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今年の正月山行はどこにしようかと考えていた時、I波さん易老渡からの聖岳と光岳に行かないかと誘われた。でも、2年前の正月に、光岳には行っていないが、易老渡から上河内岳、聖岳に行っていたので、渋っていた。そこで、白峰三山だったら行きます返事。するとI波さんが折れてくれて、今年の正月は白峰三山縦走ということに決まった。 ■12月30日(日) くもり一時雪 奈良田⇒あるき沢橋⇒池山小屋
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開運隋道(8:30発)⇒あるき沢橋(11:50〜12:15)⇒池山小屋(16:00着) |
奈良田の集落を過ぎ、開運トンネルの手前にゲートがあった。ちょうど農鳥岳への登山口だ。すでに車が十数台止まっていた。ここから池山尾根に行く人は少ないだろうし、農鳥岳に登る人がこんなにたくさんいるとは思えないし・・・。みんなどこに行くんだろう・・・?近くに氷曝とかあるのだろうか。正月ということでトレースはバッチリだろうと、ワカンは車に置いていくことにした(反則?)。
ここからあるき沢橋までの長〜い長〜い車道歩きには、一応3時間を見込んでいた。でも、コースタイムが出ているわけではないし、荷物も結構重いので、到着時間は未知数だ。十数年前この道を車で走った時は、ひどいダートで、水溜りを通過するのが大変だった記憶がある。しかし、ほとんどが舗装されて、歩くのも快適だ。ただ、前線が通過しているみたいで、青空も少しのぞいたりもしたが、雪が降っている時間が長かった。
はじめは変化がなく、ただひたすら車道を歩くのみ、といった感じだ。半分くらい歩くと、右手の高いところに、夜叉神峠口から広河原への道が見え始める。ここからは野呂川発電所、吊尾根隋道・・・と多少変化が出てきて、単調な車道歩きの中でも、少しは気を紛らすことができた。また、野呂川隋道を抜けて、鷲ノ住山から歩いてきた登山者がたくさん合流してきた。あるき沢橋手前の登山口には、これからの登りに備えて休んでいる人がたくさんいた。
いきなり薄っぺらの雪、氷、草が混じった滑りやすい道から始まる。先行者はえらい苦労していた。うちらはなんとかノーアイゼンで登り切る。そのあともジグザグの急登が続く。先行者が落石を落としてきたりで、なかなか休憩ポイントがなかった。急登が終わると池山尾根上に出る。ここからはなだらかになり、池山小屋まで平坦な道が続いた。
池山小屋周辺は平らで開けているため、強風が吹き荒れていた。テントは10張り弱といったところか。木が疎らに生えているあたりでテントを張ることに。強風の中の作業は大変だったが、なんとか設置完了。テントに入ってからは、水作り、酒&つまみ、夕食、酒&つまみ・・・といつものテント生活が営まれた。
今日の行動の後半からT世さんの体調がおかしくなった。どうも腹痛のようだったが、普通の腹痛とは違ったみたいだ。これだと白峰三山を縦走することは無理だろうと判断し、北岳のピストンだけに切り替えた。こうなると気持ちは一瞬で切れてしまい、宴会&極楽山行モードに。明日の北岳にしても、重荷を担ぐことはなくなり、軽装での身軽なアタックということに。
池山小屋(6:40発)⇒ボーコン沢の頭(9:25〜45)⇒八本歯の頭(10:35〜50)⇒吊尾根分岐(11:40〜12:05)⇒北岳(12:25〜45)⇒池山小屋(15:40着) |
縦走がなくなったことで緊張感がなくなったのか、朝はみんなそろって寝坊した。4時に起きる予定が、起きたのは5時前だった。さっさと朝メシを食って出発。天気は快晴だ!しかし、腹痛のT世さんはやはり調子が出ないようだ。かなり歩みが遅かった。このペースで行くと、北岳登頂は到底無理。そこで、良いことではないが、山頂へはボクとI波さんで向かい、T世さんはマイペースで歩いてもらうことにした。
この時点でも登頂は微妙だと思ったが、一応タイムリミットを13時に決めて北岳へと登る。樹林帯の道はトレースがバシバシ。これなら薄暗くなっても大丈夫だ。しばらく登ると、左からの尾根に合流。間ノ岳と農鳥岳が見えた。朝日を浴びた間ノ岳から農鳥岳の稜線はすごいきれいだった。北岳はまだ池山尾根に隠れていて見ることができない。
城峰は知らないうちに通りすぎた。今回は池山小屋のあるところで泊まったが、樹林帯のうちはどこでもテントが張れそうで、初日にできるだけ上に上がっておけばいいかなと思った。ボーコン沢の頭に出ると、眼前に北岳の勇姿が!雪もしっかりと付いていて、迫力満天だ。冬の空気なので空も澄み切っている。
ここからは八本歯の頭まで続く、たおやかな尾根の爽快な歩きだ。終始右前方に北岳を見ながらの稜線漫歩。気分は最高だ!八本歯のコルあたりで、バットレスを攀じると思われる人が偵察に向かっていた。かなり雪が深くて大変そうだ。バットレス自体よりも、取り付きまでが核心なのでは・・・。雪崩れそうなところだらけだし。
難所とされている八本歯のコルの通過は、拍子抜けするくらい簡単に通過できた。ただ、たまたま今日は雪の状態が良かったし、トレースがしっかりあったから、簡単に通過できたと思う。もし、降りたての雪だったとしたら、足場を固めながら一歩一歩慎重に進まなければならなかっただろう。コルから吊尾根分岐までは風がなく、汗だくだった。
吊尾根分岐の稜線に出たとたん、強風が吹き荒れた。近くで休憩していた学生風の人がオーバー手袋を飛ばされてしまっていた。予備があったみたいだからよかったが、なければ死活問題だ。ここからは風で飛ばされた夏道をどんどん登っていく。直下で雪の付いた西側の斜面を登った。そして、ほどなく誰もいない北岳山頂へ。1時は微妙かと思っていたが、意外と早く登頂することができた。真冬の山頂ではあまりゆっくりはしていられない。20分ほど登頂気分に浸ったあと下山。登りの時使った西側の斜面は下りでは恐そうだったので、忠実に稜線をたどった。下りは2時間くらいで池山小屋に着いた。
テントに戻るとT世さんはすでに水作りを始めていた。別れてからはのんびりとマイペースで登り、ボーコン沢の頭まで行ったみたい。そこからの北岳の眺めに満足した様子だった。実際、今回の山行の中で一番眺めが良かったのは、ボーコン沢の頭だった。北岳登頂はおまけのようなものか。日程が1日短くなった分、豪華な夕食となった。
池山小屋(7:40発)⇒あるき沢橋(9:20〜50)⇒開運隋道(13:10着) |
縦走がなくなった手前、今日の天気が悪かったら気が済む。予報はだんだんと寒気が入ってきて、冬型が強まるようだったが、実際は下山するお昼頃までは稜線は見えていた。ただ、風は強そうだったが・・・。縦走していても、なんとかなったかも・・・。
あるき沢橋までの登山道の下りはまあよかったが、長い車道歩きは大変苦痛だった。最後のほうは意識朦朧としながら歩いていたような・・・。
あとは温泉にでも入ってゆっくりしたいところだったが、今日は元旦。帰り道に3軒寄ってみたが、どれも休みだった。最後の手段で、わざわざ諏訪から高速に乗り、諏訪湖サービスエリアの温泉に入ったのでした。
T世さん腹痛は、やはりただの腹痛ではなかった。正月が明けて病院に行くと、卵巣脳腫とのこと。手術が必要で、2〜3ヶ月は普通の生活には戻れないらしい。ただ、運の良いことに、実家の近くの病院では、内視鏡による手術をやっており、わずか1週間くらいで退院できた。2月には日帰りの山へ、3月には1泊2日で鳳凰三山へ行けるまでになった。とにかく、山の中で大事に至らなくてよかった。
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