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唐松岳〜祖母谷温泉〜白馬岳 三角山越え


八方から入り栂池に下山  単なる修行でした・・・


登ってきた清水尾根から旭岳の山並み

 エリア  北アルプス 後立山連峰  
 山行日  2008年8月9日(土)〜11日(月)
 ジャンル  修行
 メンバー  単独
 温泉  祖母谷温泉(500円)

前々から気になっていたルート。ただしんどいだけという気もするが、ルート的には美しい(?)。なにしろ白馬を越えて700m台の祖母谷温泉まで下るんだから・・・。で、また白馬岳まで2000m登り返す。アホらしいと言えばアホらしい。ここ2年くらいでメッキリ老化(老眼も進行中)が進み、体力が目に見えて落ちてきている。このアホらしいルートにチャレンジできるのも、そろそろラストチャンスかなと思い、直前まで迷ったが実行することにした。

■8月9日(土)  八方尾根⇒唐松岳⇒祖母谷温泉  晴れのち時々くもり

成功のカギは1日目。唐松岳を越えて祖母谷まで降りる。避難小屋に2泊という手はあるが、祖母谷温泉で温泉に浸かりたい。黒菱まで車で上がって早出するのが理想的だが、夏バテ気味につき早起きするのを嫌う。遅いスタートになってしまうが、ゴンドラとリフトを使うことにした。幸いこの時期のみ始発が7時だし。

八方池山荘(7:50)⇒丸山ケルン(9:25〜35)⇒唐松山荘(10:10〜30)⇒水場(11:50〜12:10)⇒餓鬼山(13:20〜30)⇒避難小屋(14:00)⇒餓鬼ノ田圃(14:40)⇒祖母谷温泉(16:10)

大日岳に行くT世さんを扇沢まで送り、八方へと向かう。八方の駐車場に車を止めてゴンドラまで歩くと、すでに切符売り場に長蛇の列。やや焦る。切符のあとはゴンドラも行列に並び、次のリフトでも並び、最後のリフトだけすんなり。すでに8時前。やっぱり黒菱まで車で上がった方がよかったか・・・。後悔先に立たず。いきなり遅出の重圧との戦いとなった。

お花畑と五竜&鹿島槍  リフトから
土曜の八方尾根はハイカーだらけ

天気は快晴!もう8時なので暑い!眺めは最高だけど、時間との戦いなので楽しむどころではない。しかしながら、急ぎたくてもリフトの行列がそのまま続いているような状態。抜くに抜けない。八方池まではダメだ・・・。池を過ぎると列がだいぶバラけてきて、ペースも上がってきた。クソ暑さに参って休憩したかったが、丸山までは頑張ることにした。前にはもう数人しか歩いていない。ヨシヨシ!

八方池  白馬鑓のてっぺんが切れてしまったが・・・
不帰キレット

1時間35分歩いて丸山ケルン。500mlのペットボトルを一気飲み。ここから唐松山荘までは35分ほどだった。配分ミスったなあ・・・。でも、唐松山荘11時がタイムリミットと思っていたので、時間的には少し余裕ができた。ここからが本番なのにいいのかなあ・・・とは思いつつ、自販機でビールを買って飲む。そして、食パン1枚胃に放り込んだ。

おもしろかったので・・・
唐松山荘から祖母谷に伸びる道
あれが餓鬼山

まずは大黒銅山跡まで800m近い下り。道は思ったよりは悪くない。一気に銅山跡近くの水場分岐へ。ここで休んでいると、でっかいザックの学生風2人がやってきた。10日目のようだ。よく登るわ・・・。この水場、水場というか餓鬼谷の本流だ。水量も多く、河原も広い。絶好のテン場となっている。次に来る時はここで泊ろう。来ることはないと思うが・・・。

剣に向かって歩く
鉱山跡付近の水場(というより沢)
餓鬼山より見慣れない角度の白馬鑓

水を満タンにし、今日の核心と思われる餓鬼山の登り。なにしろ300mの登り返しだ。すでに足はバリバリ下りモードなので、歩き出しからダルダル。真後ろからはギンギンに真夏の日差しが照りつける。こりゃ厳しいわ。秋にやるべきだった・・・。休憩ごとに500ml以上飲んでいるが、歩き出すとすぐに口がカラカラに乾く。ゼイゼイ言いながら餓鬼山山頂に立った。山頂からは普段見慣れた後立山の姿とは違う、トゲトゲしていない山容が印象的だった。

餓鬼山より見慣れない角度の唐松岳
餓鬼山より見慣れない角度の五竜岳
餓鬼山の避難小屋

あとは大きな登り返しはない。時間的にもコースタイムをキープすれば余裕。餓鬼山の登りでかなりのダメージを受けたと思ったが、下りの筋力はキープされていた。しかし暑さだけは容赦ない。ノドがガラガラになるのが苦痛だった。試しにアメをなめてみたが、ツバがないのでアメが融けない。逆に吸い取られてしまった。すごい濃厚なアメだった。針葉樹の中に入ると暑さは多少和らぐが、そのぶん標高も下がるので気温は上がる。どっちもどっち、五十歩百歩、目クソ鼻クソ。常に腕には大粒の汗の玉。温泉、温泉、温泉の一心で下っていた。温泉で水を浴びたい!足に余力はあったものの、祖母谷と祖父谷の出合が見えてからがなかなか着かない。精神的にきつかった。

祖母谷温泉
湯船は養魚場風
成分表

祖母谷温泉のおじさんは物腰の柔らかい、優しそうな人だった。まずはビール!ノドにジョワーっときてシミル!刺激強すぎ!ウマイはウマイが、ノドが渇ききっている時は水が一番おいしいかも。ノドが潤ったところで温泉温泉!水をかぶって火照った体を冷やしたかったが水道はナシ。しかも湯は熱め。少し浸かってから体を洗い、あとはコンクリートの淵に座ってボケーっとしていた。それにしてもテントから20mの至近距離に風呂があるのはありがたい限りだ。

風呂上りにビールもう一丁!ある程度ノドが潤った後の2本目の方が美味しかったなあ・・・。昼からいるというおじさんとしゃべりながら時間をつぶす。食欲はなかったが米を炊いて食う。ここは750mチョイの標高。陽が傾いても冷え込んでこない。日が沈んでも暑い。テントに入りたくなかったが、横になりたかったのでテントで横になる。イチコロで寝てしまった。夜は暑くて時々目を覚ます。ランプもシュラフカバーも用意せずに寝てしまったので、探すのに難儀した。侵入していたアリを追い出し、網戸を閉めて本格的に寝た。

道中に生えていた花 (その1)
オトギリソウ シモツケソウ カライトソウ イワシモツケ
シロバナニガナ ヨツバヒヨドリ ミヤマリンドウ チングルマ
ウサギギク オヤマリンドウ タテヤマウツボグサ シナノナデシコ



■8月10日(日)  祖母谷温泉⇒清水岳⇒白馬岳テン場  晴れのち曇り

きのうは唐松山荘以降まったく食べ物がノドを通らず、祖母谷まで食わずじまい。今日は白馬岳まで約2000mの登りが待っている。天気は今日も晴れ。今日も灼熱地獄だろう・・・。道中はまた食えないだろうから、朝飯の時に食いだめしておこう。ラーメンを食べた後、無理やり菓子パンを押し込んでおいた。

祖母谷温泉(5:05)⇒登山道(5:25)⇒1本目の沢(6:35〜45)⇒4本目の沢(7:30〜40)⇒不帰の避難小屋(9:55〜10:10)⇒清水岳(12:45〜13:00)⇒白馬岳テン場(15:10)

まずは林道を歩き、スノーシェードの手前から名剣沢のガレに取り付く。今日も長丁場ではあるが、出発が早いのでじっくりと登れる。逆にオーバーペースにならないように、自重気味に歩みを進めた。コースタイムで歩けば十分だと。名剣沢をしばらく直登した後は、長い百貫山の山腹をトラバース。水流のある沢を6本横切ることになるが、そのたんびに水を飲み、顔を洗い、腕を冷やしていた。きのうガラガラになったので、早目の水補給を心掛ける。これだけ頻繁に水場があると大助かりだ。

百貫ノ大下りを登ると初めて尾根道となる。不帰岳が見えてくるがまだ遠い。清水岳へと続く尾根も見えた。偽ピークとなりうるピークもインプット。アップダウンを繰り返し、ひと登りで不帰の避難小屋に着いた。団体さん休憩中につき落ち着けず。ここまでにも数人とすれ違っているし、下りに使う人が多いようだ。ここから先は水場がないので、ここで満タンに。

登山道の取り付き点
不帰岳
不帰岳の避難小屋

ここまでは晴れていたが樹林帯だったので陽は避けれた。ここからは潅木帯となり、灼熱地獄を覚悟をしたが幸いにも雲が出てきた。不帰避難小屋から先は楽園との話だったが、まったくそんな様子はない。ところが小1時間登ったところで、眼前に楽園が・・・!チングルマとハクサンコザクラの大群落。白馬岳周辺の一面のお花畑と比べると規模は劣るものの、花の密度はこちらに軍配が上がる。しかも、こじんまりとした坪庭風のお花畑はロケーション良好!おもわずザックを降ろして休憩。T世さんへのお土産写真を撮りまくる。

清水岳手前のお花畑
同左  写真では良さが伝わらない
同左

楽園が過ぎ、むさ苦しいところを一段登ると、再び楽園に。この尾根は階段状になっていて、平らになると楽園、急になるとむさ苦しい潅木&笹の道になる。これを何段も繰り返し、清水岳へと登りつく。不帰の避難小屋から清水岳までは、標高差約600mだが、それを感じさせない楽しい登りだった。欲を言えば、もっと陽が当たって明るかったらよかったが・・・。涼しく登れることと天秤にかけたら、どっちもどっち、五十歩百歩、目クソ鼻クソ。

あとひと登りで清水岳
清水岳山頂は平原
小旭岳

清水岳の山頂は平原。厳密に言うと、山頂からははずれている。登りで全く見なかったミヤマアズマギクが、山頂には群落となって咲いていた。いい山頂でした。ここからは登りというよりも縦走モード。ここからは暑いのガマンするから晴れて欲しいなあ・・・。しかし展望はイマイチ。白馬鑓の山腹が時々見える程度。清水岳から白馬岳間は小さなお花畑はあるものの、特筆すべきものはなし。花を見に清水岳を往復している人もいたが、清水岳の真髄は清水岳より下の尾根にあり!小旭岳は巻いてくれるので楽勝!裏旭岳のジグザグ登りも気を入れていたので問題なし!予想外の最後の稜線への登りがヘトヘトになってしまった。

裏旭岳あたりで振り返る
稜線に着いたら晴れてきた
テン場は大盛況!

稜線に出たらテン場が見えた。すでに満開。ロクなところが残っていなかった。一人なのでどこでもいいや・・・。テン場に着くころには晴れてきた。旭岳にでも・・・と思ったが、さすがにズクなし。ビールを飲みながらボーっとしていた。これでビールは4本目。いつもは背負ってくるが、今回は軽量化に努めたのだった。

道中に生えていた花 (その2)
センジュカンピ テングノコヅチ シラタマノキ ハナニガナ
シロバラニガナ ミヤマママコナ オオバミゾホオズキ コメツツジ?
ハクサンフウロ ミヤマキンポウゲ ミツバオウレン コイワカガミ
ツガザクラ イワイチョウ ミヤマツボスミレ ツマトリソウ
イブキトラノオ ミヤマコゴメグサ クモマミミナグサ ヨツバシオガマ
イワオウギ ハクサンシャジン タカネナデシコ ミヤマクワガタ
オオバキスミレ ハクサンチドリ ダイモンジソウ イブキジャコウソウ




きのうの祖母谷温泉とは打って変わって寒い夜。さすがに3000m近い稜線では、シュラフカバーのみでは寒かった。・・・というか、服が足りなかったかも。せめてもう一枚上着があれば全然違っただろう。夜中は寒くて目が覚めるし、ションベンは近いし・・・。長い夜でした。


■8月11日(月)  白馬岳テン場⇒白馬岳⇒小蓮華山⇒白馬大池⇒栂池自然園  晴れのち曇り

やっと3時半。周りもゴソゴソし始める。眠いけど寝れないもどかしさから開放される。さて、今日はどうしよう・・・。夜中は満天の星空だったが、今はガスに巻かれている。さっさと大雪渓で猿倉に降りようか・・・。それとも予定通り栂池まで縦走しようか・・・。とか考えているうちに晴れてきたので、まずは登ったことにない旭岳へ登ることにした。

テン場(5:45)⇒旭岳(6:15〜35)⇒テン場(7:00)  テン場(7:15)⇒白馬岳(7:50〜8:05)⇒小蓮華山(9:00〜10)⇒白馬大池(10:00〜15)⇒天狗原(11:05〜10)⇒栂池自然園(11:40)

風が強かったのでテントに石を入れて空身で出る。旭岳南斜面と東面の崖のふちに踏み跡らしきものが見えた。そこに向けて雪渓を詰める。すると登山道並みの立派な踏み跡があった。今日は見掛けなかったが、登りに来る人が多そうだ。さすが標高ベスト100に入っているだけのことはある。

山頂の一角に着くと、ウルップソウの残骸があちこちに。一応北の端まで行ってみる。東面は崖系だが、北面はメローな斜面が広がっていた。滑りに来たい!頂稜の真ん中付近に東面に出っ張った岩峰があった。どうやらその岩峰が一番高そうだ。簡単に登れそうなので登ってみると、山頂の看板が隠してあるかのように置いてあった。白馬三山は思いっきり逆行だ・・・。チョコット主稜線から飛び出した旭岳だけに、眺めは最高に違いないのに・・・。ここは夕方に来るべきかも。

杓子岳と白馬鑓
白馬岳をあとに

旭岳を歩いていたら気分良くなり、予定通りに栂池まで縦走することに決めた。今回まだ一度も稜線歩きをしていないし。ただ、今からのスタートだと、12:50のバスに間に合うかはビミョウだ。ま、その時はその時、その時考えよう。白馬岳山頂までがいつも長く感じる。2号雪渓の滑り出しを覗き込む。雪がある時は垂直に見えるが、雪がなければ斜度を感じない。旭岳東面しかりか・・・?旭岳に行ってるうちに時間差ができたのか、白馬岳の山頂には1人しかいなかった。

清水尾根
雪倉方面

サクサク下って登って小蓮華山へ。山頂崩壊の危険性があると、少し前の新聞に載っていたが、ロープが張ってあって立ち入り禁止。白馬三山には東からガスが上がり始めてきている。今日もすぐにガスガスになりそうな感じだ。雪がある時の白馬大池、小蓮華山は何度か来ているが、夏に訪れるのは10年以上ぶりか・・・。小蓮華山は展望はいいが、山自体は味気ない山だ。

小蓮華山の登りより  杓子岳と白馬鑓
小蓮華山を下る

それに比べて白馬大池は別天地!池といい、お花畑といい、最高のロケーション。なんてのどかなところなんだ・・・。ここでキャンプしたい!と思った。着々とコースタイムを縮め、バスに間に合うかも。ただ、ロープウェイとゴンドラで手間を食う可能性大なので、少しでも早く降りておきたいところ。白馬大池でゆっくりしたいところだが、またの機会にして急ぐ。

白馬大池
白馬大池のお花畑

・・・と思ったところで、団体さんが出発。やられたぁ〜。1分遅かった・・・。どうせすぐに追い付くので、しばらくして出たが、すぐに追い付いてしまった。タチの悪いことに、先を譲ってくれる気配なし。延々30分近く、ハクノリの山頂まで付いて歩くことになってしまった。これでバスの時間に黄信号がともった。

白馬大池のお花畑と船越ノ頭
白馬大池のお花畑
白馬大池と小屋
白馬大池と船越ノ頭 向こうは小蓮華山

ハクノリから天狗原のゴロゴロ帯を10分チョイで駆け下ってゴボウ抜き。天狗原の平らなところで足を休めて、再び急斜面でダッシュ!それにしてもこのあたり、冬とは全く雰囲気が違う。当たり前だが。ハクノリの大斜面も広葉樹がビッシリ。これが全部埋まって白一色になるんだなあ・・・。天狗原からの斜面もしかり。

道中に生えていた花 (その3)
タタカネマツムシソウ ミヤマホツツジ ミヤマタンポポ ミヤマアズマギク
コマクサ イワツメクサ クルマユリ ミヤマタネツケバナ
ヒメクワガタ? ヤハズハハコ イワギキョウ ミヤマキンバイ
ハクサンコザクラ トウヤクリンドウ タテヤマリンドウ イワショウブ




ダッシュの甲斐あって11時40分に自然園着。12時のロープウェイに乗り、ゴンドラで下まで下ったら、12時35分。バスは50分なので、ちょうど良い時間。ロープウェイがもう一つ遅かったら、乗り遅れてたなあ・・・。しかし下界は暑い!もはや信州は避暑地ではない。バスに乗って八方へ。車を回収して、やっと気分も下山。

白馬の三角山越え、思わぬところで実現した。予想通りの体力勝負だっただけに、達成感はある。テント背負って2000m登ったのも初めてだったし。ま、なんだかんだ言って、山は縦走するのが一番楽しいな。



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