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秋の長雨が続き、最後の締めくくりに台風が関東を直撃!なかなか山に行くタイミングがつかめなかったが、台風通過後は晴天が続くとのことで、台風の翌々日に出発することにした。行き先は以前から狙っていた横尾本谷からの大キレット。横尾谷は道はないが登山靴で歩け、沢登りとまではいかない。紅葉のタイミングも良さそう。大賑わいの涸沢からはずれ、人気のない静かな紅葉見物を堪能する目論見だ。 ■10月3日(木) 快晴! 上高地⇒横尾⇒涸沢
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上高地(8:20発)⇒徳沢(10:00)⇒横尾(10:55)⇒本谷橋(12:10)⇒涸沢(14:05着) |
天気は快晴!新聞の紅葉情報では上高地も盛りになっていたが、始まりかけくらいで、とてもまだ盛りとは言えない。それでも10月の初めでこれだけ色付いているというのは、今年はかなり早めなのではないか。今年は9月中旬まで残暑が強烈で、そのあと一気に冷えてきたので、ある程度の標高まで一斉に紅葉が進んだのでは・・・?幾度となく歩いた横尾までの梓川沿いの道。良いところなんだけど、3時間というのは長すぎる・・・。
梓川沿いだったら追い越しするのに問題ないが、横尾から先の山道は抜くのが大変。とくに団体さんを抜くのに苦労する。なかなかどいてくれないからタチが悪い。本谷橋周辺にはざっと100人くらいの人が休憩していた。今年はすでにこのあたりもかなり色付いていた。でも、肝心のナナカマドの色が気になる。真っ赤になってなくて、茶色く染まったものが中心だ。これだと涸沢の紅葉も期待薄なのか・・・。
涸沢岳が見え始める頃から、カメラマンがあっちこっちに出没し、三脚を立てて被写体を狙っていた。この時間だと、涸沢方向は逆光でイマイチ。逆に屏風岩には日が当たっていて、ナナカマドの赤が輝いていた。涸沢の眺めは明日の朝に期待だ!
涸沢ヒュッテのトイレが新しくなっていた。たまったウンコは空輸されるようだ。人が近づくとセンサーが働いて「このトイレは有料です。100円を入れてください。」とうるさい。人はひっきりなしに通っているから、常にこの放送が流れていた。
テン場の混雑はそれほどでもない。テン場に着いてさっそくビールを開ける。今日は暑かったのでおいしかった。夕食は鍋。鍋をするにはよい季節になってきた。暖かければ外で食べた方が気持ちが良いが、涸沢は3時には日が隠れるので、とたんに寒くなる。仕方なくテントで食べる。
あまり明るくない朝を迎えた。稜線付近にはベッタリと雲が貼り付いていた。下界の天気は基本的には晴れなので、あとはどれだけ山が晴れてくれるかだ。朝イチのションベンの時に、一緒にウンコも出た。一石二鳥とはこのことだ。東の空が明るくなり、カールの中間くらいに日が差してきた。ただ、太陽がいるあたりはモヤっぽく、威力はイマイチ。モルゲンロートになるまでには至らなかった。でも、涸沢上部の潅木帯に日が当たってきて、赤・黄・緑がいっそう鮮やかになってきれいだった。
涸沢(7:00発)⇒本谷橋の少し上流(8:00)⇒二俣(8:58)⇒滝(10:00)テン場跡(11:10)⇒大キレット(12:05)⇒北穂高岳(13:45)⇒涸沢(15:30ころ) |
涸沢からいったん下る。下山の人、登ってくる人で、登山道は混雑していた。こんな中、本谷橋まで下りたくなかったので、途中から登山道を離れて涸沢に降りようと思っていた。しかし、これといった下降点は見当たらず、また人目も気になったので本谷橋まで戻ることにした。
本谷橋から遡行開始。・・・といっても、左岸に踏み跡がついていた。ところどころにペンキ印も残っていた。今は涸沢へは巻道の登山道がついているが、その昔は涸沢を忠実に詰めていたのかも・・・と思った。初めはこの踏み跡とペンキ印を追いかけていたが、途中からヤブっぽいところとか出てきたので、沢に降りた。振り返ると屏風岩が鋭く尖っていた。滅多に見ない角度なので新鮮。また紅葉もきれいだった。
二俣で少し休憩。左俣は大キレットに、右俣は天狗のコルに突き上げている。ここから見る左俣は細くて日が当たっておらず、険悪な感じがする。右俣は開けている感じだ。左俣を進むと、しばらくで水はなくなる。同時に浮石が多くなり、歩きにくくなってきた。また、両岸が狭まって日が差さず、一気に寒くなってきた。このあたりは、早い時期だと雪渓が残っていそうだ。
左から滝が落ちる所で休憩。もっと豪快な滝かと思っていたが、意外と迫力はなかった。残雪の時期だともっとゴーゴーと流れ落ちているのかも・・・。さらに高度を上げると、滝状の地形が前方に。長くて見所のないゴーロ&ガレ登りは、あそこを越えれば終わりだなと感じた。その滝状を登り切ると、カールのモレーンとなっているに違いない。滝状のところを登り切ると、勘は当たっていて、カールに飛び出した。
素晴らしい景色が待ってくれていた。カールの規模こそ涸沢には数段劣るものの、右は南岳の岩峰、左は北穂の岩峰が圧倒的に迫ってきている。正面には大キレットの稜線だ。何よりも、ボクたち2人以外には誰もいないというのが素晴らしい。しばらく平らな大岩の上で休憩&写真撮影。大キレットを歩く登山者も見えていた。
さて、あとは大キレットのどこに出るかだ。ガイドではA沢のコルに上がるようなことを書いていたが、どれがそのコルなのかよくわからない。とりあえず、弱点を狙って登るしかない。本流を忠実に詰めていくと、右の方に寄り過ぎたようだ。左に修正するために、となりの沢に移った。そこにはテントを張った跡があった。昔は滝谷を登るためのアプローチに横尾谷が使われていた、というのを何かで読んだ記憶があった。
結局は長谷川ピークのすぐ右のガレを詰めて稜線に出た。踏み跡はあちこちについていたが、最後のガレの登りは結構悪かった。長谷川ピークで一息つく。北アルプス全山縦走の時、長谷川ピークで休憩の際に、ザックを降ろして休憩したはいいが、背負うときに苦労したのを思い出した。不安定なところではザックを降ろしてはダメというのをこの時知った。
長谷川ピークの下りに女の外人さんがいた。悪場にタジタジのようで、「オ〜マイゴ〜ッ!」と何度も叫んでいた。かなりヒステリックになっているようだった。長谷川ピークからの下りを下り切った所に「A沢のコル」だった。下を見ると、ガレガレだが傾斜は緩く、一番登りやすそうに見えた。下からだと正面に見えたので、傾斜が急に感じただけだったようだ。北穂の登りは空身なので難なく通過。
北穂の小屋のテラスはそれほど混んではいなかった。ここからは登ってきた左俣が望めた。涸沢カールも見えるし、槍も見えている。やっぱり北穂からの景色は絶品だ。しばらくゆっくりしたあと、涸沢に向かって下った。
夜中は時々雨が降って、何度も目を覚ました。大粒の雨になった時もあった。朝になるととりあえず止んでいたが、きのうよりもどんよりとした雲がかかっていた。きのうは常念の方は明るかったが、今日はそちら方面も暗い。出発前になってきて、だいぶ天気は持ち直してきて、カールの斜面に日が当たるまで回復した。
涸沢(7:05発)⇒穂高岳山荘(9:19)⇒奥穂高岳(10:26)⇒紀美子平(12:00)⇒前穂高岳(12:30)⇒紀美子平(13:10)⇒岳沢ヒュッテ(14:40)⇒上高地(16:50着) |
奥穂へはパノラマ経由で向かう。歩き始めてすぐに、松本労山のY田さんに会った。夫婦で写真を撮りに来ているみたいだ。今回は山頂には登らずに、このまま天狗のコル経由で帰るらしい。ザイテングラードの取り付くところの広場は、絶好の休憩場所になっているようで、たくさんの人が休んでいた。ザイテンを見上げると行列ができていた。渋滞覚悟で登るが、タイミングが良かったのか、ほとんどマイペースで登ることができた。
穂高岳山荘に登ると、西からの風が強くて大変寒かった。奥穂への登り口である最初のハシゴは、足元のおぼつかなさそうな団体さんで混雑していた。この混雑が収まったのを見計らって奥穂に向かった。この岩壁はちょうど日陰になっていて、ハシゴや鎖を持つ手が冷たかった。
奥穂の山頂もごった返していた。しかし、前穂方面、西穂方面はほとんど人が見えない。みなさん涸沢からの往復のようだ。だいぶ天気は良くなってきて、槍も時々見えてきた。前穂はバッチリ見えている。過去2回、前穂の山頂からは景色を見ていないので、今度こそは・・・という気持ちだった。吊り尾根の登山道は人が疎らだったのに、紀美子平は大賑わいで、休憩する場所を探すほどだった。
前穂の山頂へ。笠ヶ岳をはじめ、西側の山々は雲の中だったが、その他はほとんど見えていた。これなら勝にしても良いだろう。ということで、前穂は1勝2敗となった。北尾根をノーヘル、ノーザイルで登ってきている団体さんがいた。たいして難しくないのだろう。でも、下降には手前を食っているようだった。
あとは標高差1300mを上高地に向けて下るのみ。岳沢ヒュッテの紅葉は見事だった。涸沢とかのような開放感はないが、そのぶん奥穂と前穂の岩壁が迫っており、バックに迫力がある。また、涸沢よりも樹林が大きいので、逆に絵になるような気もした。
バスに乗るための行列がどのくらいできているのか、心配しながら上高地に到着。時間が遅いせいか、行列はできてなく、すぐに沢渡行きのバスに乗ることができた。これなら思ったよりも早く帰れそうだ・・・と思ったのも束の間、釜トンネルの信号を4,5回分も待ってしまった。沢渡から先も、しばらくの間は渋滞していた。
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