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穂高の紅葉2006 −涸沢&横尾谷右俣−横尾谷右俣カール
今年の北アルプスの紅葉は1週間程度遅れているらしい。北海道で大雪山の素晴らしい紅葉を拝み、北アルプスでも紅葉を見るチャンス。体育の日3連休の前半は、台風並みに発達した低気圧が寒気を引き込んで、北アルプスの稜線は軒並み雪が積もった。おかげで出発は1日ずれ込んだが、雪景色のオマケ付き。ただ、紅葉のほうはまだ早いのか、またデキが悪いのか・・・。イマイチであった。雪景色は最高!
■10月9日(祝) 晴れ 上高地⇒涸沢前日は一日冬のような空で、常念岳や蝶ヶ岳あたりも初冠雪。下界でも冷たい雨の降る一日だった。翌日は朝からスカッと晴れわたり、雪化粧した北アルプスが輝いていた。とくに後立山は雪が多いし、雪が付くとカッコイイ!今日は3連休の最終日。もう涸沢もダダ混みってことはないだろう。6時半ごろの余裕の出発。沢渡からは十石山にも雪が積もっているのが見えた。
上高地から見る穂高の峰々は、降りたての雪で純白に輝いていた。今日来た人は大当たりだ。観光客のみなさんも「ワァー!」なんて声を上げていた。きのう涸沢に入った人は、きのうは最悪の天気だっただろうが、今日はそれが何倍にも報われる景色を拝んでるんだろうなあ・・・。昨日スタートor今日スタート、どっちがよかったかな・・・?
連休最終日ということで、降りてくる人がメチャメチャ多い。横尾までの広い遊歩道でさえ、すれ違うのにストレスを感じるほどだ。それでも悪天だった連休なので、入込みは少ないんだろうな。横尾までの試練の横歩き。白くなった明神岳、前穂高岳、屏風などを見て、ウンザリする気持ちを紛らせた。 今日は約2年ぶりとなる冬靴。昨年はスキーに明け暮れ、一度も履かずじまいだった。夏の靴で来るつもりだったが、朝大天井岳の雪の積もり方を見て、急遽冬靴にしたのだった。靴の形が変わったのか、足が変わったのか、足がイタイイタイ。さらに左足の付け根が痛くなって、涸沢までは苦痛の登りとなった。
紅葉のほうは、本谷橋を渡ったあたりから色付き始める。屏風の頭の斜面と北穂の斜面は、黄色主体だが彩は良かった。肝心の涸沢の谷の紅葉は、まだ早いのか・・・、ハズレなのか・・・イマイチ。ヒュッテの下辺りの一番いいところでは、まだ青々としたナナカマドの葉っぱがたくさんあった。そうこうしているうちに、東向きの涸沢は日陰となってしまった。あ〜あ・・・。遅い出発と足痛が仇となってしまった。 それでも涸沢のロケーションは天下一品!雪景色の穂高の岩峰には残り物の太陽が当たってきれいだし、屏風の斜面には遅くまで日が当たっていた。景色はいいが、日の陰った涸沢は寒い寒い!外には居られず、テントの中で時々外の景色を見ながら過ごしていた。前日寝不足だったのもあって、7時過ぎには眠っていたような・・・。 ■10月10日(火) 晴れ 涸沢⇒横尾谷右俣⇒槍沢ババ平涸沢は朝がお勧め。日の出前から刻一刻と繰り広げられるドラマが素晴らしい。日の当たる前は白黒の岩峰が、まず稜線から日が当たり始める。そして、それがだんだんと下に降りてくる。涸沢のテン場あたりにも日が下りてくるのは、それからずっとあと。ヒュッテ下の谷に日が当たるのは、さらに時間が経ってからとなる。
テン場に日が当たり始めると、それまで寒かったのがウソのようにポカポカ。涸沢の谷に日が当たるまでゆっくりしたかったが、今日は横尾谷の右俣を登って、そのあとあわよくば槍までと考えているので、そうそうゆっくりはしていられない。ナナカマドが見頃の部分はまだ日陰。日が当たるまで待ちたい気持ちもあったが出発。
1時間もあれば本谷橋まで下れると思っていたが、そうは問屋が卸してはくれない。平日といえども、ここは日本有数の紅葉名所。本谷橋の少し手前で渋滞に吸収されてしまった。こうなってしまったら、もうあきらめるしかない。途中で沢に向けてガレを下る手もあったが、さすがに人目が気になった。
本谷橋でこの喧騒ともおさらば。さっきまでの人混みが幻だったのかと思えるくらい。まあ、道はないから当然といえば当然。横尾谷には登山道はないが、結構人は入るので踏み跡はある。横尾谷は巨岩が点在するゴーロの谷。左岸のゴーロを歩き、水流や巨岩で行き詰ったら、左岸の草付きには必ず巻き道が付いている。ひたすらこれを繰り返しながら高度を上げる。
涸沢出合を分け、横尾谷の左俣を分け、右俣へと入っていく。左俣は2002年に登っているが、なかなかインパクトのデカイ谷だった(後述)。谷がだんだんと細く、傾斜も増してくる。見えている一番高いところを登り切ると、カールに出るなというのがわかった。さて、どんなカールへの飛び出し方をするのか楽しみだ。
カールへの飛び出し方は、左俣に比べると地味。右俣のカール自体、完成度は低いようで、だらだらと下がってきている。左俣は飛び出た瞬間にカールの全貌が見えるが、右俣のほうはさらに先にモレーンがあって、カール全体を見渡すことができない。途中で潅木とハイマツの藪を漕いでからやっと本物のカールに出るといった感じだった。
北海道でも紅葉の時期に夏の花が咲いていてビックリしたが、こっちの方がはるかに異常だ。天変地異の前触れなのか、日本沈没の前触れなのか・・・?周囲を見てみると、まだ青々とした草がたくさん残っていた。通常なら秋枯れの草原なのに。紅葉と夏が同居しているようだった。
カールの中央にはまだ雪渓が残っていた。ズルズル滑りながら雪渓を詰め、目指すは横尾尾根のコルだ。氷河公園の登山道が横尾尾根に登りついた部分だ。昨年横尾尾根のコルから右俣を見下ろした時、踏み跡がしっかり付いているかのように見えた。しかし、コルからのルンゼンの下部に来ても、踏み跡らしきものは見当たらない。歩いた形跡はそこらじゅうにあったが。傾斜はそれほどでもないが、不安定なガレのため、荷が重いと辛い。コルへは2本のルンゼが伸びているが、流れで右のルンゼを詰めた。左の方が楽だった気もするが、見えなかったのでなんとも言えない。
T世さんはルンゼの登りあたりからペースが極端にダウン。というのも、「唐辛子を足につけて寝ると暖かい」というので、そうやって寝たところ、靴を履いて温まると痛くて痛くてしょうがないらしい。顔をしかめながら登ってきていた。休憩の度に靴を脱いでいた。みなさん、くれぐれも唐辛子には気を付けて下さいね。
コルに上がるとドーンと目に飛び込んで来るのが槍ヶ岳。さあ、目指すはその槍ヶ岳だったが、時間はすでに2時。もう無理だ。殺生あたりを今日のテン場と考えていたが、それも無理っぽい。一番近いテン場は南岳か。南岳で泊まって、明日稜線からの景色を見て下山ってのもいいな。念のため天気予報をチェック。すると、なんと明日は雨!出る前の予報では、何日間か晴れ続きだったのに・・・。そこで、もう一つの選択肢である槍沢のババ平に変更。まあいいか・・・。
横尾尾根の北面には雪がたくさん残っていて、すでに日陰なので固くなっていた。ツルツル滑りながら天狗池まで下った。すでに日が陰っているので天狗池あたりは暗い。その暗さが幸いしてか、天狗池にはまだ明るい槍ヶ岳がクッキリと写っていた。天狗池あたりの紅葉はすでに終わり。そこから下って、槍ヶ岳へのメインルートと合流するあたりが見頃。全体的に見ると、涸沢よりも横尾谷よりも、槍沢の紅葉が質量ともに良かったような気がする。ババ平あたりまでずっとよかったので、ここを登るのがベストだったかな・・・と結果論。 ■10月11日(水) 曇りのち雨 槍沢ババ平⇒横尾⇒上高地
朝起きて晴れていれば、また槍沢を登って紅葉の綺麗なところまで行こうかと思っていた。しかし、この天気ではそれも無用。今日は見どころナシの下山のみとなってしまった。槍沢から上高地までは川沿いのほぼ平坦な道。あ〜だりぃ・・・。ま、テントの撤収の時に雨が上がってくれたのがせめてもの救い。
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