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中山尾根(八ヶ岳 横岳西壁)

登攀中は終始雪が降っていた。難易度の高い冬の岩稜デビューに。
 
 山域  八ヶ岳 横岳
 山行日時  2003年2月216日(日)
 天気  雪
 登山形態  積雪期 バリエーション
 メンバー  H野、J保
 行程  美濃戸⇒行者小屋⇒中山尾登攀根⇒地蔵尾根下降⇒美濃戸
 温泉  樅の湯(500円)  信濃毎日新聞 信州日帰り温泉機構 諏訪地区



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1月末に春日井の波多野君より、中山尾根へのお誘いのTELがあった。4月に鹿島槍の東尾根に行く予定にしているので、それまでに一度ザイルを交えておこうということだ。アイゼンを履いての登攀は2年以上ぶり3度目。しかも、それはゲレンデ。冬のバリエーション初挑戦で中山尾根なんかに行っていいのだろうか・・・とは思ったが、オールセカンドなので、まあなんとかなるだろう。H野君は仕事が忙しいようで、土曜日は仕事。日曜日に強行軍で日帰りすることとなった。

天気予報では月曜日が悪そうだったが、間際になって日曜から悪くなるようなことを言っている。しかも南岸低気圧で、長野県中部の平地でも15センチくらいの積雪があるみたいだ。悪天の予報にも、お互い連絡することもなく当日の朝を迎える。完全に戦闘モードに入っているようだ。諏訪ICのおぎのやで待ち合わせて、ボクの車に乗って美濃戸に向かう。この時点ではまだ薄雲はあるものの、満月の月がしっかりと見えていた。

美濃戸口(3:55発)⇒美濃戸(4:30)⇒行者小屋(6:45〜7:30)⇒登攀開始(8:40)登攀終了(13:00)⇒行者小屋(14:20〜15:00)⇒美濃戸口(16:45着)


あたりはまだ真っ暗。ヘッドランプを灯しながら歩く。薄雲がなかったら、月明かりでランプいらずだったかもしれない。J保君が先頭で歩き始めるが、これがまた早いこと。ついて行くのが精一杯だ。このペースがずっと続き、美濃戸までわずか35分で着いてしまった。ハイペースで歩く割には、しっかりと休憩を取る。これなら普通に歩いて、普通に休憩するほうが楽のような気がするけど・・・。

登山道はしばらく雪が降っていないようで、足元は相当締まっていた。下りもこの状態なら、アイゼンを履いて下ったほうがいいかもしれない。歩きはじめてすぐに雪が降り出してきた。とうとうきやがった・・・。南沢大滝の分岐で休んだ。ちょうどそこに50センチくらいの氷柱があったので、それにションベンをかけておいた。行者小屋手前の平原には、先週テントを張った跡がそのまま残っていた。まったく新しい雪は降っていなかったようだ。

行者小屋は結構風があって、吹雪模様。そんな中、テントは5、6張り。先週と比べたらえらい違いだ。天気が良ければもっとたくさんいたかもしれないが、この天気予報だったので断念した人も多そうだ。取り付きまで行くと荒れてそうなので、ここで装備を整え、腹ごしらえも済ませておくことに。小屋の軒下で休んだが、風が吹き込んできて快適とは言えない。雪もだいぶ激しくなってきて、あっという間に装備は真っ白けになってしまう。

中山乗越まではあっという間。樹林帯の広い尾根にはトレースが残っていて順調。尾根らしい地形になり、木が疎らになるころから、トレースが埋まりはじめてきた。最後のほうはトレースがわからなくなり、それをはずしてしまうと腰まで埋まるくらいだった。ビレイ点まで行くと吹きさらしになるので、チョイ手前の風がしのげるところで休憩。

■1ピッチ目(V+)

1ピッチ目をリードするH野君
1ピッチ目をリードするH野君

H野君のリードで登攀開始。はじめの垂壁を乗っ越し、そこから凹角に入ると思っていたら、右のルンゼに入っていった。行き詰まっていたので凹角に入るように促す。はじめこの凹角に手が出なかったらしい。本来のルートに戻って調子が出たかなと思ったが、今度は中間部で苦労していた。下から見ると簡単そうだったが、実際は難しいようだ。それを越えるとあとはサクサクと進んでいった。さて、次はボクの番。いよいよデビューだ。はじめの垂壁は難なくクリアー。そのあとの凹角の左上は下から見るよりもずっといやらしかった。アイゼンでの登攀には違和感はなかったが、オーバーグローブをはめて登るのは初めて。これがなかなか曲者だった。それでもセカンドということで思いきって登ることができた。それにしても、初めての積雪期の岩稜がこんな吹雪状態になるとは・・・。石尊稜を登攀中と思われるパーティーの声が響いていた。


■2ピッチ目

ビレイするJ保君
ビレイするJ保君

岩を左に回りこみ、そこから逆層のフレーク状のところでえらい苦労した。アイゼンの歯は全く効かないし、手も全くない。バイルの刺さるところもなかった。こんなところよくリードするなあ・・・と感心。まあセカンドだということで、思いきって飛びついてクリアー。冷静に見ていれば、もう少し楽に登れる方法があったかも・・・。そこからは岩混じりの雪壁登り。技術を必要とするところはないが、体力的に疲れた。ここで下部岩稜は終了で、これから200mの雪稜登り。ホッとしたのも束の間、まったく足が出ていかない。なんでこんなにしんどいの・・・?と思いながら必死で登る。このしんどさはボクだけではないみたいで、あとの2人もヒーヒー言いながら登っていた。最後のほうは四つん這いになりながらだった。

■3ピッチ目(W+)

3ピッチ目をリードするH野君
3ピッチ目をリードするH野君

はじめは良かったが、中間部が苦しかった。見た目はそう難しくは見えないが、いい具合にホールドやスタンスがない。ここに1つあってくれたらなあ・・・という感じだった。オーバーグローブで岩をつかむというのは、よっぽどのガバでない限り体重を預けられない。しかも、この天気でなので、雪のついているホールドは大変滑りやすかった。天気が良い時にもう一度来てみたら、意外と簡単に登れるかもしれないと思った。凹角出口のかぶり気味のところは、ガイドでは核心のようなことが書いてあったが、意外とすんなりと通過。そのあとのやさいい雪壁登りでまtあえぐことになる。

■4ピッチ目
ここは最後の岩場以外はほとんど雪稜。はじめは雪稜だとホッとするところがあったが、今はもうたくさんだ。とにかく足が進んでいかなかった。トップが登っている間休めるにもかかわらず、数十メートルのピッチでここまで疲れるとは・・・。このピッチは疲れた以外は難なく通過。

■5ピッチ目
トサカ状の岩を登って日ノ岳に出ると完登となるが、通常はこの基部からトラバースして稜線に出るようだ。吹雪模様だったので、うちらもトラバースで逃げる。H野君はノービレイで偵察に行くというが、ちょっとばかりいやらしそうだったので、適当だったが確保した。結局ロープをフィックスしてここを通過。

稜線に出てホッとしたのも束の間、縦走路の様相が先週とは全く違っていた。トレースがないのは当然のこと、稜線がリッジとなっていた。夏道の付いている風下側は吹き溜まりとなり、うかつに入ってしまうと雪崩れそうだった。仕方なく風上側から巻気味で通過。この先も不安定な新雪に苦しめられる。地蔵尾根上部はこれまた悪かった。ナイフリッジの雪稜のところは大変不安定で、雪にしがみつくとそのまま中山尾根側の谷へ落ちてしまいそうだった。尾根の分岐も視界がないため、イマイチよくわからなかった。樹林帯に入るとやっとトレースの名残のような八つが出てきてひと段落。吹雪をしのぐこともできて、やっと安心することができた。

行者小屋に着きホッと一息
行者小屋

行者小屋に着く。新しい雪は30センチくらい積もったようだ。また小屋の軒下で装備を片付けたり、腹ごしらえをしたりした。H野君は登りの時にここに巻き寿司をデポしていたようだ。凍っていて食えないようだった。あたりまえだろ?仕方なくボクのパンをあげたらむさぼりついていた。

美濃戸についたら雪はやんだ。結局、今日は歩きはじめて30分で雪が降り始め、着いたとたんに雪がやむというような、わざわざ一番悪いときをめがけて来たような感じだ。「もみの湯」という温泉に入って帰った。


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