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豆焼沢〜雁坂峠

 スダレ状の滝50mはなかなかの見ものです
 山域  奥秩父 雁坂峠
 山行日時  2004年7月10日(土)〜11日(日)
 登山形態  沢登り
 メンバー  S藤、H尾、K野、H口、T世
 行程  1日目  豆焼橋⇒豆焼沢⇒4段50m滝上
 2日目  テン場⇒雁坂小屋⇒黒岩尾根⇒豆焼橋
 温泉  はなかげの湯(500円)    その他山梨県の温泉情報  




ここ1週間は真夏の日差しが照り付け、連日35℃前後まで気温が上がるという夏本番状態。「梅雨の中休み」という言葉で片付けるにはちょっと・・・といった感じの天候だ。その陽気も金曜日までで、週末にかけて梅雨空が戻ってくるという。まあ、中止にするほどの崩れではないみたいなので、とりあえずは決行。行動中に降られるのは覚悟するが、なんとか宴会中は降らないで欲しいものだ。



■7月10日(土)   晴れのちくもりのち雨   豆焼橋⇒4段50m滝上(泊)

初日の行動時間が少ないので朝はゆっくり。ボクだけ早朝の仕事を片付け、7時半に合同庁舎集合。今のところ天気は上々で気温も高い。このところ天気予報はハズレがちなので、今回もはずれてこのまま良い天気で経過してくれたらいいのだが・・・。初めての雁坂トンネルを越え、1つ目の橋がホチの滝の上にかかる第2豆焼橋。トンネルを越えた次の橋が豆焼橋。豆焼沢ははるか下を流れていた。橋を渡ってすぐ左に駐車場がある。

豆焼橋(10:55)⇒入渓(8:15)⇒ホチの滝下(12:00)⇒4段50m滝下(16:05)⇒4段50m滝やや上のテン場(16:45)

駐車場から少し車道を戻るとワサビ沢に分け入る踏み跡がある。それを追っていくと豆焼沢に降り立つことができた。なんとか天気はもっていて、青空が広がって暑い。躊躇することなく水に入れそうだ。わずかの間ゴーロだが、すぐに谷が狭まる。ここらの岩盤は真っ黒で、黒光りしている。硯の上を水が流れているようだ。きれいなナメというよりも、渋みのあるナメという感じ。

ガイド(東京周辺の沢)には、ホチの滝まではトンネル工事の影響で水が汚れているとあったが、今はもうそう汚く感じることはない。ただ、工事の残骸はあちこちに残っていた。気温が高く、水温も冷たくないので、釜に入るのは全く苦にならない。積極的に水に入って進むことができた。

入渓直後のきれいな小滝
釜に入って滝の左に取り付いた
徒渉にひるむ女性陳

小1時間ほどでホチの滝に出くわす。滝の上には第2豆焼き橋。なんとも妙なシチュエーションだ・・・。ホチの滝は直登不能なので、右岸の踏み跡から高巻く。高巻き中にタラの木を握ってしまった。素手で・・・。滝上に降り立つとすぐに2段目があった。これも登れないので、また巻き道に戻ってまとめて巻くことに。巻いている途中、2段目の滝上で噴水のように水が噴出しているのが見えた。すごいヒョングリの滝だなあと思っていたら、トンネルの排水(だと思う)が塩ビ管から放水されているだけだった。なんとも興ざめ・・・。いつの間にか空は雲で埋め尽くされてしまっている。

ホチの滝下段
ゴルジュを突っ張りで越える
頑張ったが巻いた
6m滝 左岸を巻いた

ホチの滝を通過するとしばらくで、ゴルジュの中にある5m+3mの滝が立ちはだかる(上の左から3番目の写真)。右壁には残置のシュリンゲが垂れており、残置ハーケンもところどころあった。S藤さんが挑戦するが手強いよう。ヌルヌルの岩とグラグラのハーケン。辞めといたほうが良さそうだなあと思って見ていたが、やっぱり無理みたいで断念。水流際にも残置シュリンゲがあり、挑戦してみたかったが、人数も多いので巻こうということになった。両壁とも高くて切り立っており、巻きも悪そうに見えたが、左岸に登山道並みの巻き道ができていた。あっさり高巻く。

トイ状をまたいで突破(H口さん)
これはどの滝だっけ・・・
これもどの滝だっけ・・・

懸念していた雨が降り始める。行動中はさして気にならないが、やや寒くなってきた。水に入るのはためらってしまう。5m+3mのゴルジュでは手間を食ったが、それ以降は快適な遡行となる。トイ状の滝をまたいで通過したり、ややスリリングなへつりをしたり、シャワー気味に登ったり・・・と楽しめるところだ。登れない滝も、巻きが小さいので苦にならない。

4段50mの滝
2時を過ぎて、テン場を探しながらの歩きとなる。すぐに右岸に絶好のテン場が・・・。しかし、まだ2時台。しかも雨が降っている。協議の結果、もう少し駒を進めることになった。

こうなると、先にはなかなか良い場所はないもの。時間だけが経過していく。3:1の二俣にもなんとか泊れそうなところがあった。でも、平らなところはないし、むさ苦しそう。あまり泊まる気にはなれない。まあ、日は長いことだし、スダレ状50m滝の手前には間違いなく適地があるので、最悪そこまで行くことにして、再び歩き始める。

4段50mの滝は一見登れそう。しかし、3段目以降が見えない。少人数で足並みが揃っていて、時間に余裕があれば挑戦してみたいところだが、この状況ではとても無理。右岸のこれまた登山道並みの踏み跡をたどって高巻く。かなり高く巻いた感じだったが、沢床にはすんなり降りることができた。大滝を越えるとすぐに絶好のテン場発見!

テン場自体は平らで快適そうだが、すぐ下は4段50mの滝。また、すぐ上には6mルンゼ状の滝があり、圧迫感は抜群。ただ、6mの滝を巻くための巻き道がテン場の脇にあるので、安心は安心だった。そんなところなので、薪は豊富とはいえない。でも、なんとか必要最低限の薪は確保できた。

雨のほうはザーッと降ったりやんだりの繰り返し。薪は当然濡れていて、なかなか火が着かない。真打(自称)のS藤さんがやっと火を着けてくれた。雨は降っていたが、真上には木が覆っているので、あまり気にはならない。9時を過ぎた頃だろうか、いつの間にか星空になっていた。えーあんばいに。明日は期待できるかも・・・?宴会は11時頃まで続いた。


■7月11日(日)   晴れ(一瞬)のちくもり   テン場⇒雁坂小屋⇒黒岩尾根⇒豆焼橋

目覚めたのは6時半くらいか。みんなはもっと早く起きていたが・・・。一番早く寝て、一番最後まで寝ていた。朝から快晴!天気が良いと、気分も違う。欲を言えば、きのうがずっと良い天気だったら良かったんだけど・・・。餅入り味噌汁雑炊で腹ごしらえをして出発。

テン場(8:00)⇒4段24m滝下(8:15)⇒スダレ状滝(8:50)⇒登山道(10:15〜30)⇒雁坂小屋(10:40〜11:10)⇒豆焼橋(14:15)

6mのルンゼ状の滝は巻き道を行かず、極力水流通しで突破。最後の左岸をへつり気味に登るところがやや悪めだった。4段24m(6m+4m+6m+8m)はどうやって登ったっけ?直登したような気はするが、記憶がない・・・。最近では年とともに脳細胞が激減しているみたいで、きのうのことも思い出せない。体力の衰えよりも、脳みその衰えのほうが早いようだ。

これを越えたところに、これぞテン場というテン場があった。焚き火のあとやらからみると、先行パーティーが泊まったと思われた。豆焼沢の中のテン場では、間違いなくここが最高だ。次回来ることがあれば、ここしかないかな。

出発時は雲ひとつない快晴だったのに、ものの30分ほどで全面雲に覆われてしまった。渓相も暗〜くなってしまった。

暗〜くなったところで、豆焼沢のクライマックスであるスダレ状50m滝のお出まし。なんと表現したらよいやら・・・。滝がフラットで、程よいざらつきがあるのだろう、ジョワーっという感じで流れ落ちてきている。炭酸入りの水が流れてきているようだった。太陽が出ていれば、木漏れ日で水流がキラキラして、さぞかしきれいだっただろう。この暗さ、今回の豆焼沢で一番残念だった。もう1時間早く出ていればよかったかも・・・。幅広の滝の登りはどこでも好きなところを登れる感じ。ただ、ちょっとヌルヌルで滑りやすいので、気をつける必要はある。
4段24mの滝

スダレ状を通過し、左から支沢を分けてもまだ水量は豊富。もうすぐ遡行はフィナーレなのに・・・。この先ミニゴルジュ帯が2ヶ所現れるが、程よいスリルを味わいながら、快適に登ることができた。そのあとは右からガレが押し出してきており、一時水流は消える。水流が再び現れると、正面に水のないガレ沢。左に水流のある支沢の二俣となる。本流は正面のガレ沢に見えたが、水のある方に進むことに。先行パーティーはガレ沢を詰めて行った。

水流中央を登るS藤さん
スダレ状50m滝
スダレ状50mの上部

右の支沢に進路を取ると、水量は半減した。しかし、小滝が連続する、なかなか楽しい部分が続いた。ひとつ、水流があるにもかかわらず、全面明るい緑色の苔に覆われた滝があった。その先も小滝が続き、なんともあっけなく登山道に出た。登山道の先も滝が連続していた。登山道の少し上に、雁坂小屋の水源があった。ということは、今遡ってきたのが本流ということだ。正面のガレ沢が本流かと思ったのだが・・・。休憩していると、ガレ沢を登って行った先行パーティーがやって来た。少し休憩して雁坂小屋へ。

ミニゴルジュは楽しい(Hさん)
苔に覆われた滝
雁坂小屋への道は散歩道

雁坂小屋で下山の身支度をする。天気が良ければ雁坂峠に行く予定だったが、悪いのでパス。下山は黒岩尾根。登山地図では破線の道だったが、歩いてみるとしっかり整備された歩きやすい道。スタスタ歩けるが、なにぶん距離が長い。なかなか高度を下げないのが辛かった。最後は豆焼橋からはるか下の豆焼沢を見下ろして、今回の沢歩きを振り返って終了。牧丘村まで戻り、「はなかげの湯」で汗と沢臭を掻き落とす。

豆焼沢はとくに通過困難な箇所はなく、登れない滝には東京近辺特有のしっかりした巻き道がある。渓相はやや暗いものの、大滝、ナメ滝、ゴルジュ・・・と、沢の要素を全て備えている。その中でも4段50m滝とスダレ状50m滝は豆焼沢の看板の滝だ。雁坂トンネルの開通で、異様な景観とその残骸が残るものの、味わいのある沢だったように感じた。


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