立山 御山谷 沢登り


山スキーではよく滑られている御山谷に沢登りで下から登ってきました



 山域  北アルプス 御山谷
 山行日時  2014年9月6日(土)〜7日(日)
 登山形態  沢登り
 メンバー  9名(コンドル、ブナ、ウルフ、はやぶさ、ウィッキー、M氏、きょー、ASK)
--1日目--
黒部ダム〜御山谷約1700m
黒部ダム(7:45)⇒御山谷入渓(8:30〜9:25)⇒約1700mテン場(12:00すぎ)
--2日目--
1700m〜一ノ越〜黒部平
テン場(8:10)⇒約2000m(9:05〜20)⇒一ノ越(12:50〜13:30)⇒東一ノ越(14:00〜20)⇒黒部平(16:00)

スキーでは名の知れた立山の御山谷に沢登りで行ってきました。ちなみにスキーではまだ行ったことがありません。バカ広いU字谷を滑りたい欲は大いにあるんですが、それを阻むのがアルペンルート。高いし面倒くさい。あと人が多そう。今回下から登ってさらに滑りたい欲が大きくなったので、近いうちに実現しそうな気配です。

御山谷は何度目かの正直でやっと実現です。雨で中止になったり、気が変わって他に行ったりしました。今回も予報が二転三転。天気予報も迷ってる感じです。直前になって晴れ予報に固まって決行となりました。メンバーはここんとこ定期的に開催されているASC-OB会の面々。総勢9名での宴会系沢登りであります。

◇9月6日(土) 黒部ダム〜御山谷〜約1700m付近  晴れのちくもり 夜雨  

6時半に扇沢でみんなと合流。パッと見で顔色の悪い前夜泊(祭)組。4時まで飲んでたそうな…。メンバー構成はグリズリーからコンドル、ブナ、ハヤブサ、ウルフの4名。土岐からはウィッキーさん。松本からはきょーちゃん、ASK,初参加のM氏。始め頃は他会の知らない人との交流という感じだったのが、回数を重ねた今ではかなりお馴染みとなりました。楽しいメンバーです。

 
駐車場から扇沢駅へ 黒部ダムの観光放水

7時半の始発のトロリーバスに乗ります。長野県民2割引きのイベント中で少し得しました。観光客に混じって観光気分で黒部ダムを歩きます。きれいに晴れ上がった秋っぽい空。山で晴れたのは1ヶ月ぶりですね〜。晴れてると気分が違います。ケーブルカー行列を避けるように進んで、トンネル内交差点をロッジくろよん方面に左折。この先は人激減です。ロッジくろよんを過ぎて大きな入り江を作っているのが御山谷です。丸太の橋で御山谷を渡ったところで入渓準備。上流に釣り人あり…。

 
ロッジくろよんへ 御山谷を渡る木橋

釣り師は2人でした。2人目の顔は『最悪…』のオーラ丸出し。9人もゾロゾロと歩いてきたんですから。釣り師から見たら沢登りは敵。申し訳ないなとは思うけど、仕方ないです。沢登りのガイドに載ってるような沢だと、ここで釣りする釣り師が悪い…と思うんですが、この御山谷に入るのは100%釣り師ですからね。今日は運が悪かったと。

 
御山谷は明るい 難しそうに見えるだけ

コンドル氏、前夜祭で体調悪そうです。顔色悪いし、休憩のたびに寝ています。10数年前から同じことの繰り返しです。朝から体調が良い方が珍しいんではないでしょうか。『学習しない』というよりは『学習する気がない』んでしょう。体調悪い中歩いている時は後悔しているようですけど…。ま、これも織り込み済みですね、このメンバーだと。

 
明るく開放的です さすが北アルプス!水はキレイ!

御山谷は沢登りの記録はみつからなくて、ほぼ情報なしの状態で臨みます。見るからに難所はなさそうなので、初心者含む9人での宴会系沢登りでも大丈夫だろうと。最高のロケーションで宴会をしたいところです。あとは源頭部の広大なU字谷のロケーションがどんなもんだか楽しみであります。歩いてると、川は広いんですけど砂地はあまり発達していない様子。優良物件があちこちに!って感じではなさそうです。

 
釣りをしながら進みますが・・・ 釣れないみたい・・・

9月に差し掛かり水量も落ち着いてきてるんでしょう…。水の多さで苦労する場面はほとんどナシ。沢のほとんどがゴーロで形成されています。滝は3〜5mクラスのが数個あるのみ。どうぞどこでもご自由にお登り下さい…的な簡単な滝ばかり。それでも花崗岩でできた明るい谷は歩いていて爽快です。天気が良くて水がキラキラしてます。

 
滝はせいぜい3〜5m程度 ゴーロ滝が主体です

御山谷が大きく右カーブした先の広くなっているあたりを宴会場にする予定でした。しかし、コンドルの調子が上がってこないばかりか、もうダメっぽい感じです。さっき右岸にかなりの優良物件があったばかりですが、もう戻る気はしませんね。先で探しますがなかなかありません。しばらく空身で偵察に行きましたが、あまり良い場所はありません。今晩は雨が降ることになっているので、川からの高さは確保しておかねばなりません。

 
今宵の泊まり場 酒はしこたま!

結局はザックを置いたとこあたりに決定。水流からの高さはあるんですが、テン場のスペース自体が今ひとつ。ちょっとボコボコしてます。焚き火のスペースも狭い感じ。広〜い河原でキャンプファイヤーするようなイメージだったんですが…。それでも住めば都とはよく言うもんで、みなさんこの場所にフィットしていたよな…。

 
焚火で宴会 魚介類も豊富!

酒はしこたま。ツマミというか料理も絶え間なく出てきます。肉、野菜、魚介類、そして焚き火でパンまで焼いてました。このまま深夜まで…と思ってたけど、ちゃんと予報通りに雨が降り始めます。小雨ならよかったけど結構な降りに。あわててタープに逃げ込みます。同時に宴会も終わりとなりました。ちょっと残念…

◇9月7日(日) 1700m付近〜一ノ越〜黒部平  曇りのち時々晴れ  

夕べは地獄。タープの張り方が甘く、タープに降った雨が銀マットを伝って寝ているところに流れてきます。寝袋の下はタプタプに水が溜まり、寝袋はビチョビチョ。濡れた寝袋は激寒でした。翌朝パッキングの時には2人がかりで絞って脱水しますが、それでも乾燥状態の倍以上の重さがありました。ほとんど眠ることができず、長い長い夜となりました。雨は朝には上がっていましたが、御山谷は深い霧が立ち込め視界悪し…。焚火を点けて服を乾かしていると、ポツポツと雨が降り出してきました。こりゃ撤退だな…。ただ、天気予報は晴れだそうな。しばらくで霧が薄くなり、空に青い部分が見えてきました。こりゃ行くしかないな!

 
相変わらずの渓相が続きます 天気はすぐには回復しません

撤退ムード満載でダラダラしてしまい、遅い出発となってしまいました。残り時間が怪しくなったら、東一ノ越への登山道に早めに上がるってもんか。相変わらず平凡だけど明るくて爽快な渓相が続きます。西に向かっていた谷が大きく右カーブして北に向きを変えます。鬼岳とか獅子岳とかの稜線が見えてきました。まだまだ先は長いですな〜。

 
雪渓出てきました! 盆に比べてだいぶ減ってます

2つ目の水線を左から分けると雪渓が現れます。お盆に烏帽子岳から見たときは、びっしりと雪渓に覆われていましたが、だいぶズタズタになってしまってます。次の雪渓は谷全部が埋まっているので上を歩きます。雪渓は中途半端なのが一番厄介だけど、今日は肝を冷やす場面もなくホッとしました。雪渓から降りたところは、ちょうど鬼岳-獅子岳の間に突き上げる沢との出合。ここはまずまずのテン場となっています。

 
雪渓地帯を抜けると 傾斜が強くなってきて

緩かった谷がだんだん傾斜が強くなってきます。これまでは距離との戦いでしたが、これからは標高との戦いとなります。2100mくらいのところに小さな二俣があります。一ノ越に向かうには右の沢。しかし、右の沢は細い上に水が流れていません。本流はどうみても左です。ただ、左に進むと鬼岳や竜王岳に向かってしまいます。途中で乗り換えられればいいけど、猛烈なヤブ漕ぎとかなったら最悪なので、予定通りに右の水流のない沢を進むことに。

 
背後の山々も広がってきます 一番苦しいところ

このあたりが御山谷の中で一番傾斜が強いとこかな。ダケカンバが覆いかぶさってきてて、視界もなくて試練の登り。水がチョロチョロ流れているところで水補給し、その先の少し開けたところで沢靴から登山靴へ。さらに登ると傾斜が少し緩み、やっとこさ大きく開けた御山谷の源頭部。この源頭部を歩くために御山谷を登ってきたようなもの。期待に違わぬ素晴らしいロケーションです。


灌木帯を抜けると景色が広がってきます


竜王岳


こちらは雄山

何年か前の紅葉の季節に一ノ越から黒部ダムに下りました。その時の御山谷を見て、これは一度紅葉の季節に登ってみたいと思ったのが始まり。本当なら紅葉の時分に登りたかったけど、今日はまずまず晴れてくれたのでヨシとします。期待と違ったのは、御山谷はだんだんと傾斜が緩む谷。なので、涸沢カールのように劇場のように広がる景色は見えないのです。スキーは最高だろうなと思いました。


鞍部は一ノ越


空の青がキレイです


草原の中を登ります


一ノ越の小屋が見えてきました


竜王岳

一ノ越に詰めると目立つので、ひとつ南の鞍部を狙うことにします。そのつもりで歩いていましたが、地形的にどうも南の鞍部へは行きにくそう。そうこうしているうちに右から登山道が…。早めに登山道に出て、登山道で一ノ越に上がり一件落着!なんとかタイムリミットと考えていた13時に到着です。一ノ越にはひっきりなしに荷揚げのヘリが。なんと20回来たそうな。


登山道に合流


一ノ越に到着

ここでアルペンルートの時刻表をチェック。スマホってものは素晴らしいですね〜。黒部平のケーブルカー最終は17時。コースタイムは3時間半なので、ゆっくり歩いても間に合う計算です。一ノ越山荘へビールを調達に。キンキンに冷えてました。残る3時間半に備えてパンを流し込んでおきます。

 
雄山への道 20回ヘリが来たそうな

東一ノ越までの登山道は御山谷の左岸をトラバースします。常に右下に御山谷を見下ろしながら歩きます。ここを登ってきたんだなあ…と。下の写真の真ん中あたりで傾斜が緩んで景色が開けてくるところです。そこまでの景色のない灌木帯が長かったなあという印象です。


東一ノ越への登山道から登ってきた御山谷

東一ノ越で御山谷とはお別れ。タンボ沢の流域に入ります。急坂を下っているうちにいいんですが、タンボ平に降りてしまうとこちらも密密のダケカンバ等に覆われた道。まったく展望がなくなります。黒部ダムに降りるにはロッジくろよん経由となり、大回りで時間を食います。かなりいい時間になってきているので黒部平で歩くのは終了にして、ケーブルカーに乗ることにしました。

 
東一ノ越より竜王岳と鬼岳 東一ノ越より タンボ平

登山は黒部平で終わりですけど、車に着くにはまだ長い道のりです。ケーブルカーからトロリーバス乗り場までの長いこと。バスは爆睡でした。薬師の湯で温泉につかって、豊科のラーメン屋さんでお腹を膨らませて解散です。川歩き、宴会、登山・・・と盛りだくさんの御山谷でした。また来ても悪くはないなと思いました。少数精鋭なら日帰りもできそうです。





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