烏帽子小屋から七倉岳 日帰りハイキングニセ烏帽子から本物の烏帽子を眺めます
2週間前の蝶ヶ岳(三股−蝶ヶ岳−横尾−徳沢−蝶ヶ岳−三股)でもう少しだけ余力があったので、もう少しだけ長いコースを歩いてみることにしました。七倉から烏帽子小屋→南沢岳→不動岳→船窪岳→七倉岳→七倉の周回コースです。北アルプスで一番北アルプスっぽくない稜線歩き。アップダウンも激しくて体力的にもキツイコースです。 七倉を4時に出発です。先に七倉岳に登ると暗い山道になるので、暗くても苦にならない車道を先に歩いて高瀬ダムへ。ダム上へのジグザグ登りがかったるい…。直登も考えたけど、無駄な体力を使うのもアホらしいので真面目に車道を歩きます。ダムでしっかり夜が明けた感じです。曇り空かと思っていたけど、烏帽子岳の稜線がクッキリと見えていました。トンネルをくぐって、吊り橋を渡って、木の橋で濁沢を渡ってようやくブナ立尾根登山口。
時計を見ながら1時間で500mくらい登るようにペースを作ります。わりと調子が良かったので、ややオーバー気味に登ってしまいました。これが後に響きました。稜線歩きになってから足がダルくなりペースダウン。やっぱり前半は抑えておくべきだと学習。これまでにも何度も同じことを学習したような気も…
半分くらい登ったあたりか、下を見るといつの間にか雲海になっていました。日の出と同時に下界は雲に蓋をされてしまった模様。幸いにも主稜線はクッキリと見えています。天気予報はまずまずですが、相変わらず「不安定」らしいので、山はどうなることやら。とりあえず、この雲海が上がって来ないことを祈りましょう。
単調なブナ立尾根の登りでしたが、稜線が近づいてくると高山植物もチラリホラリ。今いるところとほとんど同じ高さに南沢岳と不動岳が見えています。2551mのポコを越えて、少し降りると烏帽子小屋。小屋前に大きなザックが転がっているだけで、人の気配はほとんどありませんでした。
烏帽子小屋の前の庭にはイワギキョウがすごい密度で生えています。そんで、その先には西側の山並みが…。赤牛岳とその向こうには薬師岳。今日はホント空気が澄んでいてクッキリ見えます。どちらの山もしばらくご無沙汰してるので、久しぶりに行ってみたいと思いました。
烏帽子小屋ではゆっくりせず、眺めのよさそうなニセ烏帽子へ。ニセ烏帽子の手前にはコマクサがたくさん咲いてました。コマクサは今年初です。珍しい花でもないけど、コマクサの生えるような山に行っていなかったってことですね。ブナ立尾根を登っている時は平気だったのに、ニセ烏帽子のたいしたことない登りで足が疲れを感じました…。嫌な予感…。
ニセ烏帽子からの展望はすこぶる良好!目の前の烏帽子岳が素晴らしいです。ハイマツの緑に白っぽい岩。天を突くように聳えています。烏帽子岳はこの角度から見るのが一番カッコイイです。振り返ると三ツ岳。西には赤っぽい赤牛岳と白っぽい薬師岳。贅沢な景色を眺めながら持参のビール(第3の)をプシュ!まだ朝っぱらだけど旨い!
展望のよい稜線歩きはしばらく置いといて、ここからは池巡り。楽しみにしていた四十八池です。ここは3度目ですが、1回目は記憶なし…、2回目は秋だったのでチングルマの綿毛しかなく、3回目の今日は花真っ盛りのこの時期。どんな花が咲いてて、どんな雰囲気なのか楽しみ。
ところどころ雪が残る感じで、花としてはちょうど良い時期と思われます。咲いているのは定番のチングルマとイワカガミ系、一番目立っていたのがアオノツガザクラ。クリーム色の絨毯が敷き詰められているようでした。あとはよくある花がチラホラ。四十八池…いいとこには違いないけど、なんか全体的に黒っぽい気がするなあ。緑が濃いのか池が汚いのか…?ちょっと明るさが不足している印象でした。 四十八池から南沢岳へは100mほど登ります。この登りも太ももキツかったなあ…。ここ南沢岳も展望抜群!立山がグッと近づきました。さて、予定ではここ南沢岳で行くか戻るか決めることにしていました。天気が崩れそうな兆候があれば南沢岳で引き返し、大丈夫そうなら先に進みます。今んとこ全く悪くなる気配はないので先に進みます。
南沢岳ではゆっくりせず、先を急ぎます。不動岳へはガーッと下って、ガーッと登ります。200m下って200m登るという、縦走にしてはなかなかハード。南沢乗越の先で2人組がコンロを出して湯を沸かして休憩中。時間的には北上中かな。今日初めて人に会いました。不動岳への登りもきつかった…。
不動岳の山頂でちょうど船窪方面からの人と会いました。船窪小屋を6時に出て不動岳までちょうど4時間とのこと。この方も今日のうちに下山するとのことで、もしかしたら七倉で再会するかもしれませんね〜 …とか冗談で言っていたら、ホントに七倉で会いました。七倉なんてものの5分しかいなかったのに、まさに奇跡的でした。
展望が良いのは不動岳まで。不動岳から先は標高がグッと下がって樹林帯となります。展望は樹林の隙間から辛うじて見える程度。七倉岳までは忍耐の区間です。歩く人も少なく、どの山小屋からも遠いためか、整備状況は良くなくて、登山道も歩きやすいとは言えません。ガイドブックとかにあるほど危険なことはないんですけど。ただ、つまずいたりして崩落進行中の谷に落っこちたら助からないかもしれませんが…。
不動岳と船窪岳の間で5,6人とすれ違いました。平日なのに結構いるんだ…。朝船窪小屋を出ると、だいたいこのあたりですれ違うことになるんですね。船窪岳第2ピークは船窪岳のピークの中で一番高いのに第2となっています。2459mもあるのに樹林に囲まれた山頂です。ちょっとお疲れモードではあったけど、ここでは休まず進みました。
船窪岳は3回目。これまで2度は南下してます。船窪乗越から第2ピークまでのアップダウンには参りました。今回は下りベースとなります。多少は楽だろうと臨みましたが、厳しかったですね〜。もちろん登るよりは楽だけど。傾斜がきつくて足元が悪いのが原因でしょう。登り返しでは足が痺れました。時々立ち止まって、脚が復活するのを待たないと歩けませんでした。
さてさて、そろそろ昼飯としましょうか。船窪乗越で食べようかと思ってましたが、船窪岳の山頂で食べることにします。船窪岳の山頂は2300mほど。第2ピークよりも150mも低いです。しかも、単なる稜線上の小ピークといった感じのとこ。なのにここが船窪岳山頂となっています。謎だ…。
第2ピークよりは眺めはいいです。そのぶん暑いけど…。ここで昼飯。セブンイレブンで買っておいた冷やしうどん。夏は定番ですね〜。ただ、かなり重いです。500mlのビールくらいはありそう。それでも持ってくるのは喉の通りが抜群だから。喉がカラカラだとパンとかおにぎりは通りませんが、うどんならツルツルと入っていきます。ただ、天かすが多すぎなのと、汁がしょっぱいのがタマニキズ。
船窪乗越まではチョチョイのチョイで下ります。問題はここから七倉岳まで今日最大の登り返し300mが控えてます。さっきの船窪岳のアップダウンでヒーヒーだっただけに、どうなることやら…。覚悟して登ります。ジワジワと登ります。意外と登れます。あっさり40分で七倉岳に着きました。船窪岳でうどん食って、その間に脚が復活したのかなあ…。登り下りの連続よりも、登り一辺倒の方が足が慣れるというのはあるでしょうが、すごい復活劇でした。
七倉岳には6人と賑わってしました。2人は北葛方面へ…。針ノ木峠まで行くのかなあ…?結構ありそうだが。4人は船窪小屋泊まりのようです。天気の方は予報通りなのか、北と西の方から不穏な雲がかかり始めてきました。立山は既に稜線が覆われています。ま、今日はここまで晴れるとは思っていなかったので大満足であります。
そして船窪小屋へ。直前でうるさいので熊除け鈴をはずします。その間に小屋の人に発見されて、到着の鐘を鳴らされました。泊まらないのに恥ずかしい…。今年から船窪小屋で働いているS藤さんを訪ねるのも今回の目的の一つ。ちょうどお客さんが到着する時間で、忙しく動き回っていました。 船窪小屋は評判いいようですね〜。すれ違った人も小屋のおもてなしと夕食の凄さに感動してらっしゃいました。休憩だけなのにお茶とキュウリを出していただきました。持参のビールの2本目をここで開けます。あとは下るだけなので気が楽です。時間もあるし。ただ、だんだんと不気味な雲が増殖中なので、早めに降りるにこしたことはなさそう。
30分ほど小屋で休んで最後の下りです。登りの体力はもう底を付きそうですが、下りはまだまだ大丈夫。いいペースで下れます。いいペースで下ったもんで、肝心の七倉沢源頭偵察をするのを忘れてしまいました…。脚は調子よかったけど、喉の渇きが尋常ではなくなってきた…。標高下がって暑くなるしね〜。朝4時に出てから水分1リットルとビール350ml缶2本。ちょっと少ないかな。この下りで1リットルの水分を摂りました。最後のジグザグ下りはさすがに長く感じましたね。
このルートのコースタイムは18時間半(計算間違いしてなければ)。3分の2で歩いて、あとは休憩がプラスになるくらいかなとタイム予想。下山を4時から5時の間と踏んでました。結果、予想をわずかに上回る3時半の下山。時間的にはもう少し余裕があったけど、体力的にはこれが限界かなと感じました。カモシカ山行夏の部はこれでオシマイです。
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