谷川岳 馬蹄形日帰り縦走
谷川の馬蹄形を日帰り縦走してきました。谷川馬蹄形ってのは湯檜曽川を取り囲む、馬のヒヅメのような形をした稜線のこと。谷川岳−茂倉岳−武能岳−七ツ小屋山−朝日岳−白毛門と、ブーメランのようにほぼ同じところに戻ってこれます。とてもキレイな形をした周回ルートです。途中に小屋はあってもテン場がないのが難点かな…。 さて、どっちから周るか…。太陽は東から昇る。白毛門から登れば、朝日を浴びた谷川岳が見えるなあ…ということで、反時計回りの白毛門スタートの谷川岳ゴールとしました。エアリアのコースタイムは17時間20分。目標は12時間とします。4時に出て4時にゴール。逆算すると…深夜12時半に起きて、1時に出発して、4時に土合着。すでに出発したと思われる車が何台も止まってました。今頃出るってことは馬蹄形?
4時20分出発。空は既に明るいんですけど、林の中はまだ薄暗い感じ。ようやくランプなしで歩ける程度の明るさ。新潟県は夜まで雨が残っていたみたいで、水上も雨上がりっぽい感じです。1時間に500〜600mくらいのペースで登っていきます。ギリギリ息が切れないペースです。松の木沢の頭あたりで、同じく馬蹄形縦走の若者男女のグループがいました。『お互い頑張りましょう!』と元気よく声掛けられました。結構ゆっくり目だったけど大丈夫かいな…。
だんだんと灌木の尾根となり、左に朝日を浴びた谷川岳を見ながらの登りとなります。朝はクッキリ見えると思っていたのに、なんだか空気に水分が多いというか、ちょっとモヤっぽい感じです。そのうち稜線に雲がかかるようになってきました。そして白毛門到着。先客が1名。すぐに出発していきました。目指す笠ヶ岳と朝日岳は雲の中。今日は晴れ予報だけど、山は雲が出やすいんかいな…?去年(白毛門沢)ここに登って来たなあ…。
次の休憩は朝日岳だな。朝日岳で1本目のビールを飲もう!すでに喉が渇いていたので、ビールを楽しみに朝日岳を目指します。ほとんど雲の中で、たま〜に雲が取れた時に展望が開けます。風も強めに吹いていて暑さからは解放されています。雨上がりのためか、登山道にヌカルミが多いのが厄介でした。靴が良くないもんで…。最後まで濡れたままだった…。
笠ヶ岳から朝日岳が長く感じましたね〜。朝日岳の一角に出てからが長いというか…。ただ、朝日岳に近付くにつれて花が増えてきました。山頂手前の蛇紋岩地帯にはホソバヒナウスユキソウなど変わった雰囲気のお花畑となってました。まだまだ先は長いのですが、写真も撮らなけりゃいけないし…。忙しいこと!
ビールの話も写真の話も出てきましたが…。今日はこんな長距離にもかかわらず、首からデジタル一眼をぶら下げて歩いております。先を急がなきゃ!ですが、早く歩けないし転べない…。一回だけ泥で滑って尻もち付いたけど、右手でしっかりカバー。早く歩きたいところや道の悪いところでは首からカメラはストレスとなります。ま、当たり前ですが・・・。
終わってみれば撮った枚数はピッタリ300枚。写真でどのくらいのタイムロスになってるんでしょ?撮ってる時間は足が止まっているので、良い足休めの時間になってる気もします。ただ、花とか撮るのにしゃがんだり、中腰になったりするのは逆に疲れますね。撮り終わった後なんて足がプルプルしてましたんで…。
そしてザックの中身ですが…。主なところ?ではビール2本(凍らせたの1本、そうでないの1本)、コンビニの冷やしうどん(これが結構な重さ)、あとはお茶とジュースが2リットル。これだけでかなりの重さです。このあたりは飲むほどに減っていく物なので、軽くなる楽しみが…。その他はごく基本的な装備のみかな。
朝日岳の手前でおじさんと前後するように。おじさんも花の写真をマメに撮っていました。このおじさんも馬蹄形縦走とのこと。朝日岳はガスガスで展望なし。残念…。予定通りにビールをプシュ!喉にジョワっときますね〜。ビールと一緒に食べ物も流し込んでおきます。『お先に〜』といって先に出ましたが、このあと姿を見ることはなかったなあ…。 家に戻ってからネットで見てみると、この谷川馬蹄形日帰りしてる人って多いんですね〜。トレランの人とかは8時間くらいで周ってるし、のんびりな人は暗いうちに出発し、暗くなってから下山しているし…。人気のコースなんだと終わってから知りました〜。キレイな周回ルートですからね。
朝日岳の北側は草原になっていて、その中を木道が通っています。草原に花はあまり咲いてなかったような…。まだこれからかな。木道にキノコがたくさん生えてて、こっちの方が目に付きました。草原は少しで終わって、ひと登りしたらジャンクションピークです。巻機山方面への分岐です。『道ナシ・悪路』とありました。ナルミズ沢を詰めたらここに出ます。
ジャンクションピークから清水峠まで長〜い下り。約500mも下ってしまいます…。やれやれ…。距離は稼げるんですけどね〜。稜線もスッキリしてなくて花もワンパターン。今日の中で一番楽しくない区間だったかもしれません。ここは下りで正解かな。登りだったらイヤになりそう。初めて一人すれ違いました。どこからやってきたのやら…?清水峠の直前のポコには送電線の鉄塔が立っていました。ひと下りで清水峠。
谷川といえばかまぼこ型の避難小屋ですが、ここ清水峠には立派な小屋が立っています。白崩避難小屋というみたい。初めて知った…。稜線上ではここ清水峠が一番低いことになるのか。1450m弱ですね。あとしばらくは緩くアップダウンを繰り返しますが、最後に茂倉岳への大きな登りが控えています。体力温存といきたいところ。
七ッ小屋山へは200mほどの登り。稜線は基本的に笹。ニッコウキスゲがチラホラ。展望は概ね良好です。上越のマッターホルンという大げさな別名をもつ大源太山が目立ちます。はじめは東面が見えているんですが、七ッ小屋山を過ぎると西面が見えてきます。この西面が以前登ったことのある大源太川北沢本谷の源頭になります。
さっき歩いていた朝日岳。『振り返ると朝日岳』だったのが、進むにつれて『対岸に朝日岳』になってきました。着々と駒は進んでいるということですね。七ッ小屋山を過ぎ、鉄砲尾根を越すと、左手は昨年登ったケサ丸沢の源頭となります。どのへんに詰め上げたのかなあ…とか思い出しながら歩いていました。
ひと下りで蓬峠。ヒュッテ前のベンチで若者が睡眠中でした。ここでコンビニの冷やしうどんのカードを切ります。乾いた食べ物は既に喉を通りにくくなっていますが、うどんはツルツルと入っていきます。その点は素晴らしいんですが、如何せん重いのが…。恐らくビール1本よりも重いと思われます。若者はムクッと起き上がり、そそくさと出発していきました。 さて、いよいよ登りが本格的となります。まずは武能岳。標高差は250mほど。どこかこの辺の北西斜面を滑ったなあ…。メチャクチャ深い雪でした。蓬峠からは割りあい多くの人とすれ違うようになってきました。土樽から登ってきてるんでしょうか…。上半身裸でザック背負って歩いてる人がいました。武能岳からはいよいよ茂倉岳が遮るもののない形で見えてきました。
武能岳からどのくらい下ってるのかなあ…。わー、えらい下っとる…。地図を見ると150mは下ってますね〜。やれやれ…。そして茂倉岳まで400m近い登り。正念場と思ってじっくり登りましょう。正面に芝倉沢の源頭部が見えています。テレマークを始めた年に滑りにきました。ロケーションに感動した記憶があります。雪のない時期に今こうやって眺めてみても、スケールの大きな源頭斜面です。対岸には朝日岳。大倉沢が正面になりました。雪渓ビッシリです。
茂倉岳に近付き、尖った小ピークを越えると、今度は茂倉谷の源頭部が見えてきます。北西面ですね。芝倉沢に比べるとスケールは落ちますが、土樽パーキングに向けて一直線に落ちていく感じが良さそう。沢でもスキーでも、いつも候補には上がっている茂倉谷。こうやって上から見てしまうと、やっぱり来てみたくなりますね〜。
茂倉岳登頂です!正念場の大登り終了です。ここで2本目のビールをプシュ!一ノ倉岳へはなだらかな稜線が続いています。その先にはトマの耳とオキの耳。あそこまで行けばあとは下るだけだ。まあ、もうちょっと距離がありますね〜。ここからはさらに人が増えました。一ノ倉岳へはわけなく登りましたが、そこからオキの耳とのコルが大きく下っていてショック受けました。オキの耳へは150m近く登り。茂倉岳への登りが最後の大登りと思って登っていたので、この150mの登りは精神的に堪えましたね〜。
キツイところではありましたが、左手には絶壁の一ノ倉沢。思わずオーッ!と声が出ます。右には割合になだらかな万太郎谷。ここも随分前になるけど登ったなあ…。稜線は再び蛇紋岩が出てきて花が一杯に。花より一杯だったのが人間。朝からほとんど人に会わなかったのに、ウジャウジャです。もう2時というのに…。トマの耳へは行列ができていました。ピーク時にはもっとすごい人だったんでしょうね。
黒山の人だかりかと思っていたトマの耳ですが、そうでもなかったかな。ただ、やたら若いカップルが目に付きました。ここ以外は若いカップルは皆無だっただけに…。コーヒー飲んだりカップラーメン食ったりしてますね。西にはオジカ沢の頭、川棚の頭、その向こうに万太郎山と思しき山が見えています。大人数で行ったスキーツアーを思い出します。平標山から谷川岳までの稜線は一部しか歩いていないので、そのうちやっつけに来なきゃなと思いました。
肩の小屋に南から突き上げるのがヒツゴー沢。ここも楽しい沢でした。下のヒル以外は…。本文中にもたくさん書きましたが、谷川連峰には沢とスキーでとてもお世話になっています。ただ、どれも部分部分のつまみ食い。今回やっと主稜線を縦走して、部分部分がつながった…というか、谷川岳の概念が頭に入ったかな…と思いましたね。
さて、あとは下るのみです。1200mの下りなのにコースタイムは3時間以上。きついのかなあ…。西黒尾根の下り口には『中級コース』とありました。谷川岳にはあれだけたくさんの人がいましたが、西黒尾根に入ると閑古鳥。ほとんどロープウェイからの往復なんですね〜。下りで渋滞につかまったら最悪だったので、そのあたりは助かったかな。
西黒尾根上部も蛇紋岩。みんな足を置くところはツルツルに磨かれています。滑るわ滑るわで疲れます…。延々と整備され過ぎていない岩場下りが続きます。なるほど、これは『中級』だ。足への負担がジワジワと…。しんどい〜。後ろから容赦なく太陽が照り付けます。稜線を歩いている間は割と涼しかったのですが、西黒尾根に入ったとたんにクソ暑くなりました。だんだんと体全体がダルくなってきました。
途中で水補給。トマの耳出る時に500mlあって余裕と思ったけど、一気にほとんど飲んじゃいました…。飲んでも飲んでも欲しくなります。歩き始めるとすぐにまた苦しくなります。キツイなあ…と思った頃に樹林帯に突入。日影になった上に風も吹き始めて生き返りました。登山道も普通の道になり、足への負担も軽くなります。とはいっても既に足はプルプル。膝の潤滑油もなくなり、ロボット下りになっていました。
西黒尾根登山口に降り着きました…。山はここでオシマイですが、土合の駐車場までの車道歩きが残されています。下りだから惰性で歩けたけど、堅いとこ歩くのが辛かったです。途中でロープウェイ駅に立ち寄り、CCレモンをがぶ飲み。ゴロンと寝こびたい気分に鞭打って車まで歩きます。駐車場まで遠かったこと…。
温泉は月夜野の風和の湯へ。ガラガラ。潰れないか心配になるほど…。休日半額は既に終わっているので、チンタラと下道で帰ります。道中でさらにコーラを2本。水分は摂っても摂ってもキリがないです。上田の『はなまるうどん』で夕食のつもりでいましたが、その手前のラーメン屋に入ります。身体が味噌ラーメンのスープを要求してきました。麺よりスープ。完飲です。塩分欲しかったようです。土合から4時間くらいで我が家に到着です。一度も眠くならなかったのが不思議。翌日は太ももとフクラハギが筋肉痛。
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