残雪の燕岳
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初めての残雪の北アルプスへ |
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山域 |
奥秩父 甲武信岳 |
山行日時 |
1996年5月6日(日) |
天気 |
晴れ |
登山形態 |
残雪期 一般道 |
メンバー |
単独 |
行程 |
中房温泉⇒燕岳⇒中房温泉 |
目覚ましの時間よりも遅く5時半に目が覚めた。外を見ると快晴だ!出掛かっていた蝶ヶ岳の雪形だが、また真っ白に戻っている。きのうの北アルプスはずっと雲の中だったが、どうやら雪が降ったようだ。
中房温泉(6:50)⇒合戦小屋(8:45〜55)⇒燕山荘(9:50)⇒燕岳(11:00)⇒燕山荘(11:40)⇒合戦小屋(12:15〜14:00)⇒中房温泉(14:55) |
中房温泉あたりもきのうは雪だったようで、汚れていない雪が少し残っていた。いきなり九十九折の急登で、息が上がり気味だ。第1ベンチあたりからは雪が深くなってきた。下山してくる人たちはみんなアイゼン&ピッケル姿だが、ボクはまだどちらも持っていない。買わないといけないところだが、なにしろお金がない・・・。まあ、今日はやばそうだったら引き返すつもりだ。
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アイゼンなしで時々ズルズル滑って上りにくかったところもあったが、なんとか合戦小屋まで登ってきた。中房温泉からは2時間弱くらいだ。
合戦小屋のトイレはまだ雪でだいぶ埋まっている。積雪は溜まっているところで2〜3mくらいか。
ここから見る有明山は、下界から見るのと形が全く違う。ここからだと富士山型ではなく、ゴツゴツした尾根のようだ。ただ、色は同じで黒っぽい。 |
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もうひと登りしたら尾根が広く緩くなった。そしたら稜線の向こうに槍が出現!初めは大天井へと続く尾根の一部だと思ったが、すぐにそれは槍ヶ岳の穂先だとわかった。ここから見えるなんて予想してなかったから、ちょっとビックリだった。
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合戦沢の頭からは森林限界となる。尾根の右手には燕岳の山頂も見えていた。樹林がなくなって強い紫外線を感じた。これは焼けるぞ!
ここからは緩い尾根で、気持ちの良い尾根歩き。北は針ノ木岳まで、南は富士山、南アルプス、八ヶ岳、大天井、横通岳・・・。主稜線には雪煙が上がっている。どうやら相当に風がありそうな感じだ。 |
相変わらずアイゼンなしなので、ちょっと雪の硬いところになると靴のエッジを効かせながら登る。そして、稜線に出たとたんすごい強風!風だけでもすごいのに、風に乗って飛んでくる雪の粒が腕まくりしていた腕や顔にぶつかってきて痛い。さっきまで夏山に近いような格好で歩いていたが、真冬に戻ってしまったみたいだ。首に回していたタオルも、一瞬にして雪がこびり付く。5月でこれなら、真冬はいったいどんな世界なのだろう・・・。
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風は強かったが、景色は良かったので、とりあえず地吹雪に耐えながら写真撮影。写真は燕山荘からの燕岳。
写真を撮り終え、一目散に小屋い避難。小屋の中には4,5人の登山客。ゴールデンウィーク最終日とはいえ、この人数は予想よりもずっと少ない。みんな悪天を敬遠しているのか・・・。 |
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小屋の中で完全装備となる。信大生に「行くんですか?」と声を掛けられた。「一応行ってきます」と言って小屋を出た。
山頂からの景色は最高だった。写真は裏銀座方面。昨日の雪でまた真っ白になったのが展望をさらに良くしているようだ。山腹の低いところでは、黒い部分が目立った。 |
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写真は燕岳山頂からの槍ヶ岳。
後立山以北の山々は雲の中だったようで見えなかった。昨日の寒気の影響がわずかに残っているのかもしれない。南部は雲ひとつない晴天で、見えるべき山は全て見えている感じだ。 |
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景色はピカイチで、大休止したいところだったが、この強風の中でゆっくりしてはいられなかった。でも、せっかくなので持って来ていたビールと昼飯を、岩陰で強風に耐えながらいただく。
たまらず山頂を発つと、さっきの信大生が山頂に向かって登ってきた。
写真は南の展望。大天井岳、常念岳。 |
燕山荘に戻ると、少し北の雲が取れてきたのか、立山らしき山が見えてきた。素晴らしい景色に後ろ髪を引かれながらも下山開始。アイゼンなしで苦労するかもと思っていたが、これがまた楽勝というか楽しくて仕方なかった。尻セードとグリセードを繰り返しながら降りていく。合戦小屋まではあっという間だった。
強風の山頂で、ここで大休止すると決めていた。ここは無風で、太陽がギラギラと照りつけてきて暑いくらい。ベンチもあるしで快適快適!靴を脱いでベンチで昼寝体制。ウトウトしていたら、轟音とともに雪の塊が飛んできた。合戦小屋を掘り起こす作業をしており、除雪機の飛ばした雪が、僕の寝ているベンチまで飛んできたのだ・・・。たまらず下山準備。飛んできた雪は、ザックの中には入るし、脱いでいた靴の中にも入ってしまった。襟元にも入ってきたので、冷たくて仕方がなかった。
普段なら億劫な下山となるわけだが、雪山の下りの面白いことといったら・・・。大体がグリセードで下り、見通しの良い安全そうなところでは尻セードで下った。こんなに楽しい下りは初めてだった。子供に戻ったような気分で下っていた。スピードも相当速かったので、途中からはコースタイムも意識しながら下っていた。合戦小屋から55分で中房温泉まで下った。
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