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甲斐駒ヶ岳

 戸台から八丁坂〜仙水峠〜甲斐駒ヶ岳〜六合〜赤河原という、
マイナールートで甲斐駒ヶ岳に登ってきました。
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 山域  南アルプス 甲斐駒ヶ岳  
 行程  1日目  戸台⇒丹渓山荘⇒北沢峠
 2日目  北沢峠⇒仙水峠⇒甲斐駒ヶ岳⇒六合目
 3日目  六合目⇒赤河原⇒戸台
 山行日時  2004年11月19日(土)〜21日(月)
 登山形態  縦走
 メンバー  T世
 温泉  長谷村 仙流荘(500円) 



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もともと鋸岳に登る予定だった今回の連休。おまけで甲斐駒ヶ岳をつけたのだが、都合でおまけの甲斐駒ヶ岳を先に登ってしまったため、メインの鋸岳には時間切れで登ることができなかった・・・・。残念・・・。しかし、相性の悪い甲斐駒(過去1勝6敗)が快晴に恵まれ、大満足の山行となりました。下山に使った六合目から赤河原に降りるルートは、なかなかしびれる道だった。


■11月19日(土)   晴れ時々くもり   戸台⇒丹渓山荘⇒北沢峠

早朝の仕事を終え、いったん自宅に戻って準備してからの出発。なんだかんだで登山口である戸台に着いたのはすでに10時半頃だった。これは今日のうちに北沢峠までも届かないかなあ・・・。時間切れなら丹渓山荘あたりで泊まることになりそうだ。戸台の駐車場には3台くらい。ここは正月とゴールデンウィークしか混雑しない。

戸台(10:50)⇒角兵衛沢出合(12:55)⇒丹渓山荘(13:30〜40)⇒大平山荘(14:40)⇒北沢峠テン場(16:15)

丹渓山荘までは、戸台川の河原を延々と歩かねばならない退屈な道。はじめは右岸の作業道を歩く。正面に甲斐駒ヶ岳を望みながら歩けるので、単調だが気分は悪くない。駒津峰には雪は見られないが、甲斐駒の山頂部には薄っすらと雪が残っていた。3個目のでっかい堰堤を階段で越すと、ルートは左岸に移る。このあたりからはこれと言った道はないが、これでもかというほどの赤テープがあり迷う心配はない。

久しぶりの泊まりの登山。お盆の北又谷以来か・・・。しかも冬装備に登攀具のおまけがついている。30キロ近いザックを背負うのはいつ以来だろう・・・?肩と背中に苦痛を感じながら、単調な道に苦痛を感じながらひたすら歩く。下山予定の角兵衛沢、エスケープになる可能性のある熊穴沢の出合をチェック。谷の中は広大なガレになっているらしいが、出合はどちらとも樹林が生い茂っており、むさ苦しそう。

戸台の駐車場 ここから延々河原を歩く
戸台川から甲斐駒ヶ岳を望む
戸台川からの鋸岳の稜線を見上げる

丹渓山荘を2時にタイムリミットを設定していたが、コースタイムが甘かったのか、1時半には着くことができた。このぶんなら余裕で明るいうちに北沢峠に着きそうだ。丹渓山荘は正月とゴールデンウィークのみ営業しているらしい。赤河原への道(この時点では使うとは微塵も思ってなかった)、藪沢の道を分け、八丁坂に取り付く。斜面は急だがジグザグが切ってあるので楽。急登が終わるとダラダラの道に変わる。このダラダラ道が逆にだるかった。ニセ林道に3度だまされ、やっと本物の南アルプス林道に出くわす。出くわす地点が大平山荘。林道を横断してしばらくで北沢峠となる。

北沢峠のテン場にはテント1張りのみ。この時期の北沢峠っていったらこんなもんなのかも・・・。4人くらいの若者の感じだ。暗くなる前に準備を急ぐ。テントに入って落ち着くと同時に、酒とつまみが取り出される。同時に夕飯である鍋の準備も進んでいく。何時頃だろうか・・・、真っ暗になってから2人組が到着。いったいどこから登って来たのだろう・・・?6時過ぎに寝袋に入ると、一瞬のうちに眠りに落ちたような。次に目が覚めたのはもう朝の5時だった。



■11月20日(日)   晴れのちくもりのち一時雪   北沢峠⇒仙水峠⇒駒津峰⇒甲斐駒ヶ岳⇒六合目

朝から快晴!小仙丈に積もっている雪が朝日に輝いている。この天気もいつまで持つやら・・・。予報では夕方にかけて寒気が通過するようで、関東地方でも大気が不安定になり、一時雨か雷雨になるという。寒気となると山は影響を受けやすいので、なんとか天気が急変するまでに甲斐駒の山頂を抜けておきたいところだ。

北沢峠(7:00)⇒仙水峠(8:15〜30)⇒駒津峰(10:20〜35)⇒甲斐駒ヶ岳(12:15〜45)⇒六合石室(14:40)⇒六合目テン場(15:00)

今日の予定は、鋸岳の核心手前の中ノ川乗越。雪はビミョウだし、六合の水場もでている保証は無い。ということで、北沢峠から水4リットルを背負い上げることにした。きのう減った重量の倍が加算されたような感じで、肩にずっしりとのしかかる。仙水峠への道は堰堤のたびに軽いアップダウンがあり、ジャブを食らっているようだ。何度目の仙水峠だろうか・・・。今までの中でダントツの良い天気で、展望はすこぶる良好!摩利支天がこっちに向かって倒れてきそうな感じで迫ってきている。

仙水峠からの摩利支天は大迫力!
 仙丈岳  駒津峰に登る途中
駒津峰から鋸岳へ続く稜線

さて、今日の核心の一つ、駒津峰までの急登。足は快調で意外と楽に登っていける。だが、肩と背中の苦痛は容赦なく襲ってくる。連れのT世さんのペースがイマイチ上がってこない。久しぶりの重荷に足が進まないようだ。中間くらいで一度休憩。その時にガス缶3つ、食料1袋、ピッケルを背負ってあげることにした。これで30キロは余裕で超えただろう。さっきまで足は大丈夫だったが、さすがに足にも負担を感じるようになった。

駒津峰に這い上がる。北アルプスの稜線付近は雲で覆われ始めてきたようだ。中央アルプスはまだ全部見えていた。もうしばらくは南アは大丈夫のようだ。六方石のアップダウンがことのほか辛かった。とくに下りが悪い。軽装ならなんでもないが、荷が重いとまともに下れない。このあたりから日陰に雪がチラリホラリと現れ始める。甲斐駒山頂への登りは、いつもなら直登コースととるが、今日は荷が重いので巻き道を選択。時折、背後の白峰三山に目をやりながら、明るい花崗岩の風化した砂礫の斜面をジグザグに高度を稼いだ。

駒津峰からの甲斐駒ヶ岳
駒津峰からの北岳 逆光が残念
六方石より甲斐駒山頂を見上げる

山頂は360度の大展望。白峰三山が逆光となっているのが残念だ。しかし、北沢峠から甲斐駒まで5時間以上もかかるとは思わなかった。このぶんだと今日の中ノ川乗越は厳しいかも・・・。北面は薄いが雪でしっかり覆われていた。六合目への稜線を覗いてみると、岩稜になっており、間に雪がしっかり詰まっていた。そんな部分はほんの1ポイントなのだが、アイゼンがないと下れそうもない。面倒だが山頂の祠の陰で足回りを冬装備に。

六合目への尾根はしっかり見えているが、雪で埋まっているためルートがはっきりしない。適当に下っていくと絶壁に阻まれ、また登り返してルートを探す。こんなことを何度か繰り返しながら、はっきりとした尾根道に乗る。日陰の雪も少なくなった頃にアイゼンをはずした。中間部には鎖場があったが、これが結構手強く、鎖がないと絶対に下れないなと思った。軽装なら大丈夫だろうが。夏に遡行した黄蓮谷を右手に見ながら六合目を目指すいつの間にか中央アルプス、八ヶ岳も雲で覆われてしまった。コルまでもう少しのところで、眼下に六合石室を発見。噂どうりの荒廃ぶりだ。

甲斐駒南面はすきまに雪が残る程度
甲斐駒より目指す鋸岳の稜線
六合石室  かなりボロイ

六合石室ですでに2時半。中ノ川乗越までは2時間以上はかかりそう。その間に天気が悪くなる可能性も大。今日はここまでにしよう。石室との分岐にザックを置いて小屋の偵察に。小屋は外見ほどは荒れていなくて、意外と快適そうだった。ただ、ちょっと湿っぽいのが気になるところ。ちょうど銀マットが残してあった(?)ので、それを地べたに敷けば問題ないかな・・・といったところだ。とはいってもやっぱり陰気臭い。小屋のすぐ上にテント一張り分のスペースがあり、そこも快適そうだった。結局はコルの樹林に囲まれた絶好のテン場があり、そっちに張ることに決定した。

テントを張って中で落ち着いたところで、テントの壁がシャーシャーと音を立てている。外を覗くと雪が降ってきていた。一瞬で5ミリくらい積もったが、一瞬でやんだ。しばらくで月も出てきて、ランプなしでもテントが薄明るいくらいだった。なんだ、荒れるといってもこんな程度か・・・。安心すると同時に、雪がいっぱい積もって、真冬の景色に変わった朝を楽しみにしていたが、この点は残念だった。このぶんだと、明日は朝から良い天気になりそうだ。

■11月21日(月)   晴れ   六合目⇒赤河原⇒丹渓山荘⇒戸台

六合目からだと、鋸岳を縦走して今日中に下山するのは厳しいと判断。ここから直接赤河原に下山するか、中ノ川乗越まで縦走して熊穴沢を下降するかの選択だ。鋸がダメになった今、面倒になり、このまま赤河原に下山することにした。

六合目(7:15)⇒六合目再出発(8:40)⇒赤河原一合目(11:50〜12:00)⇒丹渓山荘(13:20)⇒戸台(15:40)

テン場にしたコルの砂礫地に、赤テープと踏み跡があり、これを下っていく。ちょうど地形図の登山道の位置と一致している。軽くなったとはいえ、荷物は結構な重さだ。その重荷に苦しみながら、かなりの傾斜で下降していく。踏み跡、赤テープともバッチリ。10分程で水が湧き出していた。同時に踏み跡がハッキリしなくなり、赤テープも消えてしまった。おかしいなあと思いつつしばらく下ると沢にぶち当たり、行く手を阻まれてしまった。

六合目テン場より朝の仙丈岳
地形図によると、右側の斜面をトラバース気味に下降し、そのうち右の尾根に乗っかるようなルート取りになっている。しかし、踏み跡は沢芯に至り、右の斜面は断崖。尾根に上がるのはかなり困難。水場あたりまで登り返し、ザックを置いて偵察に走った。

右の尾根に這い上がり、道らしきものがないか注意深く見ながら登ったが、道の形跡を見ないまま稜線まで登りついてしまった。念のため鋸岳方面に少し歩いてみる。すると、次の小ピークからしっかりした踏み跡が、下の方に向かって伸びていた。その小ピークには壊れた祠もあり、下降点はここに違いないと思った。ザックを置いたところにいったん戻り、来た道をまた登り返す。登山地図を確認したところ、やはりさっきの祠のある小ピークから道が下降していた。なんのこっちゃ・・・、もっと早く登山地図を見ておけばよかった。

またまたテン場からの出発。下降点を間違えて、約1時間半のロスだ。今度は踏み跡、赤テープとも登山道に間違いなさそうな雰囲気である。これで順調に下れるかと思ったのも束の間、尾根は相当に急で、随所に岩場が現れる。とくに4合目付近はひどく、岩が逆層で重荷を背負っていると大変。残置のロープ、針金はあるものの、どれも申し訳程度のもので、全体重を預けることは恐くてできない。地図に「荒れている」とは書いてあるものの、登山道なのですんなり下れるかと思っていた。実際はバリエーションルートと言ってもいいのではないかというくらいだ。

赤河原への下降ルート
2.5万地形図の赤河原への登山道は下降点が違うのでご注意!


六合石室の最低コルから下降する踏み跡は、10分ほど下にある水場へのルート。その先は急なスラブ状の滝となり、沢通しに下降はできない。右岸も断崖のため巻くことは不可能。

実際のルートは、最低コルからさらに鋸岳方面に進み、2つ目の小ピークから下降している。そこには壊れた祠があり、これが目印になる。ただ、このルートは一般的ではなく、とくに下降向きではない。尾根の岩場はなかなか困難だし、下部の沢は踏み跡すらなく、ルートファインディングが難しい。今度このルートを使うとしたら、登りでしか使いたくないなあ・・・。

ただ、ルートはところどころわかりにくくはなるものの、赤テープは割合に豊富。赤テープが見当たらなくなれば、ルートをはずしたかな・・・という感じだ。3時間かけて標高差800mを下り切り、やっと沢に降り立つ。ホッとする間もなく、徒渉に難儀する。沢筋には道はなく、何度も渡渉しながら下降できそうなルートを探さなければいけない。冬靴では濡れた岩は大変滑り、飛び石もままならない。

この調子だと、いつになったら丹渓山荘に着けるのかと不安になったが、左から張り出す尾根を回り込んでからは、沢は開け、左岸の台地状を快適に歩けるようになる。そうなればあっという間、スタスタと丹渓山荘まで下ることができた。ここからはもう、ただ足を交互に前に出しておけば、登山口に着くことができる。が、この河原歩きはウンザリするほど長く、最後の方はヘトヘトになってしまった。下山後は仙流荘で汗を流す。


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