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初冬の常念岳 一ノ沢から槍
北アルプスのアプローチに使う道は11月末で冬季閉鎖になり、翌年のゴールデンウィークあたりまで使えなくなる。蝶ヶ岳・常念岳では烏川林道と一ノ沢林道が月末まで。中房温泉への道は25日まで。あと、扇沢が月末までで閉鎖になる。せっかくなので、どっかに行っとこう。行き先は一番ご無沙汰している山にしよう。
蝶ヶ岳、常念岳、爺ヶ岳の中で一番ご無沙汰している山・・・。2003年の12月に燕岳から蝶ヶ岳に縦走して以来の常念岳だった。登った回数をみても、蝶ヶ岳9回、燕岳12回、爺ヶ岳8回なのに対して、常念岳は5回しか登っていなかった。常念山脈の盟主なのに・・・。結構面倒臭いんですよね、常念岳って。他よりも少し時間がかかるし、手軽に日帰りするなら蝶か燕になりがちなのです。というわけで、一発気合(?)で常念岳に決定!一ノ沢を歩くのも実に13年ぶり。その時も常念岳に登るつもりで行ったが、面倒になって横通岳に登って帰ってきたのでした。
前日は冬型。常念は一日降ってた模様。いい機会なのでタイヤを替えておいた。登山口手前あたりでは何度か滑ったので、ちょうどよかった。登山口付近で新雪が3〜5センチくらい。ペラペラだが景色が白いので冬っぽい。今日はこの冬初めての冬靴。雪が少なくて、下はゴロゴロの道なのでカクカクなって歩きにくい。
一ノ沢沿いをダラダラと登る。徐々に雪は増えてきて、笠原あたりで20センチくらいの新雪。だいぶ靴が楽になってきた。時々常念の滑り台(北東斜面)が見えるが、雪煙が上がりまくっていた。稜線は風が強そうだ。笠原のベンチで小休止。看板には常念小屋まであと2時間となっていた。この時は楽勝気分だったが、実際は3時間以上もかかってしまったのでした。
雪が深くなるのと同時に、登山道もわかりにくくなってくる。石にはベタベタにペンキ印があるんだろうけど・・・。登山道を無視できるほどの積雪ではないので、はずしてしまったらオシマイ。吹きだまりでは腰まで埋まるようになってきた。2度本流を渡渉するが、どちらも渡渉点を探してウロウロ。渡渉はかなり大変だった。石が凍ってて。
谷が狭くなって、ルートは沢を離れて斜面に向かった。「胸突八丁」っていうんですかね、高巻き道。急斜面をトラバースするんだが、雪の量はこのぐらいが限界みたい。これ以上多い年だと厳しくなりそう。後には安曇野が見えるようになってきたけど、まだ雲海になっていた。今日は冷え込んで、この時期の風物詩的な放射霧。
高巻きを終え、再び沢沿いを歩く。新雪は50センチくらいになり、平均でヒザくらい。ヒザまでなら蹴散らして進めるが、モモまでくると時間も体力も食う。古い雪は堅くなっているが、それを踏み抜くとさらにハマる。道っぽくなくなって行き詰まる。また高巻き?それとも対岸?少し戻りながら検証。ウ〜ン・・・わからん。2往復目で対岸に赤テープ発見!こりゃわからんわ。赤テープが雪から顔を出してなかったら、みつけることはできなかったかも・・・?
針葉樹の尾根に取り付く。針葉樹に雪が積もるぶん、地面に積もる雪は少し減った。ただ、ところどころ溜まりやすいところは、腹まで埋まるようになる。進むとこは順調に進むが、深くなるとトタンに立ち往生。「ベンチ」という看板があった。ベンチは発見できず・・・。距離にしてあと500m、標高差にしてあと60mの地点。ここから1時間以上もかかってしまったのでした。だいたい上の写真くらいのラッセル。腰上くらい。時々落とし穴。稜線が見えてからが長かったなあ・・・。
今日は思い付きの山行で、気合入りのつもりは全くなかった。しかし、気合入りのラッセルをせざるえなくなってしまったのでした・・・。もうやめようか・・・とも思ったが、せめて常念小屋までは登らないとね。どうせ下りは超特急なんだし。なんとか頑張れて常念乗越へ。風ビュービュー。景色は最高!常念岳13時発をタイムリミットに考えていたが、時間はすでに12時過ぎ。まあいいか・・・・暗くなったら暗くなったで。休憩なしで山頂に向かった。
常念小屋から常念岳に向かう斜面は、風で飛ばされて雪はビッシリとは付かない。槍がキレイだ!登るにつれて後ろの横通岳も大きくなってきて、大天井岳も見え始めてきた。半分までは順調だったが、道がクラストした雪に覆われてから最後の試練が・・・。バリッ!ズボッ!の繰り返し。ゆっくり雪に乗っかっても、バリッ!と割れてズボッとハマる。もう山頂は見えていたけど、ちっともはかどらない・・・。時間はすでに13時を回っている・・・。もうやめようか・・・。疲れたし・・・。でも、今見えていない反対側(蝶方面)が見たいの一心で、ヨレヨレになりながら山頂にたどり着いた。
山頂ではザックも降ろさずに、グルリと一周写真を撮っただけで下り始める。時間もなかったけど、風が強かったので、どっちみちゆっくりできる山頂ではなかった。パッパカと下りたいところだったが、雪と石が交じった斜面は歩きにくい。とくに冬靴は・・・。常念乗越から少し下って風がしのげるところで久しぶりにザックを降ろした。やっとビールが飲める。
尾根取付きから常念乗越まで1時間45分かけて登ったが、下りは25分。もっと早く降りれると思ってたが・・・。傾斜が緩いので下りラッセルになってしまうのでした。それにしても一ノ沢は陽が差さない。登りも下りもほとんど日陰だった。最後の渡渉でドボン!と川にはまった。帰りだから落ちてもいいや・・・と思って渡ったらホントに落ちた。まあ、スパッツしてるので濡れなかったけど。 雪が減り始めるとクッションがなくなり、冬靴の苦痛が・・・。股関節が痛くて大股で降りれないし、疲れてヨレヨレだし・・・。2回ほど前に転んだ。転んで止まってホッとした時に、チーン!と熊除けの鐘が頭に当たる。結構しっかりした鐘のタイプなので痛い痛い。2回とも。それでも明るいうちに登山口に着くことができてよかった。このあたり、すっかり雪は融けていた。次の日は全身筋肉痛と関節痛。
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