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二ノ俣谷から大天井岳 沢登り


梓川支流の二ノ俣谷を遡行して大天井岳に登ってきました


明るくキレイな沢でした


 山域  北アルプス 大天井岳
 山行日時  2011年9月23日〜25日
 登山形態  沢登り
 メンバー  しげg、K10、M木
 温泉  中房温泉 有明荘(600円)

今シーズン3度目の常念山脈探検系沢登りは二ノ俣谷。8月の一ノ俣谷のお隣の沢になります。お隣だけあって渓相は似ていましたが、二ノ俣谷の方が明るく開けている感じ。大半がゴーロで間延びするきらいはありますが、花崗岩の明るい谷で水もキレイなので気分は良かったです。中流部がクライマックスで、小滝が連続する美渓な感じ。ここだけみるとと有名沢に引けを取らない。詰めはヤブ漕ぎナシで、快適な涸れ滝登りで登山道に出ることができました。もっと人気が出てもいいんじゃないかと思える沢でした。ま、アプローチと下山がね・・・。

◆9月23日(金) 上高地⇒二ノ俣谷出合⇒テン場  快晴のちくもり

大正池あたりでは霧が出てたけど、河童橋からは穂高連峰を見上げることができた。目を下に降ろすと、濁ってはないものの明らかに水量の多い梓川が・・・。3連休と3連休の間に日本列島を縦断した台風15号。この一連の雨で上高地には200mmくらいの雨が降った。中一日でどれくらい減ってくれるもんなのか・・・?水量が多いのは織り込み済み。なにしろ天気予報はいいので、二ノ俣谷出合まで行ってみて、ダメそうならば縦走に切り替えることにして上高地を出る。

上高地(7:40)⇒横尾(10:05〜25)⇒二ノ俣谷出合(11:15〜40)⇒テン場(13:25)

お盆が明けてから紅葉シーズンが始まるまでの間は、山は比較的空いているイメージがあった。ところがところが、上高地はごった返してて、横尾までの道も抜いても抜いてもキリがないくらいの人出。横尾のトイレには長蛇の列ができていた。9月1回目の3連休が予報でずっこけたので、この晴れ予報の2回目の3連休に集中したのかも・・・?若い人たちが増えたぶん多くなったってことも考えられそう。

 
河童橋より  水量多いです・・・ 横尾のトイレには長蛇の列

さすがに横尾からは人が減りました。8月に遡行した一ノ俣谷からわずかで二ノ俣谷出合となります。水量は多そうだけど、何ともならない感じではない。登山者をやり過ごしたあと、右岸のヤブッぽい踏み跡に突っ込んで、二ノ俣谷の河原に降り立ちます。水量が多くて無理そうなら、沢装備にならずに河原で泊まって、翌日の水量を見て遡行するか縦走に変更するかを決めるつもりだった。まあ、このぶんなら全体的に河原が広そうだし、天気も良い!沢装備になって、行けるところまで行ってみることに。

 
二ノ俣谷出合 入渓点

渡渉が大変そうなので、ずっと右岸の河原を進む。ところがというか、やっぱりというか、右岸通しでは進めなくくなる。渡渉か・・・水量多いなあ・・・。少なくても本日沢デビューのK10さんは無理だろうな。体重が軽そうなマサ吉も厳しいかな・・・?まさか二ノ俣谷の渡渉でロープを使うことになるとは思ってなかったなあ・・・。ボク自身も水量の多い川の渡渉は久しぶり。チョイとビビりながら、ロープを引いて探りながら渡る。真ん中2人はピンピンに張ったロープに掴って、最後のしげgさんは上流から1本で確保した。その後も何度か渡渉することに。ただ、ロープは一度だけで、あとは長めのシュリンゲで事足りた。

 
明るくてキレイな谷です 渡渉にロープを使うとは・・・

今日ははじめから宴会目的。欲張って先に進むつもりもないし、遅い時間まで歩くつもりもない。一応今日の予定は峠沢の出合付近の川が広くなってるあたりまでだったけど、1時半くらいに優良物件があったので、あっさりと本日の予定終了。

 
たまにはあります 本日の宴会場

今日の宴会場は広くて明るくてロケーション抜群!マキも豊富。見えてる範囲で集まります。長雨で火が着くか心配だったけど、今日1日の晴天でカラカラに乾いてくれました。夕方になって一時雲が増えてパラパラと降ってきたけど、それもいつの間にか解消し、暗くなったら一面の星空になっていました。本日の宴会は8時間くらい。毎度のことだけど沢の泊まりは楽しいなあ・・・。


◆9月24日(土) テン場⇒大天荘  快晴

今日はテントで、しかも4人も入っているので寝てる時に寒さは感じなかった。ところが明るくなってテントの外に出ようとしたら、寒いじゃありませんか。外に放置していたザックにはビッシリと霜が、同じく放置していた沢靴はカチカチに凍ってしまっていました。朝から焚火のお世話になりました。

テン場(7:45)⇒峠沢出合(8:05)⇒2066m(9:45)⇒5m滝(9:50〜10:55)⇒三俣(11:55〜12:15)⇒登山道(14:45〜15:00)⇒大天荘テン場(15:20)

起床時間も出発時間も決めずにいましたが、やや遅めかなと思える7:45出発。今回のこの行程は頑張れば1泊2日で行けそうだが、余裕をみて2泊3日にしている。慌てることはない。

 
ザックが霜で真っ白け 二ノ俣谷初めての滝

二ノ俣谷は南北に流れているので、朝はなかなか日が差してこない。明るいはずの谷も日が当らないので暗くなってしまう。峠沢の出合には赤テープがぶら下がっていた。かつては、ここから中山峠経由・二ノ俣尾根で東天井岳まで道があったとか・・・。気になるところが増えてしまった。

 
渡渉にも慣れてきた? ゴルジュ内

峠沢を過ぎて左から支沢が入るところで、ふと上を見上げるとヒュッテ西岳が。太陽の光が反射してたから気付きました。この位置に西岳があるんだ・・・と今更ながら位置関係に納得。ここから先、地形図通りに両壁が高く狭くなってきて、ゴルジュっぽい地形になってきた。谷は狭くなっても険悪になることはなく、太陽が当たっていればキレイだろうなあ・・・と思えるところが結構あった。

 
水にも慣れてきた? ゴルジュ出口の支流に架かる滝

このゴルジュの出口には、左岸の枝沢から30m以上はありそうな2本の滝が架かっていた。水量は少し減った様子です。みなさん渡渉にも慣れてきたこともあり、渡渉でロープやシュリンゲを使う場面はなくなりました。快調に進んでいたけど、5mくらいの滝に出くわす。直登は不能。右も厳しい。左の草付きに活路を見出すことになる。

 
晴れてきました へつる

滝に近いラインに取り付いてみるけど、最初の5mがあんまりよくない。場所を変えて左に移動。こっちも似たようなもんかなあ・・・。まあ、なんとかなりそうなので登ることに。草しかないのでドキドキしながらも、確実に足場を決めてから一歩上へ。滝に近寄りたいけど寄れず、上へ上へと登るしかない。やっとこさダケカンバを掴んでひと安心。あとは木を伝って下降ポイントを探る。下降ポイントにあった木に支点を作ってロープをセット。

 
5m滝 確保点から

登るラインが変わったので、難易度を確認するために一度下に降りた。で、登ってみるけど、やっぱりあんまり良くない。ロープがあるのでゴボウでもなんでも登るしかないでしょう。全員確保して登ってもらった。支点のとこからは木伝いに川に降り立つ。この高巻きで1時間以上かかってしまった。ロープを一回出すと1時間は覚悟しなければなりませんな。

 
ナメっぽくなってきます 5m滝は左から簡単に

高巻きしている間にすっかり太陽が当たるようになり、気持ちの良い遡行となってきました。正面には目指す大天井岳も時々見える。次なる難敵は横から落ちてくる5mの滝。よく見るとその上に3mくらいの滝と、左に曲がって5mくらいのナメ滝が控えている。

 
左の草付きから この上に3m滝が

ここも左の草付き。さっきのよりも傾斜が緩いので、みんなでまとまって取付き登る。一部良くない部分があったけど、なんとか登り切った。登り切ったところのダケカンバには残置のシュリンゲか架かっていた。ほとんど記録を見ない二ノ俣谷だけど、遡行者がいるってことを物語っている。なんとなく踏み跡もあったしな・・・。一連の3つの滝をまとめて巻いて川に降りる。

 
三俣で休憩 渓相が良くなってきた
 
小滝連続区間 遡行感度は良好です
 
ちっちゃいスリルを味わえる 快適に登れる滝が続く

三俣あたりからは徐々に傾斜が増してきて、小滝が連続するようになってくる。滝は全て快適に登れるし、二ノ俣谷一番の見せ場。岩盤がキレイで周囲の緑も明るく、何よりも青空なのでロケーションは最高。ここだけで見たら、谷川の有名どころにも引けをとらないんじゃないかと感じます。ただ違うのは、長〜いアプローチ、長〜い下山、そして長〜いゴーロ歩き。これらを楽しめる人ならば、二ノ俣谷に高得点が付くんじゃないかと思いました。


遠くに見えるは大天井岳


遠くに見えるは大天井岳

大天井ヒュッテへの沢を分けると、今は使っていないと思われるポンプ小屋があった。そこからしばらくで水涸れ。今日は大天荘のキャンプ場に泊まる予定。水は買うことができるけど、変な意地を張って、ここで汲んで背負うことにした。まあ、4人で4Lだけですけど・・・。足りない分は買うとしましょう。

 
滝を登るしげgさん 4条の滝?
 
ポンプ小屋と思われる小屋あり 水涸れちゃいました・・・

水が涸れたあとも比較的に岩盤が出ている部分が多かった。最後の詰めなので体は疲れてきたけど、楽しい涸れ滝登りに救われた。最後までヤブになることもなく、ガレやザレになることもなく、大天井岳を巻く登山道にでることができた。大天荘まではあと少しだけなので、ヘルメットとハーネスだけはずして大天荘に向かった。

 
振り返ると前穂が 最後は急傾斜
 
岩峰横の涸れ滝を登ると 登山道に出た
 
大天荘 大天荘

そんなにハードに動いたわけではないけど、その日の最後ってのは疲れるもの。大天荘にはすでにたくさんのテントが張ってあった。大天荘のテン場がこんなに賑わうとは想像してなかった。ここは10年以上ぶりだが、その時は梅雨明け後の土曜日。記憶は薄いけど、せいぜい10張りくらいだった覚えがある。客層を観察してみると、やっぱり若い人たちが多い。そのぶんだけ増えたのかもね・・・?


大天井岳山頂より  燕岳の方向 


大天井岳山頂より  常念岳の方向

テントを建てて、ビールで乾杯してから大天井岳の山頂へ向かう。今日は朝から夕方まで雲ひとつない快晴。空気も澄んでるので最高だ。夕方ってこともあり槍の方向は逆行でダメだったけど、燕岳に続く山なみや、遠く立山・剣に後立山連峰。常念岳への稜線も味わい深い。我が家のベランダから大天井岳が見えるので、逆に我が家を探すけどわからなかった。

 
夕方なので槍は逆行 立山・剣方面
 
安曇野も晴れ 日が沈んで槍

槍の展望は明日の朝に期待することにして、テントに戻って2回目の乾杯。背負ってきた酒類はすべて昨日のテン場で消費した。今日はもともと小屋で酒を買って宴会の予定だった。ちょっと遅くまでしゃべり過ぎたかな。泊まりは河原に限りますな。


◆9月25日(日) 大天荘⇒燕山荘⇒中房温泉  晴れのちくもり

今日も朝から快晴です。テントのチャックを開けると槍が見えてます。寒いのは寒いけど、昨日ほどではなさそう。みなさんお腹が減ってない様子なので、朝飯前で牛首展望台に行くことに。牛首展望台はもともと今回の山行の予定に組み込まれていたのでした。

牛首展望台(5:50〜7:50) 大天荘(9:30)⇒燕山荘(11:45〜12:20)⇒中房温泉(14:35)

以前から気にはなっていたけど、なかなか立ち寄る機会のなかった牛首展望台。登山道は大天井ヒュッテから牛首展望台を巻くように付けられていて、貧乏沢のコルで稜線に復帰するようになっている。大天井ヒュッテに泊まるか、よっぽど時間が余ってるかでないと立ち寄るにはズクが要るのであります。


大天荘のテン場からの槍ヶ岳


同じく穂高

さてさて、牛首展望台からの展望ですが、なるほど眺めは素晴らしいけど、大天井岳の山頂からの景色とたいして変わらない。槍ヶ岳がちょっとだけ近くなったってとこです。牛首展望台は大天井ヒュッテに泊まった人のための展望台って位置づけでしょうかね。ヒュッテのほうは展望に乏しいので・・・。

 
牛首展望台へ向かう 牛首展望台のてっぺん
 
表銀座の縦走路と穂高

わざわざ大天荘から牛首展望台まで行く価値がないってことだが、とりあえず行ってきたということが収穫。ヒュッテから200mくらい登って大天荘。空身とはいえ疲れた。2時間の散歩でお腹が減ってきました。すでに周囲にはテントはほとんどありませんが、のんびりと朝食タイムです。


ピークが牛首展望台


手前は表銀座の縦走路


燕岳に向かいます

あとは中房温泉へと下るのみ。最終日ということで荷物は少し軽くはなったけど、そのぶん体が疲れてきてます。大天から燕山荘までの縦走路はアップダウンが少なくて、展望が素晴らしくていいですね。その中でも大下りの登りと、燕山荘への最後の登りが足に堪えた。平らな道が一番足に優しいですな。

 
切通岩付近 振り返るとでっかい大天井岳

11時ごろから槍などに薄いガスがかかるようになってきた。こちらももうすぐ稜線から離れるので、ちょうど良いタイミングですな。燕山荘ではテーブルで最後の小宴会。2時間ちょっとで中房温泉へ。そして、有明荘で3日分の汗を流す。今回はこれでおしまいではありません。最後の仕事は沢渡に置いた車を回収すること。下山した時間は遅くなかったけど、最後の仕事を終えたら暗くなっていた。





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