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大滝谷 沢登り [敗退の巻]






 山域  北アルプス 白鳥山  
 山行日時  2007年7月7日(土)
 天気  くもり
 登山形態  沢登り
 メンバー  U田、I川、T世
 温泉  小谷村道の駅 深山の湯




大滝谷・・・中間手前で敗退したけど、直瀑あり、ナメあり、ミニゴルジュあり、ヘツリあり、ヤブ漕ぎあり・・・の、まとまった楽しい沢だった。行くまではあまり期待していなかったけど・・・。ガイドブック(北アルプスの沢)では2級となっていたが、かなり水量が多く、3段5mのヒョングリ滝が越えれずピンチ!ここで引き返すことになった。気になるこの先、後日やっつけに行くことを誓う。

当初は奥多摩の沢を考えていた。しかし、天気は南ほど悪い。新潟県には晴れマークがついていたので、あわてて北の方で物色を始める。いくつか候補はみつけたが、2年ぶりの沢となるI川氏、沢登りデビュー2戦目のU田氏がいたこともあり、無難(のはずだった・・・)に2級の沢、白鳥山に詰め上がる大滝沢に行くことにした。「北アルプスの沢」参照。

大滝谷出合(8:20)⇒5段堰堤上(9:00)⇒7m滝(9:40〜10:50)⇒3段5mヒョングリ滝 敗退(11:45〜14:05)⇒大滝谷出合(16:35)

5時に松川村の道の駅集合では遅いかな・・・とも思ったが、飯田から来るKちゃんを考慮。翌日は日曜日なので、まあ星空下山でもいいかなと思っていた。最悪は白鳥小屋もあるし。案の定遅い出発となった。自転車を下山口の坂田峠に回したり、道の駅ごとにトイレに立ち寄ってたりしたからなあ・・・。坂田峠では車のタイヤが側溝に落ちてしまった。2週連続の入渓前敗退か・・・と頭をよぎったが、あっさりと脱出できた。よかったよかった・・・。

ウザイ草むらを抜けると河原へ
芸術的な5段堰堤の高巻きはウンザリ
堰堤上  実質の入渓点


スタートは標高約110m。低い・・・。大滝谷出合から堰堤工事用の作業道を進むが、これがまた背丈より高い草に覆われていてうとおしい。なおうっとおしいのはツル。足に引っかかるは、頭に引っかかるは、ザックに絡みつくは・・・。もう大変!ヤブ漕ぎはヤブ漕ぎでも、いつもの詰めのヤブ漕ぎとは種類が違った。ツルに関しては、“ヤブくぐり”だ。今日の核心かも・・・?と思いながら漕いだりくぐったりしていた。いったん河原に出てホッとするものの、巨大な5段堰堤でまたヤブの高巻きとなった。巨大堰堤上はしばらくゴーロ。両岸ガレなので、土砂の流出も多いのだろう。

7m滝は左壁を登るがしょっぱい(ボクには)
道なりに感じるほうが支流。本流は左。これまでの開けた雰囲気からは一転、すぐに滝場が始まる。まずは7m滝。2級ということで楽勝気分でいたが、いきなり出てきました!

フリーをやっていれば良かったかな・・・と思わせるような、垂直に近い滝。左壁を目で追うと、ホールド・スタンスともになんとかつながった。右からの巻きもできそうだが、せっかくなので登ろう!

ロープを引いて取り付く。見た目より悪いなあ・・・。ホールド・スタンスともに角がなく、ヌルヌルだ。いったん取り付くと、不安定なのでプロテクションも取れない。“落ちてもドボン!”と言い聞かせながら、ジリジリと時間をかけて登っていった。こりゃ〜巻いた方が早かったなあ・・・。取り付いてしまってから思っても後の祭り。なんとか登り切らなければ。

ロープを出すと時間を食う。まあ仕方ないわなあ・・・。滝の直登は沢登りの醍醐味だし。結局7m滝で1時間10分を消費。予報は雲時々晴れだったが、晴れ間はない。晴れ間どころか低い雲がかかっている。そんな天気のため、7m滝の上のミニゴルジュは洞窟のようだった。雰囲気は暗いが、遡行は楽しくなってくる。

7m滝上は暗いミニゴルジュ
ナメ滝も時々
着地成功!


おととい北陸は大雨になったようで、その名残なのか水量はかなり多い。ゴルジュの中の小滝が連続するところでは、奔流となって流れている。その迫力のある水量の中を、飛び石したりへつったりして進んでいくのはとても面白い。水の色や岩の感じも良好!これは期待以上の沢かも・・・。

多段のナメ滝
大迫力の水量だ
ヘツリが楽しいところ
典型的なヘツリ?
楽しいミニゴルジュ
このあたりは楽しかった


右へ左へきわどくヘツリながら進んできたこの一連のゴルジュ。出口2つ手前のヒョングリの滝3段5mが立ちはだかった。水流の右側から取り付く。水流の圧はかなり強く、水の中に足を置くことは無理。水流に足が当たると弾かれる。じわりじわりと右壁をへつり、落ち口手前でハング気味の壁を細かいホールドを拾いながら登り、最後は落ち口へとトラバースして登り切った。かなりテクニカル(ボクにとっては)だった。

ホールドを探せ!
3段5mヒョングリ滝
同左 これが抜けれずに敗退


少し先の立ち木で支点を取り、登ってきたルート通りにフィックスを張りたかった。側壁にハーケンを打つが、イマイチ決まらない。もっとしっかり打ちたかったが、足場が不安定で難しい。A0でもできればと思ったのだが・・・。I川氏が登ってきた。右壁のハーケン経由では苦しそうなので、ロープをはずして水流直でロープをたらした。水流をまたいで来たので、お助けシュリンゲで強引に引っ張り上げた。

次はT世さん。T世さんには水流突破は難しいだろう。右壁を登らせるが、こちらも厳しそう。ゴボウはやめて、両手でホールドを探して欲しかったので、ザイル登高器をセット。これが失敗だった。足を滑らせて瀑水にさらされてしまった。下からU田君が助けて事なきを得るが、さらされた状態が長く続いたら、かなりヤバかっただろう。ボクもプルージックで確保しながら水流をまたいで下降していた。ところが、あまりの水圧に耐えかねてスリップ。頭が下の状態で瀑水に揉まれる。うう〜息ができない。またまたU田君に助けられ、なんとか体勢を戻すものの、テンションのかかったプルージックが緩まない。落ちるの覚悟でハーネス側をはずす。ああ〜ヤバかった・・・。このあとは全身ブルブル(振幅の大きい)状態になった。

滝の水流を懸垂下降して、瀑水に揉まれて死亡した事例は知っている。登りの場合も同じことだった。滑ったり落ちたりした時に、水流にさらされる可能性のある場合は、ロープで確保するべきではなかったな。どんなに時間をかけてでも、ボクが登ったルートにフィックスを張るべきだっただろう。ハーケンが上手く効かずにあきらめたのが失敗だった。やはり安全を最優先しなくてはいけない。3段にはなっているが、一番下は釜だし。あちこち青アザはできるかもしれないが、釜にドボンで済むだろう。

そういうわけで、これ以上無理する必要はなし。敗退ということで引き返そう。しかし、上にはI川氏がいる。ボクのザックも・・・。もう一度登ってザックを回収し、I川氏と懸垂で降りよう。ところが、握力がなくなっていて、岩をつかんでもすぐにパンプしてしまう。ザイルも握れなくなってしまった。これでは到底登るのは無理。ザックはザイルでおろしてもらって、I川氏にはがんばって一人で懸垂で降りてきてもらうしかない。上にいる時に、その気になって見ていないので、懸垂のルートは指示できない。全てI川氏の判断でがんばってもらうしかない。なんとか左岸をトラバースできたようで、無難に降りてくることができた。

この沢の下降は意外とあっさり。何度か懸垂はあるかなとおもっていたが、結局はロープを出すことなく降りてくることができた。最初の7m滝は左岸側を高巻き。他にはほとんどなかったが、ここにだけ踏み跡らしきものがあった。なにより驚いたのが、高巻きの取り付き(上からの)にお地蔵さんいたこと。昔は道があったのかなあ・・・。残る難関は最後のヤブ。行きよりは上手くヤブの弱点を突くルート取りができたかな?とはいえ、むさ苦しいことこの上なし。

とりあえず無事下山。意味ナシに終わった自転車を回収し、温泉温泉!糸魚川周辺には色々と温泉はあるみたいだけど、結局は小谷村の道の駅「深山の湯」でスッキリする。白馬で腹も満たし、あとは帰るのみ。

さて、瀑水を浴びた後、握力がなくなってしまったのだが、もしかしたら「コールドショック」とやらの初期症状だったかも・・・?顔は真っ青になっていたみたいだし、筋肉が極度に疲労していた。とくに手は岩をつかんだだけでパンプしてしまう状態。あまり筋肉痛にならない体質なのだが、帰宅後から翌日いっぱいは、上半身が大変な筋肉痛になってしまった。たまのクライミングでもこんな筋肉痛にはならないのに・・・。どこで使ったのか腹筋も痛い痛い・・・。身体全体の脱力感もすごかったなあ・・・。

帰宅後にガイドブックを見ると、載っている写真の水量とは比較にならない。まあ、ガイドの遡行日は11月だからなあ・・・。撤退の滝も「水流を跨いで登る」なんて書いてあるが。今日の水量では不可能。高巻きもかなり戻って大高巻きになりそうだし・・・。沢登りのグレードは、水量やその他の条件によって大きく変わってくるんだということを再認識。反省することも多かったし、新たな経験の蓄積にもなった貴重な山行だった。沢登り2度目のU田君には、なかなか美味しい思いをさせてあげられなかったのが残念。でも、あの滝まではずいぶん楽しめたような気がするが・・・・・?




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