぐことなく通過することができた。なんだか取り越し苦労というか、拍子抜けというか・・・。でも、これで難所は全てクリアしたことになる。ひとまずお疲れ様!

上ノ廊下最後の難関か・・・
このプールも泳がなくても簡単に越えれる


水量が減ったとはあまり実感できないけど、周囲の雰囲気は確実に穏やかになった。険悪さがなくなった。水量は減ってる分、川幅も狭くなるので、渡渉の時の圧力は同じようなもの。しかし、場所を選べるというのは大きい。立石奇岩は危うく通り過ぎるところだった。後ろの岩壁と同化して見える。気にしてなかったら、気付かなかったかもしれない。ここから始まる広い河原は気持ちの良いテン場だ。

花崗岩がきれいなところだ
立石奇岩まで来るともう安心


立石奇岩からは平凡(これまでと比べると)な河原歩きに終始する。時々渡渉に手間を食う場面はあったが・・・。渡渉に手間を食っている時、ヘリがやってきて2人を救助していった。ちょうど高天原新道が川に降りたところだったので、登山道での遭難だったのだろう。それにしてもヘリで救助するところを初めて見たが、なかなかアクロバティックだ。

遭難者をピックアップ中
奥ノ廊下の渓相
薬師沢小屋に到着!


谷が大きく右カーブし、しばらくすると赤い吊り橋が見えた。薬師沢小屋だ!これで本当に上ノ廊下は終わった。難しかったような気もするが、まだ余裕があるようにも感じる。さて、問題は今日どこで泊まるかだ。薬師沢出合から上流は幕営禁止となっていて、小屋にも大きく張り紙がしてある。きのう、おとといにもう少しずつでも駒を進めてれば、三俣山荘まで辿りつけただろうが、この時間(13時過ぎ)からだと厳しいだろうなあ・・・。かといって、薬師沢小屋に泊まるわけにもいかないし、ルートを変えて太郎平に向かうわけにもいかない。まあ、頑張るだけ頑張って、ダメならゴメンナサイ・・・かな。予定通りに源流へと進む。

赤木沢出合は癒し渓
同左


歩き始めるが、T世さんの足取りはすでにヨレヨレ状態。こりゃ〜ダメだな・・・。平凡な河原歩きが続き、ゴルジュを高巻くと赤木沢出合。美味しいとこ取りという意味では、赤木沢をフィナーレにするのが一番だが、できれば裏銀縦走して高瀬ダムに下山したいので、さらに黒部川本流を進む。しばらく進んだ広河原でダウン。仕方ない・・・ここで泊まるべ。

 ■5日目  8月15日(水)  晴れのち曇り  五郎沢出合手前⇒野口五郎小屋


今日も晴れ!梅雨明けが遅かったぶん、“梅雨明け10日”の安定した天気が今になっているのかな・・・?さて、問題は今日の行き先。予定では烏帽子小屋だが、コースタイム的にはかなり厳しい。とりあえず源流を詰めて、残った時間で行き先を決めるしなかさそうだ。いつもより1時間早く起きて出発。

五郎沢を過ぎると雪渓も
源流の様相
三俣蓮華岳をバックに最後の詰め


五郎沢を過ぎ、いよいよ三俣蓮華岳の懐に入る。単調な河原歩きがひたすら続き、傾斜もついてきたのでウンザリモードだ。途中に雪渓が2ヶ所出てきた。三俣山荘と雲ノ平を結ぶ登山道とぶつかった所で遡行終了!さすがに登山道が平行する、ここから上流は川を歩けない。ここで沢装備を解除し、縦走モードとなる。そして、源流沿いの登山道を詰め、とうとう黒部川の水源である岩苔乗越に。水源まで遡行できたことは感慨深いが、源流歩きはもういいかな・・・という気分。

時はすでにお昼時。烏帽子に行くには時間的、体力的に困難。三俣経由、新穂高下山も考えられたが、裏銀の山々を縦走したいT世さんの希望で、野口五郎小屋を目指すことになった。痛いことに野口五郎小屋は数年前からキャンプ禁止。仕方ない・・・小屋に素泊まりしよう。

岩苔小谷と薬師岳(岩苔乗越より)
東沢と遠くになつかしの黒部湖(水晶小屋付近より)


水晶小屋あたりからは、東沢の彼方に黒部湖が望めた。これはさすがにジ〜ンとくる。東沢乗越の下りでT世さんが転び、股関節を痛めてしまった。不安そうだったので、T世さんの荷物をほとんど背負う。8時間行動してから荷物が1.5倍になるのはさすがにこたえた。重量よりも気分的に疲れ、頑張れば普通に歩けたが、頑張る気がしない。2日前からの腰痛もあり、2人に遅れて歩くことに。途中眠ってしまったりで、小屋に着いたのは5時を回っていた。

小屋は賑わっているものの、お盆も後半ということで、1人1枚の布団はキープできた。きのうまで沢の中でやりたい放題で泊まってきたので、どうも小屋は落ち着かない。夕飯を食ったらすぐに布団に入った。久しぶりの布団でポカポカの夜を過ごせた。稜線でツエルト&シュラフカバーのみだと寒かったかもしれないなあ・・・。

 ■6日目  8月16日(木)  晴れのち曇り  野口五郎小屋⇒高瀬ダム


朝から遭対協の人と話が盛り上がった。またまた朝から快晴!朝からすこぶる良好な展望の中を縦走できたことを考えると、昨日は野口五郎小屋で行程を切っておいて正解だったかな。烏帽子に泊まると下山のみなので・・・。T世さんの股関節痛も治ったみたい。N畑さんは相変わらず元気。

三ツ岳と北の山々(野口五郎岳くだりより)
水晶岳(三ツ岳付近より)

三ツ岳からの槍ヶ岳  裏銀逆走だ
烏帽子岳(真ん中)と立山(向こう側)

烏帽子小屋手前からの三ツ岳
意味無し


烏帽子小屋でゆっくりしたあと、いよいよホントに下山。だるいなあ〜・・・。でも、ブナ立尾根は初めてなので、ちょっとだけ楽しみだった。30分ほど下ったところで、会のずくなしさんとすれ違う。これから槍を目指すようだ。この天気が週末まで続くといいんだけど。

高瀬ダムに下山
高瀬ダムからはリッチにタクシー。この期に及んで七倉まで歩いていられない。扇沢まで乗せてもらって車を回収。8100円。ま、ちょっと高めのロープウェイ代と思えばいい。終わった終わった。


高瀬ダムに下山
上ノ廊下は思ったよりも難しかったところもあり、思ったほど難しくなかったところもあり・・・。全体を通してみれば、まあこんなもんか・・・といった印象。こればっかりは水量と天候に左右される部分が大きいので、なんともいえないところだ。終わってからの感想としては、難易度なんかよりも、谷の美しさのほうが強く残っている。これで上ノ廊下も片付いた。来年以降次の大きな谷を目指したいもんだ。

後日、ネットでほかの人の記録を読み返してみた。2002年、2004年はかなり水量が少ないようで、今回からは考えられないクリアの仕方をしている。とくに口元ノタル沢なんかは、トロの真ん中を歩いていたり、対岸に渡渉したりしている。そんなことなど考えられない水勢と深さであったのだが・・・。金作谷先のゴルジュもしかりだ。泳ぎまくったところも、普通にへつったり歩いて通過したりしている。う〜ん・・・実際のところはわからないが・・・。今度は水量の少ない時に行ってみたいもんだ。



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