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立山東面 内蔵助平&タンボ平
紅葉ハイキング


内蔵助平から立山に登って、タンボ平を降りてきました


内蔵助谷上部はアルペン的でした


 山域  北アルプス 立山連峰
 山行日時  2010年10月14日
 登山形態  紅葉ハイキング
 メンバー  単独
 温泉  

体力右肩下がりの今日この頃。コースタイム13時間45分、ボクに与えられた時間は約9時間半。かなりビミョーな数字だ。5年くらい前までなら不安に思わなかっただろうけど、ここんとこのヘタリ具合を思い浮かべると、心配になってしまう。まあ、最悪はアルペンルートを使うという逃げ道もあり、実行する運びとなったわけであります。

黒部ダム(7:45)⇒内蔵助谷出合(8:30)⇒内蔵助平(9:45〜50)⇒真砂岳・富士ノ折立コル(12:30〜35)⇒雄山(13:10)⇒一ノ越(13:30〜13:55)⇒東一ノ越(14:20)⇒黒部平(12:20〜25)⇒ロッジくろよん(15:50)⇒黒部ダム(16:10)

紅葉スポットで気になっているのが、立山東面の2つの平、「内蔵助平」と「タンボ平」だ。この2つは別々に気になっていたが、一緒にするとコースタイム13時間45分ということになる。この時期アルペンルートの始発は遅く、黒部ダムを歩きだせるのが8時前で、最終は17時半。う〜ン・・・

   
大タテガビン 霧が降ってくる   落ちたら流されそう   下ノ廊下

1週間前にも扇沢に来たけど、その時はまだ緑緑していた。1週間経った今日は、見頃までもう少しというところまで一気に進んでいる。こりゃあ内蔵助平もタンボ平も紅葉末期かな。トロリーバスを降り、どこに行けばダムの下に降りれるのか心配していたが、ちゃんと案内があってホッとした。こんなとこでロスは許されないのでね・・・。

 
内蔵助谷出合の少し上 丸山東壁

黒部川に降りるまでに2団体と単独を抜いた。内蔵助平手前で若い娘さん2人に写真を頼まれ、急いでいた足を止めて撮ってあげる。たとえ男でも頼まれたら断らないけどね・・・。深い谷にはまだ日が差さない。大タテガビンの手前で内蔵助谷に入る。最初は細かく高巻きがあって疲れたが、右岸の安定した道に変わっていく。そのかわり水流から遠いので、水を飲めない。水は1Lしか持ってないので、水のあるところでは現地調達したかったんだが・・・。丸山東壁は穂高の屏風岩に勝るとも劣らない迫力だ。そのうち支沢がいくつも通っていて、ノドは潤った。

 
内蔵助平に入ったあたり 同左

谷の傾斜が緩み、両壁がなくなってくると内蔵助平。同時に立山の主稜線(ほとんどは真砂岳から東に派生する尾根)と思われるものも見えてきた。あの落ち込んだところが内蔵助カール末端のノドの部分かな・・・?遠すぎる・・・。左岸に渡渉したらすぐにハシゴ谷乗越との分岐。ここでしばらく休憩。


内蔵助平  立山の主稜線が見えてきた

内蔵助平の紅葉は、終わっている木が多かったけど、それなりに盛りを迎えている木も多かった。上の方を見ると、まだまだ真っ赤に残っているところもある。まあ、全ての木が同時に染まるってもんでもないし。紅葉はともかくとして、内蔵助平をゆったりと流れている川のある風景がのどかだった。

 
内蔵助平にあったカンバ 穏やかな流れの内蔵助谷

内蔵助平の三差路はハシゴ谷乗越方面のほうが主流。内蔵助方面は踏み跡が薄い。登山道というよりも、濃い目の踏み跡と言ったほうが無難かも・・・?ただ、迷子になりそうなところはない。アレッと感じたら、周りをキョロキョロすれば解決できる。踏み跡がなくなることはないし、テープもペンキもしっかり付いている。カールに出る少し下あたりが、一番道がわかりにくかったかな・・・。

 
内蔵助平から登りにかかる 黒部別山と遠くは鹿島槍

内蔵助平では標高よりも距離を稼ぐ感じ。徐々に傾斜が増してくると、尾根やら谷やらをやたらと乗り替えるようになる。本流をそのまま詰めると、最後に極悪なノド?崖?ルンゼ?シュート?に阻まれる。なので、それを避けながら登ることになる。癒し系の内蔵助平から、だんだんと景色がアルペン的になってきた。散り始めているが、紅葉もなかなかいい感じ。


この先内蔵助谷本流は険しくなる

本流を右岸に渡渉してから、本格的な登りが始まった。これまで比較的展望があったのに、ここにきて背丈よりも高いブッシュの中の登り。ちょうど一枚バーンの登りだ。今回は紅葉がメインだが、スキーの下見も兼ねている。内蔵助谷のカールを滑ると、ノドが邪魔するのは地図を見たら一目瞭然。逃げ方を確認しなかったのだが、これなら初見で来ても大丈夫だったなというレベル。この一枚バーンのロケーションは一級品とみた!スキーの話です。


真砂岳の東稜

標高が上がると内蔵助平が見下ろせるようになる。この一枚バーンを滑って、徐々に傾斜が緩み、最後に内蔵助平を惰性で滑ってテン場へ・・・というのがやりたい。内蔵助平の先には黒部別山があるが、これも興味津々の山。位置的に展望は最高に違いない。後立山はまず双耳峰でない鹿島槍が見えてくる。

 
内蔵助平を見下ろす 一枚バーンの斜面

一枚バーンの右縁を通る時に、ノドを見下ろせる場所が何ヶ所かある。それはそれは険悪な様相。スキーで降りることは不可能ではないと思うけど、ただ降りるだけで面白くない。それなら、この一枚バーンに乗り換えて気分よく滑るのが正解だ。ハイマツがチラホラ出てきて、抜けは近いことを感じる。


やっと稜線が見えてきた!

やっと見えました!真砂岳の稜線が。しかししかし、まだまだ遠い。かなりの距離がありそうだ。登山道は内蔵助カールの右岸台地に付けられている。内蔵助カールのU字谷は傾斜が緩いけど、真砂沢なんかよりも距離が短い。この下にあるノド付近の地質に秘密があるのか・・・?これ以上えぐり取れないのかもしれない。(勝手な想像です)

 
真砂岳の東にあるピーク 内蔵助カールが落ち込むところ
 
内蔵助カールの手前あたり 後立山が並んでます

遠く感じたけど傾斜が緩いので、サクサクと歩けミルミル近づく。後立山も爺ヶ岳から白馬岳までご登場。のどかな景色だ。そのうち内蔵助山荘が真横になる。青空と白砂の境目に小屋があって、雰囲気がよさそうだった。位置的にあまり使う人はいないのかな・・・?内蔵助カールのモレーンのところでやっと沢の真ん中へ。


内蔵助谷上部の右岸台地は花も良さそう


真ん中に内蔵助山荘が見えます

カールは広いが、カール壁は低い。底から稜線まで100m程度。しかし、地図には点線ながら道として載っているが、見る限りでは踏み跡さえ見当たらない。岩はガラガラで蟻地獄状態なので、残雪を拾って高さを稼いでいく。でも、雪もカチカチなので、このアプローチシューズではエッジが効かず、何度も滑落しそうになる。

 
内蔵助カールの末端 カール壁は手強そう

雪の上は限界で、仕方なくガラガラの上を歩く。時々踏んだ跡があり、そこは蟻地獄にならない。でも、すぐに見失う。稜線はすぐそこで、少ないながらも登山者はいる。派手に落石を起こしたら一斉に視線を浴びるので、一歩一歩を慎重に。四つん這いになりたいところだったが、あいにく肋骨が痛くて右手は付けない。やっとの思いで稜線へ。けっこう苦労しました。

 
きれいなU字谷 やっと稜線に出ました!

この稜線に13時がタイムリミットと想定していたが、なんとか30分前に到着。しかし余裕があるわけではない。水だけ飲んですぐに富士ノ折立へと登り始める。アルペンルートで簡単に来れてしまう立山。でも金がかかる・・・。山登りの対象としては敬遠してしまうが、山としてはスバラシイの一言。景色は特級品ですな。すでに冬枯れ、雪待ち状態ですが。

立山の稜線を歩くのは、実に17年ぶり。はじめて登山ということを意識して登った山。・・・とはいっても、Gパン&トレーナ(全て綿)、テニスシューズ、旅行用のリュックという姿だった。カッパもバイク用だったっけ・・・?これを機に少しずつ山用の道具を揃えていった。懐かしい・・・

 
雄山から  針ノ木岳と黒部湖 南の山なみ

富士ノ折立は素通り、大汝山も素通り、そして雄山までも素通り。この3つ全て素通りする人は普通いないでしょうね。しかしながらボクには時間が欲しかった。朝買っておいたコンビニ弁当を食べる時間が・・・。完全に時間が計算できるところまで行かないことには、ゆっくり休憩はしていられない。


大日岳と室堂

13時30分に一ノ越。30分休んで14時に出て、コースタイム通りに歩けば、黒部平最終の17時のケーブルに間に合う計算。コンビニでビールを買い忘れてしまい、不本意ながら一ノ越山荘で買う。450円は普通の山小屋よりは安いが・・・。大汝山と雄山の売店はすでに閉まっていたので、もしや一ノ越山荘も・・・と思ったけど、やっぱり宿泊施設はやってるんですね。一ノ越は風の通り道。少々寒かったけど、ビール飲んでコンビニ弁当を食べた。それにしても人少ない。

 
御山谷 東一ノ越へのトラバース道
 
下から見る龍王岳は端正 御山谷

シーズン中でもあまり降りる人がいないという、タンボ平への道。まずは御山谷の左岸トラバース。この御山谷もなかなかのU字谷。ここはスキーでよく滑られている。アルペンルートでアプローチすれば、登りはわずかで、あとは滑るだけ。反則だ。まあ1回は滑ってみたいですけどね。それよりも登ってみたいな。紅葉真っ盛りの時に。半分から上は登山靴でも登れそうだ。

 
一ノ越を振り返る 東一ノ越

人が少ないということで、多少は荒れているのかと思いきや、道はしっかりしている。傾斜も緩い下りなので、足にとても優しい。左の尾根の高さが追い付いたところが東一ノ越。ここでタンボ沢に乗り換える。すると・・・。真っ赤に染まったタンボ平が・・・。こりゃスゴイ!半分終わりかけてる感じではあるが、ポテンシャルの高さを感じずにはいられなかった。問題は半分近くまで迫ってきている日陰。タンボ平は東斜面なので、日が暮れるのが早い。この日陰がどんどん増殖していく。せめて少しでも日が当っている状態で歩きたい。ダッシュで駆け下りる。

 
雄山の東面 タンボ平
 
雄山の東面  陰ってきた 大観峰

本来なら内蔵助平もタンボ平も東向きなので、日を浴びる午前中に登るのがポイント。でも、今日はこんな設定にしてしまったもんで、あせって下るハメになってしまった。今度は紅葉の盛りピンポイントを狙って、タンボ平は登ってみたいところ。内蔵助平はとりあえず終わり。

 
赤沢岳と一番右は針ノ木岳 タンボ平北側の斜面

タンボ平の眩しかったところに降りてきたが、まあ近くで見るとたいしたことはないですな。だいぶ終わりが近付いている様子。やっぱり紅葉は遠目で見るのが一番。たまにきれいなのもあるけど、あまり期待はできない。京都のお寺のようにはいかない。ちょうど沢を横断するところで、夫婦連れと思われる2人がボクを待っている様子。行ってみると、やっぱり声を掛けられる。「下りなのに登るんですか?」・・・と。沢を横断するので、対岸へは少しだけ登ることになる。この登りに納得いかないようで、ボクに対しても不満がありありだった。下山だから登りはないと思っていたのか・・・?今でも少し疑問が残るところ。この夫婦、最終に間に合ったかどうかだけが、ちょっと不安。

   
     

黒部平に着く。ケーブルカーの駅へは30mくらいの登りになっている。ここからは歩くとロスが多いので、ケーブルに乗るつもりにしていた。でも、時間は余裕だし、30m登るのが面倒だったので、最後まで(といってもダムまでだが)歩くことにした。歩くと何かいいことがあるかもしれないし。

 
黒部平あたりにあったやつ 黒部平チョイ下のブナは赤っぽい

しばらく緩やかに下っていて、急に落ち込むあたりからブナ林に変わる。すると黄金に染まったブナと、柿色に染まったブナの紅黄葉競演。さらに降りると、下草も真っ黄っ黄に染まっていて、キンキラキンの道に。これは今シーズンナンバーワン間違いなしの紅葉!ダムまでタイムトライアルでもしようかと下っていたが、紅葉狩りに変更。ゆっくりと歩く。歩いて得した。

 
ダムの少し上 同左  今回一番キレイだったかも・・・

ロッジくろよんあたりのブナ林もほぼ盛りの状態。ダムまでの湖岸歩道もいい感じ。このあたりって、こんなにいいとこだったっけ・・・?夏には気付かない良さが、秋にはあるんですね。おかげでダムまで飽きることなく歩くことができた。そして、最終バスの1時間前のバスに乗ることができた。ギューギュー詰めの満員バス。中国語が飛び交っていた。日本旅行自粛じゃなかったの・・・?

 立山東面の紅葉
 ◆内蔵助平
ものすごい紅葉ってわけではないけど、なんといっても人の少なさが魅力でのどかな感じ。半分観光地化している立山において、この静けさは貴重だ。
 ◆内蔵助谷上部 カールに登るまでは急峻な地形。岩とそれに生える木と空のコントラストが素晴らしい。アルペン的な紅葉が見える。
 ◆御山谷 あまり下流の方は見えなかった。上流の広いところにはあまり木が生えていない。オアシスのように点々と紅葉が見られた。
 ◆タンボ平 ここは上から眺めた時、思わず”スゴーッ”と声が出た。この中を歩いている時はあまり展望がないので、タンボ平の紅葉はロープウェイから見るのが一番だと思う。
 ◆タンボ平〜黒部湖 自分の中で予定になかったとこなので、ここの紅葉にはビックリでした。しっとりとした紅葉が楽しめます。派手さはないけど癒されます。





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