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上高地(8:30)⇒徳沢(10:10)⇒中畠新道分岐(11:40)⇒奥又白池(14:10) |
屏風のコル方面へと新村橋を渡る。空は青空ベースとなってきて、前穂の頂稜も見え始めてきた。ヨシヨシ!と思う反面、汗ダーダーでの歩きとなってしまった。奥又白谷の右岸につけられた登山道を登り、それが屏風方面へと渡るところが中畠新道の分岐となっている。大岩にペンキで大きくマークされているので見落とすことはない。少し登ると左に急峻な松高ルンゼ、右に大きな奥又白谷。その境目にある細くて急な尾根に中畠新道はつけられている。
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尾根取り付きの岩にはレリーフが埋め込まれている。急な尾根を、時には木の根っこにつかまりながら登っていく。登山道といえども整備はされてないので、時々ザックが木にからまって立ち往生。時々開けると、前穂の東壁や北尾根がすごい迫力で迫ってくる。松高ルンゼと登って来た尾根が一緒になり、お花畑(草むら?)の斜面となる。右に五・六のコル方面への踏み跡を分ける。そして、ヨイショ!と最後の登りを登ると、ヒョッコリ奥又白池に。
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池はこじんまりとしていて、なかなか風情がある。前穂の東壁がドカ〜ン!と目に飛び込んでくるのかと思いきや、間にちょっとした台地があって、やや視界をさえぎるような形に・・・。ただ、それはイメージが先行しただけの話で、素晴らしい景観に変わりはない。誰もいるわけないと思っていたら、上から6人組が下ってきた。クライマーでもなさそうだし、A沢を下降してきたのだろうか・・・?
ここにはテントを張った跡が5張り以上あり、1本南側の沢からは水も取れる。とても快適なテン場なのだが、池があるせいか虫は多め。紅葉の時期に来れば、極上のロケーションに違いない。ビールを飲んで、つまみを食べて、焼酎を飲みかけた頃に早くもダウンの気配。まだ明るいうちに眠りに落ちてしまった。
夕方6時くらいに寝てしまったにもかかわらず、4時までしっかり寝ることができた。テントから顔を出すと、東面がバッチリ眺められる。徐々に明るくなってくる空を楽しむ。最近では御来光なるものを見ることがあまりないので、今日はロケーションが良いのでしっかりと拝ませてもらおう。
奥又白池(5:45)⇒五六のコル(7:40〜8:25)⇒涸沢(9:30〜45)⇒東稜コル(11:40〜12:30)⇒北穂高岳(13:40〜55)⇒涸沢(16:15) |
きのう登って来た道を少し戻って、五・六のコルへの踏み跡へと入っていく。朝露でズボンはおろか、パンツまで濡れてしまった。カッパをはいておけばよかったと思ったが、もう既に後の祭り。ガレを横断するところで踏み跡は消える。五峰の基部に向かってガレを横断すると、岩に書かれた薄いペンキの丸印を発見!
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このルンゼを渡ってからの登りがイマイチ悪い。浮石だらけの急斜面で時々ある潅木に頼って登る。途中、踏み跡が不明瞭になり、悪い壁を登ると行き詰まった。見回すと、左の方に踏み跡らしきものが・・・・。潅木を支点にロープを張って、T世さんを踏み跡のほうへ。ロープを持っててよかった・・・。ボクは強引に上に逃げた。う〜ん、ここは下りに使いたくないなあ・・・。 悪い区間はここまでで、あとは展望の良いお花畑の尾根を五・六のコルに向かって高度を稼ぐのみ。左には東壁と北尾根上部、右には穏やかな北尾根下部の展望を楽しみながら、時々奥又白池は見えないかと振り返ったりする。 五・六のコルに着くと、デ〜ン!と奥穂が目に入ってくる。見慣れた景色を違った角度から見ると趣がある。眼下には涸沢ヒュッテとテン場が。日曜ということでテントは少ないようだ。 |
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五・六のコルを後にして、涸沢に下ることに。はじめはしっかりと踏み跡があったが、次第に枝分かれして不明瞭に。でも、視界は良好なので、踏み跡がわからなくてもどんどん下っていけばいい。常に踏み跡は右岸側に付いているようだ。涸沢ヒュッテが見えてからが長かった。
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涸沢で一息入れて、今度は北穂に向けて登り始める。南稜の登山道を小一時間ほど登って、登山道が南稜に乗っかる手前で登山道を離れ、東稜に向けてガレをトラバース。中高年夫婦と思われる先行者がいた。東稜のルンゼに取り付いていて、落石が怖そうなのでしばらく待機のあと取り付く。ザラザラのルンゼを詰めていくと、最後は岩登りとなる。この岩登りは浮石が多くて岩がもろく、ホールドやスタンスに小石が一杯乗っていて怖かった。
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東稜に乗ると槍への稜線が望めるようになる。北穂池は見えない。東稜の北側は比較的なだらかで、なだらかな台地状の末端まで降りると北穂池は見えた。ムムム・・・予想通りかなり下だなあ・・・。池まで下って大キレットに這い上がり、そこからまた北穂まで登らなければいけない。今のペースで歩ければ時間的には余裕だけど、果たしてこのペースが持つかどうか・・・?ガス欠の可能性大だ。てなわけで、このまま東稜を登って北穂に行くことになった。ただ、登攀具の準備はしてきてないので、北側の巻き道を利用することに。
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小屋に着くなり小雨が降り出す。周囲の空を見てもどこも明るいので、降っているのはもしかしてここだけ・・・?今日のうちに穂高岳山荘まで進んでおけば明日が楽だが、雨が降っているんではなあ・・・。ここに泊まるとしても、テン場である南稜テラスと小屋は離れているので、どっちにしても面倒臭い。 しばらくで雨は上がったので、奥穂方面に向けて歩き始める。・・・がT世さん既にガス欠気味。仕方なく南稜テラスで泊まることにした。・・・が、涸沢に下る元気ならあるってことで、涸沢まで下ることになった。南稜テラスに泊まるよりも、涸沢に泊まったほうが何かと都合はいい。雨上がりで常念に虹が架かっていた。 |
涸沢のテント数は20張り弱か・・・。盛夏と紅葉の季節のちょうど端境期ということで、今が一番静かな時かもしれない。今日は長いこと歩いたのでノドが乾く。背負って歩いていたビールだけでは足りず、涸沢ヒュッテでもう1本追加。きのうは明るいうちに寝たが、今日はそれほど睡魔はやってこなかった。
夜は結構な冷え込みだった。帰って新聞を見たら、「北穂高小屋で初氷!」なんて見出しが出ていた。そのぶん朝から雲ひとつない快晴!今朝もだんだんと赤みを帯びていく穂高連峰を堪能した。涸沢に泊まったからには、もう下るしかないのだが、せっかくなので穂高随一の展望と噂の屏風の頭に立ち寄ることにした。
涸沢(7:00)⇒屏風のコル/屏風の頭往復(8:10〜10:25)⇒徳沢(12:40)⇒上高地(14:45) |
今朝は時間に余裕があるので、まったりと朝の準備をしていた。涸沢ヒュッテの下からパノラマ新道に入る。屏風のコルまで斜面のトラバースが続くが、アップダウンや難所があって意外と疲れる。一ヶ所、ルートをはずしてしまい、少々ロスタイムもあった。屏風のコルにはザックがいくつか置いてあった。僕らもザックを置いて空身で屏風の頭へと向かう。
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空身と言えども最初の急登はこたえる。でも、高度を上げるとともに広がっていく展望に、屏風の頭からの景色の期待が高まる。「屏風の頭」の前に「屏風の耳」がある。360度の大展望というのは、まさにここのことだ。槍・穂高連峰を見るのに、距離、角度とも申し分なし!蝶ヶ岳からの展望を拡大したような感じなのだが、立体感が雲泥の差だ。「耳」には穂高劇場の観客が数名いたが、「頭」には誰一人いない。というのも、「耳」と「頭」の間にはゾッとするような大ギャップがあるからだろう。僕たちもゾッとしてやめようと思ったが、次またいつ来れるかわからないので、ここは労を惜しまずに「頭」まで行くことにした。
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実際「頭」に行ってみるが、「労」ほどの価値はなかったかも・・・。北側がさらに開けると期待していたが、それほどでもなかった。誰もいない屏風の頭で、穂高劇場を独り占め。気温、風とも程よい感じで、1時間近く観劇していた。登山をはじめた頃は、山頂で1時間なんてザラだったが、最近になってからはこんなにゆっくりしたのは久しぶりかも・・・。
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屏風の頭が終わって、今回の穂高山行ももう終わり。あとは上高地に向けて降りるのみ。屏風のコルから新村橋までは、きのう通ってきたルートが上部に臨め、感慨に浸りながら歩くことができた。周りの雰囲気もまずまずだったし・・・・。徳沢から上高地までは、毎度のことながら試練の帰り道であった。上高地では登山客は少なかったわりに、観光客はウヨウヨしていた。この頃には穂高連峰の稜線は雲がかかり始めていた。ちょうど良いタイミングだったかな。上高地の売店でビールを買って飲んで、今回の山旅を締めくくった。