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赤石沢〜聖沢下降(中退)

赤石沢を遡行し兎岳に詰め上がり、聖平から聖沢を下降したけど、途中で行き詰って断念しました
 
 山域  南アルプス 赤石岳、聖岳 
 山行日時  2002年8月12日〜15日
 登山形態  沢登り
 メンバー  H野
 行程  1日目  畑薙ダム⇒牛首峠入渓点⇒シシボネ沢出合手前
 2日目  シシボネ沢出合⇒奥赤石沢⇒兎岳
 3日目  兎岳⇒聖岳⇒聖平⇒聖沢途中
 4日目  聖沢途中⇒椹島
 温泉  赤石温泉 白樺荘(無料)   静岡市公営の温泉案内




6月下旬から8月のはじめまで北海道に行っていたので、このお盆の沢が今年の沢初めとなった。初沢なのに5泊6日という長丁場。予定では赤石沢を登り、奥赤石沢に入って兎岳に詰め上がり、聖岳を越えて聖平から聖沢を下降。そして、日陰沢を登り上河内岳を越えて上河内沢を下るという、南アルプス沢三昧の壮大な計画。

重荷と泳ぎに不安を抱えつつも、ウキウキで畑薙に向かった。天気予報はあまり芳しくはなかった。ただ、北アルプスに行くよりもマシのようだった。今年からダムの下流約1.5キロのところに広い駐車場ができていた。始発のリムジンバスは8:10と遅い。登山客ばかりなんだから、せめて6時くらいにしてくれよー。


■8月12日(月)   晴れ   畑薙ダム⇒北沢出合⇒テン場(シシボネ沢出合手前)

準備を済ませて、始発のバスに乗るための行列に並ぶ。周りには沢装備は3パーティーほどいた。みんな赤石沢かなあ・・・?椹島の少し手前の牛首峠でバスを降りる。沢に下降するところに、「↓赤石沢」の大きな看板があった。そこから斜面を下って、いよいよ赤石沢に降り立つ。ボクたちの他には3人パーティーが1組いた。

畑薙ダム⇒バス⇒牛首峠入渓点(9:00)⇒北沢出合(12:00)⇒テン場 シシボネ沢出合(15:00)


はじめはしばらくゴーロ歩きだ。6日分のザックはずっしりと重い。久しぶりの沢だというのに、こんなに担いでもいいものだろうか・・・。かなりふらついていたような・・・。しばらくでイワナ淵、ニエ淵とゴルジュに入っていく。滝には必ずといってよいほど釜があり、へつれないところは滝のたもとまで泳ぎ、落ち口まで這い上がらなければならない。水をたっぷりと吸った重〜いザックを背負っての這い上がりは、なかなか大変だった。

ガイドによると入渓から北沢出合までは5時間となっていたが、実際はわずか3時間で着いた。ニエ淵の通過が核心のようだったが、それほど手間を食ったところはなかった。水量が少なかったのだろうか・・・?まあ、男2人組で、ロープを出すところがなかったから早かったのかも。ちょっとでもロープを出すと、とたんに時間を食ってしまうからなあ・・・。

北沢の取水堤のバックウォーターは、階段を登れば簡単に巻けたが、階段を登るのが面倒だったので泳いで突破。濡れても寒くないからありがたい。そこから1時間くらいの白ヨモギ沢あたりで泊まるつもりにしていたが、まだ昼過ぎだったので、少しでも駒を進めておくことにした。

赤石沢の滝はほとんどがチョックストーンになっている。赤石沢最大の滝である門の滝もチョックストーン。一応ザイルを出した。ここは左を空身で登り、登ってからザックを荷揚げ。とくに難しくはなかったので、ノーザイルでザックを背負っても登れたと思う。

そこからすぐの左岸の滝は直登できない。一見お手上げだったが、洞窟状のところから狭い穴が開いており、ここを登ればその上に出れそうだった。残置シュリンゲもついている。しかし、上に抜ける穴が小さいため、ザックを背負って登るのは不可能。ここも空身で登っておいて荷揚げした。この穴を登るのが、赤石沢の中で一番苦労したかも。ここを通過すれば、赤石沢の核心とされているところは終わりだ。テン場探しに入る。

シシボネ沢まで少しのところで泊まることにした。ザックを開けると、プ〜ンとコクのきいた臭いが充満していた。中をほじくり出すと、ソウメン用の麺つゆを入れていたナルゲンボトルが破裂していた。何度か荷揚げしたから、岩とかにぶつかって壊れてしまったのかもしれない。防水の袋の中でのことなのでタチが悪い。荷物という荷物が全部ネトネトになってしまった。荷物は沢で洗うことができたからまだ良いが、4食あるソウメンはどうするや・・・。夜10時ごろまで焚き火を囲んで2人で宴会。900mlの日本酒を2本持ってきていたが、2本とも空にしてしまった。全く計画性のない2人なので困ったもんだ。


■8月13日(火)   晴れのちくもり夜雨   テン場⇒奥赤石沢⇒兎岳

テン場(6:50)⇒百闢エ出合(11:00)⇒兎岳(15:10)

朝飯はソウメンを醤油で食った。食えなくはないがまずかった。二日酔い気味で遡行開始。ラジオラリアの赤い石がきれいだった。すぐにシシボネ沢に出合う。ここで本流は右にほぼ直角に曲がる。そして通過不能のゴルジュとなる。ここは明瞭な踏み跡のある高巻きだが、なかなかきわどいトラバースがあった。

百闢エと奥赤石沢が出合うところでは、通常百闢エに進み、赤石岳経由で下山するが、今回のウチらの計画では聖沢を下降するので、ここで奥赤石沢方面へと進み、聖岳方面へと向かう。平凡な河原歩きが続く。はじめの二俣を右へ。次の二俣を左へと行ったのだが、これが大失敗だった。地図を良く見ていけばよいものを、目先の落さにだまされてしまった。

楽だったのはほんのわずか。ガレガレのルンゼから始まり、次は垂直に近い所を草の根頼りにトラバース。そして、ホールドにできる岩がない、ボロボロの岩の痩せ尾根。怖いところが終わってからは、ダケカンバとハイマツのヤブ漕ぎ。小傷だらけになりながらやっと登山道に出た。ちょうど兎岳避難小屋の分岐のところだった。H野君は登山道に出たとたん、疲労のあまりへたりこんでしまった。

H野君がへたり込んでいる間に、避難小屋の見学に。中を覗くと今にも朽ち果てそうな建物。開かない扉があって気持ち悪かった。そんなところなのに、すでに2名の宿泊者。ボクたちは外にツエルトを張った。外のテン場にも、ボクたちの他に4張りのテントがあった。さすがにお盆休みといったところだ。

きのう酒を全部飲んでしまったし、焚き火もできない。やることがないので5時には寝袋に入った。が、周りがうるさい。まだ明るいのに、文句など言えるはずもないし・・・。また、風雨模様になってきて、ツエルトの中は水滴だらけに。ツエルトの壁も顔にピシャピシャと当たってきて、当分の間寝ることができなかった。


■8月14日(水)   晴れのちくもり夜雨   兎岳⇒聖岳⇒聖平⇒聖沢(中退)

兎岳(5:50)⇒聖平(9:50)⇒聖沢撤退地点(12時ごろ)⇒テン場(14:00)

朝から快晴!水がないので朝飯は抜き。ヒーヒー言いながら聖岳を越える。途中、きのう必死で登ってきたルートが見えた。そこは、まさに兎岳の岩峰群の中を登ったようなもの。よくあんなところを登ってきたもんだと感心すると同時にゾッとした。聖岳で小休止。最高の展望だった。聖平小屋で酒を調達。カップラーメンも含めて、2人で4000円も買い込んでしまった。カップラーメンはその場で食べた。とてもとてもおいしかった。

しばらく椹島への登山道を下り、道が沢から離れて右の尾根に向けて登り出すところから聖沢に入った。いきなり下降不能の滝が出てきて、隣の沢から巻いて降りた。魚影が濃くて、H野君は竿を出しながら歩く。そしてゴルジュに突入。なんとか下降できていたが、側壁がえぐれていて、釜のある滝に出くわす。巻けないので、思い切って釜に飛び込んで突破。そのあとさらに難所が。高巻くが、側壁が高くて沢に降りることができない。50mのザイルでも届きそうもなかった。さらに下流のほうから巻いてみるが、そこでもまだ巻ききれていない。さらに下流にある滝の釜へなら、なんとか懸垂で届きそうだった。

懸垂下降の前にしばし検討。もし、ここを降りることができても、この先もし行き詰ったとして、果たしてここを登攀できるのだろうか・・・。今いるところにはボルトがある。登ってきた人はこのボルトを支点に、かなり怖い振り子トラバースをして抜けてきたと予想できた。今もっている装備ではかなり不安だった。やむを得ず、ここは引き返すことに。聖沢はまた今度登りで挑戦したい。

さっき飛び込んで突破した滝。今度は登らなくてはならない。側壁伝いに泳ぎ、滝の飛沫を浴びながらなんとか岩にしがみつく。水の勢いに負けそうになりながらも、なんとか這い上がることができた。ここだけでクタクタになってしまった。また、今日は午後から曇っており、水に入った後は寒かった。登山道に入る直前の二俣を右に入ったところに良いテン場があり、今日はそこで泊まることにした。

荷物を置くなり釣りに出かける。H野君が8匹、釣りデビューのボクは2匹という釣果。4時過ぎ釣りを終えてテン場に戻る途中、滑って転んで水にはまってしまった。今日は寒いというのに、夕方のこの時間でのビショ濡れはたまらない。テン場に戻って急いで焚き火に火をつけた。ずっと焚き火にへばりついていた。

今日の夕飯は豪華!2人で5匹ずつ岩魚の塩焼きを食って満腹に。聖沢を敗退したことで、残っていた日陰沢遡行と上河内沢下降はやる気がしなくなり、明日は椹島に下山することにした。酒もたくさん残っていて、夜遅くまでゆっくり飲んでいるつもりだったが、残念ながら雨が降ってきたのでツエルトに入って寝た。


■8月15日(木)   曇りのち雨   聖沢⇒椹島⇒畑薙ダム

テン場(8:00)⇒椹島(12:30)

椹島発の最終バスは14時。時間があったので、朝から盛大な焚き火をして飯を食った。椹島への長ーい下りを、ヘトヘトになりながら歩いた。途中で雨が降り出してきたが、面倒だったのでカッパは着なかった。

いろいろと反省点の多い山行だったが、メインの赤石沢は遡行できて満足だ。不安だった重荷での泳ぎも無難にこなせた。あとは詰めの精度を高めていかなければ・・・。また、沢は遡行も楽しいが、やっぱり夜が一番の楽しみかな。



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