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中房川 北燕沢 敗退&偵察編




いきなりの直登不能滝連発で今回は偵察のみ

 山域  北アルプス 中房川 燕岳直登沢(?)
 山行日時  2010年8月21日(土)
 天気   晴れのちくもり
 登山形態  沢登り
 メンバー  abu-chan、Sじー
 温泉  有明荘(600円)


気にはなっていたが、今まで足を踏み入れることのなかった燕岳エリアの沢。記録もほとんどないし、沢登りの対象にはならないのだろう・・・と、勝手に思っていました。ところが、前回の北中川谷でこのエリアのポテンシャルの高さを実感。もっと探ってみたい・・・との思いから、今回は燕岳に直接突き上げる沢を計画。しかし、そう簡単に一発で決めさせてはもらえませんね。前回に続き、地形図のみで情報なしの沢の難しさを突き付けられた感じです。

中房温泉駐車場(5:30)⇒馬羅尾沢で入渓(7:00〜30)⇒連瀑帯高巻き(8:30〜10:40)⇒20m滝下(11:10)⇒連瀑帯下(13:00)⇒入渓点(13:20〜14:10)⇒中房温泉(15:20)

地形図を見ていたところ、北東から直接燕岳に突き上げる沢を発見。フィナーレは最高だなあ・・・。その沢が右俣だとすると、左俣は燕山荘の北にあるピークに突き上げている。こちらは全体的に緩やかで、上部はカールっぽい等高線の並びだ。最初のS字と二俣付近に核心があると踏んだ。勝手に「燕岳直登沢」と呼ぶ。正式名称でも通称でもいいので、誰か知ってますかねえ・・・?北燕沢であることが判明。

アプローチに東沢乗越への登山道が使えるので、入渓点からの標高差は約1000m。あわよくば日帰りできるかも・・・。手強いのが出てきたらダメかもしれないが、そん時は偵察ということで、日帰りなのであまり突っ込まないようにしとこう。朝5時過ぎで中房温泉の駐車場は軽く満車で、有明荘の下から路駐の列。軽の利を生かして、無理やり駐車場の角地に潜りこめた。

 
東沢本流にかかる5m 登れなかった8m滝

中房温泉を突っ切って、東沢の登山道に。最初はダラダラ登りだが、だんだん高巻きが大きくなってきてキツイ。奥馬羅尾沢で少し沢に近づいたが、また急に登る感じになったので、奥馬羅尾沢を下って東沢の本流へ。ここから沢装備。はじめは広河原だが、すぐに狭まって1m滝、5m滝、堰堤と続いた。5m滝は登れそうな左壁がボロボロだったので、無理せず巻く。すぐに左から燕岳直登沢が入る(1740m)。水量は1:2くらいかな。登山道が出合に降りてきていた。ここまで登山道でも良かったのかな・・・?

直登沢に入ってしばらくは平凡なゴーロ。しかし、しばらくで正面にすごい連瀑が見えた。ゲゲゲ・・・。いきなり?地図を見るとS字になっているところに正面から入る支沢だった。ホッとするも束の間、右から入る本流にも大物がいそう。滝本体は隠れて見えないが、高いところから飛沫が飛び散っているのが見えた。モンスターであることに間違いなさそうだ。モンスターの手前には5m、3m、8mと前衛滝が控える。5mは右壁を(ロープ使用)、次の3mは右から巻き、次の8mは登れそうだったので右壁に取り付くが、外傾&ヌルヌル&浮き石の三拍子が揃い、途中でやめて降りた。帰りに上から見たけど、下から見るより抜け口が悪そうだったので、頑張って登らなんで正解。

 
最初の連瀑 5m+3m+8m 2つめの屈曲点にある10m滝

高巻き開始。右の草付きを登る。沢に近いところを巻きたかったが、岩壁がジャマして上に追い上げられる。S字の奥に潜んでいるモンスターも一緒に巻くしかないか・・・。なんとか岩壁をクリアしてトラバースに入る。本流の沢音が大きくなってきた。モンスターの落ち口を越えたところにいるようだ。沢床が見えたが結構下にあるし、さらに上流に別のモンスターがいるのが見えた。

 
20m滝の右を懸垂 20mは2段になっている

一度沢に降りてみるべきか、このまま一気に巻くべきか・・・の選択。この高巻きは随所でけもの道を利用できたので、意外とはかどる。そんなこともあって、このまま巻き切ることにしたのでした。時間ばかり経過するが、今いるところは最初のS字。ノドはガラガラ、汗はダラダラ。こりゃ今日やっつけるのは無理だな。結局、2つ目の屈曲点にかかる20m滝の上に降り立つ。2時間以上の大高巻きでありました。20mの上には直登不能の10m、5mと続いていたが、その上は穏やかそうに感じた。ま、とりあえず今日のところはここまでとして、次回につなげるために極力沢通しに降りて観察しておくことに。

  20m滝の左岸の小尾根から懸垂(約20m)で降りる。ちなみに、今回は30mロープ2本持参。降りてみると、この20m滝は左岸のルンゼから簡単に巻けそうだった。

ここからしばらくゴーロ状を降りると10m滝が出るが、これは右岸の小尾根を越えると緩い草付きになっていた。この10mは直登は不能。

残るは最大のモンスターである40m滝。左岸を灌木頼りに落ち口の高さでトラバースしてみるが、岩壁に阻まれ無理。この巻きは追い上げられるのはやむを得ない感じ。
40m滝の上にある10m

登りで高巻いたルートを戻ってもよかったが、連瀑を掛ける支流との間の尾根を探ってみる。上から見た感じ灌木がつながっているように見えたけど、行ってみると傾斜がほぼ垂直に近くて、灌木伝いに降りるのは難しそう。支流の連瀑帯の間に懸垂(25m)で降りる。支流30m滝の上か。ここから本流の40mが見えたけど、すごい勢いで水が落ちていた。ここはまだ40m滝を半分くらい下降したくらい。この本流(40m滝)と支流(30m滝)は滝の途中で出合っており、滝の形はYの字だ。豪快。

 
40m滝と支沢にかかる30m滝の間を懸垂 本流の40m滝の上半分

支流の右岸に移り、懸垂ポイントを探す。一発で40m滝の下に降りれそうだったが、続く8m+3m+5mを懸垂する支点が乏しそうだったので、さらに下流に向けてトラバースしてから下り、一気に連瀑帯の下まで懸垂(約30m)。下降時に観察した結果、下降してきたルートを登るのは厳しそう。連瀑帯の最初の5mだけ登り、そこから40mまでまとめて左岸を大高巻きがベスト。その先は丹念に1つずつ細かく巻いていくことになりそう。あとはゴーロを下って出合(1740m)まで。

沢登りに来たのにほとんど高巻きばかりで、沢を歩いたのは平凡なゴーロだけ。ま、これも沢登り。出合のところにちょうど登山道が降りてきていたので、帰りはここから登山道を歩く。・・・が、大高巻きになっていた。入渓は奥馬羅尾沢が正解だな。1時間10分で中房温泉へ。前回入れなかった有明荘の温泉にドボン。600円。

最初のS字が核心ってことは予想していたが、まさかこんなのが出てくるとは思わなかった。大小7つある滝のなかで、登れるのは最初の5mだけ。あとはすべて巻くしかない。沢登り的には面白くないけど、ここまでやったからには、次はなんとか稜線まで登りたいところだ。

今回は初見ということで、高巻きルートでロスが多かった。でも、最良ルートを探りながら極力沢通しに下降し、連瀑帯の抜け方は描けた。地形図を見る限りでは、S字の連瀑帯より上は比較的穏やかそうに見える。約2150mの二俣周辺に次の核心がありそう。燕岳直登ルートである右俣には難所があるかもしれないが、左俣なら等高線が開いている。最悪は右岸の尾根に逃げれそうだ。最後はカール状で詰めは快適そうな気が。

前回、今回と情報なしの沢登りを体験したが、難しいことが多い反面、やり甲斐も多い。得るものも多い。ただ危険も伴うので、決して無理はせず、実力の範囲内で楽しむとしよう。常に「突っ込む」「戻る」「ニゲる」を想定しながら。
 
 遡行図(クリックで拡大)



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