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北アルプス奥地スキーツアー  -2008GW-



2日目  赤木平〜黒部五郎岳〜五郎沢滑降〜祖父沢〜雲ノ平〜高天原   くもりのち晴れ


雲ノ平からの水晶岳


 エリア  北アルプス 雲ノ平、高天原、赤牛岳
 行程  4月27日 飛越トンネル⇒寺地山⇒北ノ俣岳⇒赤木平
 
4月28日 赤木平⇒黒部五郎岳⇒雲ノ平⇒高天原
 4月29日 高天原⇒赤牛岳⇒東沢⇒水晶小屋⇒高天原
 4月30日 高天原⇒三俣山荘⇒双六小屋⇒新穂高
    
※リンクをクリックするとその日の記録に飛びます
 ジャンル  山スキー(テレマーク)
 メンバー  単独



夜中は風が強く、少し雪も降っていたようだ。3時半に目を覚まし、外を見ると真っ白け。小粒の雪も降っている。最高のテン場で最高の朝を迎えるはずだったのに、ガックシ・・・。ダラダラとした朝を過ごすことになってしまった。予報では朝方まで曇りで、その後は晴れるという。あきらめてガスの中を歩くってもんか。

赤木平C1(7:15)〜黒部五郎岳大斜面取付き(9:00〜20)⇒黒部五郎岳(10:05〜20)⇒滑り出し点(10:35〜55)⇒黒部川(11:30〜45)⇒雲ノ平山荘(14:10)⇒高天原C2(16:00)

いったん赤木岳まで登り、シールをはずして中俣乗越へトラバースする手も考えたが、テン場からシールでトラバースすることに。これが失敗・・・。雪が堅くてズリまくり。一度20mくらいズリ落ちたりしてしまった。ガスに巻かれていて高度感がないので危ないなあ・・・。エッジまで目一杯のシールを使っているが、この時期はエッジを出すべきなのかなあ・・・。時々スーッとガスが引いて視界が得られたのはありがたかった。でも、ホントに晴れるのかなあ・・・?

出発時はガス
赤木沢源頭
黒部五郎岳が見えてきた

さて、黒部五郎の大斜面。雪が緩ければシールで楽勝だが、今日は無理っぽい。途中で進退窮まるといけないので、取付きからアイゼンを履く。用意をしている時、黒部五郎小屋からの2人組とお話。3泊してここらを周遊するそうだ。ここでスキーを背負うのは誤算。肩にズッシリ。ただ、カチカチなのでズボズボ埋まらないからマシ。まあ、埋まるような雪ならシールで登れるのだが・・・。肩から山頂の間も全面雪が付いていた。GW過去2回来ているが、いずれも夏道や岩、ハイマツが出ていた記憶がある。今年は4月に結構降ってるからかなあ・・・?去年もそうだ。真冬に少なめで、春先になってたくさん降る。なので、高いところは雪が多く残って、低いところは早くに融けてしまうのだろう。

黒部五郎岳山頂
山頂から北ノ俣岳方面
雲ノ平も見えてきた

山頂に着くころにはガスがなくなり晴れベースに。槍や穂高も見えるようになったが、まだところどころに薄いガスがあり、シラーッとした景色になっている。でも、眺めは雄大。山頂は無人。さて、どこから滑ろうか・・・。でかそうな雪庇があるので山頂からは滑り出しが覗き込めない。アイゼンのまま肩に戻る。夏道の斜面が一番緩そうに見えた。あとは堅くないことを祈るのみ。ツボ足のまま斜面に入ってみる。カール壁は日当たりが良いので、すでに緩み始めていた。ホッ・・・。

カールの底より  広すぎて何が何やら・・・
五郎沢の大斜面と黒部源流の山々

アイゼンをはずしてスキーを履く。古い雪のところはいいけど、新しいきれいな雪になると、とたんにガガガガーッと抵抗が・・・。斜度もそこそこあるし、何よりも背中が重い。加速度的にスピードが出てしまう。結局カールの底まで斜滑降。しかも、ずっと同じ向きで。荷が軽ければ楽しいところだったのに・・・。

カールの底はなんと雄大なことか!素晴らしいロケーションだ。予想はしていたけど、はるかに上回るスケールにゴックン生ツバもん。斜度も緩んでなんとかテレマーク。立ち止まっては前と後の写真を撮っていた。縦走する人は黒部五郎小舎に向けて、途中からトラバースとなってしまう。しかし、ボクは五郎沢を下るので、斜面なりにまっすぐに滑ることができる。これはお得だ!快適斜面はこれでもか!ってほど続く。荷が軽かったらなあ・・・。それでも、雪は程よい締まり具合で、重荷にしては気持ちよく滑ることができた。

五郎沢の中流部
五郎沢が谷らしくなってくる

やがて大斜面は沢形がはっきりしてくる。途中まで右岸の台地を滑っていたが、先で落ちていそうなので沢に滑り込む。ところどころに水流は出ていたが、滑るには全く問題なし。小屋方面からの沢が合わさると斜度はタラタラになり、あっという間に黒部川と出合う。ここにはお盆の時期に2度来ているが、景色が全く違うので初めて来たような感覚だ。

黒部川と出合う
祖父沢付近の渡渉点
祖父沢中流部

さて、問題は黒部川の渡渉。五郎沢出合は完全に水流が出ている。とりあえず上流に向かって歩き始める。黒部五郎岳から見る限りでは、少し上流で完全に埋まっているので、そのうちブリッジは出てくるでしょう。祖母沢出合まではブリッジなし。祖父沢手前に危ういブリッジがあったが、これは見送る。この先随所にブリッジが出てきて、一番条件の良さそうなヤツで渡った。ちょうど祖父沢出合でラッキー!プチ黒部横断完了!

祖父沢に入って左岸の台地に上がってみた。台地が終わるところで沢に戻る。最初は緩い祖父沢だが、両岸が立ってくると斜度も増す。振り返ると、さっきまでいた黒部五郎岳があんなに遠くに。重荷と言えども、スキーの力は絶大だ。二俣で休憩。本流っぽい右に進めば、テン場から祖父岳にかけてに詰め上げるが、今日は小屋のほうに行きたいので左俣をとる。左俣は谷というより斜面。直登できるギリギリの急斜面を登り切ると、やがて斜度が緩んで大雪原に飛び出す。雲ノ平ってこんなにいいところだったっけ・・・。地平線のような雪原から水晶岳がヒョッコリ現れる。感動!

雲ノ平への登り 山は祖父岳
雲ノ平からの水晶岳

雲ノ平の小屋は半分埋まっていた。一瞬ここで泊まりたくなったが、ダメダメ・・・今日は高天原まで行くのだ。夏道沿いに大波のようなアップダウンを2つ越えると、電波塔の立つ丘へ。薬師岳が近くてでっかい!カメラに収まりきらない程の大きさだ。水晶岳も岩苔小谷を隔てて大迫力だし、明日登る予定の赤牛岳もご立派!温泉沢の左俣を詰めるつもりでいるが、ここから見ると急に見えるなあ・・・。朝は日陰だから、またアイゼンだろうな。

雲ノ平山荘と黒部五郎岳
雲ノ平 手前の山は祖父岳

ここからは一気に高度を落としていく。2439mの右の斜面は快適斜面。荷が軽かったらなあ・・・。荷が軽ければ・・・と思ったのは、今日3回目。くやしいんだけど、重荷を背負ってでないと来ることのできない場所なので仕方あるまい。2439mから先はさらに急降下。針葉樹林帯の下り、ここも核心と踏んでいたが、やはりきつかった。しかもモナカ&アイスバーン・・・。転ぶと大変なので、慎重に降りる。予想より木が密でなかったのは救いだった。

まっすぐに谷に滑ると、高天原上がりにくくなるだろうと考え、岩苔小谷の上流方向へと目一杯トラバース気味に降りる。そしたら上手く高天原に滑り込めると考えた。小さい谷を2つ横切るが、デブリの通過に苦労。重荷&テレマークってのは、こんなところが一番の弱点に感じる。岩苔小谷に降り付いたのは、ちょうど谷が開けてくるあたり。ヨーシ、いい所に出たぞ。

赤牛岳と高天原を見下ろす
2439mの右側斜面

岩苔小谷も水流が出ていたが、いたるところにブリッジはあるので渡渉は問題なし。すぐに右岸の台地に上がり、高天原への最短距離をとる。ところがこの台地が曲者。細かいアップダウンが多く、挙句の果てには小川が・・・。この小川は地図にも出てないし、ブリッジもない。上流に進むと池にぶち当たった。ちょうど池になるところに際どいブリッジがあったが、この荷物で渡るには度胸がいる。かといって、池を巻くとなると労力は大きい。意を決して渡る。この先も細かいアップダウンが続き、最後の最後でお疲れモード。こんなんだったらシールを着けておけばよかった・・・。やがて雪原が見え、その先に高天原山荘をみつけた。最後が長かった・・・。

高天原へと下る途中からの水晶岳
高天原付近のテン場

小屋の正面はほとんど埋まっていた。小屋前の平地にテントを張る。ここもロケーション最高!水晶と赤牛が特にヨシ!ほどよい樹林の中にあり、癒し系のテン場だ。時間と気力があれば、竜晶の池あたりに行ってみようかと考えていたが、時間も気力もナシ。ポカポカだったので、日が陰るまで外でビール&つまみ。この景色独り占め!


全行程の概念図・・・クリックで拡大 2日目の概念図・・・クリックで拡大



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