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新雪の奥穂高岳

紅葉見物が突然の雪に・・・。大キレット越えの予定が、穂高岳山荘に連泊することになってしまいました。
 
 山域  北アルプス 穂高岳
 山行日時  1996年10月15日(火)〜17日(水)
 登山形態  無雪期 一般道
 メンバー  M国、Uチン
 行程  1日目  上高地⇒横尾⇒涸沢⇒穂高岳山荘
 2日目  穂高岳山荘⇒涸沢岳⇒奥穂高岳⇒穂高岳山荘
 3日目  穂高岳山荘⇒涸沢⇒横尾⇒上高地



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大阪、奈良に住むM国さん、Uチンと休みを合わせて穂高に行くことに。3日がかりで奥穂高岳だけではちょっとも物足りないので、ボクだけ2日目以降別行動とし、大キレットを越えて槍ヶ岳に行き、次の日燕を越えて中房温泉に下山する計画を立てた。下山の場所が変わるので、前日に中房温泉まで自転車を回しておいた。ところが初日の夕方から思わぬ雪となり、穂高岳山荘に連泊することになった。雪が上がったあとは、素晴らしい景色を拝めたし、ほぼ1日小屋の中で過ごすこともなかなかないので、それなりに充実した山行となった。


■10月15日(火)   くもりのち晴れのち雪   上高地⇒涸沢⇒穂高岳山荘

上高地(6:55発)⇒徳沢(8:35〜52)⇒横尾(9:50)⇒本谷橋(11:00)⇒涸沢ヒュッテ(12:40〜14:00)⇒ザイテン取り付き(14:30〜14:40)⇒穂高岳山荘(15:40)

朝5時過ぎに家の近くのセブンイレブンで待ち合わせ、沢渡には6時10分に着いた。あと3分でバスが来るというので、大慌てで靴を履いたり、パッキングしたり・・・。バスに乗り込んでから「財布がない・・・」とか、余計なものを持ってきたりとか、波乱のスタートとなってしまった。


本谷橋あたりでも紅葉は終わりかけ
上高地はガスに包まれていたが、徳沢あたりから晴れてきて、前穂の北尾根や屏風岩がきれいに見えた。夏の集中豪雨で流されたのか、横尾大橋は架け替えられていた。本谷橋も位置が変わったような・・・。

もう時期的に遅いので、紅葉にはあまり期待してはいなかったが、やはりもうとっくに終わってしまったようだ。ただ、青いまま落ちた葉っぱもあるので、もしかしたら紅葉する前に冷え込みすぎてしまったのかも・・・?
本来なら一番紅葉がきれいな所なのだが・・・
お昼過ぎに涸沢ヒュッテに着いた。小屋にいたおばちゃんがラーメンを食っているのを見て、M国さん、Uチンはラーメンを注文しに行った。ボクだけサッポロ一番塩ラーメンを外で作って食べた。食後は3人とも爆睡モードに。

1時間近く寝てしまったのか・・・。起きたら2時前だった。穂高岳山荘へは結構な時間になりそうだ。お疲れのM国さんを置き去りにして、Uチン、ボクの順番で稜線を目指す。

ザイテンに取り付くあたりで、サーッとガスが流れてきたかと思ったら、粉のような雪が降り始めてきた。さっきまでピーカンだったのに・・・。信じられない。
涸沢カールはすでに冬枯れ状態
1時間40分くらいで穂高岳山荘へ。寒いので小屋の中で休んでいた。休んでいたら、急に雪が激しくなってきた。M国さんの様子を見にテラスへ。M国さんは団体さんに吸収されるような格好で、列の最後尾をアゴを上げながら歩いていた。あっという間にテラスは真っ白に。

受付をする。2人は1泊2食付。ボクは金がなかったので素泊まりで自炊。ちなみにこの日の泊り客は17人だった。

自炊は玄関の土間で、1人寂しく作っていた。すると、おばちゃん3人組がやってきた。仲間ができたと思ったら、そのおばちゃんたちはなんとも豪華なすき焼き。ぼくのレトルトが一層みすぼらしくなってしまった。こんなんなら、いっそ1人寂しく食べたほうが良かった・・・。

相変わらず、外は雪が降っている。このぶんだと、明日の大キレット越えは中止だな。3人で身の振り方を検討していた。せっかく稜線まで登ってきたし、休みもあるので、朝から小屋で様子見だ。食後は読書室で本を読んでいた。お客さんが少ないので、読書室、ロビーとも占領したい放題だ。


■10月16日(水)   雪のち晴れ   穂高岳山荘 連泊 (奥穂高岳、涸沢岳ピストン)

朝食後はロビーでくつろぐ。出発準備で忙しく動き回る人たちを尻目に、ゆっくりとくつろいでいた。積雪は10センチくらいか。下山する人が出発をためらっていた。読書室は小屋の従業員に占領されていたので、ずっとロビーにいた。すると、ピッケル、アイゼン姿で1人玄関から入ってきた。外に出てみると、雪はやみ青空も見えてきた。


新雪の前穂高岳北尾根
涸沢岳に行ってみることに。雲の切れ間から、常念山脈、奥穂、北穂などが見えたり隠れたり。小屋に戻って昼飯。昼飯のあと、今度は奥穂高岳に登りに行った。

ガスが晴れたりかかったりで、涸沢岳に行った時と変わらなかったが、見えた時は逆に幻想的な見え方をしていた。また、ブロッケン現象が見えたりして、楽しむことができた。景色は良かったが、寒くて長居はできなかった。
奥穂高岳からジャンダルムを望む
小屋に戻って、連泊の受付をした。連泊の場合は2000円引きになるようで、今日は素泊まりをやめて、2食付で受付をした。

読書室があいていたので、こもって読書タイム。ここの読書室はちょっとした図書館並みの品揃えがある。全部読むには何十泊もしなくてはいけないくらいだ。ふと窓の外に目をやると、笠ヶ岳が見えていた。読書に熱中している間に、ガスが上がったみたいだ。晴れたとなると、また登るしかない!
涸沢岳から大キレット越の槍ヶ岳
奥穂より涸沢岳のほうが近いので、涸沢岳に登ることにした。速攻で準備して外に出る。すっかり笠ヶ岳が姿を現している。先を争うように上へ上へと登る。山頂で待っているであろう景色を想像すると、自然と体が動いた。

山頂に着くと、槍への稜線がまず目に入ってきた。雪はペラペラだが、夕日を浴びてとてもきれいだ。見とれている間にも、少しずつ雲が取れていく様がわかった。北は薬師岳あたりまで、西は笠ヶ岳、東には常念山脈が見えている。まさに絶景だった。
滝谷
夕食の時間が迫ってきていたが、滝谷が覗けるところまで行ってみる。小屋の人たちも景色を見に登ってきていた。絶景を見慣れている小屋の人たちでも、シーズン最初の雪景色には感動するようだ。

小屋に戻り、すぐに食事だ。食堂に行くと用意はしてないどころか、電気さえついていなかった。オヤッと思ったら、読書室に用意してあった。今日のお客さんは7名のみ。こじんまりと机を囲んでの、団欒の夕食だった。

食後はそのまま読書になだれ込む。窓からは高山の夜景が見ていた。テラスに出ると、塩尻と諏訪の夜景も見えていた。消灯まで本を読んでいた。




■10月17日(木)   快晴   穂高岳山荘⇒横尾⇒上高地


穂高岳山荘(7:37発)⇒涸沢ヒュッテ(8:25〜47)⇒本谷橋(9:43〜10:00)⇒横尾(10:24)⇒徳沢(11:25)⇒明神(12:00〜12:50)⇒上高地(13:23)

5時頃に起きると、窓から朝焼けが見えていた。急いで外に出る。カッパを着てヘリポートへ。雲海から太陽が出てくる瞬間は、何度見ても感動的だ。朝食後、小屋の従業員であるヒゲのにいちゃんと、長いこと雑談していた。こんなに大きな小屋で小屋の人と長いこと話せるなんて、お客さんが少ないときの特権だ。小屋の外にある温度計はマイナス5度だった。ちなみに、この日松本で初氷を観測している。


持っている服を全部来て出発。ザイテンを駆け下りる。少し下ったらいきなり暑くなり、カッパを脱いだ。振り返ると、紺碧の青空と穂高が印象的だった。涸沢で最後の見納めをして、おととい来た道を戻る。雪は本谷橋あたりまで降ったようで、日陰に少しだけ残っていた。

本谷橋から5分くらい歩いたところで、Uチンがいきなり走り出す。つられてボクも走った。19分で横尾に着いた。汗だくで息がゼイゼイになってしまった。M国さんを待っている間に汗が冷えて、とたんに寒くなってきた。
イワナを食いたいというM国さんの希望で、昼飯は嘉門次小屋で食うことに。中に入ってビックリ。客でウヨウヨだった。運よく席が空いて、昼飯にありつくことができた。高いので岩魚定食はやめておいたが、ソバとおしることビールを頼んだら、岩魚定食の金額を越えてしまった。

明神からは梓川の右岸の遊歩道で上高地まで歩いた。2人は大阪まで帰らなくてはいけないので、家まで送ってもらうのは気が引けたので、大糸線の梓川駅まで送ってもらった。穂高駅からウチまでの3キロ。登りなので30分以上かかった。面倒にならないうちに、帰ったらすぐな下付さ温泉に自転車を回収しに行った。

キレットを越えて、槍まで縦走したかったが、それに引けを取らない充実した山行になった。新雪の穂高からの絶景を拝めたし、中一日をほとんど小屋で過ごしたし、なかなか面白い体験ができたと思う。大キレットはまたの機会に残しておこう。



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