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北アルプスの紅葉 2007年版

2007年 10月5日(金)〜7日(日)

新穂高から双六、三俣、黒部五郎カール、秩父平、杓子平・・・とカールを巡ってきました






恒例の体育の日3連休紅葉ツアー。うまい具合に今年は前日に休みが取れて4連休に。定番の穂高(ちなみに昨年は)に行っても良かったけど、せっかく4日あるので、以前から気になっていた黒部五郎カールの紅葉を見に行くことにした。主役は決まった!・・・が、難しいのは脇役を含めたルート取り。折立からの入山とか、いろいろと考えた末、メインディッシュを黒部五郎カール、鏡平、双六〜三俣のカールの巻き道、そして笠方面へ縦走し、秩父平、杓子平・・・とした。このあたりのカールを総ナメしてやろう!紅葉はやっぱりカールが美しい!


10月5日(金) くもり 朝方霧雨 新穂高(7:30)⇒わさび平小屋(8:45〜9:00)⇒秩父沢(10:05〜15)⇒鏡平(12:15〜50)⇒弓折分岐(13:45〜14:05)⇒双六小屋(15:05)
10月6日(土) 曇りのち時々晴れ 双六小屋(5:55)⇒三俣蓮華岳(7:40〜55)⇒黒部五郎小舎(9:00〜15)⇒黒部五郎カール奥壁(10:20〜11:00)⇒黒部五郎小舎(12:05〜15)⇒三俣蓮華岳(13:45〜14:10)⇒双六小屋(15:40)
10月7日(日) 晴れのちくもり 双六小屋(6:45)⇒弓折分岐(8:00)⇒大ノマ岳(9:30〜45)⇒秩父平(10:10〜30)⇒笠新道分岐(11:45〜12:00)⇒杓子平(13:00〜40)⇒林道(15:30)⇒新穂高(16:40)
メンバー: T世    温泉: ウチまでガマン



当初の計画は、1日目:新穂高⇒双六⇒三俣 2日目:三俣〜黒部五郎岳往復 3日目:三俣⇒笠ヶ岳 4日目:笠ヶ岳⇒新穂高 だった。しかし、初日は朝まで雨が残り、出発を遅らせたため双六どまり。これが功を奏し(?)、3日目に笠新道経由で下山することができた。ちなみに4日目は前線の通過で荒れ模様。三俣からだったら厳しかっただろうなあ・・・。予定からは黒部五郎岳と笠ヶ岳の山頂が省かれたことになるが、主食はすべて食い尽くし(まだ熟れてなかったが・・・)、おなかポンポン!で下山することができたかな・・・と。

 ■1日目  10月5日(金)  曇り 朝方まで霧雨  新穂高⇒鏡平⇒双六小屋


今日は三俣まで!の意気込みだったが、雨は朝まで残ってしまった。こりゃ〜ゆっくり出て行って、今日は双六までだな。長野県のうちは本降りだったけど、トンネルを抜けて新穂高に着く頃には霧雨程度まで回復。なんとかカッパなしでのスタートに。でも、あたりは霧に包まれていて、気分は盛り上がらない。生暖かいし・・・。まあ、今日はアプローチ。明日からの晴れ予報に期待です!

出だしはこんな様子
鏡平 天気も悪いし紅葉もまだ・・・
稜線直下で晴れてきた!


紅葉は林道から登山道に入るあたりで色付き始め。上の方はどうかなあ・・・。最初のおかず、鏡平までに晴れてくれればいいが・・・と思いながら登るも、願いかなわずガスの鏡平となった。紅葉のほうもまだこれからといった感じで、ナナカマドの赤はほとんどなし。黄色のダケカンバも、なんだか焼けてしまったようになってしまっていた。それでも池のテラスには三脚を構えたたくさんのカメラマンで賑わっていた。みんなつまらなさそうだったが。1番目のメインディッシュは不発に終わった。

弓折岳あたりにあった池
双六谷源頭部は色づきはじめ
夕方の鷲羽岳 双六小屋より


稜線直下になってやっと明るくなってきて、稜線に出たら雲が散らばり始めてきた。槍や穂高はまったくもって見えないが、弓折の稜線はところどころ見渡せるように。双六谷源頭部にはいい感じで潅木が生えている。あそこがしっかり染まったら、さぞかしきれいだろうなあ・・・と思いながら、双六小屋へと歩いていた。双六小屋に着くと、鷲羽岳が見えていた。テン場には先客3張りのみ。今日はまだ平日、明日からの3連休は混むだろうなあ。小屋も今日は空いている様子だった。それでも、後から5張りくらいは増えたかな。

 ■2日目  10月6日(土)  曇りのち時々晴れ  双六小屋⇒三俣蓮華岳⇒黒部五郎カール (往復)


寝る前からテントに霜が張り付いていたが、朝はだいぶ冷え込んだ。冷え込んだということは、天気は良いはず!凍った地面をバリバリ言わせながら歩いて便所へ。ちょうど朝焼けが始まるところだった。今日は2つの主食が用意されている。双六から三俣にかけての、夏はお花畑となる巻き道。もうひとつは、今回の一番の目的である黒部五郎岳のカールだ。スカッと晴れてくれ!

鷲羽岳に朝日が当たりはじめる
三俣への巻き道
巻き道の途中で

今日は双六にテントは張りっぱなしで黒部五郎岳往復なので、準備は楽チン。ピストンってことで芸がないかもしれないが、双六〜三俣は行きを巻き道、帰りは尾根コースを歩き、黒部五郎小舎〜黒部五郎岳も行きはカール、帰りは尾根道を下る。重なる部分は三俣蓮華岳と黒部五郎小舎の間だけなので、かなり楽しめるのではないかなあ・・・。まずは朝日の当たる三俣への巻き道に期待!

双六から三俣への巻き道は庭園風のところが多い
同じく巻き道より


日の出の時にはほとんどなかった雲だが、太陽が昇り始めるにつれて、薄雲が覆いはじめてきた。薄いから大丈夫かなと思っていたのに、薄雲はどんどん濃くなってきて、肝心の斜面に日が当たらない。いい感じなのに、日が当たらないので暗い感じ。それでも雲の間から薄日が差すと、とたんに彩りが鮮やかになる。空を見上げて、太陽と雲の位置関係を気にしながらの歩き。なんだか煮え切らない双六〜三俣蓮華岳であった。


この双六〜三俣の巻き道は、ほぼ森林限界上にある。なので、派手に染まるナナカマドやダケカンバなどの潅木は、ところどころにあるくらい。主体はお花畑なのだが、チングルマやツツジ(?)系の葉っぱが紅葉し、地味だけどなんとも言えない味のある秋を感じさせてくれる。これが点在する白い巨岩やカール壁と絶妙にマッチするんだわ。ナナカマドの華やかな紅葉も好きだけど、こっちの地味な紅葉も好きだ。

鷲羽岳  三俣から黒部五郎に向かう途中
チングルマの寄せ植え群落


三俣蓮華岳に登っても、空を覆う濃い薄雲が幅を利かせている(注:晴れた写真は帰りに撮ったやつもある)。山にかかる雲がないのは救いだが、せっかくなんだから時々でも日が当たってほしいところだ。2週間前に鳶谷を詰めて薬師岳(山荘まで)に登った。その時は、ところどころに赤くなった葉っぱはあったものの、まだまだ夏山であった。しかし、2週間後の今は、すっかり秋の気配濃厚の北アルプスになっている。

黒部五郎小舎と黒部五郎岳
五郎沢を見下ろす

三俣蓮華岳から黒部五郎小舎の間は、主にハイマツの稜線。ハイマツのみでは、さすがに秋は感じられない。夏と同じ。ところどころにチングルマのお花畑があって、そこに来ると瞬間的に秋になる。黒部五郎岳のパックリ開いたカールが正面に見える。ここから見る限りでは、色づきは今ひとつか・・・?でも、夏でも楽園のような場所なので、きっと秋の今は超楽園に違いない!草原のコルに経つ黒部五郎小舎は、風情たっぷりだ。すでに小屋閉め後であった。どうりで人が少ないと思った。

黒部五郎カールへの登り
五郎沢の紅葉と遠くは薬師岳


さて、いよいよ五郎カール。楽しみ楽しみ!・・・なのだが、肝心のお日様のご機嫌が悪い。濃い薄雲には隙間がほとんどなく、カールに日が燦々と当たる気配は全くない。このままの暗いカールで終わってしまったら、また来なければいけないなあ・・・とか考えていた。

黒部五郎岳
黒部五郎カール


さて、メインディッシュの中のメインディッシュである黒部五郎カール。実質的なカールは上の方だけだと思うのだが、五郎沢の上部からずっとカールの続きのような地形で続いている。日本離れした場所だ。きれいに紅葉する潅木が生えているのは、登山道よりもずっと下。登山道が通っているところは森林限界を越えていて、ポツポツとナナカマドが生えているくらいで、ほとんどが巨岩とお花畑とハイマツで構成されている。ベースが枯れ草色で、その中にチングルマなどの地味な赤、ハイマツの緑、巨岩の白が浮き上がっているような感じ。涸沢カールのような派手な紅葉にはならないが、これはこれで素晴らしい。

カールの中は巨岩がゴロゴロ
黒部五郎カール遠望


カールどん詰まりの手前にお昼寝岩がある。時間はすでに10時半。山頂から尾根道で帰りたかったけど、山頂に行ってたら遅くなるかなあ・・・。お昼寝岩で悩みながら休憩していたら、みるみるうちに晴れ間が広がってきて、お日様がカールを照らしはじめる。わぁぁぁ〜、やっぱり日が当たると全然違うわ!陰気なカールから明るいカールに大変身!せっかくなので、大変身したカールをもう一度下ろう。尾根道はまたの機会にして、芸はないけど来た道を戻ることにした。

黒部五郎岳の北側のカール壁
遠くは水晶岳

できれば登りながら明るいカールを堪能したかったけど、まあ仕方がない。少し進んでは振り返りながら下っていく。登りの時に撮った暗いカールの写真は、帰り道に全て撮り直しのような格好になってしまった。黒部五郎小舎から三俣蓮華岳までの標高差約500mの登り返しが、今日の核心だった。

カール超遠望
黒部平へと降りる
チングルマと三俣〜双六の山並み
チングルマの斜面と水晶岳


三俣蓮華岳の山頂にたどり着く。朝は逆行で黒かった槍ヶ岳も、今は日を浴びてクッキリ!硫黄尾根の赤茶色の岩も眩しいくだいだ。ここは北アルプスのど真ん中だけあって、展望はピカイチ!この展望に見とれていたら、みるみる南の方からガスが上がってきて、あっという間に三俣蓮華岳の山頂を呑み込んでしまった。あ〜あぁぁ・・・。日が遮られ、風も出てきたので、とたんに寒くなってきた。帰りは尾根ルートのつもりだったけど、展望なしの強風ではつまらないし辛いので、またまた巻き道を通って戻ることにした。結局は往路を忠実にピストンすることになってしまった。

槍ヶ岳  三俣蓮華岳山頂より
硫黄尾根と表銀座の山並み
樅沢岳と槍ヶ岳
チョコンと出てるのは鷲羽岳


ガスッたり晴れたりの中、双六に戻ると、テントが満開になっていた。さあ、ビールビール!しかし!缶ビールは売り切れ・・・。山小屋にビールがないなんて・・・。お客さんはいっぱいいるのに・・・。仕方ないのでジョッキの生ビールをテントに持ち込んで飲んだ。さては生ビールが余っていたか・・・?やっぱり美味いわ!気になる天気予報だが、明日は晴れるけど、あさっては雨マーク。雨マークは雨マークでも、気圧配置が気になるところ。寒冷前線だったら、稜線は過酷になりそうだ。とりあえず笠に向かうとして、予報が悪ければ笠新道で明日のうちに下山だな。


 ■3日目  10月7日(日)  晴れのちくもり  双六小屋⇒抜戸岳⇒新穂高


今朝も寒い!気温はともかく、風があって寒い!予報は今日は晴れ、明日はやはり雨マーク。笠ヶ岳までならゆっくりだが、今日のうちに新穂高に下山となると、コースタイム10時間くらい。早立ち早立ち!カッパを上下着込んでテント撤収だ。未明は双六谷からガスが吹き上がっていたが、明るくなるとなくなって秋晴れに。


風があったのは谷間だけ。稜線に出ると風がなくなり、上下カッパではとたんに暑くなった。槍と穂高を見ながらの稜線歩きだが、朝のうちはもろ逆光。岩でできている槍・穂高はただでさえ黒いのに、逆光だと黒い壁だ。そのかわり、朝日を浴びる弓折から笠にかけての稜線は、枯れ草とハイマツとわずかな紅葉が、ぬくぬくと感じられる。

コルの向こうは鷲羽岳
弓折岳の稜線


3連休中日ということで、さすがにお客さんは多い。鏡平を出てきたと思しき人とたくさんすれ違う。ここ2日の朝の冷え込みで、おととい通った時よりも紅葉は進んでいるように感じる。実際に後から写真を見たら、黄色が特に深まったようだ。ナナカマドの赤はハズレ年かもしれないな・・・?このあたりは。

大ノマ岳への登り
デコレーションされた岩

大ノマ乗越から大ノマ岳への登り。標高差のある苦しい登りだが、ここは予期せぬ見所だった。何が良いかといわれると困るが、なんとなく良かった・・・。大ノマ岳の南側の狭いピークには、なぜかたくさん人が集まっていた。本峰よりも低いはずだけど、尖がったピークに登りたがるのは山ヤの習性か?

秩父平への下り  向こうは抜戸岳
秩父平と左から黒部五郎岳、薬師岳、双六の裾


さて、ここを下れば4つ目の目玉である秩父平。ここはこじんまりとしたカール。紅葉する木は少ないけど、ここも例に漏れず点在する巨岩とカール壁が素晴らしい。秩父岩の奇岩も一見の価値あり!素晴らしい秩父平なのだが、それよりもボクの目を釘付けにしたのが、秩父平の一段下にある台地。ここは双六谷の支流の源頭部にあたるところで、○○庭園と呼ぶにふさわしいところだ。いつか、双六谷を遡行して、秩父平に詰め上がりたいと思った。秩父平にもお昼寝岩があり、そこで秩父平を堪能した。

秩父平
秩父平と大ノマ岳
秩父平のカール壁を登る
抜戸岳の稜線

秩父平から抜戸岳へは300m近い登り。この登りの間に、東側の谷から雲が湧き上がってきた。最後の主食である杓子平を残しているというのに・・・。笠新道分岐に到着。杓子平にはわりと雲が少なく、なんとか展望にありつくことができた。杓子平はスケールがでかい!笠の稜線は断崖絶壁が多いけど、ここだけは異常に広い斜面になっている。以前スキー(穴毛谷)でも滑ったけど、穂高を見ながらのスケールの大きい斜面を滑るのは感動もんだった。

杓子平  上から
杓子平をトラバース
広大な杓子平下部


笠新道を下るのは4回目。でも、新しいルートを下るのは初めてだ。旧道は不安定なガレで、落石頻発だったが、新道はだいぶマシ。杓子平は谷底の下の方ほど紅葉がきれいなのに、登山道はそのずっと上をトラバースしてしまっていて残念だ。ここも、いつかは穴毛谷を下から遡行し、一番きれいなところを歩いてみたいと思った。

笠新道の下りからの穂高
稜線にいる時はなんとか晴れていた杓子平だったが、降りるにつれて下から湧き上がってくる雲が多くなってしまった。最後のメインディッシュだけに、晴れて有終の美を飾りたいところ。もったいぶりながら下り、最後の広場で40分ほど粘った。粘った甲斐があったのかなかったのか、杓子平の全貌は見ることができたけど、稜線までスカッと晴れることはなかった。ま、仕方ない・・・。

あとは下るのみ。上の方は開けた斜面で、槍・穂高を見ながらの下り。ロケーションはいいけど、気持ちはすでに下山モード。時計の高度計をチラチラ見ながらの下りであった。笠新道は急登で敬遠されがちだが、しっかりジグザグが切ってあるので、意外とストレスのない道だと思う。とくに登りは。2時間弱で林道に降りつき、あとは惰性で林道を歩く。




さて、最後に感想。
紅葉はまだ早かった。今年は9月がアホほど暑かったので仕方がない。紅葉は時期が短いから当てるのが難しい。紅葉の見ごろに合わせて山に行くというよりも、この3連休に紅葉が合ってくれ!って感じだ。でも、天気に恵まれて、秋の北アルプスを十分に満喫することができた。



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