14日目 西岳⇒槍ヶ岳⇒双六

  7日ぶりにまともな太陽を見た。槍を素通りして行く人も珍しいのでは・・・

北アルプス全山縦走 目次  概念図   14日目  ⇒ 双六〜笠ヶ岳〜双六
8月5日(水) 天気: くもり時々晴れ
西岳ヒュッテ(5:50発)⇒水俣乗越先(6:42〜58)⇒ヒュッテ大槍(8:03〜33)⇒槍岳山荘(9:13〜23)⇒千丈沢乗越(9:54〜10:05)⇒左俣岳付近(11:04〜18)⇒樅沢岳(12:31〜13:00)⇒双六小屋(13:15)

今日は一日雨の覚悟でいたが、今のところ降ってはいないようだ。外に出るとビックリ!まだ暗い中、周囲の山々が浮かび上がっていた。期待してなかっただけに、うれしさも倍増だった。今まで天気予報には裏切られてきたが、こういう逆の裏切られ方なら大歓迎だ。いつまでもってくれるかは疑問だが・・・。朝メシを食い終わったら雨が降り出してきた。
西岳の朝(右の山は常念岳)

時々雨は降ったが、山はずっと見えていた。水俣乗越を越えると日が差してきて、暑くてたまらないのでカッパを脱いだ。短パン・Tシャツ姿はとても開放的だった。ここらから見る槍はとても新鮮。北穂は大キレット越しにそそり立っていた。ハシゴのあるところでは、下りの人を待ったりで、時間を食う。休もう休もうと思いながら歩いていたら、ヒュッテ大槍まで歩いてしまった。

西岳から槍ヶ岳を望む

小屋の前のベンチで休憩していたら、ここに連泊しているというおじさんと話しこんでしまった。ここから見る穂高への山並みは最高だ。槍の肩に着く頃には稜線にガスがかかり始め、そのうちまた雨が降り出してきた。ヒュッテ大槍のほうで長く休んでしまったので、ここは早めに出よう。槍を素通りする人も珍しいのではないか・・・。

下り始めてすぐに雨は上がってくれた。ガスも上がると、独特の色で、他の山とは全く様相の違う硫黄尾根が目に飛び込んでくる。西鎌の両側の千丈沢も飛騨沢も顕著なU字谷。千丈沢のほうにはジグザグの道がついており、少なかったが人も歩いていた。

コースタイム1時間半のところ、30分くらいで千丈沢乗越に着いてしまった。とくに急いだわけでもないのに・・・。コースタイムが甘すぎだ。ここと樅沢岳の標高はほぼ同じ。あとはどれだけアップダウンがあるかだ。しばらくしたらまた雨になった。今日は本当に変わりやすい天気だ。ガスに覆われて、どのへんを歩いているのかわからない。鎌の部分が終わってからは、カール状のところ、船窪状、高原状・・・と飽きない道が続いた。テントを張った跡が何ヶ所かあった。

しばらく視界のない道で、どのへんまで歩いたかわからなかったが。急に霧が取れて後ろを見ると、硫黄尾根が見えた。硫黄乗越は通過したようだ。あまりに硫黄尾根が圧巻だったので、思わず写真を撮った。もうすぐ樅沢岳だ・・・と思い始めてからが長かった。ニセ樅沢岳にだまされたりした。樅沢岳周辺は九州の久住あたりの景色に良く似ていた。

樅沢岳に着くが、また展望はなくなってしまった。ここでやっと1本目のフィルが終わった。いかに写真を撮る機会がなかったかだ・・・。少し粘ってみようと思っていたが、急に雨が降ってきたので、急げ急げで双六小屋へと下った。天気が良くなったら空身でまた来よう。

すでにテントはかなりあった。真ん中あたりは団体さんが多く、うるさそうだった。運良く端っこのほうに少し斜めだが、1張り分のスペースが残っていた。テントを張ったあと、水を汲みにいった。ここまではずっと「水を買いにいく」だったが、ここは「汲みにいく」だ。水がタダなのは本当にありがたい。

樅沢岳からの鷲羽岳

天気が良くなってきたので、サンダルのまま樅沢岳に行く。頂上からは双六岳、鷲羽岳はよく見えたが、槍や笠にはずっと雲がまとわりついていた。高台には2人いて、ずっとガスの方を眺めていた。あきらめて帰ろうとした時に、「出ましたよ!」と、その2人の声。見ると、ガスの中に槍の穂先だけが浮かんでいた。その上下左右ともガスなのに、穂先の部分だけが見えていて、すごい幻想的な光景だった。額縁に収まった絵のようだった。この2人は、双六小屋の食堂に飾ってある、ここからの写真に感動して、ここからシャッターを切るまでは粘るという。鷲羽とかは見えていたが、1発目のシャッターは槍と決めているようで、他の山には目もくれてなかった。一緒になって粘ったが、槍が出たのはあれっきりだった。


⇒ 双六〜笠ヶ岳〜双六
1、白沢登山口〜餓鬼岳
2、餓鬼岳〜唐沢岳〜餓鬼岳
3、餓鬼岳〜燕岳〜大天井岳
4、大天井岳〜殺生ヒュッテ
5、殺生ヒュッテ〜槍ヶ岳〜北穂高岳
6、停滞
7、北穂高岳〜奥穂高岳⇔前穂高岳
8、奥穂高岳〜前穂高岳〜上高地
9、上高地〜西穂高岳〜焼岳〜上高地
10、上高地〜徳本峠⇔霞沢岳
11、徳本峠〜大滝山〜蝶ヶ岳
12、蝶ヶ岳〜常念乗越
13、常念乗越〜大天井岳〜西岳
14、西岳〜槍ヶ岳〜双六岳
15、双六〜笠ヶ岳〜双六
16、双六〜黒部平
17、黒部平〜薬師峠
18、薬師峠〜スゴ乗越〜五色ヶ原
19、五色ヶ原〜雷鳥平
20、雷鳥平〜大日岳〜称名平
21、称名平〜上市駅〜立山駅
22、立山駅〜室堂〜剣沢
23、剣沢〜剣岳〜剣沢
24、剣沢〜立山〜タンボ平
25、タンボ平〜黒部ダム〜家
26、家で待機
27、家で待機
28、家〜扇沢〜針ノ木峠
29、針ノ木峠〜蓮華岳〜船窪
30、船窪〜烏帽子岳
31、烏帽子岳〜野口五郎岳〜雲ノ平
32、雲ノ平〜高天原〜三俣
33、三俣〜水晶岳〜赤牛岳〜平
34、平〜黒部ダム〜扇沢
35、扇沢〜針ノ木峠
36、針ノ木峠〜種池〜冷池
37、冷池〜鹿島槍〜五竜岳〜白岳
38、白岳〜唐松岳〜白馬岳
39、白馬岳〜雪倉岳〜朝日岳
40、朝日岳〜黒岩山〜栂海山荘
41、栂海山荘〜白鳥山〜親不知の海岸
42、親不知の海岸〜親不知駅